もし新しい艦娘を出すなら17話と決めていました。
何故なら『恐竜戦隊ジュウレンジャー』でドラゴンレンジャーことブライ兄さんが登場するのが17話なんですよ!
というわけでお願いします。
我が流刑鎮守府は駆逐艦しかいない。
まあこんなド田舎の鎮守府に戦艦や空母がいてもやることはないのだが、それでも俺は戦艦や空母が欲しかったのだ。
理由は無論・・・・・・おっぱい!
俺は駆逐艦は嫌いじゃない。嫌いじゃないが俺の望むものを持っていない駆逐艦の方が多いのだ。
俺が望むモノ、それはおっぱいである。
勿論、駆逐艦の中にもおっぱいが大きい子だっている。
だがそれも駆逐艦の中は少数・・・・・・駆逐艦は基本ちっぱいなのだ。
俺は提督になったらおっぱいの大きい艦娘達とキャッキャウフフするのが夢だった。
しかし念願の提督になった俺を待っていたのは、駆逐艦のみのド田舎鎮守府。
僕が来たかったのは、こんな鎮守府じゃない!!
といっても来てしまったのだから仕方ない。
俺は粛々と提督業務をこなしてきた。
だが俺は諦めていなかった。
巨乳艦娘とキャッキャウフフする日々を。
初めてこの鎮守府に来た日、俺は皆に色々案内される中で一つの施設に目を付けた。
工廠である。
最も、こんな僻地の鎮守府であるため工廠というよりも、小さな鍛冶場といった感じなのだが、その奥にそれはあった。
建造ドック。
ゲームでは新しい艦娘を文字通り建造する場所でもあった。
それがこの鎮守府にもあったのだ。
何でもこの世界には元々、艦娘の適性があって、修行して艦娘になるケースと、妖精さんによって建造ドックから生まれる艦娘。そして深海棲艦を撃沈したときに生まれてくる艦娘といった3種類の艦娘がいるらしい。
ちなみに流刑鎮守府の皆は、適性があって集められたらしい。
建造ドックはゲームと違って艦娘の誕生に失敗することもあるから、資源のことを考えて使わない提督も多いらしい。
さらにここの建造ドックはずっと使っていなかったためか、周りは雑草まみれで、本体には苔まで生えている。
まあ当たり前だろう。
こんな場末の鎮守府で建造したって、仕方ないしな。
だが俺は違う!
どうしても巨乳艦娘を手に入れるという野望の元、密かに資源を貯めていたのだ。
こっそり少しずつ、資源を節約してようやく戦艦レシピが回せる位の量を貯める所までいった。
何せリアルだと普通に生活するだけで資源がかなり減っていくからな・・・・・・辛い日々だった。
だがそれももうじき終わる!
妖精さんに頼んで、建造ドックは完璧に直している。
後はここに戦艦レシピ通りの資源を入れて、稼働させるだけだ。
「ふふふ・・・・・・妖精さん、最終調整は頼むよ」
建造ドックの側にいる整備担当の妖精さんにそう言って、駄菓子を渡す。
妖精さんは快く快諾すると、わちゃわちゃと作業に入った。
明日には完全に直り、いよいよ新しい仲間・・・・・・それもおっぱい艦がくるのだ。
何せ戦艦レシピは失敗しても出てくるのは軽巡重巡。今、流刑鎮守にいる娘たちよりはおっぱいが大きい娘が出てくるはずだ。
「明日・・・・・・世界が変わるな!」
「何が変わるんですか?」
「うおっ!?」
急に五月雨が現れた。
「さ、五月雨。いつからそこに?」
「先程、提督のお姿をお見かけしましたので、着いて来ちゃいました」
「そ、そうか」
俺は平静を装いながらそう言った。
何故か皆に俺が戦艦レシピを回すことが知れたら、いけない気がする。
そんな気が、する。
「あれ、提督。ここで何を・・・・・・」
「い、いや。工廠の状況を視察しに来たんだよ。さ、戻ろうか」
出来るだけ手早く、その場を去る。
俺は五月雨の肩を抱いて、足早に工廠から離れるのであった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・っていう事があったんです」
「へえ、珍しいね。司令官が工廠なんかにね」
夜の流刑鎮守府。その駆逐艦達の寝室。
三段ベッドに各々が寝転びながら、少女達が談笑していた。
「確かに珍しいな。工廠にいく用事など、司令官にはないだろうに」
「谷風さん達ですらあんまり使わないからねえ」
艤装の修理や装備の開発が工廠で主に行う事柄ではあるが、流刑鎮守府にはそもそも敵である深海棲艦が滅多に出ないため、工廠も開店休業状態なのだ。
「新しい装備を作るのかしら? でも暁達じゃなく司令官が作るのも変ね」
「・・・・・・怪しいわ」
険しい顔で不知火がそう呟くと、皆黙り込んでしまう。
「調べてみる?」
皐月が言った。
「まあこのままモヤモヤするよりかぁ、マシだねぇ」
谷風が相づちを打つ。
「でもどうやって調べるの?」
「あ、それならいい方法があります」
首を傾げる暁に五月雨が手を挙げて答えた。
「五月雨の仲良しの妖精さんにこのことを調べて貰おうと思います。提督も他の妖精さんとお話してたみたいなので」
五月雨がそう言うと、彼女の肩から妖精さんが一人、ひょっこりと現れた。
「成程。それが一番確かかな」
「五月雨は本当に妖精さんと仲がいいわね」
「えへへ・・・・・・お願いします、妖精さん」
照れたように笑うと、五月雨は妖精さんに優しく言った。
妖精さんは任せろ、と言わんばかりに胸を叩くとそのまま五月雨の肩からスルスルと降りて、どこかへと走り去っていった。
「しかし、何だ。折角六人皆集まっても、結局は司令官の話になるんだな」
長月が苦笑しながら言った。
「まあ、いつも何か変なことしてるからね。見ててカワイイ人だと思うよ」
「確かに面白い人ね。色んな意味で」
皐月と不知火がうんうんと頷く。
「司令官はおバカさんだから、暁達がちゃんと見守ってあげないとね!」
「オイオイ、それを暁が言うかよ。泣き虫だった暁さんも偉くなったもんだねぇ」
「な、何よ! どういう意味よ谷風!」
「まあまあ・・・・・・暁ちゃんも谷風ちゃんも落ち着いて」
谷風が暁をからかい、五月雨がそれを抑えた。
六人の艦娘は何だかんだ言って付き合いが長い。
この流刑鎮守府で二年以上も同じメンバーで過ごしてきたのだ。
愛着も湧くし、結束力も固い。
流刑鎮守府自慢の艦隊なのだ。
暫くして五月雨が出した妖精さんが帰ってきた。
「・・・・・・えっと提督は新しく工廠で艦娘を建造するそうです」
「え? 何で? もうこれ以上はいらないでしょ?」
「本部からの命令かもしれんぞ」
「あ、あと提督は戦艦を造ろうとしているみたいです」
「戦艦? この小さな鎮守府で戦艦なんていても活躍することなんて・・・・・・あっ・・・・・・」
皐月は何かを察したようだった。
さらに不知火と谷風、長月も気が付いたようだった。
「・・・・・・さてと、じゃあ早速司令官をお仕置きしに行こうか」
「拷問なら時代劇で見てるから谷風さんに任せておきねぇ」
「慌てずに。まずは手錠と目隠しを不知火が・・・・・・」
「待て待て待て。落ち着けお前達」
勇んで提督の元へ行こうとする三人を長月が止めた。
「え、どうしたの皆?」
「戦艦の人が来たら、楽しそうですね-」
理解出来ていない暁とのほほんと言う五月雨。
長月は頭を抱えて言った。
「毎回そうやって力に訴えるから司令官も新しい艦娘を欲したのかもしれん。ここは穏便に済ました方がいいだろう」
「えーでも、それで本当に戦艦が生まれてきたら、どうするの?」
「・・・・・・不知火達じゃ勝ち目はないわ」
「やっぱりどうにかして阻止しねぇと・・・・・・」
「ふむ、私も正直良い気持ちはしないしな・・・・・・ここは一つ穏便に」
六人の作戦会議は深夜まで及んだ。
そして夜が明けた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・なぁ、五月雨」
「はい、なんですか提督?」
俺の問いかけに五月雨が笑顔で答えた。心なしかいつも以上にニコニコしている気がする。
しかしそんなことは些細な問題だ。
「何か今日、人口密度高くない?」
「え、そうですか?」
そう首を傾げる五月雨だが、どう考えても人が多い。
「気にしすぎなんじゃないの、司令官?」
「そうだぜ。気のせいだって。気のせい」
そう言ってソファーで将棋をしてるのは皐月と谷風。
「考え過ぎよ、司令官。ね、不知火」
「ええ。不知火もそう愚考します」
俺のベッドに転がって少女漫画雑誌を読む暁に、何故か壁際に立ってじっとこちらを見ている不知火。
明らかに人、いや艦娘が多い。
長月以外の全員が執務室に集まっているのだ。いつもなら秘書艦である五月雨以外に一人か二人いるぐらいなのに。
しかし、こんな状態じゃこっそり工廠にはいけないな。
だができるだけ早くしないとな。資源をこっそり隠して溜めてるなんて、艦娘にバレたら事だからな。
俺はそう考えて、とりあえずいつも通り過ごした。
そして夜。
食卓には長月が作ってくれた夕食が用意してあった。
刺身。枝豆。肉じゃが。唐揚げ・・・・・・
「ど、どうしたんだ長月? 今日は何かの記念日か?」
俺の好物達がこれでもかと並べられている食卓を見ながら、そう尋ねた。
「いや。だがいつも頑張ってくれている司令官にこれくらいの事はしてやらないとな」
「長月お前・・・・・・」
いかん、目頭が熱くなってしまう。
「ささ、提督! 座って座って!」
谷風が椅子を引いてくれたので、俺は素直に座った。
「司令官。グラスです。不知火が冷やしておきました」
「ビールもお待ちどう様!」
さらに不知火が冷えたグラスを。皐月が冷えた瓶ビールを持ってきてくれる。
「暁が注いであげる!」
暁がお酌までしてくれる。
何だ、今日は!? 誕生日か!? いたせりつくせりじゃないか・・・・・・
「では皆で乾杯しましょうか」
五月雨がグラスを掲げると皆も後に従って、グラスを重ねた。
「ささ、司令! ぐいっと一杯!」
谷風に言われ俺は一気にビールを呷った。
旨い。いつも呑んでいるビールだが、こんなに美味しく感じるのは、きっと皆のおかげだろう。
「勢いがいいねえ、司令官! じゃあ次はボクの番だね!」
今度は皐月が注いでくれる。
「さ、一緒に乾杯!」
「おう乾杯!」
皐月をグラスを重ね合わせ、一気にビールを流し込んでいく。のどごしが最高だぜ。
「よろしければ不知火のビールお受け取りもお受け取り下さい」
「お、不知火は珍しいな。折角だし貰おうかな」
皆が代わる代わる酒を注いでくれるから、お酒がどんどん進んでいく。
しかし本当に今日はどうしたのだろう。いつもは俺の酒を窘める不知火ですら、今日は優しい。
何か喉の奥に引っかかるモノを感じながらも、俺は美酒と長月の手料理に舌鼓を打った。
そのまま数杯ほど空けた時だった。
「ねえ、司令官? 今日のボク達のおもてなし、どうかな?」
皐月がそう聞いてきた。
「おう。嬉しいよ。ありがとうな」
「本当? 嬉しいな」
俺が本心から答えると、皐月ははにかんで言った。
「皆で司令官のために、用意したのよ?」
「ああ、ありがとうな暁」
彼女の頭を優しく撫でる。暁は気持ちよさそうに目を細めた。
「私達、六人だけだが、これでも司令官に忠誠を誓う艦娘だ」
長月がそう言うと皆がうんうんと頷く。妙に皆、ノリがいいな・・・・・・
「それを分かって欲しかったんだ」
「長月・・・・・・」
何だかじーんときた。
皆がこんなにも俺の事を思っててくれたなんて・・・・・・ちきしょう、目に涙が滲んでくらぁ。
「そうだな。皆、ありがとうな・・・・・・」
「谷風さん達、六人。捨てたもんじゃないだろう?」
「ああ、そうだな」
「これからも我ら六人と司令官。この七人で流刑鎮守府を守っていきましょう」
谷風と不知火がそう言って、肩を叩いた。しかし今日は妙に数を強調するなぁ。
「暁達、六人。皆、司令官のために戦うわ!」
「ボク達だけでもうこの流刑鎮守府艦隊は完成されてるからね!」
暁と皐月もそれに続けた。
何だろう。この違和感は。嬉しいこと何だけど、何だろうこのモヤモヤは。
そんなことを考えながら酒を飲んでいると五月雨が側に来て、おかわりを注いでくれて、言った。
「そうですよ提督! 五月雨達がいれば流刑鎮守府は大丈夫です! 戦艦さんなんて必要ありませんよ!」
・・・・・・戦艦?
五月雨の言葉に引っかかる。
何故、戦艦? 五月雨達は駆逐艦なのにどうして戦艦なんて・・・・・・
「馬鹿っ、五月雨! 戦艦なんて言っちゃ駄目だよ!」
「はわわっ!? 五月雨、またドジをしてしまいました・・・・・・」
五月雨が何故か皐月に小突かれている。しかしなんで戦艦なんて・・・・・・あっ・・・・・・
「すまん、皆。ちょっとトイレに行ってくるわ」
俺は素早く席を立った。
「大丈夫、司令官! ボクも付いていくよ!」
「酔った千鳥足じゃあ危ないからね! 谷風さんも付きそうぜぃ」
両脇を皐月と谷風がガッチリと固めてきた。
成程成程。そういうことか。
何で今日、皆が不自然な位優しいか。全て分かった。
どうやら俺が秘密裏に戦艦を建造しようとしていることに気が付いたらしい。
理由は分からないが、それをどうにかして阻止する気なのだろう。
だが俺とてこのために資源をこっそり貯めてきたのだ。今更、逃げられない。
「ちょっと長くなるぜ」
「かまわないよ」
「待ってるぜぃ」
俺はトイレには行って鍵を閉めた。どうやら二人は扉の前で待っているらしい。
さて、ここは一階。俺はトイレの窓からこっそりと外へ脱出する。
息を殺し、静かに庭の中を進んでいく。このまま工廠に行き、さっさと戦艦レシピを回してしまうのだ。
工廠はここから反対側にある。出来るだけ迂回しながら、バレないように足早で移動する。
そうやって、建物の角までやって来た時だった。
――ガランガランガラン!!
突然、甲高い金属音が鳴り響いた。
慌てて下を見ると、俺の足に糸が引っかかっており、その先には空き缶が数本ぶら下がっていた。
鳴子の罠だ。そう気が付いたときに、遠くから『逃げたぞ!』『急いで!』といった声が聞こえてきた。
「クソ! ばれたか!」
こうなっては急がなくてはいけない。俺は一気に駆け出して、工廠のある方向へ突っ走っていく。
しかしまさかこんな罠を張っていたとは・・・・・・そう唇を噛んだと同時に、廊下の窓が開いて、二つ影が飛び出してきた。
「司令官! どこに行く気?!」
「いきなり谷風さん達を置いて逃げ出すたぁ、一体どういうつもりだい?」
皐月と谷風だった。
やはり艦娘だけあって速いな・・・・・・
「いやあ、バレちゃったか。実はトイレからこっそり出て、二人を驚かせようと思ってな・・・・・・」
「見苦しい嘘を聞く気はないぜ、提督」
谷風がピシャリと言った。
「提督が何処で何をしようとしているかなんて、谷風さんにはお見通しさ! さぁ、白状しな! お天道様の目はごまかせても、谷風さんの目はごまかせないよ!」
時代劇のような芝居がかった台詞回しで、谷風は俺に迫る。
「く・・・・・・バレてしまっては仕方ない! ならば、行くだけよ!」
俺は二人の合間を抜くように俺は突っ込んでいった。
「ちくしょうっ! ボク達の『みんなで司令官をもてなして、やっぱこの六人がいいな・・・・・・』作戦が!」
「もっと作戦名捻れよ! まんまじゃないか!」
「ええい、みっともねえ! いい加減、観念しな!」
二人が俺を抑えにかかる。
だがアルコールでビートした俺の体はいつもよりも軽い。
俺は二人にぶつかり、そのまま合間をすり抜け、一気に工廠を向かっていく。
後ろから二人の怒声が聞こえてくるが無視して、ひたすら足を進める。
ようやく工廠が見えてきた時だった。
「司令官! ここは通さないわ!」
「提督といえど、これ以上は許しません!」
暁と五月雨が飛び出しできた。
両手を伸ばして通せんぼしてくる様子は微笑ましいが、今はそれどころじゃない。
それに食堂にいたこの二人がいるということは・・・・・・
「長月と不知火は先か! おのれ!」
この二人を囮にして工廠へ向かったか。
ならば早くここを切り抜けなくては。
「気をつけっ!!」
「えっ!?」
「ふぇっ!?」
俺のかけ声に二人は驚くべき素直さで、両手を腰にピタリと当てて直立した。
暁も五月雨も真面目だからなぁ。そんな二人の間をすり抜けていく。
俺の予想通り、工廠の奥。建造ドックのすぐそばに不知火と長月がいた。
「来たな司令官」
「残念です。あのままお酒に酔って頂ければ、よかったのですが」
二人は俺の姿を見ると俺から建造ドックを守るように立ちはだかった。
「二人とも、どいてくれないか」
「駄目だ。司令官。あんたはここで何を一体、何をする気だ?」
「この鎮守府の戦力増強のために、新しい艦娘を建造する。それだけさ」
「駄目です。必要ありません。資源の無駄です」
「もし何かあった時のためだ! それに折角、建造ドックがあるのに使わないのはもったいないだろう!」
「だとしてもこの零細の駐屯地に戦艦や空母などは必要ないだろう」
「司令官。これ以上抵抗するようなら、不知火も強硬手段に出させて貰いますよ」
二人がじりっ・・・・・・と迫る。
く、さすがにこの二人は分が悪い。
それにまもなく後ろの暁と五月雨が。さらに皐月と谷風もここまでやってくるだろう。
さらにはここで建造が出来なければ、恐らくこれ以降皆に警戒され戦艦レシピを回せることは永遠に無いだろう。
ここが最後のチャンスなのだ。
ならば行くしかない。
「うおぉぉぉぉっ!! 一か八かだっ!」
俺は一気に二人へと突っ込む・・・・・・と見せかけて、直前に右へ大きく逸れた。
このまま一気に回り込んで・・・・・・
「えい」
「ぶぼっ!」
不知火の一撃が腹に決まり、俺は崩れ落ちた。
まあ、身体能力じゃあ艦娘には勝てないから仕方ない。
「全く、手こずらせて・・・・・・」
「お仕置きですよ、司令官」
蹲った俺を不知火と長月が取り囲む。
そこに暁と五月雨もやって来た。
「もう、司令官たら! 暁達を置いていくなんて!」
「ようやく追いつきましたぁ」
ほっと胸をなで下ろす二人。
ふっふっふ。皆、俺を捕らえて油断しているな。
「今だ、妖精さん! 回せーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
俺は力一杯叫んだ。
すると建造ドックの裏にいた妖精さん達がワラワラ出てきた。
俺が買収した妖精さん達だ。
万が一のためにレシピの数の資材は既に用意し、後とは入れて動かすだけなのだ。さらに高速建造材も用意してある。
いつでも建造可能な状態なのだ。
「しまった! 止めろ!」
長月の怒声が飛び、不知火が動く。だが、遅い。
俺を囲むために建造ドックから離れたのが仇となったな!
「はははははは! 俺の勝ちだ! カモン、新艦娘! ウェルカム、巨乳艦!」
俺が勝利を確信した瞬間、風を切る音と共に建造ドックに衝撃が走った。
「まだだ、まだ終われないよ!」
「撃つべし、撃つべし!」
なんと皐月と谷風が、建造ドックに主砲を発射したのだ。
どうやら実弾では無く、練習で使う模擬弾のようだが、それでも勢いはある。
妖精さん達はビックリしたのか、蜘蛛の子を散らすようにそこから逃げていく。
すると建造ドックから黒い煙が出始め、異様な音が出始めたのだ。
「な、何が起こっているんだ・・・・・・」
「はわわ、大変です。工廠が壊れちゃいます」
長月と五月雨が戦慄していた。
さすがに俺も不味いと思った瞬間、
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
凄まじい破裂音と共に建造ドックが爆発し、黒煙が一気に噴き出したのである。
「け、建造ドックが・・・・・・」
完全に破壊されていた。
元々、古くて状態も良くなかったとはいえ、まさか爆発するとは・・・・・・と思ったとき、黒煙の中から人影が一つ現れた。
まさか艦娘か! やったぜ、建造は成功したんだ!
思わずガッツポーズして俺は、生まれたての艦娘の元へ駆け寄っていく。
戦艦かな? 重巡かな? それとも軽巡?
今の駆逐艦たちよりはナイスバディーのはずだ。
勿論、希望は戦艦! 出来れば金剛とか榛名がいい――
「どうも! 夕雲型の最終艦、清霜です! 到着遅れました、よろしくお願いです!」
「・・・・・・・・・・・・」
白煙の中から現れたのは、夕雲型駆逐艦十九番艦の清霜だった。
「え・・・・・・何故・・・・・・」
戦艦レシピを回したはずなのに、駆逐艦・・・・・・
しかも確か建造では出てこないハズの清霜が・・・・・・
「な、何で・・・・・・清霜が・・・・・・戦艦レシピを回したのに・・・・・・」
「ボク達の攻撃でバグったのかな?」
皐月が首を傾げて言った。
壊れた建造ドックには妖精さんが集まり、消火したり破片を運んだりしている。
そこから清霜は出てきて、こちらに駆け寄ってきた。
「貴方が司令官ですね! 今日からお世話になります!」
そう言って彼女はビシっと敬礼する。
「・・・・・・・・・・・・」
「あれ、どうしたの司令官? 清霜、着任したよ? 清霜で良かったでしょ?」
無言で立ち尽くす俺に疑問を覚えたのか、清霜は不思議そうに尋ねた。
・・・・・・いや、おかしいって。
普通、清霜って建造で出てこないじゃん! ドロップ艦じゃん!
なのに何で戦艦レシピ回して出てくるんだよ!
意味が分からないよ!
「しれーかん、どうしたの? 清霜じゃ、イヤ?」
不安そうな瞳で俺を見上げてくる清霜。
俺は何かを言おうとしたが、
「よく来たな、清霜!」
「歓迎するよ清霜!」
「めでてえ! こいつはぁ、めでてえなぁ!」
「これから一緒に頑張りましょうね、清霜ちゃん!」
あっという間に皆が清霜を取り囲んでしまった。
急に先輩達に囲まれた清霜は驚いたようだったが、皆が歓迎ムード一色なのを感じ、嬉しそうに笑った。
新しい仲間の誕生に、流刑鎮守府は大いに盛り上がったのである。
「おかしいって! こんなの絶対おかしいよ! デロリアン持ってこい! デロリアン!」
その中で俺だけが悲しみの血涙を流し続けているのであった。
誰かが肩を叩いた。
顔を上げる。するとそこには柔和な笑みを浮かべた不知火がいた。
「司令官、お仕置きはこれからですよ」
もはや逃げる気も起きなかった。
襟首を包まれ、そのままズルズルと引きずられていく。
視界の端には、花のような笑顔を浮かべた清霜の姿があった。
余談であるが、建造ドックは完全に大破しており、妖精さんなら直せるのだが、皆の強い反対によってそのまま破棄となった。
流刑鎮守府の艦娘たちが改二になるか否か
-
改二になったほうがいい
-
このままでいい