次元世界の魔導士は最弱の錬成師と仲間達共に行く   作:ウィングゼロ

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14話

 

 

時は少し遡る。

正人とナハトヴァールの戦いは二人の熾烈さを極めていた。

二人とも認識が難しい速度で周りから見れば紺色の光と黒色の光が幾度も衝突している用に見えるだろうが二人ともただぶつかり合っているわけではない。

衝突の最中、繰り出される拳や足は人の域を越え圧だけで壁や地面を抉るほどしかも魔力弾も飛び交っているために激しさは更に高まる。

 

(中々有効打が当たらない)

 

そんなことを思う正人は高速魔法でナハトの魔力弾を避けながら生成した魔力弾を一気にナハトへと飛ばし直撃を狙うも魔力弾はナハトの生成された魔力弾で相殺されたり。避けられたりとナハトには届かない。

 

(このまま、長期戦に持ち込めば、経験や魔法戦に分があるナハトの方有利…となれば…!)

 

そんな考えをしながら正人は降り注ぐ魔力弾を避けると立ち止まって魔力スフィアを生成しスフィアから更に小型の魔力弾が勢い良く霰のようにナハトを中心に広範囲に撒き散す。

 

(威力を落として当てに来たのか?だがここまで広範囲で拡散しても…)

 

ナハトも広範囲で避けんことはできなくなったが魔法を拡散していることから威力が落ちたそれはナハトに当たりはしてもダメージといえるものにはならない。

拍子抜けと思いながら魔力弾を身に受けながら立ち止まっている。正人にむけて砲撃のチャージを開始する。

砲撃がチャージをし始めたのは勿論正人にも見えている。しかし正人は動じることはなくその場から動く気配も見せない。

それはナハトも不思議に思い正人を観察すると正人の表情はしてやったりと微笑んでいた。

 

爆けろ(バースト)

 

正人のその一声と共に拡散させていた魔力弾が一斉に輝き出し弾けるように爆発する。

拡散していた魔力弾もかなりの数で凄まじい爆音と爆風が部屋全体を覆い尽くす。

 

(くそ!始めから俺の動きを封じるためじゃなく広範囲で目眩ませをさせるためか、だがこの煙の中に魔力カスが至るところに散布されている。あっちも俺も場所は特定するのは……)

 

正人の撒き散らした煙の中を移動するナハトは煙に紛れているために正確な場所の特定は至難の業だと。単なる時間稼ぎで煙さえ晴れればこちらのものと高をくくるが何が煙を切りながら接近しているのに気付き咄嗟にシールドを張る。

煙の中を突き抜けてきたのは紺色の大型の魔力弾、それはナハトのシールドと衝突し拮抗する。

 

(どうやって特定した!?今の八坂正人はデバイスを持っていないはず。それなしでの魔力感知は…)

 

ナハトはシールドで防ぎながら焦りを見せる中真横から何が来るのを感じシールドに意識を向けながら視線をそちらに向けると煙の中から正人が向かってきて右手には魔力を纏いナハトへ向けて繰り出そうとしていた。

 

「…取ったぞ」

 

そう短い言葉と共に繰り出された右手はナハトの顔面を捉え煙も風圧で吹き飛ぶほどの轟音と共にナハトの体が砲弾のように地面へと叩きつけられそのまま何度もバウンド。そんなナハトに正人は魔力スフィアを生成して追撃を仕掛ける。

 

(拮抗を崩せた!まさかこの世界で与えられた能力が役に立つとはな…)

 

何故、正人が煙でナハトの姿を見えない中正確に捉えることが出来たのか。それはこのトータスに来てから得た。技能魔力感知によるものだった。

これによりデバイスなしでの魔力感知が簡単に行えるようになりナハトの位置もハッキリとはしないが大体の位置は把握することができた。

 

(後は一気に畳みかけるだけ!)

 

魔力弾を発射させ何とか体制を立て直したナハトは咄嗟にバリアを発生させ魔力弾を防ぎ爆発で煙が舞う。

 

「ミーティア…!」

 

ナハトがバリアで受けたのを確認すると正人は再び魔力弾を波状攻撃に発射して、高速移動魔法、ミーティアを使いもう一度魔力を纏ったパンチによる強襲を狙う。

 

前方から魔力弾、側面からは高速移動で接近する正人が近接戦闘。

 

二段構えの戦術で仕掛けた正人だがナハトは正人の姿を確りと捉えていて、余っている手を正人へと突き出黒色の魔法陣が展開し紺色の光線が正人に向かって飛んでくる。

 

「っ!?」

(あの魔力光は俺の……まさかあれはバリアじゃない!?反射型(リフレクター)!!初弾をバリアで受けとめて爆発の煙でカモフラージュして上手く切り替えたのか!?)

 

戸惑いを見せる正人だが直ぐさまミーティアを解除、魔力弾の波状攻撃を中止して回避行動を取り紙一重で回避。咄嗟の回避行動で畳みかけていた正人の攻撃は止まってしまい。それを好機と見たナハトが高笑いしながら正人に魔法陣を突き出し魔法陣からはアンカーが飛び出して避けていた正人の左足を捉える。

 

「そらよっ!」

 

正人の足をアンカーが捉えたのを確認するとアンカーの魔力の鎖をナハトは摑みそのまま一本背負いのように反対側に大きく振り落としそれによりアンカーに捕まっている正人も引っ張られるアンカーに身が空中に乗り出す。

このままだと地面に受け身も取れずに叩きつけられる。苦し顔で波状攻撃のために作った魔力スフィアを動かしアンカーの鎖を撃ち抜き、左足に付いていたアンカーが消え自由になった正人は空中で体制を立て直し地面に無事に着地したがその間に高速魔法で迫ってくるナハトのパンチに対応が遅れ胴体に受け後方に後退り体制を崩す。

 

「うぐっ!?」

「ほらほら、どうしたどうした!」

攻守が完全に入れ替わるように畳みかけてくるナハトに正人は苦い顔で防ぎきっていく。

 

(くそっ!このままだと)

 

何か打開しないととナハトの攻撃を防ぎながら模索する正人だが考えてるのが読まれたのか更に攻撃を激しくして蹴りを1発お腹に当たり後ろに吹き飛ばされる。

 

数メートル転がり後ろに立ち上がろうとする正人、それに追い打ちをかけるようにナハトは接近し手の平には黒い魔力の塊がスパークしてそれを正人に打ち込もうと突き出した。

 

「終わりだ…八坂正人…!!」 

 

 

 

それは突然現れた…

ナハトの分身体と相対するアリサ達、半狂乱で奇跡的に分身体を倒したハジメが光輝と雫が相手をしていた分身体が隙を付いてハジメへと向かいハジメを殺そうと襲いかかる。

アリサ達も助けに入りたいが間に合わない。そんなとき、アリサ達やってきた通路から何者かが横切りハジメに向かっていたナハトの攻撃を防いだ。

突如現れたことに騒然となる中、ハジメはうわごえで呟いた

 

「たす…かっ…た?」

 

自分が生きていることさえ半信半疑になっているハジメ。そんな中、ハジメの守った人物…長い銀髪に赤い瞳の女性を見てアリサとすずかは狼狽えた。

 

「…嘘…でしょ?」

「あの人って…」

「懐かしい気配を辿って見れば…ナハトの分身か…少年…無事か?」

「は、はい!」

 

女性はハジメの無事を確認した後、ナハトの分身体を見る。それを見る目はとても悲しそうな瞳をしていた。

 

「ナハト…お前もこの場に来ているのか…ならば…!」

 

何かを決意したのか意を決した瞳で女性は化け物を突き飛ばす。化け物も後退りはしたが腕を伸ばそうとするけどその前に白い剣が出現して何本も化け物に突き刺さりそのまま化け物は消滅した。

 

「な、何が…」

 

突然のことで訳もわからず戸惑う香織、女性の視線は香織とメルドが相手をしているナハトへと目を向ける。

 

「彼方より来たれ、やどりぎの枝。銀月の槍となりて、撃ち貫け。」

 

女性の足元に濃い紫色のベルカ魔法陣が出現して周囲には白い光の槍が4本出現する。

それを見てメルドも巻き込まれると判断し素早く下がるとナハト分身体が動く前に女性は手を上に伸ばして振り落とした。

 

「石化の槍、ミストルティン!」

 

その名と共に放たれる光の槍はナハト分身体の体を刺し貫き、刺されている部分から体が石化していき数秒後には完全に石に変わりバラバラに砕け散った。

 

「石化させたのか…それにこの威力なんという…」

「…………」

 

自分達が苦戦を強いられた敵を難なく倒した女性に対しメルドは畏怖し、香織は唖然とする。

 

「後一体!っ!?」

「アリサちゃん!!」

「任せなさい!てりゃあぁぁ!!!」

 

そんなメルド達他所に女性は最後の分身体に視線を向けたが最後の一体は今正に決着が付こうとしていた。

 

足止めしていたすずかが氷付けで分身体の身動きを封じ込める中。アリサが分身体を大剣で刺し貫く。

 

大剣は突きの繰り出す面積も大きいために一撃でコアを破壊することに成功。最後の一体は女性の手を加えずに倒すことに成功した。

 

「や、やったね……アリサちゃん」

「ええ……何とかなった……」

 

4体の分身体それを全て倒すことに成功したことに漸く気を落とせる事になった。

だが未だに戦いが終わってはいない。

正人が抑えているナハト本体をどうにかしなければ次に襲われれば一溜まりも無い。

しかしアリサ達は2週間ほど前までは一般人だったそのためにずっと気を張り詰めることは叶わなかった。

 

「すまない、私がもっと早く駆けつけていれば」

 

そんなアリサ達を見てか女性は自分を責めるように気を落とす。

 

「いや謝る必要はない。、寧ろ助かった。この場の全員を代表して礼を言う……見たところ一流の冒険者か何かか?」

「いや……私は……」

 

自分を責めている女性をメルドは気にするなと言い逆に代表してお礼を言う。

そして女性が何者なのかと訪ねると女性は言葉を濁す

どうすれば良いか悩む女性にアリサとすずかは恐る恐る近づく。

 

「あ、あの……リィンフォース……さんですよね?リィンフォース・アインス」

「えっと、覚えてますか?私達……その」

「ん?君達は…………っ!そうか君達はあの時の……!」

 

アリサとすずかの問に女性……アインスは少し始めは何のことか理解することが出来なかったが直ぐに2人があの日一般人ながらも結界に巻き込まれた2人であると理解すると目を大きくして驚く。

だがそのやり取りがわかるのはアリサ達3人だけで、他は何のことかさっぱり、メルドが追求しようとするがそれは叶わない。

 

「きゃっ!?」

「な、なんだ!?」

「じ、地震!?」

 

突如として迷宮内が大きく揺れる。

それに取り乱すクラスメイト達は先程の恐怖心も相まってパニックに陥り、それを見かねたメルドが混乱の収拾のために動く。

 

「上で魔力と魔力がぶつかっている……ひとつは……ナハトか!もう一つは……」

「っ!正人くん!!」

「ま、待つんだ!香織!」

 

魔力を感じ取ったアインスは直ぐにその魔力が誰なのか理解する。

1つ同じ同胞と言ってもいい存在であるナハトヴァール、そしてもう1つも、アインスにとって知っている気配だった。

だがアインスがその名を口にする前にナハトの名前を耳にした香織がもう一人がこの場から消えた正人であることに気付き居てもたっても居られなくなり単身で奥へと駆け出す。

光輝も呼び止めたが今の香織には聞こえるはずもなく光輝も後を追いかけようとするが雫に止められた。

 

(やはり、この懐かしい気配はあの時の小さき騎士か)

「私が行こう君達は少し休んでから来るといい」

 

アインスの脳裏に辿ってきた気配の正体が正人だとわかり納得。独断先行する香織を放っておくわけには行かずアインスは自分が追いかけると言い切るとメルド達の状態を見て此処で休むように促すと急いで香織の後を追う。

 

(正人くん!)

 

メルド達から離れ独断先行し始めた香織の頭の中は正人の心配でいっぱいだった。

たった一人で分身体以上の脅威であるナハトの本体を一人で抑えている。それだけでも思い浮かべれば香織は居てもたっても居られなくなった。

そんな馳せる香織を後ろから肩を摑かんでくる。

後ろから香織を摑んだのは追いかけていたアインスだ。

 

「離して!正人くんが!一人で!」

「落ち着け!君ひとり居って何になる。行ったところで正人の足手まといになるだけだ。」

「そんなこと…!」

 

ないと言い切りたい香織だがナハトの化け物じみた光景を目にしている香織はその言葉を詰まらせる。

正人の元へ行きたいという気持ちが心を占めているがその反面でナハトへの恐怖心がそんな香織の心を締め付けていた。

 

「……今更、引き返せと無茶なことは言わない。共に引き返している時間もないからこのまま行こう」

 

アインスは仕方なしに香織を同行させオルクス大迷宮の帰りの道を歩いて行く。

香織も未だに正人の元に行きたい気持ちが強いため先走る行動が強いがそれはアインスが止め、出来うる限りで早く進んでいく。

 

出会す魔物はアインスが魔法で瞬殺していき戦闘には何も支障もなく。奥へと進んでいくがアインスはふと聞き耳を立てて周りの不自然さに首を傾げた。

 

(可笑しい、もうすぐ気配を感じた場所なのに戦闘音がまるでない。それに魔物達も何かに怯えている?)

 

香織達と出会った場所からでも地響きが起きるほど激しかったというのに今となってはその音すら聞こえずアインスが気付く魔物達も何かを恐れているように縮こまって襲ってくる気配がない。

そんな不安にかりたたれながらも歩く速度を緩めず道を進んでいくと広間にでる。

広間は壁には無数の亀裂に地面も抉れていて此処で激戦があったことを思わせるものでそんな中、広間に佇む人影を見て香織は目を大きくして声を漏らした。

 

「あっ…」

 

香織の瞳の先にいた人物は顔が俯いていて表情は見えないが至るところ服の破損が目立ち、かなりダメージを負っていてやってきたアインス達を気付く素振りを見せない。

 

 

「正人くん!」

 

香織はそんな正人の姿を見て居てもたっても居られず正人の元へと走りだす。

しかしアインスはそこから動くことはなく正人を観察する。

 

「…………」

「大丈夫!?今回復するから」

(なんだ…この違和感は…)

 

黙り込んでいる正人に香織は直ぐに回復魔法の準備に取りかかる中、アインスは正人を見て感じた違和感を感じていた。

正人なのは間違いないが何処か違う感じもすると曖昧な感じだった。

 

そんな考えをするアインスを他所に香織は回復しようとするが漸く正人が動きを見せる。

 

右手がピクリと動くと手の平が魔力を放出し始め正人がニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

 

「え?」

 

呆気に取られる香織に迫る正人の手の平。その手の平が香織に接触する手前で駆けつけたアインスにより腕を払われて香織を抱えて正人から距離を取った。

 

「ま、正人くん?」

「違う!」

 

困惑する香織にアインスはきっぱりと否定し下唇を噛み悔しそうに正人を見る。

 

「あれは正人であって正人ではない!」

「ハハ……ハハハハハハハハハハハハハハハハっ

 

アインスの言葉になにをいっているのかわからない香織、そんな中香織に攻撃を仕掛けた正人は不敵に笑い出した。

黒髪だった髪は突如白髪に変色し、開かれた目の色は黒ではなく血のような赤い瞳が眼前のアインス達を捉える。

 

「……そういうことか……」

「ああ……そういうことだ、黒羽……」

 

漸く違和感の正体に気付いたアインスは体を震わせながら言葉を出すと正人はニヤリと笑みを浮かべながら今の状態がどういったことなのか理解したアインスを見る。

もし本来の正人であるならばアインスのことを黒羽とは呼ばずリィンフォースと呼ぶだろう。

アインス達に立つ正人は外見は正人であって中身は正人ではない者……その者は睨みつけるアインスを見て口を開けた。

 

「一足……遅かったな」

 

正人…ナハトヴァールは悔しそうに睨むアインスを見て微笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

第1章Restart 再開は祝風と闇夜と共に end

 

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