富樫勇太がマジモンのダークフレイムマスターだったら   作:ロベルトジョー

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第七話

高校入学初日のガイダンスが終わってこれから昼休みとなった時、後ろの席の男子が勇太に声をかけてくる。

 

「俺は一色誠。よろしくな!」

「俺は富樫勇太。こちらこそよろしく」

「なぁなぁ、このクラスの女子で誰が一番可愛いと思うんだ?」

「え、あ〜」

 

誠の言葉によってクラスを見回す。

勇太のクラスの女子は比較的に可愛い女子が多かった。

その中でも、朝の駅で出会った前髪にピンク色の髪留めを着けている女の子に目が止まる。

誠は勇太の視線をたどった。

 

「丹生谷か!俺もそう思うよ!!」

「え、あぁ、そうかもね」

「あとは、俺たちの列の前の方にいる巫部さんも候補だな〜。どこかのお嬢様って感じがする!!」

「あははっ...よく見てるね」

「まぁな。このクラスのトップ争いは丹生谷か巫部さんかな〜」

 

誠がニヤニヤしながら言っているのに、若干引きながら苦笑を浮かべる勇太。

その時、立花が勇太の席まで近づいてきた。

無表情で立花は勇太に声をかける。

 

「勇太。ちょっと話がある」

「え?あぁ、分かった」

「着いてきて」

 

そう言って立花はスタスタと教室の外に出ていった。

そのシーンを見ていた誠は勇太に問いかける。

 

「富樫って小鳥遊さんと知り合いなのか?」

「まぁ、知り合いといえば知り合いかな」

「へぇ、同じ中学?」

「いや、住んでいる所が近いだけなんだ...とりあえず行ってくる」

「あぁ」

 

勇太は立花の後を追った。

 

体育館裏の人がいない場所に来た勇太と立花は、少し距離を取って向かい合う。

周りには木々が茂っていて、体育館裏に来ない限りは様子が見えないようになっている。

 

「それで、話ってなんです?」

「…昨日のことは謝罪する。流石にいきなり過ぎた」

「…迷惑料はもらったし、それについては良いけど。理由が知りたいかな」

「…前に勇太を見かけた時に感じた闇の力が全く感じなかったからだ。今の私にはその力が必要だ」

「昨日、小鳥遊さんが言ってたたんだけど、闇の力っていうのは何?」

「本当に知らないようだな。勇太は…それを知ったら私に協力してくれるか?」

 

立花は真剣な表情で勇太に凄んだ。

まるで嘘偽りは許さないという雰囲気だ。

勇太は突然やってきた緊張感につばを飲む。

 

「その協力っていうのは危険なことだったりするのか?」

「…その通り。だから、もし勇太が闇の力を持っていない状態で関わるなら命はないだろう」

「そ、それなら知らなくてもいい」

「分かった…」

 

立花は勇太の返事を聞いた後、興味を失ったようにその場から立ち去った。

勇太は重い雰囲気から抜け出したためか安堵で深く息を吐いた。

 

 

帰りのホームルーターが終わり帰宅となる。

荷物をまとめている勇太に誠から声がかかった。

 

「富樫はこれから時間ある?これからクラスのメンバーで飯でも食いに行こうって話をしてるんだけど、一緒に行こうぜ!」

「特に用事は無いし、全然いいよ!」

「そうだ、小鳥遊さんも誘える?」

「あぁ、聞いてみるよ」

 

勇太は席を立ったの立花に食事会に参加するかどうか声をかけるが、立花は首を横に振って拒否を示して帰っていった。

 

「小鳥遊さんは?」

「用事があるみたいだ」

「そっか、じゃあ行こうぜ!」

「うん」

 

そのまま、勇太はクラスの一部のメンバーと学校近くのファミレスに入る。

ファミレスには10人程度が座れるソファー席が空いていて、ちょうど全員で座ってピッタリであった。

適当にメニューをいくつか注文した後にクラスメイト同士の談話が始まった。

勇太もとりあえず誰かと話そうと前の席にいる女子に声をかける。

その女子は誠が言っていた巫部だった。

巫部は勇太に軽く笑顔を向けると自己紹介をする。

 

「私は巫部風鈴。富樫くんだっけ?」

「うん、富樫勇太。よろしくね、巫部さん」

「よろしく〜…ねぇ、富樫くんってさ、〇〇中学出身だよね?七宮さんって覚えてる?」

「え!?巫部さんって七宮さんを知ってるの?」

「うん。智音が転向してきた中学って私がいた中学なんだよね〜」

「そうなんだ….巫部さんは七宮さんと仲良かったりするの?」

 

巫部はジュースを軽く飲んでポテトをつまむ。

勇太もまた、アイスコーヒーを軽く口に付けた。

 

「最初は喧嘩しちゃったりしたけど今では良く連絡を取る中なんだよね〜…まさか、智音が言っていた男の子が私と同じ高校に通うとは予想もしてなかったけど」

「そうなんだ...巫部さん、頼みがあるんだけど」

「うん?もしかして、智音に話がしたいとか?」

「七宮さんから俺の事聞いてたりするんだっけ?そうだよ」

「ごめんね。でも、今の富樫くんじゃ多分だめ」

「それって…記憶の事と関係があるの?」

 

巫部は微笑を浮かべるだけで何も言わない。

勇太はいつものように記憶について思い悩む。

 

ーー中学の時の俺、一体七宮さんに何をやからしてるんだよ!でも、中学のクラスメイトは俺と七宮さんは仲が良かったって聞いたけど...わからんーー

 

智音の話題から離れて勇太と巫部が雑談をしていると、誠が隣から勇太に耳打ちをする。

 

「お、おい勇太。巫部さんとも知り合いだったりするのか?」

「え、いや、転校した知人の友達ってだけだよ。俺も今さっき知った」

「そうか。俺のことも紹介してくれ頼む!」

 

勇太は内心ではため息をつきながらも誠を巫部に紹介する。

誠はテンパって巫部に色々話をするが、巫部は変わらず微笑を浮かべて誠の相手をする。

そこからは勇太は何人かのクラスメイトと夕方まで軽く話あった。

巫部が智音と知り合いという事以外では、誠の言う通り丹生谷と巫部は男子からとても人気があったということが、男子の反応で伝わってきたのが今日の親睦会で勇太が得た情報でだった。

そして、帰る時に巫部さんから軽く声をかけられる。

 

「もし、困ったことがあったら私か森夏ちゃんに相談してね!」

「困ったこと?それに丹生谷さんにも?」

「そう。必要になると思うから、これ私のLINE ID渡して置くね」

「う、うん」

 

巫部は、勇太が着ているブレザーの胸ポケットにIDの書かれた小さい紙切れを差し込むと森夏とともに帰っていく。

よく分からない理由で巫部の連絡先を手に入れてしまったため、喜んで良いのか、それとも意図をよく考えるべきか困惑する勇太であった。

 

 

 

帰宅途中の自宅の最寄り駅で、勇太は立花を偶然見かけた。

しかも、さっきまでは新品のようにキレイだった制服は汚れていて立花自身も軽い怪我をしているようだった。

勇太は立花に何が起きたのか強く気になり立花に訪ねる。

 

「その怪我はどうしたんですか!?小鳥遊さん!」

「うん?あぁ、勇太か。気にするな」

「気にするなって...あ、ちょっと」

 

立花は勇太を視認すると気にせずに駅の外に向かって歩き出す。

勇太は迷った。ここで、立花に怪我の理由を問い詰めるか、それとも見なかったことにするか。

ふと、学校で立花に言われたことを思い出す。

 

ーー関わると命がない。果たして冗談なんだろうか?でも、一般的に考えて闇の力とか意味が分からないし...やっぱり、そういう妄想なのだろうか?ーー

 

「って、あれ!?もういない」

 

僅かな間で立花の姿を見失い、小走りして駅から出た勇太であったがため息を吐いて帰途につく。

 

帰宅すると、久しぶりに勇太の母親が家に早帰りしていた。

その日の晩は樟葉とともに勇太は料理を作って家族団らんの時を過ごす。

 

「へぇ〜とりあえず、勇太の高校生活のスタートは順調そうで安心したよ」

「高校生だし、そこまで気になるのかな?」

「それはまぁ、母親だからね」

「…母さん、一つ聞きたいんだけど、もし仮に記憶を取り戻したいって言ったらどう思う?」

「それは…私は勇太の好きにしたいいと思う」

「ちょっと!お母さん本気!?前のお兄ちゃんに戻ったら、こんな感じで一緒に食事なんて出来ないよ?」

「やっぱり、その勇太も勇太なんだなと思う。だから、少しさびしいけど私は勇太の選択に賛成するよ」

 

勇太の母親は少し悲しそうな、気まずそうな表情をする。

樟葉はそれに対して抗議をしたが、勇太は家族が記憶を戻ってほしくないと思っているように強く感じた。

記憶を取り戻すべきかどうか、勇太は今日も頭を悩ませながら決めかねている。

 

 

 

 

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