流刑鎮守府異常なし   作:あとん

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エイプリルフール回です

いつも酒を飲みながら書いているのですが、書き終わったものを後から見直すと色々驚きます。しかし大体、そのまま投下してしまいます・・・・・・


嘘だと言ってよ、不知火

 その日はいつもと変わらない朝だった。

 前日谷風と二人で笑点を見ながら晩酌をした俺は、ほろ酔い気分で自室に戻り、そのままベッドに倒れ込んだ。

 痛飲した上に夜もそれなりに遅かったため、体が非常にだるい。

 だがさすがに指揮官の俺が寝坊するわけにはいかないので、全身のけだるさを我慢しながら起き上がった。

 軽く二日酔いだ。しかし、この鎮守府に来てから酒を飲む量が増えた。

 昔は付き合いと日々のストレスを紛らわせるために飲んでいた酒が、ここでは艦娘と楽しく過ごせるツールの一つとして機能している。

 さらに皐月・谷風・長月は無茶しなければ、結構呑める。じゃあ軽く一杯いくか・・・・・・となってしまうのだ。

 我ながら体に悪いなと思ってしまうが、楽しいから辞められないのだ。

 そんな事を考えながら服を着替えて洗面所に向かう。

 寝ぼけ眼で歯を磨いていると、何やらドタドタと騒がしい足音が聞こえてきた。

 

「司令官! 大変! 大変だよっ!!」

 

 大声でそんなことを言いながら、こちらへ駆け寄ってきたのは皐月だった。

 

「どうした皐月……朝から騒がしいぞ」

 

 二日酔いもあってゲッソリしながら俺が言うと、皐月は

 

「海軍本部から偉い人が来たんだよ!」

 

「……何?」

 

 どうして急に……と思った俺だったが、そういえば少し前にとあるブラック鎮守府が摘発され、他の鎮守府でも似たようなことが行われていないか抜き打ちでチェックして回るという情報があった。

 となるとやはり階級の高い人たちが大勢……

 

「まただるいときに来たもんだなぁ……」

 

 正直、体調があまり良くない時に来られるのは面倒くさい……

 

「本土の鎮守府に所属してる、金剛型の姉妹みたいなんだけ……」

 

「わかった! すぐに行くぜ!」

 

「あっ、ちょ・・・・・・」

 

 艦娘となれば話は別だ。

 しかも巨乳艦娘・金剛型!!

 提督LOVEでけしからんおっぱいの金剛に、元気で明るくてデカパイの比叡。メガネの似合うナイスバディな霧島に、ゲームをやってた頃に嫁艦だった榛名。これは全力でお迎えせねば!! 二日酔い? そんなの吹っ飛んじまったさ。

 全力疾走で波止場に向かい、直前で襟元を整える。あ、髭を剃ってくれば良かったかな。まあ、待たせるよりはいいか。軍帽を被り直し、いよいよご対面・・・・・・と思ったのだが、違和感に気が付いた。

 この島の波止場は見通しがいいので、普通に鎮守府の建物からでも全貌が見渡せる。だが見る限りでは人影が一つも無い。一体、どうしたことか・・・・・・入れ違いか?

 俺がそう考えて周りを探していると、後ろから皐月の声が聞こえてきた。

 

「もう司令官、いきなり走り出すなよ~びっくりするじゃん~」

 

「おい、皐月。金剛型の皆様はどこへいかれた。この鎮守府の最高責任者として挨拶を・・・・・・」

 

「ふっふっふ・・・・・・そのことだけど・・・・・・実はウッソぴょ~んっ!」

 

「え・・・・・・」

 

 皐月は心底おかしそうに笑いながら、卯月のような台詞を吐いた。

 

「今日は4月1日! エイプリルフール! いやぁ、まんまと騙されたね! 司令官!」

 

 ケタケタ笑う皐月の言葉でようやく俺は我に返った。

 そうか、今日は4月1日、エイプリルフール。一年に一度だけ嘘をついていい日だ。

 そうかそうかー騙されちゃったなーあははー俺って四月馬鹿だなー・・・・・・

 

「し、司令官、どうしたの? 顔が怖いよ?」

 

「そうか? 俺は皐月の可愛い嘘に心安らかになっているだけだぞ?」

 

「な、何で笑顔で迫ってくるの? それに目が全然笑ってな・・・・・・」

 

「タワーブリッジかパロ・スペシャル。好きな方を選ばせてやるよ」

 

 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・

 

「あ、おはようございます、司令官! どうしたんですか、皐月ちゃんを抱えて」

 

 ちょうど歯磨きが終わったのか、洗面所からひょっこり顔を出した五月雨が笑顔で挨拶してきた。

 

「いやちょっと皐月と朝のラジオ体操をしてきたんだが、張り切りすぎて疲れちゃったみたいでな。死んだように眠っちゃったから寝室に投げてくる」

 

「そんなんですか・・・・・・五月雨もお手伝いしましょうか?」

 

「いや、大丈夫。ありがとうな」

 

 何だか愛おしくって俺は五月雨の頭を撫でた。サラサラの青い髪が心地いい。五月雨も嬉しそうに目を細めた。

 

「そういえば五月雨。今日は何の日か知っているか?」

 

「ほえ? 今日は4月1日・・・・・・あ、エイプリルフールですね!」

 

「そうそう。嘘をついてもいい日、なんだけど・・・・・・大きい嘘はほどほどにな。相手を傷つける可能性もある」

 

「はい! でも五月雨は実は嘘をつくのが苦手で・・・・・・」

 

「いや、大丈夫。その綺麗な心を大事してくれ」

 

 そう言って俺は五月雨と別れた。

 やっぱり純粋な少女は純粋なままのほうがいいな。五月雨ちゃんマジ天使。

 二階の艦娘達が使っている寝室に入り、三段ベッドの一番下に皐月を放り投げる。

 残りのベッドは全て空になっていた。どうやら皆、起きているらしい。

 しかしエイプリルフールか・・・・・・この感じだと他の娘も色々嘘を仕掛けてきそうだな。  

 やりそうなのは谷風と暁あたりか・・・・・・まあエイプリルフールを自覚していなかったから、皐月の下らない嘘にまんまと引っかかった訳だし。もう騙されることはないだろう。

 落ち着くとお腹が空いてきた。

 俺は皐月に布団をかけてから食堂に向かった。

 

「おう、司令官。おはよう」

 

 食堂に着くとエプロン姿の長月が朝食の準備をしていた。朝餉の良い香りが鼻をくすぐる。

 席には五月雨が座っていた。何やら困ったような笑顔を浮かべている。

 まあ、理由は分かる。

 長月が何故か野球帽を被っているのだ。特徴的な緑の長髪を帽子の中に仕舞いこんでいるのだ。

 これは何か仕込んでいるな・・・・・・真面目な長月にしては珍しい。これは、乗ってみるべきだな。

 

「どうした長月。そんな帽子被って」

 

「・・・・・・実はな、司令官に告白しなければいけないことがあってな」

 

 俺が自分から話題を振ると早速乗ってきた。

 さて、長月がどんな嘘をつくのか、お手並み拝見といこうか。

 

「なんだい? 告白したい事って」

 

「ああ、実はな」

 

 重苦しげに長月は言うと帽子をとった。

 すると中から長く美しい白い髪が現れた・・・・・・ん、白髪?

 

「実は私、長月と言っていたが本当は菊月だったんだ・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 透き通るくらい純白の長髪をいじりながら、長月・・・・・・いや菊月は恥ずかしそうに言った。

 

「最初はちょっとしたおふざけのつもりだったんだが、言い出すタイミングを逃してな・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「し、司令官?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「あ、固まってますね。提督」

 

 五月雨が俺の顔の前で手を2、3回振った。

 そこでようやく俺は我に返った。

 

「はっ!? 長月、いや菊月。俺はお前が長月か菊月かではなくて一人の人間として好きだし、尊重するからだからお前が」

 

「待て待て落ち着け、司令官! 嘘だ! 私は長月だ!」

 

 そう言って彼女は白い髪を脱いだ。中から長月本来の緑髪が現れる。どうやらカツラだったらしい。

 

「え・・・・・・一体、どういうことだ? 菊月? 長月?」

 

「え、エイプリルフールの冗談だ! 私は長月であっている」

 

 焦ったようにそういう彼女の顔を見て、俺はやっと落ち着きを取り戻した。

 そうか、嘘か・・・・・・

 長月と菊月って本当に似ているからな・・・・・・真面目な長月が嘘をつくのも珍しいから信じてしまったよ。マジで。

 

「ほ、ほんとに長月か?」

 

「本当だ! 長月だ!」

 

「でもあの白髪は・・・・・・」

 

「ちょっと高めのジョークグッズだ。触ってみろ」

 

 ずいっと差し出さされた白いカツラに指を這わせる。おお・・・・・・サラサラしていて気持ちいい。こっちの世界ではカツラの技術も進んでいるのかな。

 

「・・・・・・その緑髪も作り物じゃないよな?」

 

「本物だ! 何なら触ってみるか?」

 

「え、いいの?」

 

「ああ構わん」

 

 ちょっと気になっていたので長月の髪も触ってみた。

 うお・・・・・・柔らかくて作り物よりも断然、サラサラしている。何だかちょっといい匂いするし・・・・・・

 それに染めたのではなく、自然の緑髪っていうのはこんなに綺麗なんだな・・・・・・まるで透き通るような新緑で・・・・・・

 

「う・・・・・・し、司令官。そんなに私の髪は珍しいか?」

 

「ああ・・・・・・それに・・・・・・綺麗だ」

 

「っ・・・・・・」

 

 長月の顔が朱に染まる。

 俺も何だか気恥ずかしいが、本当に長月の髪は魅力的で・・・・・・

 

「うおっほん! 朝飯はまだかねぃ!!」

 

 谷風の不機嫌そうな咳払いが突然聞こえ、俺と長月は慌てて離れた。

 ふとそちらに目を向けると、いつの間にか椅子に座っていた谷風が非難するような目で俺たちを睨んでいた。

 

「す、すまん。今準備する」

 

 長月は赤面した顔を隠すように朝食を並べ始めた。

 

「全く、朝っぱらからお熱いことでよぅ」

 

「た、谷風。いつからそこにいたんだ?」

 

「さあね! しかし提督さんよぉ・・・・・・ちょっとデレデレしすぎなんじゃねえかい?」

 

「そ、そうかな」

 

「確かに、そうですね」

 

「うおっ!」

 

 いつの間にか不知火もいた。本当に気配が感じられない奴だ。

 しかも心なしか不知火も不機嫌になっている気がする。

 

「長月ちゃんの嘘が上手かったですからね~」

 

 五月雨がフォローしてくれるが、それでも二人の視線は痛い。

 うう、何か空気が重いな。朝ご飯はまだか・・・・・・

 その時、部屋の外からパタパタと足音が聞こえてきた。

 

「大変っ! 大変よっ! 皆!」

 

 大声をあげて食堂にやって来たのは、暁だった。

 

「ど、どうしたんだ暁」

 

「一体、何事でい!?」

 

 彼女の焦った様子に俺と谷風が立ち上がる。

 

「工廠で装備を開発していたらうっかり爆弾が出来ちゃったの! あと3分で爆発するわ!」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 俺は無言で暁の頭を撫でた。

 

「ふぁっ・・・・・・ちょ、ちょっと! 何で頭を撫でるの! 子供扱いしないで!」

 

 顔を真っ赤にして抗議する暁。

 でもしょうがないじゃないか。

 明らかに嘘と分かるチープな内容。今まで疲れてきた嘘とは段違いで微笑ましい。

 

「暁さぁ・・・・・・もっと捻った嘘つかねえと」

 

「単純且つ粗雑ね」

 

 谷風と不知火にもダメ出しされ、暁は涙目になってしまう。

 

「う、うう・・・・・・毎年騙されてたけど・・・・・・今年は司令官がいるから暁も騙す方になれると思ったのに・・・・・・」

 

 確かに純粋な暁は騙されやすそうだなあ。

 

「しかし今日は四月馬鹿の日か。なら谷風さんも小粋な嘘を考えねえとなぁ」

 

「嘘をつくことを事前に告白するとは斬新だな」

 

「ふっふっふ、谷風さんは常に時代の先を行くのさ・・・・・・」

 

 変に大物ぶる谷風に思わず苦笑する。

 そこに長月が人数分の茶碗が乗ったお盆を持って現れた。

 

「皆、ご飯だぞ・・・・・・って、そういえば皐月はどうした?」

 

「ああアイツは嘘を極める旅に出ると言ってな・・・・・・」

 

 長月の朝ご飯はとても美味しかったです。

 

 

 やがて朝食も終わり、俺は執務室で書類仕事を開始した。

 さて、この鎮守府の中で嘘をついていないのは不知火と谷風だけだ。

 不知火は性格上、嘘をつかない可能性が高いが、谷風は先程、堂々と嘘をつく宣言してるからなぁ。

 と思っていた矢先、勢いよく執務室の扉が開き、谷風が飛び込んできた。

 

「てぇへんだてぇへんだ! 提督、てぇへんだよっ!!」

 

 血相変えてやってきた谷風に少し驚いたが、そういえばさっき嘘をつく宣言をしたばかりだからな。

 

「おう、どうしたんだ谷風。いやに焦ってるが」

 

「とにかくまずいんだよ! ちょっと来てくれ!」

 

「わかったわかった」

 

 さて、どんな嘘をつくか。あえて乗っかってやるとするか……

 そう余裕をかましている俺を、谷風は引っ張っていく。

 辿り着いた先は工廠だった。

 そういえば暁も工廠で爆弾が出来たって嘘を言ってたなあ。

 

「艤装を改修してたら凄えのができちまったんだ! 見てくれ!」

 

 谷風が迫真の演技で言った。さて、一体何があるのやら。そう考えながら谷風が指差す方向を見る。

 そこには。

 

「え……何、これは……」

 

 そこには紅の武者鎧が鎮座していた。

 紅の武者鎧が鎮座していた。

 ……あまりにも意味不明なモノが置いてあったので思わず二回言ってしまった。

 

「谷風さんの艤装を改修してたんだけど、気づいたらこうなってたんだよ」

 

「艤装って……これ完全に鎧擬亜じゃん」

 

 烈火のアレじゃん。

 え、何コレ? これわざわざ用意したの? 等身大じゃん。

 

「ど、どうしよう……これで深海棲艦に勝つる?」

 

「かつるっていうか……深海棲艦よりも妖邪相手になら無双できそうだな」

 

 驚く以前に何か感動した。

 これ、一日じゃそこらじゃ用意できないクオリティだよな…… 

  

「なあ、谷風。これちょっと着てみてくれよ」

 

「ええ……思ってた反応と違うねえ」

 

「誰もが遠い旅人なのさ、この街では……見てみたいんだよ。頼む」

 

「何か釈然としねぇけど、提督が言うなら……」

 

 困ったように谷風は言うと、鎧擬亜の兜を手に取って叫んだ。 

 

「武装! 烈火ぁ!」

 

 勢いよく言うと谷風は烈火の鎧擬亜を手動で身につけていく。まあアニメみたいに自動でついたりしないよな。

 

「じゃーん! 谷風さん烈火改! どうでぃっ!」

 

 二振りの日本刀を背中から取り出して、かっこよく決めポーズを決める谷風。

 小柄で可愛らしい谷風が大きくて格好いい鎧を纏っている。

 何だかアンバランスだけど妙に格好いいし、可愛いな。

 

「なんか……もう四月馬鹿なんてどうでも良くなってきたな」

 

「谷風さんもそう思えてきたぜ……これも新しい宴会衣装として用意してたんだけど……ちょうどいいから使おうと思ってな……」

 

「だからこんなにクオリティ高いのか……なあ、谷風。いつも着てくる衣装ってさ、もしかして自腹か?」

 

「あったりめーよ! 宵越しの金は持たねえのが江戸っ子さ!」

 

「そうか、そうだよな……」

 

 まあある意味一番驚いたよ。本当に色んな意味で。

 

「そうだ。その格好で皆の所に殴り込んで見てはどうだ? きっと驚くぞ」

 

「おっ、それもそうだね! いよっしゃぁっ! 行くかねぇ!」

 

 ガシャガシャと鎧擬亜を軋ませながら、谷風は元気に走って行った。

 ……エイプリルフールって何だっけ。

 ふとそんな考えが過ぎったが、俺はそのまま放置して執務室へ戻ることにした。

 今度、谷風と二人でゆっくり酒でも飲むか。きっと旨い酒が飲めるだろう。

 その後、暫くしてお金の無駄使いについてじっくり説教する長月の声が聞こえてきたが、それはまた別の話だ。

 

 さてと、これでもうエイプリルフール関係の話は終わったな。 

 安心しきって執務室でのんびりしていると、出入り口をノックする音が聞こえた。

 

「誰だ?」

 

「不知火です。入ってもよろしいでしょうか?」

 

「おお、いいぞ」

 

 不知火が普通に入ってくるって珍しいな。

 いつもはいつの間にか横にいることが多いからな。

 ……もしかして、不知火もエイプリルフールの冗談を言いに? いや、考えすぎか……

 

 俺がそんな感じで深読みしていると、不知火が何やら茶封筒を持って現れた。

 

「どうした不知火」

 

 俺が尋ねると不知火は持っていた茶封筒をこちらに差し出した。

 

「司令官、本部から健康診断の結果が届きました」

 

「健康診断・・・・・・」

 

 そういえば少し前に受けたような気がする。

 俺がそんな風に考えていると、不知火が封筒を開けて中身を取り出した。

 

「不知火も確認したのですが」

 

 え、俺の健康診断の結果を不知火が先に見てるの?

 そう思ったの束の間、不知火は取り出した書類を俺に見せて言った。

 

「肝臓に異常値が出ています」

 

 彼女の指す部分に目を向ける。

 確かに肝臓の欄に大きく『D』と書いてあった。再検査レベルだ。

 

「これによるとγ-GTPが異様に高いですね」

 

「そ、そうかな・・・・・・」

 

「原因はハッキリしています」

 

 不知火がずい、と寄ってきた。

 整った顔が目の前に迫り、一瞬ドキリとしてしまう。

 

「お酒です」

 

 淡々と不知火は言った。

 

「この物質はアルコールを過剰摂取すると上昇します」

 

「そ、そうなのか・・・・・・まあ確かに最近、よく飲むからな・・・・・・」

 

「はい。しかしこのままでは司令官の健康を害します」

 

「うむ、そうかもな・・・・・・」

 

「ですので、不知火は司令官には禁酒が必要だと進言します」

 

「・・・・・・何だって?」

 

「不知火は司令官に禁酒を勧めます」

 

「・・・・・・・・・・・・まあ、それも一つの考えではあるな! それはそうと不知火。次の遠征なんだが・・・・・・」

 

「司令官」

 

 不知火は異様な迫力で俺の肩をガッシリと掴んだ。

 

「禁酒です」

 

「・・・・・・嘘だ・・・・・・不知火は嘘をついているんだ!」

 

「健康診断の結果故です。司令官の今後の健康を考えて、暫く禁酒してもらいます」

 

「私も不知火の意見に賛成だな」

 

「な、長月! いつからそこに!?」

 

 いつの間にか部屋にいた長月も、不知火に加担し始める。

 

「元々、司令官は酒を飲みすぎだと私も考えていた。いい機会だから、ゆっくり肝臓を休ませよう」

 

「ですね。では早速今日から実施しましょう」

 

 な、何で長月まで乗り気なんだ!? というか俺の意思を無視して、勝手に禁酒が実現されようとしていないか!?

 

「な、なあ不知火? これは嘘なんだよな? エイプリルフールの冗談なんだよな? 二人で俺をからかっているんだよな?」

 

「司令官」

 

 不知火は俺の瞳をじっと見つめた。

 水晶のように美しい双眸が、俺を映している。

 

「禁酒です」

 

 有無を言わせぬ一言。

 それは俺が今日一日で聞いてきた言葉の中で、最も衝撃的な言葉であった。

 

「頼む、ぬいぬい! 嘘だと言ってくれ!」

 

「司令」

 

 眉一つ動かず、不知火は冷たく言い放った。

 

「今日から、禁酒です」

 

 今日は4月1日。エイプリルフール。嘘だと言って、欲しかった・・・・・・

 頭を抱えて机に突っ伏する。

 そんな俺の肩を優しく長月と不知火が叩いたのだった。

 




禁酒回につづく
・・・・・・予定です

流刑鎮守府の艦娘たちが改二になるか否か

  • 改二になったほうがいい
  • このままでいい
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