・童磨さんが自力で呪いを解いていること前提です。
・童磨さんは上弦を目指さなかった普通の鬼です。
・童磨さんは鬼ですが産屋敷家に監禁されております。座敷牢的な場所で閉じ込められています。
・童磨さんは了承済みです。
・カナエさんの性格は筆者の想像でしかない。
・童カナです、ハッピーエンドって感じじゃない、半端落ちです。
・それでもいい方、どうぞ
鬼とは仲良くなれる、それが花柱である胡蝶カナエの持論だった。
同じ言葉を発する相手、きっと仲良くなれる筈だ。妹を除き鬼に肉親を、両親を喰われたのにも関わらずカナエは鬼に同情を捨てることは出来なかった。妄執に囚われた姿があまりにも哀れで痛ましい。妹のしのぶは他の隊士同様に両親を喰らった鬼を恨んだ、人を殺しておいて可哀想だなんて、そう妹は怒るがそれでも彼らは鬼にされた元が人間なのだ。どうしようもない鬼もいるけれど、それは人間でも同じように悪人はいる。
――鬼だって、良い鬼はいるのかもしれない
そんなことばかり言うカナエはやはり鬼殺隊でも浮いてしまう存在だった。鬼を憐れむなど、殺された人の想いが花柱様は分からないのだ、隊士たちがそう囁いた。妹も庇ってはくれるが内心は同じことを思っているようで、眉間を歪ませてカナエに苦言を呈する姿を何度も見た。
――だけど、それでも
私は、鬼を見捨てることが出来なかった。
――――――――――――――――――
――お館様のお成りです
襖が開けば一人の男がそこにいた。産屋敷
「お早う、今日はとてもいい天気だね。空は青いのかな?」
優しげな面差しで空を見るその眼は何処も像を捉えてはいない、病気の進行が進んでいるようだった。耀哉は二人の子女に支えられ、花柱の前に歩み寄った。跪いてカナエは挨拶をし始めた。
「お館様におかれましても
「ありがとう、カナエ」
耀哉は娘たちに支えられながら座る。……お礼を言われた、敬愛すべきお館様にそう言われればカナエは嬉しくて胸が温かくなる。顔が熱くなったが頭を振った。気持ちを切り替えてカナエが本題を切り出した。
「畏れながら、本日私を呼んだ理由をお聞きしたいのです」
見渡せばカナエ以外の柱はいない。
――カナエにはやってもらいたいことがあってね
疑問を解消するように言葉を発する。やってもらいたいこと、何故私に。疑問を抱えている内に耀哉は手をパンと叩いて、黒い衣に身を包んだ隠が何処からともなく現れてカナエを無理やりおぶさって何処かへと連れ出した。
――他でもない、優しい君が判断して欲しいんだ
遠のいた耀哉はいつものように優しく微笑んだ。
――――――――――――――――――
隠に目隠しをされて、次から次へとおぶる相手が変わる度に、カナエは何処かへと連れ出されていく。隠にそうされている内は柱いえどされるがまま彼らに導かれる場所に従うほかはない。身を任せる内にカナエはお館様に言われた言葉を整理していた。そもそもやってもらいたいこととはなんなのだろうか、何故私なのだろうか。他の柱ではない私にしかできないこととは何のことだろうか、判断して欲しいと、お館様は言っていた。
――着きました
湧いてくる疑問に答えるように、隠から声が掛かる。降ろされて目隠しを外されれば何処かの屋敷の門がカナエを出迎えた。隠の案内に従ってカナエはついていく。屋敷の者に話をしたと思えば隠の人間はあっさりと消えていった。
――お待ちしておりました
屋敷の者がカナエを出迎えれば案内された先は地下に続く階段だった。
「やあやあ、耀哉殿はいないんだね。後ろにいる女の子は誰かな?」
穏やかに優しく喋る男だった。頭部と同じ赤い模様の上衣を動かす度に屋敷の者は持っている蝋燭を震わせた。
――ああ、ところで今は何時かな?
此処に居ると時間が分からないからね、屋敷の者は既に怯えきっておりにこにこと屈託なく笑う男が場違いであるのは間違いなかった。異様な空気が漂う。外は夜よ、問いにカナエが答えると男はありがとうと返した。
「……ああ、そういえば名前を聞いてなかったね。優しい君、名前を聞かせておくれ」
「……胡蝶カナエ」
カナエちゃん、カナエちゃんね。虹色の瞳を閉ざし覚え込むような様子で何度も繰り返す。
――初めまして、カナエちゃん。俺の名前は
此処に来てからというもの外は分からないけどね、男は冗談めいた様子で肩を揺らし微笑んだ。
――――――――――――――――――
童磨と名乗る男は自身を鬼だとカナエに告げた。屋敷の者がどうして彼に怯えるのか納得すると同時にカナエの中で疑念が湧いた。どうして鬼殺隊の管理する屋敷に居るのか、カナエが問えば協力するためだよとあっさりと答えた。
――俺は優しいからな、悩める人間を放っておけないんだよ
だから教祖もやっていたんだぜ、童魔は世間話をするように自身の昔の話をし始めた。子供の頃の話からいかに信者たちを救ってきたのかという話まで楽しく話していた。鬼にしては珍しく人間の頃の記憶を保有する彼の話は興味深かった。いつ頃鬼になったのかと尋ねれば童磨は自身の唇に人差し指を付けた。悪戯めいた少年の顔を見せながら童磨は提案をし始めた。
――そうだ、カナエちゃん。遊びをしよう。質問は一日一つ、俺と話をしながら互いのことを知っていこう
俺も此処で一人は寂しいからな、たまにでいいから話し相手になっておくれ。カナエと童磨、柱と鬼の奇妙な関係が始まった。
――――――――――――――――――
カナエは時間がある時があればあの鬼に会いに行った。待っていたよ、いつものように屈託なく笑う鬼に出迎えられるのが常だった。外はどんな感じなのかから始まり、何か悩んでいることはないのかと友人にでも話す気さくさで童磨との会話は始まるのが常だった。
――それでカナエちゃん、何か質問あるのかな?
話に満足すれば童磨は必ずといっていいほどそんな言葉を口にした。一つカナエが童磨に質問すればカナエも童磨からの質問に答えなければならない。彼の言う所の遊びはそんな決まりがあった。あなたの存在を知る者は他にいるのかとカナエが気になることを聞けば童磨はあっさりと答えた。お館様は容認しているようだが一部の者以外はその存在を知る者はいない、柱で来たのは君が初めてだと童磨はケラケラと笑った。ふざけるなと他の柱や隊士ならばその首を切り落としてしまうだろう、カナエが選ばれた理由はそこにあるのかと話していく内に分かっていき、徐々にカナエの持つ疑念は晴らされることとなった。……じゃあ次は俺の番だぜ、童磨はさて何を聞こうかなと悩んだ様子をみせる。そんな様子もカナエはとっくに見慣れてしまっていた。
――カナエちゃんとは仲良くしたいんだぜ
いつかの鬼が言った通り、童磨はカナエのことばかりを聞いた。好きなことは、やりたいことは、そんなことばかり童磨は聞いてくる。まるで純粋な子供のようだった。あ、と思いついたように手を叩いて人差し指を立てる。
――家族は、肉親はいるかい?
俺としたことが失念していたぜ、そう言葉を続けて童磨はカナエにそんなことを尋ねた。……カナエは、答えなければならない。答えなければそこまでの関係だと言外に告げる童磨は相変わらず笑って答えを待っていた。
「……妹が、一人」
……両親は、鬼に殺されました。正直に答えれば脳内に浮かぶのは優しい両親だった。脳内の両親は瞬く間に血にまみれた。思い出すのは血まみれの畳、目を閉ざしても喰われているということが分かる咀嚼音。幼い妹にそれを聞かせまいと腕の中に閉じ込めて、血の滴る音と生々しい肉の音をカナエは聞き続けた。現実に戻ればキュッと唇を噛み締めて、鉄格子を握り締めた。もう終わってしまったことだと頭を振って両親を打ち消してカナエは目を閉ざした。不意に、ポンと優しく撫でられる感触が頭の上で感じ取った。目を開けば奥に居た童磨が目の前に立っていた。鉄格子の間から腕を出して、足元の足枷をギリギリまで引き延ばし、童魔はそこに居た。頭一つ分大きな長身の男を見上げれば、虹色の虹彩が歪みその中に反射するカナエが揺らぎ、溢れ出した水がプツリと頬に流れ落ちていく。
――ごめんね
辛かったね、鉄格子の間から腕を出し、カナエの頭を優しく撫でながら童磨は涙を流し続けた。……分かっている、この鬼に感情などないことなど前から分かり切っていた。話せば話すほど共感性が薄く、それは表面上でしかない。虚無的な感情、自分も他の人も他人事でしかないことがこの鬼の悲劇なのだと。カナエは知っていた。だけど、そんなことを言われてしまえば、頭を撫でられてしまえばそんな割り切りも出来なくなってしまう。頬に伝う熱さと雫、無視をして、頬まで伸びた手を叩き落とす。童磨をキッと睨めば面白そうな顔で童磨はあっさりと涙を引っ込ませた。何処までも、感情を逆撫でにする鬼だ。
――だけど、それでも
私は童磨を見捨てることなど出来なかった。……結局のところ、私は童磨を処断することも出来ないで同情するだけの未熟な柱でしかなかった。
童磨さんin童磨さん(一発ネタ)で今後どうしようかなって考えて出た派生ネタ。細かい設定とかpixivに上げたので後書きに上げます。
※主な設定
・童磨さん
→無惨様の呪いから逃れた鬼として鬼殺隊の監視下のもとで暮らすことを選ぶ。協力的な鬼として表面上付き合って可哀想な人間に付き合っている。詳細を言えば鬼が藤の花の毒を服毒して鬼に有効かを協力している(本編で出せなかった)。死んだらそれまでと原作通り自分のこともどうでもいい様子。最近はカナエがお気に入り、遊びに興じながら芽生える感情に振り回される(予定)。童磨さんはどういう経緯か眠る体質である(これは童磨さんin童磨さんの名残りだけど裏設定として残ってる、本編で使わなかった)。
・カナエさん
→花柱。原作通り。童磨と遊びに加わりながら童磨という鬼を見極めている。童磨の歪さを理解しながらも処断できない自分を責めている。いつか持つ感情に振り回される(予定)。
童磨の推しCPは?
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一方的に愛情を向けられている、童しの!!
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親子関係的な関係が最高なんです、童琴!!
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目覚めました、童カナ!