鬼滅の刃ネタ短編集   作:こしあんあんこ

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始めに

・こちらは鬼滅の刃のオリ主ものです
・圧倒的野生児である
・言葉はつかえない
・中途半端で終わります
・なんでも許せる方どうぞ!


名前のない子供の話

 それが生まれたのは何処かの農村であった。娯楽も無い都会から大きく外れた村での楽しみといえば収穫で採れる僅かな米を食べることと、夜の営みのみだけだった。ある女が命をその身に宿したのは何度目かも分からない子作りの時である。腹の膨れた女を役立たずと罵って夫は外に女を作り、戻ることはなかった。

 

――いつしか子供が生まれ落ちた

 

 だが腹を痛めた母親がその子供を愛することはなかった。名も付けず、おいだのこれだのと子供を呼称して読んだ。赤子の頃はいつか戻ってきてくれるかもと淡い期待を抱き、乳を分け与えたが子供が育てばそんな期待もなくなった。いつしか食事の準備もすることなくなり、母親は別の男を作って子供を見捨てて村から消えていった。

 

――子供がそれを恨むことはなかった

 

 物心ついた頃から冷遇されて育ち虫を食らって生き延びた子供にとって、母親というモノは同じ場所に生きる他人でしかなかった。母親がいなくなれば子供は好き勝手に生きた。野山を駆け巡り、お腹が空けば他人の畑で盗みを働いた。そんな行動を繰り返せば子供は村人から嫌われた。子供だからと同情していたが貴重な畑の作物を奪うことは許すことが出来なかった。汚い身なりも子供が嫌われる原因の一つであった。子供は母親から文字も言葉を教わることもなかった。罵倒されようともヘラヘラ笑い、殴れば嬉しそうに殴り返す子供は異様で次第に村人は子供に恐怖を抱き距離を取り始めた。……そもそもだ、母親が居なくなった時点で素知らぬ振る舞いをする子供が不気味で仕方が無かった。

 

――感情の高ぶった村人は子供が山に行っている間に子供の家を燃やしたのはそれから間もなくのことだった

 

 パチパチと音の鳴る住処を、子供はただ見ていた。燃え尽きて炭になるまで、ずっとそれを見つめていた。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 住処を失えば子供は山に住み着いた。洞窟の穴に住居作り、野山の生き物たちと生きた。時折村に下りて作物を奪う生活を繰り返せば村人は物で殴るようになった。もはや触れることも嫌な様子で飛んできた拳は箒に変わる。子供は文句でも言うように一つ唸り声を上げればますます人間に見えなくなってきて、村人の持つ箒は木刀に、短鞭に変わった。子供の肌には打撲痕や痣が残り、痛みに耐えかねて山に籠った。洞窟の中で、一人痛みに耐えた。外敵から守るような獣のような姿だった。次は自分が勝つのだと、子供は決意した。

 

 傷が癒えればあいつらに負けるものかと勇んで山を下りた。風に乗って村からツンとした血の匂いが漂っていた。どうにも様子がおかしい、村に入れば村人は全て死んでいた。汚らしく胴体を引き裂かれ、惨たらしく殺されていた。熊の手合いでないのは明らかだった。畑の作物は血だまりに濡れて、臓物の肉片が作物にはりついていた。子供は構うことなくそんな状態の作物を引き抜いて住処に持ち帰った。弱者だから死んだのだ、自然に生きた子供の道理はそれのみだった。血が付着したそれを喰らえば生臭い味がする。生臭い味の正体に気付けば子供は川で洗い流すことを学んだ。

 

 畑にあるものが無くなれば腐った死体を貪った。腹を下しても飢えを凌ぐためにそれをすれば刀を携えた黒衣の剣士が子供を睨む。鬼め、両親の仇だ。言葉も分からぬ子供目掛けて刀を引き抜き振るった。子供は攻撃に備えて両手でそれに身構えて避けると子供の腕から血が溢れ出す。運がいいことに、軽く切れただけで済んだ。鬼特有の傷が癒える現象がないことに気付けば狼狽えた様子で男は刀を下ろした。そんな、呆然とした様子で男は口から言葉を零す。……隙だらけだった。子供が体当たりをすれば男はよろけて足元の石によって崩れ落ちた。そのまま地面に崩れ落ちれば、柵の杭の部分に頭を打ち付け、そのまま男は気を失った。刀が地面に落ちる、子供はそれを手に持てば重い感触に驚きながら、それでも持ち上げて、子供は手に収まるそれに興奮した。

 

――村人が持っていたモノ。同じ力を手に入れた

 

 これは少しでも擦れば切れるもの。きっとあいつらが持っていたモノよりも上等なモノに違いない。学がないながらも、子供は本能的に悟っていた。当然ながら子供は刀を持ち帰った。強者なのだから弱者から貰うのは当然だった。何処かで男の断末魔が聞こえていたが新しい手段を手に入れた子供にはどうでもいいことだった。それから子供は山で刀というものを独学で学ぼうとした。どうすれば刀が切れるのかを元の持ち主の動きを思い出しながら、刀を振るった。だが、独学で出来たことと言えば横に一閃、それのみだった。そもそも元の持ち主がそれしか見せなかったから真似を出来たのはそれだけだった。

 

――だが、それで十分だった

 

 刀を振るえば獣どもは容易く切れて死んでいく。熊ですら一太刀食らわせれば怯むのだ、狩りには打ってつけだった。喰うには困らなくなったが山に居る獣たちは試し切りで皆死に絶えてしまった。狩ったばかりの熊の毛皮を身に纏い、住み慣れた山を後にする。抜き身の刀を持って、旅に出た。

 

――道中妙な化け物にも出くわした

 

 子供だと喜んで襲い掛かるそいつを切り裂いても傷があっという間に癒えるのだ。無駄だと化け物は笑うが子供にその言葉は通じることはなかった。笑われたのならば、やり返すのみだった。子供はむしろ闘争心を燃やした。そういう生き物もいるのだな。子供は新たに学びながら殺せるかを試した。生き物である以上、皆死ぬものなのだと子供は知っていた。今は弱者だと侮るそれの隙をついて木で作った槍を身体に突き刺して動けなくさせてから、様々なことを試した。手を、足を、指を切り落とし、腹を切りながら、臓物を引きずり出すも死ぬことはなかった。やめてくれと懇願し始めたが子供に届くことはない。だったらここはどうだろう。子供は試しに頭と胴体を繋ぐ首を切り落とした。ぎゃあ、と断末魔を上げて化け物は四散した。どうやら首が弱点のようだった。消えるのなら喰い物にも非常食にもなれないのか、これなら身の少ない鼠の方がマシだ。子供は大きく肩を落とした。

 

 

――道中の旅は無駄ではなかった

 

 子供は同じように刀を携えた黒衣の人間たちを見かけたのだ。追いかけて、草むらの陰に隠れる。盗み見ればこないだ出くわしたような化け物がその人間たちと戦っている姿を見続けた。鬼め、憎々しげに零れ出す言葉は何処かで聞いた言葉だった。どうやら化け物の名前らしい。発音は出来ないながらもその響きと会話だけは学んだ。学びながら、刀を振る姿を何度も見ていた。縦に一閃からその足運び。刀の効率的な動きまで複数の人間の様々な動きを見ていた。今回は化け物の方が劣勢のようで勝敗は黒衣の人間たちの勝利だった。もう、見ることが無くなればもう用はなかった。

 

 その場を後にして、また旅を続ける。山に入れば見てきたことを真似て刀の使い方を学んだ。化け物に出会えば首を切り落としながら、黒衣の人間を見かければ後を追いかけた。時折彼らに見つかることもあった。子供は得意げに笑って彼らから学んだ言葉を口にした。

 

――お前、美味そうだな

 




主な設定

子供
→言葉を知らない野生児。ひょんなことから刀を手に入れて使い方を独学で見ながら勉強する。呼吸法とか知らないけど無意識に使う。「お前、美味そうだな」が自己紹介だと思っている。切り合いに発展するがそれも楽しいと思っている。名前はない。基本的に弱肉強食の世界観で生きている。

野生児主人公の、鬼滅の刃二次創作。書いてて楽しかった。多分、今後鬼殺隊に保護されているか鬼になっているのかもしれない。どっちに転んでもよさそうな感じに書きたかったけど、これでは鬼殺隊に入る感じだね。難しいモノです。伊之助と仲良くなるかな?ううむ。
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