次元世界の魔導士は最弱の錬成師と仲間達共に行く   作:ウィングゼロ

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21話

 

 

「おうおう、生きの良い嬢ちゃんじゃねえか…威勢がいいが…俺達三人相手できるのか?」

 

男達と一夏達の間に割り込み、剣先を男達に構えるアリサにひょろっとした男がけんか腰でアリサに楯突く。

アリサの登場に呆気にとられていたこともあったがすぐに正気に戻り、一夏達が丸腰だということ気付くと数的有利を仄めかせアリサに劣勢であることを突きつける。

しかしそんな言葉にアリサは一切顔色を変えなかった。

 

「その言葉そっくりそのまま返してあげる。今にも此処に王国軍の精鋭が迫ってるわよ…急いで逃げないと命もないわよ」

 

ここに来たのはアリサだけではない。すずかにメルドといった王国軍もこの場に召喚された転移者を捜索するために人海戦術で散らばっている。

そして偶然にも一夏達を見つけたのがアリサであれだけの轟音を響かせたことにより周りにいた他の誰かはその音を聞きつけただ事ではないと他のみんなにも伝えられる。

そのために他の騎士達やすずかが来るのも時間の問題時間が経つにつれアリサの方が分があった。

 

突きつけられた情報に動揺を隠せないチビとデブは慌て始めるがひょろっとした男だけは舌打ちをしてアリサを睨みつける。

 

「ど、どうするよお頭!」

「流石に王国軍と戦うのは厳しいんだな」

「慌てんな!俺達にもまだ分があるぜ、そこの嬢ちゃんを人質に取ればな」

「な、何でそうなるですか、お頭」

「王国軍と一緒にいて見たところ普通の騎士とも違う。ってことはだ…こいつはあの神の使徒ってことになるだろ?」

「へ!?神の使徒っていうと…一月前に召喚されたあの!?」

「ってことはこいつは王国からしても大切に扱われている人間。こいつを人質にすれば逃げることぐらい簡単だってことだ」

「すげえ!流石は頭だ!」

「ならさっさと捕まえるんだな」

(さっきまで慌ててたのにあのリーダー格…頭が回るわ。狼狽えてるところを隙を付いて倒そうと思ったけどもう無理ね…一対三…ステータス的には有利だけど…こっちは対人戦なんて始めて…どこまで持ちこたえられるか)

 

ひょろっとした男の一声で冷静さを取り戻した面々を見て内心辛い顔を浮かべるアリサ。

緊張で柄を持つ手の平に汗が滲む中、相手の出方を伺う。

 

「囲め囲め!」

 

リーダー格の男が余裕のある声で指示を出すとチビとデブが左右に別れる。これによりアリサの警戒する範囲が広くなりより守りにくくなる。

 

「おらっ!」

 

最初に仕掛けてきたのはリーダー格の男だ。持っている片手剣の曲刀を力強く振り落としアリサはとっさに大剣の腹で防ぐ。

だがリーダー格が動いたことで他の仲間も動きだす。

 

「ひゃっはぁ!!」

 

奇声を上げながらチビがアリサの真横に短剣の突きを繰り出しアリサはまずリーダー格の男の曲刀目掛けて大剣を最小の動きで振るい次の攻撃を未然に防ぐとチビが迫る中、逆の方向に飛び込むが、その飛び退いた方向には太った男がいた。

 

「うらっ!なんだな!」

「ぐっ!うっ重っ!」

 

そんな声と共にハンドアックスが振り落とされアリサも避けきれないと判断すると大剣で受けとめる。

直ぐに弾き飛ばそうと考えていたがそれは叶わない。

相手が卓越した技術を持っているからではない。単に己の体重をかけてアリサに身動きを取らせないでいた。

 

「良くやったデッブ!そのまま抑えておけよ」

「うぐぐぐっ!我が身に猛烈の力を……剛力!!

 

抑えつけられその隙に捕縛しようと近づく2人、アリサもこのまま捕まるわけにはいかないと剛力で自身の筋力を上げて体重をかけてくるデブを空高く打ち上げ自由に動けるようになると直ぐさま体を振るい大剣で迫るチビに攻撃を仕掛けようとしたが直前に大剣を止めてしまう。

大剣の刃はチビの数㎝前で停止、男も恐怖で顔を凍らせている。

もしも大剣を止めていなければ男の命は尽きていただろう。しかしアリサはそれを理性で止めた。未だに命を奪う覚悟を出来ていなかったのだから。

それが決定的な隙を生んでしまう。膠着していたアリサに炎が襲ってきた。

精確言えば下級魔法である火球が真横から飛んできた。

火球はアリサの肌を焼き、アリサは痛みで顔を歪めながら蹌踉めき、火球が飛んできた方向をみる。

そこに見えたのはリーダー格の男が両手を突き出し撃ったと思わせるように笑みを浮かべていた。

 

「危ねえ危ねえ…おい生きてるか?」

「た、助かったぜ……なめたことしてくれたなこの女……頭!人質につかうだけじゃ物足りねえ!この恐怖の付けは体で払ってもらうぜ!」

「っ!」

 

リーダー格の男は頃されかけた仲間の状態を訪ねると殺されかけたことに怒りを露わにするチビはアリサをただ人質にするだけでは鬱憤がはれないと気が済まないのかアリサを卑猥な目で見てアリサも直ぐに離れようと体を動かすが先程の攻撃で動きが鈍る。

 

「や、止めろ!!」

「あっ?少し黙ってろ!」

「うわっ!?」

 

それを見て一夏は無謀にもリーダー格の男へ向かって拳を突きだすが子供の悪足掻きと吐き捨てるように腹に蹴りを入れられる。

 

「捕まえたんだな」

「い、いや!」

「榛名ちゃん!?離して!?」

 

そしていつの間に榛名と永和の背後に回っていたデブが片手で服の襟を摑み持ち上げて2人を宙ぶらりんにひて捕まえる。

 

「っ!榛名!永和姉!!」

 

一夏は痛みで蹲る中、捕まっている2人を見て叫ぶ。

アリサもじりじりと近づくチビを警戒しながら悔し顔を浮かべ先程の直前で止めてしまったことを悔いた。

 

 

(何やってるのよ。私は……あそこで止めなかったら……こんなことにならなかったはずなのに…私は…!)

 

後悔後を絶たず。後悔しても既に遅かった。怪我負った自分が幾らステータスが上だとしても3人を相手にすることはもう不可能だろう。

 

拳を握り締め湧き出てくる悔しさを露わにする。アリサ……危機的状況の中一振りの振るう音と生々しい切る音が響く。

 

「……あれ?」

「きゃっ!?」

 

そう呟いたのはデブだった。

摑んでいた永和と榛名を不意に落とし突然のことで尻餅を打って痛そうな顔をする中デブは咄嗟に背中を手を当て手の平を見ると血がこべり付いていた。

 

「悪いな…隙だらけだったから切らせてもらったぜ」

 

後ろから聞こえてくる男の声しかしその声は彼には届くことなく前のめりに力尽きて命は絶えた。

デブの背後にはいつの間に立っていたのかグレーの髪とバンダナか目立つ青年は右手に持つ2本の剣が柄どうし連結している双刃剣と呼ばれる武器を構えながら男達を睨む。

「デッブ!!くそ!なんなんだお前は!?」

「悪いが答えるつもりはねえよ…それよりいつまでも此処にいて良いのか?あっちから何人か来てるぞ」

 

仲間の死に憤りを覚える男は敵意を剥き出しにして現れた青年を睨みつける中、そんなのお構いなしに青年は指を指し男達以外はその方向に視線を向けると青年の言うとおり鎧に身に纏った騎士達が向かってきていた。

その中で前頭に走ってきている人を見てアリサは嬉しそうに口を開けた

「あれは…メルドさんに…すずか…!」

 

「か、頭!?」

「っ!!ここまでか…おいお前!デッブの仇は必ず討ってやる!覚悟してろよ!!」

 

そう吐き捨てて男達は騎士団が来ている逆方向へと直ぐに走り去っていくのであった。

 

 

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