流刑鎮守府異常なし   作:あとん

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五十鈴編後編です。

今回の提督は鬼畜で、バイオレンスな描写も多いのでご注意を


史上最低の決戦

 突然だがここで俺が好きな艦娘ベスト5を発表しよう。

 

 第一位 榛名

 第二位 蒼龍

 第三位 五十鈴

 第四位 金剛

 第五位 愛宕

 

 ……お分かり頂きただろうか?

 この五人の共通点に。

 

 そう! それは、おっぱい!

 

 巨乳好きの俺にとって、彼女達は地上に舞い降りた天使たちなのである。

 俺もかつてはそんな巨乳艦達を集め鍛えに鍛えあげ、最高のおっぱい艦隊を作ったものである。

 だがそれもこっちの世界に来て、完全に過去のモノとなった。

 艦これの世界に転移してヒャッハー! となったのは最初だけ。

 ド田舎の駆逐艦まみれな鎮守府に配属されて、1年以上。

 俺が望んだ巨乳艦娘がようやく手の届く所にまでやって来たのだ。

 神が言っている・・・・・・行けと!

 

「ふふふふふふ・・・・・・五十鈴のおっぱい溢れるユートピアにいざ!」

 

 俺はそんなことを言いながら、裏庭に向かっていく。

 一度、外に出てから大きく迂回し、大浴場の裏へと向かう計画のなのだ。

 焦らず、慎重に進んでいく。

 万が一にもバレないように、体をかがめ忍び足で目的地に向かう。

 はやる気持ちを抑えつつ、冷静に沈着に・・・・・・おっと。

 

「鳴子の罠か」

 

 かつて戦艦を建造しようとしたときに、それを阻止しようとした皆が取り付けたモノだ。

 以前は見事にコレに引っかかってしまったが、まだつけっぱなしだったのか。

 無言でそれをスルーし、進んでいく。

 もう少しで辿り着く。その瞬間だった。

 

 ――カランカランカラン!

 

 背後で突然、鳴子が鳴り響いたのだ。

 動物か!? と思い振り返った俺が見たのは、

 

「し、しまった!」

 

「皐月! お前・・・・・・」

 

 なぜか艤装を装着し、こちらに近づいてきている皐月と長月だった。

 

「な、なんでお前達が・・・・・・」

 

 今は食堂にいるはずのこの二人が何でこんな所にいるのか。

 しかも陸地で艤装なんて纏って・・・・・・と考えたとき、俺の脳裏に最悪の予感が過ぎった。

 

「こ、こうなったら実力行使だよ! 司令官! 両手を挙げて、止まれっ!」

 

 すぐに逃げようとするも、主砲を向けられ皐月にそう言われてしまう。

 というか上官に向けて躊躇無く銃口を向けるって、軍法会議モノなんじゃないだろうか。

 

「な、ななな何だお前達。こんなところで」

 

「し、司令官こそ、こんなところで何をしているのかな?」

 

「う・・・・・・そ、それはこの鎮守府の指揮官として夜の見回りをな」

 

「風呂場の近くをか?」

 

 長月が冷たく言った。

 

「み、道に迷ってしまってな」

 

「ビデオカメラを持ってか?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 ヤバい。長月の目がどんどん細くなっていく。あれは攻撃一歩手前の瞳だ。

 艦娘の身体能力は人間を遙かに凌駕する。駆逐艦であってもだ。

 それが二人、しかも艤装装填済み。

 勝ち目ゼロである。

 

「・・・・・・分かった投降する」

 

 俺は両手を挙げて、抵抗しないことを示す。

 それを見た二人は目をまん丸くして驚いたようだった。

 

「ず、随分とあっさり諦めたね」

 

「ああ、流石に勝ち目がないしな」

 

「そうか。潔いな司令官。お仕置きは軽めにしてやろう」

 

 俺はゆっくり二人に近づいていく。皐月たちもほっと一息ついているが、まだ主砲は降ろしていない。信用無いんだろうか、俺は。

 

「これ、ビデオカメラだ。高いから壊さないでくれよ」

 

 俺はそう言って持っていたカメラを皐月の方に持って行く。

 彼女も手を伸ばしてそれを受け取ろうとした、まさにその瞬間だった。

 

「おおっと! 手が滑ったぁ!」

 

 俺の手からビデオカメラがずるりとこぼれ落ちた。

 

「わわわ! 危ないっ!」

 

 咄嗟に皐月が手を伸ばし、そのままビデオカメラをキャッチする。  

 が、勢い余って皐月はそのまま地面に突っ伏してしまう。

 

「ふう、危なかった」

 

「ああ、ナイスキャッチだ皐月」

 

 そんな皐月の首筋に俺は手刀を叩き込んだ。

 

「ぐえっ」

 

 皐月は瞬時に気絶し、そのまま倒れ込む。

 

「なっ!? 司令官、一体に何を!?」

 

 長月が動いたがもう遅い。

 俺は気絶した皐月を抱きかかえると、懐からスタンガンを取り出して首元に突きつけた。

 

「動くな長月。皐月がどうなってもいいのか?」

 

 こんなこともあろうかと、色々武装を持ってきておいて良かった。

 ちなみにこのスタンガンは所謂『見せる』用のジョーク商品で、実際に痺れることはない。ちょっと痛いだけだ。

 俺も流石に女の子の体に跡が付きそうなモノは使いたくないからな。

 だがそんな事実を長月が知るハズもなく・・・・・・

 

「くっ・・・・・・卑劣な!」

 

 長月は行動を停止して、じっと俺を睨んだ。

 

「さあ、艤装を解除して貰うか。逆らうとビリリだぜ?」

 

「司令官・・・・・・そこまで落ちたか!」

 

「全ては五十鈴の裸のためだ・・・・・・さあ、どうする?」

 

 俺がそう言って皐月の鼻先でスタンガンを振ると、長月は悔しそうに歯がみしながら艤装を解いた。

 丸腰の長月。

 俺はそのまま彼女にあるモノを投げた。

 

「こ、これは・・・・・・」

 

「さあ、それを両足にかけな」

 

 俺が投げたのは手錠だった。

 万が一、侵入者がこの鎮守府に入ってきた時のために幾つか用意してあるのだ。

 艦娘なら壊せる可能性もあるが、それでも動きをかなり遅らせることは出来る。

 長月は歯ぎしりしながら自身の足に錠をかけた。

 なんか絵面が犯罪臭いな・・・・・・

 

「司令官。私達が倒れてもまだ仲間はいる。悪は必ず滅びる。覚悟することだな」

 

 俺を睨み付けながらそう言う長月の背後に、俺は皐月を盾にしながら回り込んだ。

 

「悪いな。五月雨に当て身をしたときから、俺は悪魔に魂を売ったのさ」

 

 すかさず手刀を叩き込み、長月を気絶させる。

 長月はそのままその場で倒れた。

 ・・・・・・部下を三人も手にかけてしまった。

 もうここまで来たら俺は悪の道を貫くしかないだろう。

 

「行くとこまで行ったのだ。見るしかない。五十鈴のおっぱいを!」

 

 俺は二人を寝かすと、一旦鎮守府の中へと戻る。

 皐月と長月が動いているという事は、不知火と谷風も動いているだろう。

 ならばこの貧弱な装備では不味い。そう考えた俺は鎮守府にある白兵戦用の武器を調達しようと思ったのだ。

 部屋の倉庫の奥まで、周囲を警戒しながら進む。

 何とか目的地まで辿り着く。今の所、周りに彼女達の姿は無い。

 よし、今がチャンスだ。そう思って倉庫を開けた。

 

「よう、提督。随分とご機嫌じゃねえか」

 

「た、谷風・・・・・・」

 

 中にいたのは谷風だった。

 しかもご丁寧に艤装を装備して、主砲を俺に向けている。

 

「提督がここに武器を取りに来ると踏んでココに籠城したんだが・・・・・・どうやら正解だったようだねぇ」

 

 勝ち誇ったように笑う谷風だが、確かに今の状況は最悪である。

 流石にこの近距離では、俺と谷風では彼女の方が圧倒的に有利なのだ。

 それを理解しているからか、谷風も先程から余裕そうな態度と取っている。

 クソ・・・・・・谷風の後ろにある白兵戦用の武器さえあればそれなりに立ち回れるというのに。

 

「ささ! 年貢の納め時だぜ、提督! 大人しくこの谷風さんのお縄にかかりねぇ!」

 

 勝利を確信したのか、俺の前で大見得を切る谷風。

 しかしどうする? 皐月に行なっただまし討ちや、長月に行なった人質戦法も出来ないし・・・・・・

 

「・・・・・・谷風」

 

「なんだい?」

 

「ここは正々堂々、勝負しようじゃねえか」

 

 俺は懐から財布を取りだし、中から10円玉を取りだした。

 

「今からコレを投げる。落ちたと同時にお互いが引き金を引く。恨みっこ抜きの早撃ち勝負。どうだ、乗るか?」

 

 俺がそう提案すると谷風は目を輝かせた。

 

「へへ、いいぜえ。そういう勝負、谷風さん嫌いじゃないよ」

 

 期待通りだぜ谷風。こういう芝居じみた行為が大好きだもんなぁ。俺もだけど。

 尤も、反射神経で俺が艦娘には勝てないだろう。

 

「というわけで、いくぞ」

 

 俺は親指に硬貨を乗せる。 

 谷風の視線が自然とそこに集中した。

 俺はそれを確認すると指でコインを弾き飛ばした……谷風に向かって。

 

「へぶっ!?」

 

 見事コインは谷風の額に命中し、彼女は素っ頓狂な声を上げる。

 その隙に俺は腕を伸ばし、谷風の後ろにある武器をいくつか掴んで引っ張りだす。

 

「て、提督!? 一体何しやがんで」

 

 バシン! とそのまま倉庫の扉を閉める。

 そしてそのまま倉庫の扉に鍵をかけた。

 ふう……一か八かの賭けだったが、これで谷風は隔離した。

 さて、大浴場に向かうとしよう。モタモタしてると五十鈴が風呂から出ちゃうかもしれないからな。

 何か後で扉をバンバン叩く音と何やら叫び声が聞こえたが俺は無視した。

 

 そのまま身を隠し息を殺しながら、大浴場付近までなんとか辿り着く。

 付近に人の気配はない。

 出入り口の扉に耳を当てて、中に誰もいないかを調べる。よし、いないな。

 ゆっくりと扉を開けて中に入る。

 瞬間、漂ってくる脱衣所独特の香り。周りを見渡し、綺麗に畳まれた五十鈴と暁と清霜の衣服も確認した。

 そして奥の風呂場からは水の音と彼女らが談笑する音がかすかに聞こえてくる。

 

「くくく……ここかぁ、祭りの場所は」

 

 ようやく、ようやくたどり着いた。エデンの園まであと一歩! それを確信した直後、俺は身を丸くして防御の姿勢を取った。

 瞬間、右から強烈な一撃が叩き込まれ、俺はそのまま吹っ飛んで脱衣所の床をゴロゴロと転がっていく。

 痛い……だが、耐えた。

 俺は突然の攻撃に身体を痛めながらも、何とか立ち上がって攻撃してきた主の姿を見据える。

 

「耐えましたか。運が良いですね」

 

「やはり、待ち構えていたか。不知火」

 

 俺の視線の先で、不知火がゆらりと身を構えた。

 

「司令、最後通告です。今、投降すれば半殺しで済ませてあげましょう」

 

「・・・・・・投降しなければ?」

 

「死です」

 

 ヤバい。冗談じゃない、本気の目をしている。

 だが俺も引くわけにはいかない。

 部下達の信頼をかなぐり捨て、悪魔に魂を魂を売ってここまでやってきたのだ。

 不知火を倒し。五十鈴のおっぱいを目指す。

 そのために、命を賭けよう。

 幸い、先程倉庫から幾つか白兵用の武器をかっぱらってきている。勝ち目はゼロでは無いはずだ。

 

「不知火・・・・・・勝負!」

 

「いいでしょう。引導を渡してあげましょう」

 

 パキポキと手の指を鳴らしながら不知火が構えた。

 こんな本気の不知火、実戦でも中々見られないんじゃないだろうか。

 俺は懐から携帯式の警棒を取り出す。これは暴漢対策用でスイッチがあり、押すと電流が流れるという優れモノだ。

 だがこんな危ないモノを女の子に使えないので、あくまで見せる用の武器だ。だからスイッチは切っておく。最悪、自決用に使おう。

 それにいずれ不知火とはAVや酒のことで戦うと思っていたので、対策は既に出来ている。

 後はそれが上手く嵌まるかだけだ。

 

「さよならです、司令」

 

 瞬間、不知火の姿が視界から消えた。

 ――速いっ! 俺は全神経を集中し、両手を広げて次に来るであろう衝撃に備えた。

 横から一撃。衝撃と激痛と共に視界が真っ白になり、意識が飛びかける。

 だが・・・・・・五十鈴の豊満な胸を思い浮かべ、踏ん張る!

 そしてそのまま不知火を両手で抱き込むような体勢に持ち込む。

 

「なっ・・・・・・」

 

 俺の胸元で、不知火が驚いた声を漏らした。

 そんな彼女を俺は思いっきり抱きしめ、そのまま背中から床へと倒れ込む。

 

「し、司令・・・・・・」

 

 腕の中で不知火が呟く。

 ここまでは計画通りだ。後はままよ!

 

「不知火・・・・・・」

 

 俺は耳元で囁いた。

 

「○○××」

 

「っ・・・・・・」

 

 ぼしゅん、という擬音が似合うような程顔を真っ赤にして、不知火はそのままカクンと首を垂れた。

 

「・・・・・・不知火?」

 

 ゆっさゆっさと首を振る。だが彼女に反応は無い。

 よし、成功だ!

 俺は勝利を確信して、不知火を床に寝かせた。

 

 何だかんだ言って俺と不知火はもう1年以上の付き合いになる。

 それだけの時間をこの狭い流刑鎮守府で一緒に過ごしていれば、おのずと互いの事も知る機会があるのだ。

 そう、お互いの苦手な事や弱点も・・・・・・

 さて、この不知火。

 普段は戦艦クラスの眼光と氷のような表情で、冷たいクールビューティーな女に見える。だがそんな不知火にも、意外な弱点はあるのだ。

 実は不知火、こう見えて結構初心なのである。

 エロ関係や下ネタには恐ろしいほど冷淡で攻撃的である彼女だが、ストレートな愛情表現やベタな恋愛展開にはめっぽう弱い。

 意外に乙女なのである。

 何せ皆でテレビを見ていた時、たまに流れるラブシーンで暁と同じくらい顔を真っ赤にしていたからな。

 それを見て以来、俺は不知火と戦うときの秘策を用意していたのである。

 名付けて『耳元で恥ずかしい単語作戦』。

 小学生並みのガバガバな作戦だったが、思った以上に効いたようだ。 

 何を言ったかって?

 皐月並みに可愛いね、を連呼しただけさ。

 

「ふふふ・・・・・・やった・・・・・・やったぜ・・・・・・」

 

 最大の障害であると踏んでいた不知火を倒し、遂に俺は全ての障害を排除することに成功した。

 ・・・・・・ほぼだまし討ちに、人質戦法。何か超えちゃいけない一線を越えた気分だが、これも五十鈴っぱいのため。

 嗚呼、ようやく俺が望んだエデンへと踏み込むときが来たのだ。

 前の世界にいた頃から渇望してきた五十鈴の生おっぱい!

 さぁ、ショータイムだ!

 

「気は済んだかしら?」

 

 直後、後頭部に冷たく硬いモノが押しつけられた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 底冷えするような声と、漂ってくる凄まじい殺気。

 背後からは生暖かい湯気がシャンプーの香りと共に漂ってくる。

 

「い、五十鈴さん、何故・・・・・・」

 

「馬鹿ね。外であれだけ騒げば気づかないハズないじゃない」

 

 振り向けばすぐ後ろに湯上がりの五十鈴がいる。

 分かっている。分かっているのに、全く体が動かなかった。

 この感触、憶えている。

 かつて不知火に突きつけられた主砲と同じ・・・・・・

 

「見損なったわ、司令官! ケダモノ! レディーの敵!」

 

「しれーかん、さいてー」

 

 暁と清霜も軽蔑しきった声で俺を罵倒する。

 完全に四面楚歌である。

 

「・・・・・・」

 

 いや、まだだ。

 諦めるな、俺。

 何のために今まで可愛い部下達を己の手にかけてきたのだ。

 全ては五十鈴の裸を見るためではないか。

 もしここで一気に体を回転させれば五十鈴の肢体が見れる可能性があるのだ。

 

「一瞬! されど閃光のよう――」

 

 爆音が響き、視界が真っ黒になった。

 

 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・

 

「じゃあ・・・・・・行くわね」

 

 翌日。流刑鎮守府の波止場に艦娘達が集合していた。

 七人の駆逐艦達に見守られながら、五十鈴はにっこりと微笑む。

 

「五十鈴さん、もう行っちゃうの?」

 

 暁が悲しげに言い、そんな彼女の頭を五十鈴は優しく撫でた。

 

「ええ。でも二度と会えないわけじゃ無い。きっとまた会えるわ」

 

 そう言って五十鈴は一人一人の顔を見渡していく。

 

「それに貴方たちには、もう提督がいるでしょう」

 

 提督。その言葉を聞いて、全員がはっとした顔になった。

 

「一日、観察したけど・・・・・・貴方たちの提督は優秀よ」

 

「え・・・・・・でも大酒飲みだよ」

 

「それにおバカさんだし・・・・・・」

 

「戦闘もねえから、作戦指揮が出来るかもわかんないし・・・・・・」

 

「ふふふ、確かにそうかもね。でも」

 

 五十鈴はまるで子供に言い聞かせるように、優しく諭すように続けた。

 

「貴方たちの提督は艦娘のことを大切に思っているわ。兵器じゃ無く、人間として見ていてくれる。これが一番、艦娘にとって重要なことよ」

 

 鎮守府までやって来た小さな船に五十鈴は一人、乗り込むと穏やかに微笑んだ。

 

「本部にも報告出来るわ。流刑鎮守府は大丈夫ってね」

 

 エンジンのかかる音がした。

 スクリューが回転し始め、ゆっくりと船が動き出した。

 

「また来るわ。絶対に。皆、体を気をつけて、提督と一緒に一生懸命頑張るのよ」

 

 五十鈴がそう言って敬礼すると、皆も背筋を伸ばして敬礼する。

 七人の駆逐艦は非常に正しい姿勢で、教官の乗った船が水平線の向こうに見えなくなるまで見送り続けていた。

 

「・・・・・・行っちゃったね」

 

 感慨深く皐月が言った。

 

「お姉様、五十鈴さんまた来てくれるよね?」

 

「ええ。約束したもん。きっと来てくれるわ」

 

 清霜の肩を暁が叩いた。

 

「提督の事、褒めてくれましたね」

 

 五月雨が嬉しそうに言う。

 

「ええ。不知火も少しだけど鼻が高いわ」

 

「へへへ、自分のとこの提督が褒められるってのは、こそばゆいけど嬉しいもんだねぇ」

 

 不知火も心なしか誇らしそうで、谷風は照れくさそうに鼻の頭を指で擦っている。

 

「ああ。我が司令官が五十鈴教官に認められて良かった・・・・・・さてと、では」

 

 長月がそこまで言って、スッと目を細めた。

 

「・・・・・・拷問を開始するとするか」

 

 先程までの爽やかな雰囲気から一転、少女達は勇気の如く黒いオーラを出しながら俺の方を向いた。

 俺は命の危険を本能で察するも、皆にボコボコにされた挙げ句、十字架に磔にされているこの状況では抵抗すらままならないだろう。

 

「司令官、ゴメンね。ボク・・・・・・本当に司令官を殺してしまうかもしれない・・・・・・」

 

「谷風さんさぁ、時代劇で色んな拷問を見てきたからねえ。全部提督で試すとするよ」

 

「申し訳ありません提督。五月雨は・・・・・・皆を止める事が出来ません」

 

「お姉様! 清霜達はどうすればいいの?」

 

「お仕置きよ! 司令官にお仕置きするの! 泣いたって許してあげないんだから!」

 

「司令、不知火は初めて本気で・・・・・・覚悟してください」

 

 ・・・・・・・・・・・・

 その日、俺は知った。

 死が救いになるという事も、あるということを。

流刑鎮守府の艦娘たちが改二になるか否か

  • 改二になったほうがいい
  • このままでいい
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