ありふれてはいけない職業で“世界”超越   作:ユフたんマン

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前話のステータスに、肉体操作を追加しました。


吸血鬼の本能

ステータスプレートが配られた日の夜、俺は中庭で星を眺めていた。地球の夜は、電気という科学により暗い夜が都会から消え去った。田舎でも最近では昔と比べて明るくなっている。

この世界は電気は無く、火の光を頼りに夜を過ごすため、夜空がより一層綺麗に輝く。

 

俺は空腹感が絶えない腹を摩りながら、王宮の調理場から拝借したワインを嗜む。他の物と同じように味は殆どしないがアルコールは消えないため、軽くほろ酔い状態だ。

こうして酒を飲んだのはいつぶりだろうか…ディオになる前から禁酒していたためなかなか思い出せない。肴に硬いクッキーをガジガジと齧りながら食感を楽しむ。

ふと明日から訓練が始まることを思い出し憂鬱になる。吸血鬼の体質上、夜に訓練した方が効率的とメルド団長に意見し、一人だけ夜に訓練ということになった。昼間は部屋で就寝するという逆転生活だ。

 

すると背後から足音が聞こえ振り返る。そこにはこの国の王女、リリアーナが可愛らしい就寝着を見に纏いながら佇んでいた。

俺は飲んでいたワインのグラスを地面に急いで置き、地面に膝を付き頭を下げる。

 

「ああっ!!ディオ様!!頭を下げる必要も膝を付く必要もありませんっ!!昨日言ったじゃないですか!!国の王女よりも貴方方勇者御一行様の方が地位は高いと!!」

 

頭を下げた俺を見たリリアーナは慌てながら普段の友人のように話しかけて欲しいと言う。王女に普通に話しかけるとか、もの凄く難しいのだが…

本人に言われた為頑張ってみよう。

 

「やぁ、リリアーナ様。夜分遅くにこんな所に何か用かい?」

 

様はいらないのに、と頬を膨らませるリリアーナ。流石に様抜きは出来ない。

 

「その…別に…用事とかは無いのですが……眠れなくて…気分転換に散歩していたらディオ様を見かけまして…」

 

頬を染めモジモジと言うリリアーナ。どうやら眠れないらしい。そういう時は動物を数えながら寝るといい。と自分ではやったことのない方法を教える。多分寝れるだろう。

 

「ありがとうございます!ところで今日の昼に王立図書館にて吸血鬼族について調べて参りましたわ!」

 

「ほう、それは興味深い…是非、私に教えてくれないかい?」

 

リリアーナから話されたのは大昔から伝わる吸血鬼の出てくる童話や伝記だった。その殆どが吸血鬼という存在は敵として登場していた。噛ませだったり敵の親玉だったり。そしてその中に一つだけ興味深い話があった。吸血鬼族の女王についての話だ。幼いながらにし、ありとあらゆる分野で他の吸血鬼を越え、国の為に戦い続けた女王。そして最後は謀反の疑いでオルクス大迷宮のどこかに幽閉されるというバッドエンドストーリーの話。

別にどうせこれも創作の話でしかないため同情したりとかは無い。

興味深く思ったのはその女王が持っていた技能、『自動回復』と決して老いることはなかったという話だ。どうやらこの世界の吸血鬼は太陽の下でも人間と同じように生活出来るらしい。そしてこの世界の吸血鬼は化け物染みた再生能力も不死性もないらしい。しかし女王はそのどちらも持っていたという。

チートやそんなん!!

俺の技能と酷似している。メルド団長はこの話を知っていたからこそ俺に忠告したのだろう。

 

話し終えたリリアーナの頭を撫でニコリと微笑む。するとリリアーナの顔はポッと紅く染まる。見たか、日本!これが撫でポだ。

 

「もう、子供扱いは辞めてください!!え〜と、最後に言い忘れていましたが、その女王は血を主食にしていたそうです。何も食べなくても死なないが腹は減る、そして血を吸うと腹は満たされ魔力も満たされる。と、書いてありました。

…なのでディオ様の腹が満たされないのは血を摂っていないからではないか、と私は推定しました。」

 

血…か…なるほど…吸血鬼だものな…しかもジョジョの…

リリアーナの言っていることには根拠がある。それは、他の人がステータスプレートに血を垂らした時に反応してしまった。美味しそうと思った。

 

するとリリアーナの顔がより一層紅く染まる。

 

「………私の血で…良ければ吸っても…よろしいですよ?」

 

リリアーナは紅い顔で就寝着を着崩し首から肩までのラインを強調する。

腹の音が鳴る程の空腹感、そしてワインによる酔いの一押し。俺を止めるモノは何もなかった。

 

リリアーナの首筋に長くなった歯を添えゆっくりと差し込む。

その瞬間、リリアーナの全身に痺れるような恍惚感が広がっていき、「あぁ!!んん!!」と声を出すが、俺は無視し、根本まで差し込む。すると、肌の奥から、ゆっくりとドロリとした血液が口内にじんわりと入ってきた。

それに俺は夢中になり、傷口に吸い付いた。

血をジュルジュルと啜る。喉を通る度に、甘美な味わいを覚える。2日ぶりの味だ…しかも

極上の…

たった2日、されど2日だ。2日間、味が殆ど無い物を食べ続けたこのディオ()にとって今啜っている血は最高、極上の食べ物だ。

 

私は血を味わいながら、首筋から一気に血を吸い上げる。

リリアーナの体は、甘い脱力感が倍増し、とろけそうな快楽が全身を支配されていた。彼女は余りの快楽に立っていることも出来なくなり、腰を抜かしてしまった。その衝撃で()は我に帰り、歯を抜く。

 

「ハァ…ハァ…ディオ様ぁ…もっと…して…ください…」

 

顔を快楽で歪め、王女がしてはいけない顔で俺に懇願する。

 

……やってしまった。ヤバイ、どうしよう…これ誰かに見られたらヤバイ!!

 

もう一度リリアーナを見ると幸いなことに眠っていた。吸血鬼が出てくる本を探し続けてくれたんだ。それは疲れていただろう。そんななのに夜出歩いていたのは早く俺に聞かせたかったのだろうと今気づく。

 

無茶しやがって…と呟き頭を撫でる。するとリリアーナは嬉しそうに笑う。いい夢でも見てるのか?と思いながら、リリアーナを抱き、とりあえず訓練施設に向かう。そこで騎士に部屋へ届けてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

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リリアーナを抱いて去るディオの後ろ姿を見ている人影があった。星の光でわかることといえばスタイル抜群の女ということだろうか。

ディオに抱かれているリリアーナを見て、女は爪を噛む。私もディオに抱かれたいのに…と呟き、その場から去った。

 

 

 


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