魔法少女リリカルなのは異伝~X Destiny~ 作:カガヤ
「さぁ、大人しく捕まりなさい!」
プレシアが杖を振うと、雷の鞭が十数本伸びてクロスを襲った。
「ラファール!」
<了解>
クロスの両脚に魔力が集まり赤く輝き強化された脚で床を蹴り、一気にプレシアへと駆け出す。
「無駄よ!」
前後左右、あらゆる角度から伸びるプレシアの鞭。
しかし、クロスはそれらに見向きもせずただプレシアを睨んだまま、全てかわした。
剣で弾き、鞭の間をスライディングですり抜け、ただ全力で駆ける。
それは、クロスの動体視力と身体能力が非常に高いから出来る芸当であった。
「流石はエヴォリューダー。身体能力を人間の限界以上に引き出せるよう、遺伝子レベルから改造されているだけはあるわね」
プレシアの杖がクロスに向けられ、魔力砲撃が放たれた。
周りを鞭で囲まれている以上、クロスに逃げ場はない。
「逃げるつもりは、ない! 雷天剣・集雷!」
剣を前に突き出し、魔力変換素質で電撃へと変換した全魔力を集中させる。
この技はなのはの時にも使った、相手の砲撃を弾き、反らす為の剣技。
ノアとユニゾンしていないので、本来の力はだせないがそれでもプレシアの砲撃から持ちこたえていた。
「……絶対に、アイツをブン殴ってやる!」
今のクロスにはそれしか頭になかった。
フェイトに使った洗脳魔法、いや、正確には魔法ではない、洗脳。
クロスはプレシアがフェイトに施した洗脳を良く知っていた。
知っていたからこそ、解除も出来た。
最も、時間が足りなくて中途半端にしか出来なかった。
「うおぉぉ~!!」
今のクロスの戦闘力は万全とは程遠い。
それでもなんとかプレシアの砲撃をしのぎ切った。
全てはプレシアを、ぶん殴る為。
「砲撃を強引に切り裂いた? やっぱり面白い子ね。だったらこれはどう!?」
今度はクロスを囲むように一斉に魔力弾が放たれた。
「あなたには質より量の方が効果的みたいね」
「いいのかよ。こんなに無茶して。身体がもたなくなるぞ?」
クロスの言葉に、プレシアの顔色が変わった。
「あんた、病に冒されているだろ。しかも、ウイルス性の不死の病。おかしいと思った。あんた程の高位魔導師がなんで外部からの魔力補助を必要としているか、その答えが」
「そうよ。ジュエルシードの力を純粋な魔力に変換して使っているわ。でも、このおかげで私は全盛期以上の力を手に入れた!」
プレシアの魔導師ランクは推定SSランク。ランクは強さだけを示すものではないが、それでもゼストよりも上だ。
しかし、病に冒されたせいで力がかなり弱まった。
だから自分の代わりにフェイトにジュエルシード探しをさせた。
そして、そのジュエルシードの魔力を自分の魔力に変換する事で、病状を抑えつつ全盛期以上の魔力を取り戻した。
「そこまで私の体調を気遣ってくれた御礼に、これはどうかしら?」
プレシアが杖を掲げると天井が吹き飛び、空から多数の巨大な鎧が降ってきた。
最初はアスクかと思ったが、フォルムが違い過ぎる。
腕が4本や6本あるものや、巨大な砲塔が全身に付いているものなど、多種多様だ。
「私の戦力はシャロやアスクばかりじゃないのよ。あの子のおかげで温存出来たこの傀儡兵、前言通り質より量であなたを潰してあげるわ」
「…………」
戦闘力で言えば、シャロの日々向上する戦闘力をアップデートしていくアスクの方が、傀儡兵よりも上だろう
けれども、傀儡兵には砲塔などの火力がある。形が定まっていないからこその武装がある。
しかも、この数でプレシアの攻撃も防がなければいけない。
プレシア1人が相手だったならば、どれだけ数多くの魔力弾や鞭が来ようと凌げる自信があった。
今のクロスは、プレシアを倒す事は難しく、時間稼ぎをするしかない。
プレシアの元へたどり着くには、今の自分では足りない。
足りないなら、それが足りるような策を講じればいい。
その策が、ようやく実った。
「行きなさい!」
プレシアの号令と共に、クロスに襲いかかる傀儡兵。
クロスは以前にも似たような状況に陥ったが、今回はあの時以上に冷静でいた。
「量より質を取ったか。だったらプレシア、俺は、量も質も取る!」
「プリズム・アロー!」
クロスが叫ぶと同時に、どこからか飛んできた青い魔力弾が傀儡兵を弾き飛ばした。
だが、威力が足りなかったのか破壊するまでにはいかない。
しかし、ある程度一か所に集める事は出来た。
「ディバイン・バスター!」
「スパークスマッシャー!」
そこへ桜色と金色の砲撃が直撃し、傀儡兵はまとめて破壊された。
「な、何!?」
プレシアはそれを見て驚いた声をあげた。
対するクロスは、笑みを浮かべて後ろを向かずに声をかけた。
「やっと来たか、ノア。なのは、フェイト、ナイス連携だ」
「おまたせしました、マスター!」
「間に合ってよかった」
「クロス、良かった」
クロスはそれに応えるように後ろにいるノア、なのは、フェイトに親指を立てる。
「あら、私もいるわよクロス」
「俺もいるぜ。といっても、美味しい所はノア達に取られたけどな」
「私もいるよ。フェイトの事、世話になったね」
「クロス、君を1人では戦わせないよ!」
なのは達の横に並ぶようにティーダとクイント、それにアルフやユーノまでいる。
「マスター、今回復魔法をかけますね」
ノアがクロスの元へと飛び、回復魔法をかけた。
「お、お前達どうしてここに!? それにフェイト、なぜここにいるの!?」
「母さん……っ!」
フェイトは一瞬悲しそうな顔をしたが、意を決したように決意に満ちた顔つきでプレシアを見つめた。
そんな表情をプレシアは今まで見た事が無く、ましてや自分に向けた事すらない。
フェイトの中で何かが変わったその表情にプレシアがたじろぐ。
「フェイトがここにいるのはなのはが助けたから。で、母さんやノア達がここにいるのは、俺達の作戦だ」
「なんですって?」
「お前は俺を罠に嵌めて、母さん達から孤立させ捕えるつもりだったんだろうけど。それこそが俺が望んだ状況だった!」
「……まさか」
プレシアの顔が驚愕に歪む。クロスが何を言いたいのか分かったからだ。
「そう。俺は囮だ! お前が俺をここに連れ込むのは確実だった。でも、肝心のこの場所の位置が掴めない。だから俺はわざと捕まる事にしたんだよ。フェイトを囮に使ってまで俺を捕らえるとは、考えたくなかったけどな」
考えたくはなかった。つまり全く考えていないわけではなかった。
けれどもプレシアは娘を囮に使った。
それを聞き、フェイトが少しだけ悲しそうな顔をしたが、なのはとノアがそっと側に寄りそうとすぐに表情が戻った。
「結界を張っていてそれだけで安心したのか? 考えていなかったのか? アルハザードの遺産 【太極の書】 を持つ俺が、歩くロストロギアと呼ばれるこの俺が、誰かの手に落ちた時の対策を、考えていないとでも思ったか!」
時間は少し遡り、なのはがフェイトを助け出した直後の事。
「フェイトちゃん、もう大丈夫なの?」
少しフラフラしながらも立ち上がったフェイトに、肩を貸しながらなのはが尋ねる。
「うん、もう平気。それより、早く母さんとクロスの所に」
なのはに事情を聞いたフェイト。なのはは最初フェイトが狼狽するかもしれないとクロスに言われて、心配していたが思ったより動揺した様子を見せなかった。
それどころか強い意志の籠った目で、プレシアの元に戻ると言ったのだ。
「私、ずっと暗い所にいた。でも、そこへクロスがやってきて母さんに何も言わずに消えるつもりか、って言ってくれた。それで私、母さんに伝えたい事がある。だから、行くよ」
「フェイトちゃん、それじゃあ行こう。一緒に行こう」
その時だった。
2人のすぐ横で青い光が現れ、その中から複数の人影が現れた。
「ふぅ、転送完了! お待たせ、なのはちゃん、フェイトちゃん」
「ノア、ちゃん? それに」
光の中から現れたのはノアと、アルフ、ユーノ、クイント、ティーダ、クロノとリンディ、それに複数の武装局員だった。
すぐにクイントとティーダが周りを警戒し、クロノが局員達に指示を出す。
「フェイト!」
アルフがフェイトに駆け寄ると強く抱きしめた。
「アルフ、心配かけてごめんね。もう大丈夫だよ、クロスとなのはに助けてもらったから」
「うんうん、無事で本当に良かったよ! ありがとね、なのは」
ノアが2人の元へ飛び、体調を診た。
「2人共、特に怪我はなさそうだね」
「ありがとうノアちゃん。でもどうして皆さんがここに?」
なのはの疑問に答えたのはリンディだった。
「2人共、もう心配いらないわ。これはプレシアの本拠地が分からないから、クロス君は自分を囮にしてこの場所を突きとめる作戦だったの」
「そんな、危険すぎます!」
なのはの言葉にリンディが苦笑いを浮かべ、クイントが寄ってきた。
「私達も猛反対したのよ。でも、あの子これ以上時間をかけるとフェイトもプレシア本人も危ないからって、聞かなくて。それに悔しいけど他に方法も思い浮かばなくてね」
「私と、母さんが危ない?」
どこか気になる言い方をしたクイントに、フェイトは嫌な予感がした。
それを見てクイントはリンディを見て、僅かに頷くと話を続けた。
「フェイトちゃん、落ち付いて聞いてね。あなたの母、プレシアは病に侵されているわ。今はジュエルシードの力で抑え込んでいるけど、それも時間の問題よ。今すぐにどうにかしないと、死ぬわ」
クイントは少し躊躇いながらもはっきりと、プレシアの病と死が迫っている事を告げた。
「えっ? ウソ……母さんが? 本当、ですか?」
フェイトはその場にへたり込んでしまった。
なのはもノアの方を向くが、ノアは目を閉じ首を横に振っただけだ。
「この前、プレシアがマスターと対峙した時、偶然採取出来たプレシアの血を分析した結果です。もう結構前から病に冒されている、そう医者は言っていました」
「母さん、嘘……気付かなかった。私、ずっといたのに。気付かなかった」
フェイトは手で自分の顔を覆い、動揺している。
「フェイト、それはあたしも同じだよ。フェイトを傷付けるプレシアの事憎んでばかりで、何も気付けなかったんだ」
アルフが悔しそうに歯を噛みしめながら、フェイトを慰めた。
彼女はプレシアを許せなかったが、それでもフェイトの母親である事には変わらず、死ぬと言われて動揺は隠せなかった。
「クイント、私とクロノは駆動炉を止めに行くわ。プレシアと装置の方は任せたわよ」
「了解。気を付けて」
そう言ってリンディとクロノは局員を引き付けれて、庭園の最上階に向かった。
最初からプレシアにはクイントとティーダ、ノアが向かう予定だった。
いかに武装局員でも、今のプレシアには歯が立たず、それなら駆動炉の制圧に人員を回したのだ。
フェイトに声をかけようとしたリンディだったが、クイントとティーダを見て何も言わずにその場を去った。
リンディもクロノもクイントとティーダにフェイトの事も任せたのだ。
それぞれ自分のやるべき事をする為に
「フェイトちゃん。まだ希望は残ってる。その為にはプレシアのやろうとしている事を止めて、すぐに逮捕しなければならない」
「……希望?」
優しく頭を撫でながら言うティーダの言葉に、フェイトは泣きそうな顔を上げた。
「えぇそうよ。今なら助かる可能性があるの。だから、私達はどんな事をしてもプレシアを止めるわ。クロスもその為に戦っているの。フェイトちゃんはどうする?」
「クロス君がプレシアさんの為に?」
「私もクロスも、娘を道具と言い放ったプレシアを許さない。許さないからこそ、助けるの。罪を償わせる為にね」
そう言ってこの場を武装局員に任せて、ティーダと共に先に進もうとしたクイントの手をなのはとフェイトが握った。
「私も行きます。行かせてください!」
「行かなきゃいけないんです!」
それを見てクイントは何も言わず、笑顔で頷き手を握り返した。
「あたしも忘れないでよ」
「僕も行きます。少しでも手伝える事があるはずです!」
「あぁ、頼りにしてるぜ、お二人さん!」
ティーダはアルフとユーノの頭を軽く撫でて答えた。
「2人共、魔力も特に問題なしです!」
ノアの言葉に頷き、クイントは皆を促した。
「じゃあ、行きましょう。クロスとプレシアを助ける為に」
「「「はい!」」」
「そう、私とした事が迂闊わね。それでフェイト。あなたは何をしにここに来たと言うの?」
「話がしたかったから、でもそれよりまずは……あなたを止めます」
今まで見た事がないフェイトの表情に、プレシアは一瞬だけたじろいだがすぐに元の歪な笑顔に戻った。
「あら、あなたに出来るの? いつも私の顔色ばかりうかがって、機嫌を取るのに必死だった……人形だったあなたに!」
プレシアの言葉にクロス達は一瞬顔をゆがませたが、フェイトは特に表情を変えず真っ直ぐにプレシアを向いたままだ。
「確かに、私はあなたの顔色ばかりうかがっていたかもしれない。笑ってほしくて必死だった。でも、今は違う。あなたを止める為に、私は戦う。だって、私はプレシア・テスタロッサの娘、フェイト・テスタロッサだから! あなたがどう思うと、私はあなたの娘で、あなたは私のたった一人のお母さんだもの!」
今度こそプレシアが完全にたじろいだ。
「違う。あれは、今までのフェイトとは違う……一体何が、何があったと言うの!」
「簡単な事よ、プレシア」
その叫びに答えたのはクイントだった。
彼女はノアに回復されているクロスの側に行き、優しく頭を撫でた。
「クイント・ナカジマ!」
「さっき本人が言っていたでしょ? あなたがどれだけ否定しても、どれだけ拒絶しても、結局はフェイトちゃんにとってあなたが唯一の母親なのは変わらないわ」
「だったら、親の心配をするのは子としては当然だろ!」
クイントの言葉にクロスが続く。
「それでもまだ続けるのか? 俺の太極の書を使って、アルハザードへの道を開こうとしても無駄だ。アルハザードは滅んでいる! それにアルハザードの知識を持ってしても死者は生き返らない!」
「そんな事やってみなければ分からないわ! 私は、私の娘はアリシアだけ! この子の為なら……私は何でもすると決めたのよ! いきなさい!」
プレシアが杖を掲げると、更に数多くの魔法陣が現れて、多数の傀儡兵が舞い降りてきた。
そして、プレシアは広間の奥へと進んで行った。
「母さん、ティーダさん、それになのは、フェイト、アルフ、ユーノ周りの傀儡兵を頼む。プレシアは俺が戦う!」
数十体の傀儡兵を見て、クロスが剣を構え直した。
側にかけよったなのは達は背中合わせになり、輪を作った。
「クロス君、ダメだよ。1人じゃ無理だよ!」
「それに母さんは私が!」
「なのは、俺1人だからこそできるんだ。フェイト、大丈夫プレシアの目を覚まさせるだけだ。後は……フェイトに任せるよ」
両隣に立ったなのはとフェイトが心配そうにクロスを見るが、クイントは反対せず少しだけ溜息を付いた。
「クロス、アレをするのね?」
「うん、どうしてもやらなきゃいけない事がある。だから、アレを使う」
「……分かった。何かあっても俺と姐さんで絶対に止める。だから、遠慮なくやってこい!」
「はい! 行くぞノア!」
「了解! ユニゾンイン!」
ティーダに言われ、クロスはノアとユニゾンして飛び出した。
それを狙うかのように数体の傀儡兵がクロスに襲いかかる。
「「チェーンバインド!」」
アルフとユーノがバインドを使い、傀儡兵を拘束するとティーダがそれぞれの頭部を狙い撃ちして破壊した。
「ナイスだ、2人共! その調子で頼むぜ!」
「はい!」
「おう!」
クイントも魔法陣を浮かばせて、彼女独自の魔法を発動する。
「ウイング・ロード!」
クイントの足元からいくつもの帯状の魔法陣が伸び、周囲全体へと伸びその名の通り空中の道を作った。
「なのはちゃん、フェイトちゃん。プレシアはうちの子に任せて、私達は傀儡兵を!」
2人に声をかけながら、空中をかけあがりすれ違いざまに次々と傀儡兵を打ち砕いて行った。
「フェイトちゃん、やろう! クロス君を信じて!」
「うん……やろう、なのは」
なのはとフェイトはそれぞれのデバイスを傀儡兵に向けて、攻撃を始めた。
2人の射撃と砲撃は、クロスへと襲いかかろうとする傀儡兵を撃ち落として行く。
それを横目で見たクロスは、2人に向けて親指を立てながらプレシアを追い、広間の奥へと入って行った。
「これは、アスクの製造工場か」
プレシアを追ってクロスが駆けこんだのは、一面にシリンダーが飾られた長い通路だった。
フェイトの深層心理に潜った時に見た光景から、ここでアスクが作られていた事は明らかだ。
「っ!? アリシアのポットがない!」
通路の奥にあるはずのアリシアが入れられたポットがなくなっていた。
そこから更に通路が伸びており、その中にプレシアは逃げ込んだようだ。
<奥から強力な魔力反応あり! 駆動炉よりも強い反応です!>
「どうやらジュエルシードは、ここにあるみたいだな」
クロスは剣を抜き、警戒しながら先へと進んだ。
やがて、さっきよりも広大な広間に出た。
奥の壁からは、外の禍々しい空間が丸見えになっている。
広間の中央には、ジュエルシードが収められた巨大な装置と、その上にアリシアが収めれたポットがあった。
「ようこそ、私の希望の波止場へ、エヴォリューダー」
プレシアはアリシアのポットの側に浮かんでいる。
彼女から感じる魔力は先程よりも強くなっていた。
『マスター、用心して下さい。ジュエルシードの制御装置から魔力が流れています。さっきの比じゃありません!』
「アルハザードへの道を作る為の魔力を、全て自分の魔力へと回したのか。すぐに自滅するぞ、プレシア!」
「あははは、構わないわ。あなたがいればそれで完成する……太極の書があれば、それでいいのよ」
クロスの警告にもプレシアは笑って答えた。
それを見たクロスは、軽く息を吐き地面に剣を突き立てた。
「……何のつもり? 降参でもするのかしら?」
「いや、早くケり付けないと思ってさ。見せてやるよ、プレシア。お前が散々見たがっていたアルハザードの遺産の力を。そして、エヴォリューダーの力を! ノア、全開で行くぞ!」
『はい! 仙気……』
「『完全開放!』」
2人が叫んだ瞬間、クロスから膨大な紅い魔力が溢れ出た。
それは今までなのはやフェイトを助ける時に使っていた、封印した力の一時的な解放ではない。
クロスとノアだけが持ち、アルハザードの力の証、仙気を完全に解放した姿。
「うおぉぉ~~!!!」
クロスの目が赤紫色から赤褐色に代わり、その瞳は炎のように揺らめいている。
更に逆立った前髪にオレンジ色のメッシュが入った。
全身から噴き上がる魔力、仙気は、まるで噴火した火山のような勢いだ。
「これが……エヴォリューダーの、アルハザードの、太極の書の力!」
クロスの仙気に震えが止まらないプレシア。それは半分は驚愕であり、残り半分は歓喜によるものだ。
「行くぞ、プレシア!」
炎のように燃え盛る剣をプレシアに突きつけ、全てを解放したクロスの本気が爆発する。
続く
仙気等の説明は無印編終わったら出す予定です。