次元世界の魔導士は最弱の錬成師と仲間達共に行く   作:ウィングゼロ

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作者の呟き
……あれ?何このスピードは……視点が違うだけでここまで筆が進むなんて……深夜テンションも入ってるかもしれないな……


22話

 

「たす…かった」

 

心の底から私はそう思えた。緊張が解けて辛くも立っていた足は先程までの恐怖で立っていられずにその場で座り込む。

何とか乗り越えた安堵と同時に私は自分自身不甲斐ないと思ってしまう。

あの時私が止めていなければ危機的状況にはならなかっただろう。

いきなり現れた男性のお陰で誰も外傷がなかったけど次はどうなるか…

正人ならきっと躊躇わずに切ってたと思う……人を殺す…傷つける覚悟なんて……昔に決めているのだから……それと比べれば私達は……

躊躇した自分自身を思って表情に影を落とす私、周りも人が死んだということで気分が悪い中、漸くメルドさんとすずかが私達の元へやってきた。

 

「アリサちゃん!大丈夫!?火傷してるよ!?直ぐに治すから!」

 

すぐに私の元に駆け寄り火傷の具合を見て回復魔法を詠唱するすずか、打って変わってメルドさんは厳しい顔つきで私を見ていた。

 

「無事で何より……といいたいところだが…1人で突出してどうする!1人でどうにもでもなると思ったのか…!」

「……すいません」

 

メルドさんの説教に私はただ頷くしかない

そんなメルドさんも私の心情を察してそこまで怒ることはなく。視線は私から助けてくれた青年へと向く。

青年も視線に気付いたのか少し警戒しているように私達を覗っている。

 

「この度、アリサが世話になった…私はメルド・ロンギス、ハイリヒ王国の騎士団の団長を勤めているその風貌からして冒険者か何かか?良ければ素性を聞かせて貰えないだろうか?」

 

メルドさんはやや警戒して青年に素性を問い掛けると青年はへっと軽く笑うと双刃剣を地面に刺し交戦の意思がないことを示し一歩前に出る。

 

「クロウ…クロウ・アームブラスト…あんたの見立て通り傭兵だ。此処らじゃあまり知られてはいねえけどな」

「そうだろうな、それだけ特殊な武具を扱っているのなら噂ぐらい耳にするが……どこから来たのだ?」

「遠い異国からな……此処には鉱石を取りに来てたんだ。にしてもこんな所に王国の騎士団長様ねえ……ってことはそっちにいる嬢ちゃん含めて神の使徒っていう召喚者って所だな」

 

目を細めて私やすずか…転移してきた3人を順に見て私達が転移したことを見抜く。

 

「ほう?中々の洞察力だな…腕も良いと見える。お前ほどの腕なら王国でもそれなりの地位に就けるだろうな」

「悪くはないが堅苦しいのは嫌いでね…傭兵として気ままに動いてる方が性に合ってる…それに助けに来た嬢ちゃん達はともかくそっちの襲われてた3人にはかなり警戒されてるからな」

 

そういって横目でアームブラストさんは襲われていた3人を見ると警戒しているというより怯えている3人を見てやんわりと王国に行くことを断り地面に突き刺した双刃剣を回収するとこの場から離れていくが何か思い当たることがあるのか足を止めて顔を少し後ろに向ける。

 

「そうだ…こいつは忠告だ……これからも戦うんなら……そんな半端な覚悟じゃ仲間も自分も危うくなる。やるんだったらそれ相応の覚悟をしとけ」

「っ!!」

 

……この言葉の意味は語らずともわかってしまう……

私はその言葉を真摯に受け止め俯き再びアームブラストさんが歩き出した瞬間、怯えていた少女の1人が前に出てアームブラストさんに向けて口を開ける。

 

「あ、あの!」

「ん?」

「た、助けてくださってありがとうございます」

 

例え人殺しをした人でも助けてくれたのは事実。

怯えながらも声を出したあの子は凄く勇気を持ってその言葉を出したんだろう。

そんな言葉に振り向くことはなかったけど軽く手を振り今度こそアームブラストさんは何処かへと行ってしまった。

 

 

 

NOSIDE

 

「さてと……これで視界から外れたかな?」

 

クロウがアリサ達と別れて10分ほど…入り組んだ岩を軽く飛び越えアリサ達から完全に見えなくなると岩壁にもたれながら懐から小型の端末を取り出すと操作して耳に当てる。

 

 

「おう、俺だ…………悪いな、先を越されちまった……ああ、一応無事だ、まあ手を貸したのは事実だかな……安心しろ、手の内は晒してないさ……多少腕の良い傭兵としか見られていないからそこまで注目されてねえよ………っでそっちは?……そうか、わかったこのことは他の奴らにも伝えておく……ああ、お前らも頑張れよ……ああそうだ、悪いんだが金貸し…って切りやがったあいつ…」

 

周りから見れば誰かと通信を行っているようだがこの場には誰もその事を不思議がる物はいない。

 

「旦那の守銭奴も相変わらずだね…蓄えは一応あるのに…」

「なんだ、雛…来たのか、あれは俺らの食費だろ?俺が使う金がねえだろ。あっちは快適だしな余ってる金を兄貴分料金としてお裾分けしてもらっても罰はあたらないだろう」

「っで、そのお金で何処かでギャンブルして溶かすんだよね」

「おい、それは誰から聞いた?」

「勿論旦那の弟分から、結構嘆いてたし他のみんなにも言いふらしてたよ」

「あいつ……既に先手を打ってやがったか…」

通信後、突如として岩陰から現れた薄紫色の髪に身軽な絹で出来た着物を着る雛と呼ばれた少女はクロウが守銭奴でギャンブルに明け暮れるだろうと指摘しクロウは何故知っているか目を細め訪ねると口を閉ざすことなく軽く口を割ると此処にいないクロウの弟分のことをちょっとだけ怨みそうになったのは言うまでもない。

 

「はっ!まだまだあいつにはギャンブルの面白みがわからないお子様だからな…まあその話はいいとしてだ…雛がいるってことは…」

「フウもいるよ。ほら」

 

クロウの弟分が子供ということで一蹴し先程の話しを纏めると雛がやってきたことはもう一人来ているのかとクロウは訪ねると雛は指を指しその方向には雛と同じく着物を着て翡翠色の髪を靡かせ空をぼーっと眺めている少女がいた。

 

「脳天気なんだかね…おーい…そろそろ引き上げるぞ」

「……うん」

 

クロウの言葉に少し間を開けて頷くフウと呼ばれる少女……軽い身のこなしでクロウの元へやってくると3人は同じ方向を歩き出す。

 

「っで……上の空だったが何か感じてたのか?」

「……ん?……風が吹いてた」

「風がどうかしたのかよ」

「とても良い風…きっと私達にとっていいことがある」

「……なるほどな…」

 

あまりにも信じられない話だがクロウは少し納得した表情で静かに笑みを浮かべ彼らは何処かへ去って行った。

 

 

アリサSIDE

 

無事…とはいえないけど目的を終えた私達は馬車に戻り王国に戻る帰路の中馬車内には私とすずか後は救出した3人が乗っている。

 

「さっきは助けていただいてありがとうございます。私神崎永和って言います。それでこっちの2人は……」

「鈴木榛名です!」

「……織斑一夏です。よろしく」

 

まず始めに茶髪の子…神崎さんが自己紹介をすると次に鈴木さんが元気よく名乗り最後の織斑くんは名前に躊躇いがあるのか間を開けて名乗った。

3人の名前を聞いた後私は2つの名前に心当たりがあったために恐る恐る聞くことにした。

 

「えっと……神崎さん……神崎ってもしかして…あの神崎コーポレーションの?」

「え?その神崎だけど……もしかして貴方達も?」

「はい、アリサ・バニングスです。その手の業界なら私の名字も心当たりがあると思いますが…」

「月村すずかです。私も両親が大手の重工会社だから多分知ってますよね?」

 

「バニングス社に月村重工だよね?ってことは…2人はもしかして先月行方不明になったっていう…」

「多分その行方不明者であってます。」

 

神崎さんの口ぶりからやっぱり大騒ぎになっているのは明白だった。

その事は追々聞くとしてもう一つ気になった織斑くんの方に顔を向ける。

 

「えっと織斑くんで良いかしら?織斑ってもしかして」

「っ!」

「だ、駄目!」

 

そう大声を上げたのは鈴木さん。織斑くんと私の間に割って入り涙目で私のことを睨む。

 

織斑くんのことでここまで過敏に反応するということは恐らくあの織斑で間違いはないのだろう。

 

「ごめんなさい。タブーならもう聞くことはしないわ」

「……バニングスさんも月村さんもごめんなさい……理由は察してくれたみたいだけど……こっちもそういう人達じゃないことはわかったから」

 

気分を害したことに私は謝ると鈴木さんが大丈夫、大丈夫だからと織斑くんを励ましそれに何度も織斑くんは頷く。そんな中、神崎さんが織斑くんのことで直ぐに身を退いたことから、その辺を気にしている人間ではないということを理解してくれたのか安堵して少し微笑みを浮かべていた。

「さてと…王国まで少し時間もあるしある程度情報を交換すべきかしらね」

「そうですね……私達も一ヶ月で日本で会ったこと教えることが出来ます。」

「勿論、ぜひ教えてください……まず…この世界について……この世界は……」

 

馬車に揺らせながらも私達はお互いの情報を共有し始めた。

 

 

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