次元世界の魔導士は最弱の錬成師と仲間達共に行く 作:ウィングゼロ
年を跨いでかなり更新が遅れてしまったことをお詫び申し上げます。
今年もコメントや評価などよろしくお願いします。
15話
「終わりだ…八坂正人…!!」
迫り来るナハトヴァール。打ち込もうとしている攻撃は魔力の一部電気に魔力変換されていて喰らえばバリアジャケットを着ていない俺は一溜まりない。
だが直ぐさま避けること体が痛みでいうことを効かず飛び退くことは出来ない。
端から見れば絶体絶命…だがしかし俺はまだ諦めてはいなかった。
「終わるのはお前だ」
ナハトヴァールとの相対距離が一メートル未満になり俺は呟くと隠していた奥の手を繰り出す。
「幻影剣・抜刀!」
それは実体のない刃、魔力で出来た刃を形成し腰から刀を抜刀する要領で手を振り上げナハトヴァールの体を切り込む。
切り込まれたナハトヴァールは悲痛に顔を歪め。体はそのまま俺の頭上を放り投げられるだが此処で追撃しないわけにはいかない。
「ミーティア!!」
そう思い痛みを堪えながら体を動かして高速魔法でナハトヴァールの頭上を取るとそのまま直角降下で幻影剣をナハトの体に突き刺しそのまま地面に叩きつける
凄まじい速度での地面との衝撃と上からの俺からの攻撃でナハトは口から血を吐き出し俺はそれを少し意外そうにみた。
「流石のお前でもその器では血を吐くんだな」
別に他人を虐めるそういった趣味はないが単にそう思っただけだ。
魔力感知で捉えたコアを幻影剣で切っ先を当てるがコアを刺し貫くことはない。
「さて、お前からは聞きたいことが山ほどあるが…お前を蘇らせた奴は誰だ?そいつは今どこにいる」
「教えたら…どうする?そいつらを叩き潰すか?」
「場合によってはな」
ナハトヴァールを復活させたのだ。あれだけの悲劇を生むこいつを蘇らせた。見過ごすことはとても出来ない。
他にも色々聞きたいことがあるがこいつを長らくこの状態に置いておくのも危険だ。
「話は以上だ…今度こそ…永遠に眠れ!」
そう言い残す幻影剣を持つ手に力が入る。そしてそのまま幻影剣の切っ先をナハトヴァール体に食い込ませコアを砕いた。
「…そう簡単に…」
「?」
「そう簡単に…自分の都合で…ことが進むと思っていたのか?」
そのナハトの言葉に俺はぞっとした。
咄嗟に離脱しようとしたがそれより先にナハトの体に異変が起きる。
体が黒い霧のようなものに変異すると俺の周囲を漂う。
“フハハハッ!?俺のコアを破壊したのが失敗だったな”
どこからともなくナハトの声が聞こえるすると霧は俺へと向かっていき俺の体内へと吸収する形で入っていく。
驚きを隠せないが次の瞬間俺の身に異変が起きる。突如として俺の体が内側からの激痛に受けその場で倒れ伏せる
「うっがぁぁっ!?これ…は…」
“どうだ?体内から蝕まれる感覚は?今はお前のリンカーコアに浸食している。そのままお前の体を乗っ取ってやる”
「がはぁッ!?そんなことさせる…わけには…」
“もう遅い…俺が体内に侵入しリンカーコアに干渉できたできた時点で時間の問題だ”
激しい激痛に苛まれながらも何とかナハトを追い出そうと抵抗するが全く意味をなさない。
“抵抗しても無駄だ…もうすぐ体の主導権はこっちが…ん?この魔力は…接近する魔力が2つ1つは低いが…もう1つは…ハハハッ!そうかこれは良い再会になりそうだな!!”
ナハトに言われたとおり確かに感じた。
誰かはわからないが…しかし1つ…ずば抜けて強い魔力は懐かしさを感じる。
しかもナハトまで歓喜するということは…
「リィン…フォース」
駄目だ今来てはいけない…
掠れた声で俺はリィンフォースの名前を呼ぶ。
そして浸食を強めたナハトに俺の意識はどんどん刈り取られていき…抵抗も虚しく俺の意識は暗闇へと落ちていく。
NOSIDE
「何故だ…何故正人を!」
アインスは正人の体を使うナハトヴァールを見て憤る。
その瞳には殺意が迸り今にも飛び出しそう程だ。
しかし飛び出せばナハトヴァールの思うつぼなのもあるが体は正人のものであることから攻撃することを渋っていた。
そんな正人の体を扱うナハトは高笑いをしながらアインスを見つめた
「簡単な話だ。八坂正人と黒羽…お前達二人が合流されると今の俺じゃあ厄介極まりないからな。だからこそどちらかを潰す必要があった。」
今のナハトは嘗て無限に近い再生能力を秘めていた防衛プログラムとは違い。あるものによって用意された器やアインスと分離したことによって再生能力と戦闘能力は従来の力を下回り。
もし正人がオリオンを所持して使っていたのであればナハトヴァールは既にこの場で消滅させることも可能だった。
それ故、正人とアインスの合流は何としてでもナハトヴァールは避けたかった状況だった。
だからこそナハトヴァールは戦闘の最中妙案を思い付いたのだ。
戦っている八坂正人を取り込む形で自らのパワーアップを計るという算段を…
結果は正人の体を掌握されアインスの目の前に立ち塞がる事になった。
「だが…まだ足りない…」
そういって見つめる手を閉じたり開いたりと正人の体のコンディションを確認するナハトの表情は未だ物足りないという不服を隠せない。
「セットアップ」
「っ!!」
ナハトがその言葉を呟くとアインスは警戒を強める。
先程の正人が着ていたボロボロの軽装の装備から黒を強調する導士服*1へと早変わりし右手の手首に禍々しい色をしたパイルバンカーが装着される。
「これじゃあ駄目だ。やっぱりお前を取り込まないと話にならないんだよ…黒羽…」
「……っ!」
「あの圧倒的な力!それが今俺が欲しているものだ。そのためにも今一度1つとなり完全なる闇の書の再誕を!」
そういってパイルバンカーの矛先をアインスに向けるナハト。
いつでも撃てると言わんばかりの姿勢にアインスももはや戦いは避けられないと苦い顔を浮かべて臨戦体制へと拳に力を入れる。
そんな一触即発の中、香織はただその場に座り込み変わり果てた正人を見て呆然とする。
(なに……これ……)
もはや、香織の頭では追いつくことが出来ず。今の現状を受け入れることが難しかった。
「下がっていろ……下手をすれば巻き込まれる」
「え?」
そんな呆然に座り尽くす香織の前にアインスは立ち少し顔を香織に向けて下がるように促すがどういうことか理解できない香織はその場から動かない。
改めて説明をしようとするがナハトヴァールはそんなもの待ってはくれずに地面を蹴ってアインスへと迫り。咄嗟に香織を右腕で抱き寄せて左手でシールドを展開するが突き出されたパイルバンカーの矛先から放たれる閃光との衝突により、アインスと香織は衝撃で後方に吹き飛ばされる。
「ぐっ!!」
「きゃあぁぁぁぁっ!?」
シールドを保つために堪えるアインスに衝撃を受けて悲鳴を上げる香織。
二人は壁際まで吹き飛ばされるとシールドを解き、追撃を警戒しながら一緒に吹き飛ばされた香織の容体を見る。
「…………」
「先程の衝撃で気絶したか」
無理もないと、先程の攻撃による外傷ないことを確認すると香織の体を壁にもたれさせ。守るための結界を張る。
これにより気絶している香織に戦いの余波から守ってくれるとアインスはナハトへと意識を集中する。
そのナハトはパイルバンカーの切っ先から黒混じりの紺色の魔力で出来た矢が連続でアインスに向けて放たれそれをアインスは後ろにいる香織のことを気にかけて回避せずにバリアでナハトの攻撃を防ぐ。
バリアで防ぐ中アインスはナハトの攻撃に眉をひそめる
(この魔法…正人のソニックアロー!やはり正人の魔法を)
ナハトの使っている魔法が正人が使う魔法だとわかるのにそれほど魔法に洗礼さが欠けている。
それがナハトに体を乗っ取られたために使い慣れた魔法も付け焼き刃の急造品と成り果てていた。
「バルムンク!!」
正面から来るソニックアローをアインスがバリアで防ぐ中周囲に白い剣を生成するとソニックアローの左右を通過してナハトへ目掛けて飛んでいく。
それを見てナハトも射撃を中止し空高く飛び上がりバルムンクはナハトがいた地面へと突き刺さる。
だがそれだけでは終わらない。更にアインスはバルムンクを生成しナハト目掛けて飛んでいきそれをナハトがソニックアローで撃ち落としていく。
(くっ!このまま膠着が続けるわけには)
何とか起死回生を計りたいアインスだがそれはアインスの思惑よりも直ぐに拮抗が崩れ去ることになる。
「な、なんだこれは!?」
「っ!?」
「おいおい…もう追いついてきたのか」
アインス達がやってきた下層へと続く通路から勢い良く飛び出してきたのは光輝だった。
しかしそれだけではない。それに続くようにアリサ、すずか、ハジメ、正人に近しい人物達もやってくる。
何故彼らだけやってきたかというと、アインスとナハトとの戦闘音が原因だった。
少しだけ休息を取っていたメルド達は直ぐに脱出のために移動を再開した。
といってもやはり動きはナハトと接敵する前より遅く。その理由は先の分身体との戦った惨状を目にしてしまったからだった。
目の前で死んでいく様を見た転移組はとても正気を保つことは難しく何人も嘔吐するほどでそれらのケアをしながらとなると思うように進まなかった。
進みたくない…その上立ち止まりたくもないとジレンマに欠けられる転移組を率先して導いたのはメルドで誰も脱落しなかったのは彼のいたおかげてあろう。
そんな中上層から再び戦闘音が鳴り響くと一行は慌ただしくパニックになる。それをメルドは収拾しようとしたがここに来て一団から飛び出していったものが現れる。
光輝だ。彼は精神的に消耗しきっている中、先に行った香織のことを気にしていた。
早く香織の元へ行かないと…!そんな馳せる気持ちを抑えながらも香織の安否を気にしていた光輝にとってその戦闘音ははせる気持ちの自制の枷が砕け散るには充分すぎる材料だった。
光輝は香織の名前を叫ぶとメルドや雫の静止も聞かずに上層へと続く道を走りだし香織の元へと向かう。
それに便乗するように正人の安否が心配だったアリサ達も光輝を追いかけるという大義名分で後を付けていき、正人の元へいち早く辿り着いたのだ。
「な、何をしているんだ。八坂、その人は俺達を助けてくれた人なんだぞ!?」
「無駄だ…今の彼はナハトに体を乗っ取られている…!」
困惑しながらアインスを攻撃する正人を見て攻撃を止めさせようと光輝は説得するが光輝はナハトが操っていることに気付いていない。
そのことをアインスは手短に説明してアリサ達は驚くが光輝は未だにピンとこないのか首を傾げた。
「そんな…それじゃあ正人くんは…」
「ああ、あいつの意識が目を覚ますことはない。そして…!」
正人の意識がないことをうわごえで呟くすずかにナハトは返事を答えるとパイルバンカーを装着する右腕を空高く上げる。
「お前達はここで終わる…俺の手によってな!!」
パイルバンカーの先端から正人の幻影剣とは比べものにならないほどの長さの魔力刃が形成され魔力刃からは注ぎ込んでいる魔力が溢れ出しているようで刀身が魔力で波打っている。
「逃げ場なんてない。防ぎきれるなら防いでみな!」
(不味い、恐らくあれには着弾後周囲に拡散されるように広域術式が組み込まれている。バリアで防ぎきれるかもしれないが他の者達は…!)
自分一人なら気絶している香織のもとへ行き守ることは出来たしかし、光輝達の到着により場所が離れていることから全員を守るきることは難しくなった。
呼びかけて一箇所に固まろうもそんな時間をナハトが与えるとは思えず。苦渋の決断を強いられるアインスだが突如として展開していたナハトの魔力刃が飛散する。
「っ!?」
「うっ…ぐっ!?お、お前…まだ…!?」
「な、何がおきてるの?」
突如として苦しみだしたナハトに戸惑いの声を上げるハジメ。
頭を抑え何かに抗っている正人の姿を見て終始釘付けで見ていると息を荒くしながら俯いていた顔を上げる正人の瞳は先程の赤い瞳ではなく黒色の瞳をしていた
「はぁ…はぁ…リィン…フォース…」
「っ!正人!!」
掠れた声でアインスを呼ぶそれは正人本人であるとわかるとアインスは思わず駆け出そうとするがそれは正人が苦しそうに静止させる。
「はぁ…はぁ…いつまた…ナハトに体が乗っ取られるかわからない……だから頼みがある…………討て、リィンフォース……俺ごと……ナハトヴァールを…討ち滅ぼしてくれ……!」
掠れながらと必死に満ちあふれた正人の言葉はあまりにも残酷な言葉だった。
その言葉にアインスも含め周囲は凍りつく中、一足先に動いたのはアリサだった。
「ふ、ふざけんじゃないわよ!あんた今何言ったかわかってるの!?」
「そうだよ!正人くん!そんな……自分を殺してくれって……!」
アリサに続くようにすずかも反対の声を上げる。
しかしその言葉は正人に響いているのに関わらず正人は意思は固いのか考えることなく。内から迫るナハトに耐えながら声を絞り出す。
「わかってる……でも…もう駄目だ。ナハトは今度こそ俺を完全に飲み込み…体を掌握するだろう………そうなればアリサ達が……危険に曝される。それだけは嫌なんでな」
「正人くん駄目だよ……そんなの……」
「ハジメ……悪いな……約束は守れそうにない……だけど安心しろリィンフォースがいれば……直ぐにみんな元の世界に帰ることが出来る……」
「正人……もうそれ以外方法がないのか?お前が助かる道は必ず」
「……あるかもな…」
「ならば!「でもさ」っ!?」
「ナハトヴァールの目的は完全な状態に戻ること…つまりはリィンフォースを取り込むということだ…あいつが完全な状態に戻れば…それが何を意味するかは…語らなくてもわかるだろ?」
「それは…」
わかってしまう。正人の言うことは正論だった。
いくつもの理不尽な猛威を振るってきた闇の書その元になってしまったナハトヴァール…それが完全に復活したとなればトータス処の騒ぎではなくなる。地球やミッドチルダ…果てには多くの無関係な世界までナハトヴァールの爪痕を残すかもしれない。
そう考えれば正人の言い分は正論で簡単に否定することはアインスには出来なかった。
「それに…今ならわかる気がする…7年前のあの日のリィンフォースの気持ちが…さ…ぐっ!」
「正人!?」
“まさかまだあれだけの力を温存していたとはな、八坂正人!道連れなんてさせるわけには行かないな!!”
「ぐっ!リィンフォース…早く…またナハトヴァールの奴がぁ…!」
胸を抑え呼吸が更に荒くなる正人を見てナハトヴァールがまた表に出てくるのが間近になっているのを理解するアインス。少し歯を食いしばり複雑な顔を浮かべたあと、やり切れない表情で言葉を出した。
「…わかった」
「っ!ああ、リィンフォース…後のことは…頼むぞ」
「待って!リィンフォースさん!?正人は…」
腹を括ったアインスは完全に倒すために魔力スフィアをチャージし始め、それを見たアリサは正人を殺す気だと察し急いで止めようと駆け寄ろうとしたがそれは叶わなかった。
突如としてアインスを除くアリサ達周りに出現した紺色の鎖がアリサ達を束縛し動きを封じ込める。
「悪い…な少しだけじっとしていてくれ」
「正人!?」
アリサ達四人の動きを止めたのはナハトと内側で戦っていて顔色を悪くしている正人。本来ならナハトに抵抗するために力など使うわけにはいかないのだが、無理をして力を割いたのは明白で最早アインスがトドメを刺すことを自らが望んでいるのは明白だった。
「行くぞ…正人…」
「ああ…最後にお前が生きていてくれて本当に良かった…後のことは…頼む」
魔力スフィアのチャージが完了しアインスの瞳から涙が零れながら最後の言葉を交わす。正人もこれで終わりなのだと清々しい表情でアインスの復活を喜ぶと共に後のことを任せると言うとゆっくりと目を閉じる。
「っ!!」
お互い最後の言葉を交わしアインスが正人へ向かって飛び出す右手の手の平には高密度に圧縮された大型の魔力スフィアがありそれを至近距離でぶつけ正人の体を塵も残さず消滅させようとしていた。
必死に足掻いて鎖を壊そうと躍起になるアリサやすずか、止めてと必死に叫ぶハジメ。今もなお状況が読み込めず呆然とする光輝。
誰も邪魔をするものはいない。待つのはナハトヴァールと共に正人も消えるという結果。
正人もアインスもそれはわかっていた。しかし止めることは出来なかった。
…これ以上誰も邪魔者がいなければ…
「だめぇ!!!」
それは突如として正人とアインスの間に割って入った。
両手を大きく横に開きアインスをこれ以上進ませないと言わんばかりにアインスに涙目ながらも睨みをきかせる中、体は恐怖で竦んでいる。
アインスも咄嗟に正人へ飛び出した足を止め彼女の前で停止。驚いた顔で彼女を見た。
「君は…」
「か…おり」
アインスに立ちはだかる少女は香織だった。
気絶していた香織は実は少し前に意識を取り戻していた。
だからこそ正人の自身の命共にナハトを滅ぼそうとしていることも知り居てもたっても居られずに間一髪二人の間に割って入ったのだ。
「正人くんは…殺させない!」
香織も意地だった。香織にとって正人は無意識ながらも特別だと思っており、それの喪失は彼女にとって見過ごすことは出来ないものだった。
だが香織の行動は本人の思いを裏腹に事態を悪化させるのであった。
「…危なかったな…思わず死を覚悟したぐらいだ」
「正人…くん?」
結果的には間に合わなかった。世界のことを思えば割って入らず正人がナハトと共に消滅するべきだった。
「感謝するぜ…おんなぁ…!」
「っ!!」
既にそこには先ほどの正人の面影はないあるのは邪悪な笑みを浮かべた正人の体を操る。ナハトヴァールだけだった。
「ここまでまた一戦…っと言いたいが不確定要素が多すぎる…今回は諦めるしかないな」
「転移魔法!?待て!?」
そういってナハトは諦めきれない表情を浮かべながらも後方にバックステップで飛び退くと着地と同時にベルカ式の魔法陣を展開。アインスがそれが転移魔法だと気付くと焦りながらナハトへ向かって駆け出す。
「今回は見逃してやるが次は必ずお前を手に入れる。絶対だ!じゃあな黒羽…」
そう言い残すとナハトは眩い光共に姿を消しナハトがいた場所にアインスが辿り着いたときには魔法陣も消えていた。
「正人…私は…っ!くそ!!」
ナハトヴァールを取り逃がしその上、正人という現時点で1番信頼出来る人物を取られたことに唇を噛み締めながらその場で立ち止まることしかアインスは出来なかった。