流刑鎮守府異常なし   作:あとん

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酒飲んで書きました。


ぐだぐだ艦娘 鎮守府でポン

 前略、おふくろ様。

 僕はなんやかんやで艦これの世界に提督としてやって来ました。

 しかし現実の鎮守府は自分が思い描いていたモノとは遙かにかけ離れていました。

 

「あれが工廠。あそこが入渠場。これはお風呂と兼用です。それから・・・・・・」

 

 五月雨に鎮守府内を案内されること数分。

 俺はこの鎮守府がいかに貧相な設備であるかを、理解しつつあった

 朽ちかけの木造の鎮守府。そこかから少し離れた所に建てられた、工廠と呼ぶにはあまりにも小さい作業場。

 銭湯の大浴場にしか見えない入渠施設。

 どれも俺が抱いていたた鎮守府のイメージと、完全に別物だったのだ。

 この溢れ出る貧乏くささ。流刑鎮守府と言われるだけあって、何もかもが貧相だった。

 

「こ、こんな設備で本当に深海棲艦と戦えるのか・・・・・いやそれ以前に生活できるのか?」

 

「それなら大丈夫。深海棲艦なんて半年に一回、出るか出ないかだしね」

 

 皐月がのほほんと言った。

 だが俺にとっては大問題だった。

 

「ちょっと待て! 深海棲艦はそんなに出ないのか!?」

 

「確かに、殆どこの近海には現れませんね」

 

「最後に姿を見たのは、六ヶ月くらい前かねぇ」

 

 五月雨の言葉に谷風がしみじみと頷いた。

 

「そんな・・・・・・じゃあここって普段何してんだよ」

 

「演習と遠征!」

 

 暁が元気に答えてくれる。

 俺は頭を抱えた。

 

「安心しろ司令官。仕事なら沢山あるぞ。食料調達に掃除・洗濯。艤装の手入れに座学。時間が足りないくらいだ」

 

「そうか、長月。お前は真面目だなあ」

 

「そうだろうそうだろう」

 

 得意げに胸を張る長月。そんな彼女とは対照的に俺は気分が沈むのを感じていた。

 

「どうしました司令官。何か我々に落ち度でも?」

 

「いや不知火。大丈夫。お前達に落ち度はないよ・・・・・・」

 

 ただこの鎮守府の現状が酷いだけさ。

 

「それと食堂とトイレ。あと寝室なんですが・・・・・・」

 

「寝室か・・・・・・そういえば俺は何処で寝るんだ?」

 

 ぱっと見であるが、この鎮守府は本当に小さい。

 人数分の寝室らしきものなど見当たらなかった。

 

「私達は一つの部屋に皆で寝ているんですよ。専用の三段ベットがあるんです」

 

「へえ、そうなのか」

 

「そう言われれば確かに司令官用の寝室は無いな」

 

「今までいなかったからねぇ」

 

 まあそうだろうなぁ。

 まあ執務室があるからそこに布団でも敷けばいいか。

 

「そんなことより、今日は提督の歓迎会さ! この日のために谷風さんはとっておきの日本酒を取っておいたんでぃ!」

 

「何、ポン酒?」

 

 日本酒と聞けばお酒大好きの俺は黙っちゃいられない。

 辛く長い社畜生活。仕事が終わってヘトヘトで帰宅した後、酒を飲んで寝るのが唯一の楽しみだったからな。

 

「それは是非ごちそうにならねばならんな。いくぞ谷風。食堂まで案内してくれ」

 

「がってん! いくっきゃないね!」

 

「待て待て待て待て」

 

 肩を組んで食堂に向かおうとする俺たちを長月が止める。

 

「んだよ、長月。今ちょうどいいとこだってのに」

 

「そうだぞ長月お前も一緒に呑もう」

 

「貴様らまだ昼だぞ」

 

「何か問題でも?」

 

 俺の答えに長月は頭を抱えた。

 

「日も高い時間に酒を飲むのは倫理上駄目だろう。それに歓迎会の準備がまだ出来ていない」

 

「それは大丈夫さ長月。俺は日本酒とおつまみに塩の一欠片があればいい」

 

「いけるクチだねえ提督。こりゃあ谷風さんも負けてられないね! 飲み比べといこうじゃないか!」

 

「おおよ! 負けはしないね!」

 

 今夜はオールかなこりゃ。

 

「・・・・・・おい皆。あの馬鹿二人を止めるぞ」

 

「え? 何で面白そうじゃん」

 

「皐月、お前・・・・・・」

 

「お酒は大人のレディの嗜み・・・・・・あ、暁も行くわ! 負けないんだから!」

 

「落ち着け暁! あれは駄目な大人だ!」

 

「違うぞ長月。忘れてしまいたいことやな、どうしようも無い寂しさにな。包まれたときに男は酒を呑むもんなのさ」

 

「か・・・・・・かっこいい・・・・・・これが大人なのね」

 

「戻れ暁! 司令官も子供に変なこと教えるんじゃない!」

 

「では五月雨は何かおつまみを作ってきますね」

 

 そう言って五月雨も俺たちの進む方向についてきた。

 きっと食堂とキッチンは同じ場所にあるのだろう。

 

「ここまで来たらボクもご随伴するしかないね! いこいこ!」

 

 皐月のそんな言葉の直後に、肩に柔らかい重圧がかけられた。

 振り返ると目と鼻の先で皐月が太陽のような笑顔があった。

 どうやら俺におぶさったようだ。

 重いけど苦になる程ではない。見た目通り、駆逐艦は軽いようだ。

 

「長月も不知火も一緒に来いよ。今夜は無礼講だぜ」

 

 俺がそう言うと長月は深いふかーいため息をついた。

 

「不知火・・・・・・頼めるか」

 

「ええ・・・・・・勿論よ」

 

 不知火はそれだけ言うとすーっと俺の目の前にやって来た。

 

「ん? どうした不知火?」

 

「失礼します」

 

 不知火は礼儀正しく頭を下げ、身につけている純白の手袋の端を口でキュッと締めた。

 瞬間――

 

「ぐぼっ」

 

 鳩尾に痛烈な一撃。

 視界が反転し、身体が宙に浮くような感覚の後、硬い地面の感触が身体にぶつかった。

 

「な、なな・・・・・・」

 

 そこで俺は気を失った。

 

 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・

 

「悪ノリが過ぎるぞ谷風」

 

「いやぁ、ついね。提督があんまりにもいい笑顔だったせいでね」

 

「言っておきますが貴方にも処罰はありますよ」

 

「ひっ! 不知火、落ち着け! 落ち着いてくれよう!」

 

「でもさ、長月と不知火も酷いんじゃない? 提督は上官だよ?」

 

「上司の暴走を体を張って止めるのも部下の役目だ」

 

「でも・・・・・・これ、反逆行為にならないかな・・・・・・」

 

「えっ・・・・・・あ、暁は何もしてないわよ! 何もしてないんだから!」

 

「落ち着け、五月雨、暁。確かにそう映るかもしれんが・・・・・・不思議なことにこの人なら大丈夫だろうという気がしたんだ」

 

「慎重な貴方にしては、珍しいわね。司令とはつい先程、会ったばかりなのに」

 

「何でだろうな・・・・・・だがこの人はそんな気がするんだ」

 

「まあようやくボク達の鎮守府に来てくれた司令官だからね! 悪い人だったら悲しいよ」

 

「そうね・・・・・・ずっと待っていたのだから」

 

「おっぱいおっぱい言ってる、馬鹿な人って感じ・・・・・・でも嫌いじゃ無いわ!」

 

「あ、暁ちゃん・・・・・・それ言い過ぎじゃあ・・・・・・」

 

 六人の艦娘たちに囲まれながら、男は大の字になって鎮守府の廊下に転がっていた。

流刑鎮守府の艦娘たちが改二になるか否か

  • 改二になったほうがいい
  • このままでいい
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