次元世界の魔導士は最弱の錬成師と仲間達共に行く   作:ウィングゼロ

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24話

部屋に戻った私は出ていく前との変化に気付いた。

 

恐らくあの子が部屋の清掃で入っていたのだろう。

他人が部屋を清掃すること自体、私の家でもありきたりなことだから気にしないけど、それだけじゃなかった。

 

「…メモ?」

 

徐に机に近づき、二枚のメモを手に取り書かれている文章を目に通す。

 

“アリサさまへ

アリサさまが先に召喚された方々の捜索に出られたということでこちらのメモを残させていただきます。先日お伝えした通り、お姉様に先日の件をお話ししアインス様のメッセージが書かれたもう一枚のメモを置かせていただきました。”

 

っと言った内容だ。このメモの差出人はあのメイドだろう。そしてもう一枚のメモは私が頼んでいたリィンフォースさんからのメモで間違いはないだろう。

リィンフォースさんのメモにも目を通し、これはゆっくりはしていられないと私はメモを片手に部屋をでてすずかの元へ向かった。

部屋を出て隣の部屋がすずかの部屋なので直ぐに到着した。

ノックもせずに入るとベッドに腰掛けるすずかの姿。突然入ってきたことに目を丸くしているけど私はお構いなしにすずかに近づいていく。

 

「アリサちゃん!?どうかしたの?もしかしてまた天之河くんがなにかしたの?」

 

最早天之河の名前が此処で出てきている時点ですずかの中では天之河=面倒事という図式が出来上がってるのだろう。

まあ、そうじゃないから私は首を横に振ると直ぐに持ってきたメモを見せる。

メモを見せて昨日言っていたパスワードだと直ぐにわかると持っていた正人の通信端末を手に取り起動させログイン画面が映し出される。

そしてメモに書かれている文字をホログラムキーボードにすずかが打ち込んでいく。

 

ID ***********

 

 

 

PS NC6512M25D

 

 

「っ!アリサちゃん!開いたよ!」

「……やっぱりこれだったのね」

 

ロックが解除されたことですずかは嬉しそうに笑みを浮かべ私も私達の推測は間違っていなかったことに自然と頬緩む。

 

正人が付けたこのパスワード…これは正人の魔導士としてのことを知っている人物しか解除できない。

NC65(新暦65年)12M(12月)25D(25日)

正人が何故このパスワードにした重みは重々理解できる。ただ私達はあちら(次元世界)のことは疎いからあの日が新暦何年だったのかそれだけがわからなかった。

 

「どう?正人のことだから多分色々情報を保存してると思うけど…」

 

すずかがロックを解除した真剣な表情で端末を操作するが一度指を止め首を横に振る。

 

「だめ、やっぱりファイルに違うパスワードが掛けられてて開けない」

「やっぱり機密事項って奴でしょうね……ここ最近で作ってるファイルは?」

「ちょっと待って……あった!ファイル名もトータス……だからこれだと思う…うんロックもかかってない」

「ならそれで決まりね……後は行くわよすずか」

「うん、でもどこに行くの?」

「正人の残した情報を私達2人だけで独占するわけにも行かないし…正人の知る情報を私達なりに伝えたい人物を集めるわよ」

 

そういうとすずかは頷き私と共に部屋を出て人を集めるために別れた。

 

 

雫SIDE

 

「今日、私達と同じ地球から召喚されたらしいみたい…」

「……」

「アリサとすずかもその人達を探しにメルドさんと一緒に出て行っちゃったわ」

「………」

 

今日も駄目みたい。

いつものように香織の部屋に来て今日起きたことを部屋に閉じこもっている香織に話している。

私が来ると上半身を起こして話を聞いてくるけど…見れば丸わかりというぐらいに目の色が消えていて髪も手入れが行き届いていないのもわかるその上返事はあれ以来返ってくることはない。ただ聞いてくれるだけの毎日

ふと机の方を見ると親切に用意されている食事にも少しだけ手にしているようだがあまり食べていないのは丸わかりだ。

 

「香織、また食事も取ってないでしょ?ちゃんと取らないと」

「………」

 

食事促すけど全く動きを示さない。壊れた綺麗な人形のような……

 

「お願いだから……返事をしてよ」 

 

私は思わず本音を口にする。

普段の私なら考えられないだろう弱々しい掠れた声で…

しかし香織は返事を返さない。 

その時私は悟ってしまった。私じゃあ香織を助けることは出来ないと

私では香織を救うことは出来ない。

何も出来ない…… 

 

気分が暗くなる中……私はふと名前を呟いた

 

「お願い……香織からこれ以上何も奪わないで…香織を助けて…!」

 

もう縋るしかなかった。

唯一香織を助けられそうな人物の姿が脳裏に浮かぶけどその人は此処にはいない。

何も出来ない自分に涙が流れる中ドアからノックする音が聞こえてくる

 

「香織、入るわよ」

 

この声はアリサ!

私は咄嗟に目の涙を拭うと扉が開きアリサが入ってくる。

 

アリサは私を見て驚く中、次に香織を見て目を細める。

 

「雫の部屋に行ってみたら居なかったしもしかしてと思って香織の部屋に来たら案の定だったわ」

「え?それじゃあどうして驚いたの?」

「目元が赤くなってる……泣いてたんでしょ?そこまでだ思い詰めてたんだなって驚いて」

 

アリサに言われてちらっと備え付けられている鏡を見るとアリサの言われたとおり目元が赤くなっていて泣いていたと直ぐにバレる位に

 

「まあ、仕方がないと言えば仕方ないでしょうけど……2人が此処にいるのなら丁度良かったわ…」

「丁度良いって…」

 

一体何をする気なのだろう。首を傾げる私だがまた部屋の扉がノックされ、それに気付いたアリサが来たわねっと呟き、入ってと促すとすずかと優花、南雲くんの3人が入ってくる。

 

「アリサちゃん連れて来たよ」

「僕、本当に此処にいて良いのかな?流石に男が僕だけだし…」

「それいったら、私の方だから……」

この場に男が1人だけということに体を縮こませる南雲くんに優花はこの場にいる自分以外ある共通点に気付き、自分こそ蚊帳の外だと指摘する。

 

「これで全員ね」

「ね、ねえ……アリサ、話なら部屋の外でしない?此処は香織の部屋だし……その香織だって……」

 

とても受け答えできる状態じゃない。横目で反応を示さない香織を見て、あれ以来見ていなかったすずか達は今の香織を見て驚きの顔を隠せない。

 

「ごめんだけど、それはできないわ……それに1番聞いて欲しいのは香織だから……正人のことよ」

「…………!」

 

正人、その言葉が出た瞬間、反応を示さなかった香織の指がピクッと動いた。

アリサもそれを見て周りに良いかしらっと確認して私達は頷く。

 

 

「正人が通信端末を持っていたってことは……あの日に知ったわよね」

「うん、聞いたけどあれは正人くんしか扱えないんだよね?だから正人くんの端末がどうかしたの?」

「ああ、正人の魔力で開く仕組みね…表向きはそれしかなかったけど……実はそれ以外にも端末を開ける方法があったのよ……そして……ついさっきロックを解除できたわ」

「え、ええっ!?」

 

アリサの告げた言葉に南雲くんは驚きの声を上げる。

私や優花も同様だ。私達も正人の端末に関してはどうしようもないと思っていたから

アリサはすずかに呼びかけるとすずかも呼びかけに答え、電子辞書のような端末を出して少し操作すると全員に見えるように大きなホロウィンドウが投影される。

 

「本当に……解除できてる……」

「アリサ。どうして正人しか解除できないなんて嘘をついたの?」

「そりゃあ、まあ厄介な人達に情報を渡すわけにはいかないし」

 

その言葉に私は納得してしまった。

光輝辺りが知れば間違いなく他のみんなにもその事はバレるだろう。

 

「けど、殆どのファイルは別のロックが掛かってて開けられないから、トータスに来てから作ったファイルならロックは掛かってなかったんだ」

 

そう言いながらホログラムのキーボードをタイピングするすずかはこれで良しっと呟くと別の小型のウィンドウが出現し画面にはサウンドオンリーっと英語で書かれていた。

 

≪どうやら、上手く繋がっているようだな≫

「え?この声って……」

「アインスさん?」

 

この声は間違いなく、アインスだった

一体どうしてとアリサとすずかに顔を向けるとすずかがその事について口を開ける。

 

「実はねパスワードと一緒にリィンフォースさんの持っていた魔導書のアドレスもあってね正人くんの端末と魔導書で通信回線を繋げたの」

≪月村すずかの言うとおりだ。何とか通信機能が復旧し無事に出来て何よりだ…≫

「さてと…それじゃあ見ていきましょう…正人がこの世界にやってきてから記していた…正人から見た大迷宮に入る前までの情報を」

 

アリサがそういうと私達は投影されている巨大なホロウィンドウに視線を映した。

 

 

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