富樫勇太がマジモンのダークフレイムマスターだったら   作:ロベルトジョー

3 / 9
戦闘シーン多め。
魔法魔王少女ソフィアリング・SP・サターン7世の誕生


第三話

智音が店を出て闇の精霊の気配がした駅の方へと走っていると、駅の入り口の前にはすでに臨戦態勢のミーナが待っていた。

ミーナは智音が来ると智音の肩に飛び乗った。

 

「今回は駅の中から感じるよね?」

「細かい位置は行ってみないと分からないけど、今回も前回と同じように強い魔力を感じるわ」

「うん...ねぇ、ワンダーランドを襲った魔王ってたしか沢山いるんだったよね?」

「えぇ。地方によって強い闇の精霊のことを魔王と私たちは呼んでる。この前倒したのはおそらく役割だと斥候じゃないかしら?まだ、それより強いのが沢山いると思う」

「あれで、斥候...ねぇ、ミーナ。私たちって行っても勝てるのかな?」

「...分からない。でも、戦えるのは私達しかいない!」

「そうだよね…ねぇ、そういえば富樫くんとは会った?」

「いえ、私は見てないわよ」

「そうなんだ…連絡だけでも入れておこうかな」

 

智音は先行きが不安に思いながらも、LINEで勇太に駅に闇の精霊の気配があることと先に探索を始めていることを連絡する。

そこからは、しばらく狭くはない駅構内を隅々まで走り回った。

だが、そこには闇の精霊はいない。

そして、智音が駅の構内に入り改札付近まで差し掛かる。

 

「あとは改札内と駅のホームだね...」

「見つけたわ、智音!あの階段を登っている女性がそうじゃない!?強い魔力を感じたのと、一瞬こっちを見たあとでホームに行ったわ!!」

「...ねぇ、ミーナ。今回の闇の精霊って少し変じゃない?今までとは違って最初から顕著に魔力を垂れ流して私達に気づかせて、私達を見た途端にホームに向かってる。まるで...」

「私達をおびき寄せるために...ってところでしょ」

「そう。だから、すごく気をつけておいたほうがいいと思ってる」

「そうね。もしかしたら、前回の魔王を倒したことで警戒されているのかもしれないわ」

 

智音は気を引き締めながら改札を通って女性の跡を追う。

ホームに上がると先程の女性の姿は見えずに電車が止まっていた。

そして、その電車に智音も乗り込んだところでちょうど電車は出発する。

 

「この電車にいるのは間違いない?」

「えぇ、強い気配を感じるわ。結界を張りましょう!」

「分かった!」

 

智音が結界を張ると魔力を持つ者のみが別の位相に移動するため電車に乗っていた人たちは皆姿を消した。

その時だった。

 

「にゃーはっはっは!後ろにいるのに全然気付かないなんてまぬけニャ」

「ッ!?」

「智音、危ない!!」

 

智音の背後から突然声が聞こえたため、勢いよく振り返るが女性は智音の喉元を掴む。

女性はニヤニヤしながら智音の額に自分の額を押し当てる。

 

「さぁ、お前の体を寄越すニャン!!」

「うぐっ.....」

 

女性の体から黒いモヤのようなものが出てくると、モヤは智音の体に急速に吸収されていった。

完全にモヤが消えると、脱力した女性の体は結界の効果でうっすらと消えていく。

 

「と、智音!大丈夫!?」

「….にゃーはっはっは!乗っ取り成功!!この体、もしかして潜在能力メチャクチャ高そうニャン!!って、こいつの記憶を覗いてみたけど、この前の魔王を倒したのってこの子じゃなようだニャン。まぁいい体が手に入ったから良いニャン」

「まさか、闇の精霊!?智音の乗っ取ってどうするつもり!?」

「失礼ニャン。私ははただの精霊じゃないニャン。魔王の中でもトップの序列に入る猫妖精、ソフィアリング・SP・サターン7世だニャン!」

 

闇の精霊に乗っ取られた智音は強力な魔力を放っている。

そして、結界を解除すると直ぐに人混みにまぎれて駅を降りた。

 

 

店から出て智音達から一旦避難していた勇太であったが、適当に駅前をブラブラと歩いていてもやることが無かったので再び店に戻る。

しかし、そこには女の子二人だけで智音の姿は見えない。

「ごめん、今日調子が悪くて…あれ?七宮さんは?」

「なんか、七宮さん。急な用事があって帰っちゃったよ」

「そうそう、なんか結構慌ててたよ」

「そうなんですね…」

 

すぐさま、勇太は智音に対してテレパスを使って居場所を聞き出そうとする。

 

『七宮、今どこにいる?』

『富樫くん?今は隣の〇〇駅にある近くにある公園にいるよ。闇の精霊を追いかけたんだけど見失っちゃった』

『そうか。今すぐそっちに向かう』

 

「ごめん二人とも僕も七宮さんと同じ用事があったの忘れてて…今日は僕も帰るよ」

「そうなんだ。じゃあ、また学校で!」

「うん、じゃあまた明日」

 

勇太は女の子達にそう言うと智音がいるであろう公園に急いだ。

 

 

 

勇太が公園に行くと、ちょうど公園の中央の位置に智音が立っていた。

辺りを見回しても智音しか気配を感じ取れない。

勇太が智音に近づいていくと、それに気づいた智音もまた勇太に近づいていく。

 

「待たせたな。この辺りにいるのか?」

「うん。あそこの茂みに逃げていったから、軽く探したんだけど見当たらなくて。富樫くんはあっちの方を探してもらえるかな?」

「あぁ、分かった」

 

勇太は智音が指差しをしている茂みに向かう。

 

「あのね、富樫くん…バレットフィスト!!」

「ーーッ!?ダークバースト!!」

 

勇太は智音に背を向けた瞬間、急な敵意を感じて咄嗟に振り向き黒い爆炎を手から発生させた。

しかし、襲ってきた数多の拳は爆炎をもろともせずに勇太の全身に命中して勇太を茂みへと吹き飛ばす。

智音は追撃のため即座に勇太の飛んでいった方向にダッシュをしながら魔法詠唱する。

 

「ケルビム詠唱!アタックバフ、ディフェンスバフ、マジカルブレス。そして、これでも食らうニャン。メテオレイン!!」

 

智音がバフをかけて、攻撃魔法詠唱をすると空から人の背丈を超えるような大きい岩が数十と勇太に向かった降り注いだ。

だが、勇太は突然の奇襲によるダメージから立ち直れていない。

その時、ミーナが茂みから現れて勇太を守るようにして目の前に立つ。

 

「ごほっ..はぁ...はぁ....ミ、ミーナ?.」

「富樫くん。ごめん、私じゃどうしようもできない。でも、お願い。闇の精霊に操られている智音を助けてあげて。マジックシールド!!!」

 

ミーナが張ったマジックシールドは20インチ程度しかないような小さくて頼りないものだが隕石を一つ防ぐことは出来た。

歴戦の元DFMである勇太にとっては僅か数秒程度あれば技の一つは打てる。

 

「ダークバースト!!!」

 

勇太は先程打った時よりも強力な爆炎を、ミーナのマジックシールドでは防げなかった隕石に対して放って、それらを粉々に吹き飛ばす。

 

「ふーん。今のをやり過ごすとは、さすが魔王を倒した奴だニャン」

「…お前は誰だ?」

「にゃーはっはっは!私は魔王の中でもトップの序列に入る猫妖精…だった。今は最強となった、そう、魔法魔王少女ソフィアリング・SP・サターン7世だニャン!!」

 

智音は腕組みをしながらニヤニヤと勇太に対して膨大な魔力の圧をかける。

しかし、勇太はその程度ではひるまなかった。

勇太は額から流れる血を破れた薄手のシャツで拭ったあと、倒れているミーナをチラリと見て一息ついた。

 

「魔力のない人間に入っただけで精霊は強くなったりするのか?」

「うーん、しないはずニャンだけど、こいつは違う。長年、魔法を扱っていたのか魔法に関する才能が開花しかけていたニャン。だから、私が入って莫大な魔力を流して才能を開花させてあげたんだニャン。まさか、天才的な魔法適正がついてくるとは思わなかったけどニャン」

「そうか。なら、多少荒くしても大丈夫だろうな」

「ふん?まさかさっきの小手調べが私の実力だと思ったんだったら、お前の目はとんだ節穴ニャン」

 

勇太は力を開放するために右腕を目の前に掲げて目を閉じる。

勇太の右腕はうっすらと刻印が現れ始めた。

 

「目覚めよ。邪悪なる黒炎竜...」

「よくわからないけど、とっとと死ぬニャン。イグニッション!ブレイジングマジックアロー!!!」

 

智音は巨大な魔法陣を出現させると、そこから極大の魔力砲を放つ。

純粋な魔力の塊による攻撃は勇太へと迫る。

だが、勇太もまた自身の力を開放する。

 

「ダークドラゴニアソウル…闇の炎に抱かれて消えろ、ダークフレア!!」

 

勇太の腕から刻印が鮮明になり、刻印は頬まで伸びる。

勇太の瞳は黒から真っ赤に染まり、全身から邪悪なオーラを放ち始めた。

そして、放たれたダークフレアもまた通常の黒炎ではなく、まるで絵の具の黒で塗りつぶしたような炎の形状をしている物質であり、魔力砲がダークフレアにふれると消えてなくなっていた。

それを見た智音は攻撃を取りやめて距離を取った。

 

「チッ…女の子に随分物騒なもの出してるニャン。でも、まだ私は全然本気を出してないニャン。スペルマスター、デュアルスペル、マジックリフレクター…そして、デュアルアバター」

「ドラゴニックフォース、ドラゴニックタフネス。来い、魔剣ダーインスレイヴ・魔銃ガバメント45マグナム!」

 

勇太と智音は次々と自分に対して自己強化のバフをかけて次の戦いのための準備をする。

智音は二人に分身していて、勇太は禍々しい大剣とマグナムを両手に持っていた。

 

「「いくニャン….」」

「来い!!」

 

先に智音が動いた。

二人の智音は音も残さずに消えて、勇太の前後数メートルにコンマ一秒もかからないで短距離ワープをする。

勇太はそれを超反射神経によって瞬時に感知して大剣を円状に振り回した。

 

「「ブレイジングフィット!」」

「ダークミラージュ!チェインバインド」

 

智音の大剣を躱しながら、一人は勇太の頭に、一人は勇太の心臓に煌めく拳を突き出した。

智音の拳が勇太に当たって勇太の頭と心臓を吹き飛ばす。

しかし、次の瞬間には勇太が真っ黒に染まって黒い炎となり、炎の中から智音を縛る鎖が現れて智音の一人捕まえる。

 

「くっ、どこに!!」

「お前の目の前だ」

「ッ!?」

 

鎖から逃げた方の智音の頭には、いつの間にかマグナムの銃口を押し付けている勇太が突如現れていて、一切のためらいもなく智音の頭を吹き飛ばした。

そして、勇太はその結果を見ずに鎖で拘束されている智音に指を向ける。

パチンと指を鳴らすと鎖から黒い爆炎が発生して、智音を含めてその辺り一帯を吹き飛ばした。

智音を吹き飛ばしたあとでも勇太は警戒を怠らずにマグナムを構える。

 

「まったく、手強いやつだニャン。でも、面白いニャン。デュアルアバター」

 

先程、吹き飛ばした辺りから軽度の切り傷を負った智音が4人現れる。

さきほど、勇太が銃で倒した方は既に消えてなくなっていることから、倒した方は分身だったようだ。

 

「…なるほどな。すべてが実体を持っていて、最後の一体まで倒しきらないと本体としての判定はされないようだ」

「にゃーはっはっは。そうニャン。でも、4人だけじゃお前にとってはつまらないニャン?もっと増やしてあげるニャン。「「「デュアルアバター」」」」

「手間がかかるな...」

「「「「「さぁ、次のラウンドニャン」」」」」

 

16人に増えた智音は今度は前衛と後衛で別れて行動を取る。

6人の智音が勇太に接近戦を仕掛けて、残りの10人がそれぞれ超魔法の詠唱に入った。

勇太は魔剣で強力な斬撃を放ちながらスキを見せた智音に向かって銃弾を打ち込むが、分身といっても強さはオリジナルとかわらないため簡単には倒せない。

激しい近接戦が繰り広げられるが、長くは続かない。

 

「チェインバインド!」

「「無駄ニャン」」

「「「「スキありだニャン。凍れ、アイスロック」」」」

 

あまりに智音による猛烈な攻めを緩めるために、鎖を出現させて2人の智音を捕まえるが直ぐに鎖は砕かれて拘束を抜け出されて、鎖にかかっていなかった4人の智音は勇太に特攻して自身もろとも勇太を凍らせて巨大な氷の塊を作る。

 

「さぁ、フィナーレだニャン」

「「「「術式完了。セフィラム降臨。ホーリージャッチメント」」」」」

「ッがぁぁあぁぁぁぁーーーー」

 

 

凍っている勇太と智音もろとも空から極大の光が降り注ぐ。

超魔法により巨大な大穴が公園の真ん中に作られたため、今後は公園として利用できないであろう場所になってしまった。

智音達は攻撃が終わったあとに先程勇太がいた場所を確認するが、そこには人間の面影を残さない邪悪な竜神となった勇太がいた。

 

「まさか、また再び暗黒竜ディザナ・ゲルゾニアンサスと一体化するまで力を引き出させるとは思っても無かったぞ…ソフィア」

「しぶとい奴ニャン。でも、お前に勝ち目はないニャン」

「いや、もう終わりだ。この姿になった以上、長い時間はかけるつもりはない…爆ぜろリアル…弾けろシナプス…パニッシュメント!ディスワールド!!!」

 

その瞬間、世界が止まった。

世界は灰色になり音が消える。

突然の大きな変化に智音は動揺する。

 

「「「「な、なんだニャン!?」」」」

「スキルロック、デスペル、チェインバインド」

「え…魔法が使えないニャン!?」

 

10人いた智音は一人を残して消え去り、力も封じられて、体を鎖で拘束される。

 

「この世界は暗黒竜の莫大な魔力を使って作った疑似空間だ。この空間の作成者である俺が絶対であり、ありとあらゆる権限がある。さぁ、消えろソフィア」

 

自分の負けを悟ったのか、智音は顔を伏せて静かになった。

しかし、勇太は歩いて智音のそばまでいくと異変に気づく。

 

「….あ、れ…富樫くん。こ...こはどこ?」

「チッ…ソフィアのやつ、七宮の魂と融合したか...」

ーーふん、まだまだニャン。お前に私もろともこの女を殺すことはできるかニャン?ーー

「え、誰あなた!?殺すって…富樫くんが私を?...」

 

勇太のダークフレイムは対象を指定して焼くことができる。

しかし、魂が一つとなってしまった以上、もはや智音はソフィアでありソフィアは智音だ。

切り離すことはできない。

勇太の苦悩の表情に智音は困惑している。

そして、ーーー

 

「仕方がないか…七宮。これしか方法が思いつかなかったから先に謝っておく….ダークフレイムマスターの名の下に使い魔としての契約を行う。コンタクト!」

「と、富樫くん!?」

ーー何をする気ニャン!?ーー

 

勇太は智音の顎を優しく掴むと、ゆっくりと智音の唇に自分のものを押し付けた。

すると、勇太と智音の地面に魔法陣が浮かび上がり、智音の左頬にはハートマークの刻印が浮かび上がる。

数秒間その体制を保って魔法陣が消えるまで待ってから、勇太は智音から離れる。

 

「契約は済んだ。これより、智音は俺の使い魔であり俺の所有物だ。よって、俺からの命令には必ず従わなければならない」

「え!?えーーーー!!!」

ーーなんてことニャン!!!ーー

 

智音とソフィアは絶叫した。

 

「まずは最初の命令だ。智音は俺に対してありとあらゆる手段及び、間接的な手段を用いて傷つけることを禁じる。次の命令だが、ソフィアは俺が命令した場合以外では智音の体を動かすことを禁じる。それから…」

「ま、待って富樫くん。私が富樫くんの使い魔で所有物ってどういうこと!!」

「あー...すまない。もう説明している時間が無いみたいだ。あとのことは頼む...」

 

必要最低限の制約を智音とソフィアに課した勇太はその場で倒れた。

すると、止まっていた世界は動き出し遠くでは警察や消防のサイレンの音が近づいてくる。

 

この日から智音は魔法魔王少女となりDFMとの契約者となった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。