魔法少女リリカルなのは異伝~X Destiny~   作:カガヤ

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2話更新です!
修正するだけなのではやいはやい……って言ってたらすぐに間が空きそう


第2話 「魔導師の戦い」

高町なのはとフェイト・テスタロッサとの戦いで突如現れた時空管理局。

クロスとクロノ、そして、ノアを見たなのは達は驚きを隠せないでいた。

中でもなのははノアを見て驚いている

 

「わっ、妖精さん?」

 

姿かたちは間違いなく人間だが、その身長はクロスの肩に立てる程に小さい。

 

「聞きましたマスター!? 私、妖精さんって言われましたよ♪」

「ノア、黙ってユニゾンに戻れ」

「はい」

 

シリアスな空気に似合わない明るい声ではしゃぐノア。

そんなノアに呆れた視線と冷たい声でクロスは答えた。

クロスと背中合わせに立つクロノの溜息が、なのはにもはっきりと聞こえた。

 

「時空管理局? って、彼は……」

「まずいよ、フェイト。こいつら魔力が半端じゃない」

 

フェレット形態のユーノ・スクライアと、赤い狼の姿をしたアルフがそれぞれのパートナーの傍に来た。

 

「この場での戦闘行為は危険すぎる。それは承知しているね? まずは詳しい事情を聞かせてもらうよ」

「それと、あのジュエルシードは管理局が保管する。これは個人が持つには危険だからな」

 

そう言ってジュエルシードに近づくクロスを見て、フェイトが動いた。

 

「それは、渡せない!」

<サイズ・フォーム>

「たあぁぁ!!」

 

フェイトは、バルディッシュを戦斧形態から魔力刃のついた鎌へと変形させ、アルフと2人でクロスに迫った。

クロスは、飛びかかってくる2人に背を向けたまま、ジュエルシードをラファールに回収し、振り返った。

 

「ぐっ!?」

 

ただ腕を振い、右手の剣を一振りしただけでフェイトは弾き飛ばされてしまった。

 

「フェイト!」

<チェーンバインド>

「わっ!?」

 

クロスが空いた左手をアルフに向けると、そこから数本の光の鎖が現れアルフを縛りつけた。

 

「少し、大人しくしてて」

「なに……を、あぅ?」

 

続け様に鎖で縛られたアルフの身体を電撃が襲う。

一瞬にしてアルフは気絶し、クロスはさらにバインドで縛り上げ、地面にゆっくりと横たわらせた。

 

「アルフさん!? いきなりどうして?」

「あれはクロスが電撃を流したんだ。魔力をそのまま電気に変換出来る 【魔力変換素質】 と言うものだよ」

 

「ユーノくん。あの人を知っているの?」

「うん、大丈夫だよなのは。この人達は時空管理局と言って、悪い人じゃないから」

 

そこへクロスとフェイト達の戦いを見守っていたクロノが、なのは達の元へと寄って来た。

 

「君がユーノ・スクライアだね? クロスから素性は聞いている。君は大人しく聴取に応じてくれるか?」

「はい、それと彼女は僕のせいで巻き込まれた一般人なんです。ですから……」

「分かった。君達の身の安全は保証するよ。一先ず僕から離れないように」

 

3人は地上に降りて、クロノが張った防御結界の中へと避難した。

 

「フェイトちゃん大丈夫、だよね?」

「クロスはあれでも手加減している」

「あ、あれで手加減してるの!?」

「そうだ。これが、魔導師の戦いというものだ」

 

なのははクロノの言葉にショックを受けたが、クロノもまたなのはの言葉に驚いていた。

 

(この子、さっきまで敵対してた子の心配をするなんて。それにしてもクロス。僕にこの子達を任せて自分はあっちと話すと言ってたけど……)

 

あっちでは、体勢を立て直したフェイトがクロスに向けて魔力弾を放っていた。

対するクロスは魔力弾を冷静に避けたり、反射してやりすごした。

 

(どう見ても話し合いには見えないが)

 

結界が張ってあるとはいえ、さながら小さな戦場のように爆音が響き渡っている……

 

<あの管理局員は魔力値も戦闘経験もこちらより数段上です。どうしますか?>

「でも、ジュエルシードが、アルフも捕まっちゃったし、あっ!?」

 

クロスと空中戦を繰り広げたフェイトだったが、アルフに気を向けた隙をつかれバインドで拘束されてしまった。

自分と同じようにバインドで縛られ地面に横たわるアルフに目を向ける。

外傷は特に見えず、ただ先程の電撃で気絶しているだけのようで、フェイトは少し安心した。

 

「あまり無駄な戦闘はしたくない。話を聞きたいだけだ、2人の安全は保証する」

 

厳しい表情のクロスに剣を突きつけられながらもフェイトは不思議な感覚に囚われていた。

 

(この人、なんでこんな目で私を見ているの?)

 

フェイトの目に映るクロスは、表情こそ厳しいがその目には困惑と悲しみが映っていた。

 

「まず、君の名前を聞かせてくれないか? 君とかお前とかって呼びたくないから」

「……フェイト、フェイト・テスタロッサ」

 

バインドで拘束されながらもバルディッシュを構え、なんとかこの場を乗り切ろうとしていたフェイトだったが。

クロスに名前を聞かれ、何のためらいもなく自分の名前を明かした。

目の前にいるのは時空管理局、自分達を捕まえに来た敵。

彼らに捕まったら母さんの目的が果たせない。

なのにフェイトはクロスの真っ直ぐな視線を逸らす事が出来ずにいた。

 

「フェイト・テスタロッサ……テスタロッサ、プレシア・テスタロッサ……プロジェクト、F」

 

無表情でフェイトの名前を繰り返したクロスだったが、プロジェクトFと言う単語を口にした途端に目を見開き、改めて目の前にいる少女を眺めた。

同時に、フェイトもクロスの口から零れた単語を耳にした瞬間、全身が凍り付くような感覚に襲われ、全身から汗が流れ出るのを感じた。

 

「プロジェクトF、プロジェクト・フェイト……やはり、君は」

「プロジェクト、Fって何の事?」

 

その時だった。

 

『マスター! 上です!』

「っ!?」

 

ノアの言葉と同時に、クロスがその場から跳んだ瞬間。

上空から何かが降ってきた。

 

 

???

 

海鳴市、地球の存在する世界とは別次元に存在する広大な次元空間。

次元の海に浮かぶように佇む巨大な島、名は【時の庭園】。

アースラと同じく時空移動を可能とした移動庭園で、フェイトとアルフはここから地球へと降り立った。

その庭園内部、宮殿のような建築物の更に奥深くに主である【プレシア・テスタロッサ】はいた。

 

「時空管理局、意外と早かったわね」

 

空間モニターに映る2人の管理局員、クロスとクロノ。

いずれ管理局が介入してくる事は予想の範囲内、だがそれはこちらの準備がある程度整うまではの話。

それまでは動きやすいフェイトとアルフの2人を動かすだけで、それ以上目立った動きはしないつもりだった。

だが、一度介入されてしまえば、終わりまでずっと付きまとって来る。

 

「コレの出番はもっと後にしたかったけど。融合デバイス持ちの局員までが出てきた以上、アレを使った方がいいわね」

 

仕方ないとばかりにプレシアは自分の切り札を出そうとした。

が、クロスとフェイトの戦いを目にした時、プレシアの中である疑念が浮かんだ。

 

「このクロスという局員、先程現れた融合デバイスも……まさか」

 

そして、クロスがフェイトの名前を聞き、自分とプロジェクトFの名を口にした瞬間に疑念は更に増した。

 

「もしそうなら、あの2人じゃとても敵わない。確かめるためにも、やはりコレの出番ね」

 

そう言って、デバイスを掲げ魔法陣を展開したプレシアの背後で怪しげな光がいくつも瞬いた。

そして、モニターの向こう側にいるクロスとフェイトの間に、いくつもの光と共に何かが降り立った。

 

 

「これは、次元跳…<マスター!> っ!?」

 

次元跳躍の光の中からクロスに向けて、剣が伸びてきた。

上半身を捻ってかわしたが、間髪いれずに次々と斬撃が襲いかかってくる。

何が起こったのか分からず、茫然とするフェイトを一瞥し、クロスは飛行して距離を離す。

 

「クロス! 一体何が?」

<気を付けてください。こちらにも反応が!>

<来ます!>

 

クロスを援護しようとしたクロノだが、S2Uとレイジングハートの警告に咄嗟にシールドを張った。

と、同時にクロノ達の周りにも何者かが現れ剣を振う。

 

「これは鎧、傀儡兵か!」

 

周りに現れたのは人間離れした外見と装備を付けた動く鎧、傀儡兵と呼ばれる兵器が襲いかかってきた。

 

「2人共、この中にいるんだ」

「は、はい!」

 

ワイドエリアプロテクションを防御結界の上から重ねがけして、クロノは傀儡兵へと向き戦闘を開始した。

クロスにも同じ物が向かっているかと思えば、そうではない。

 

「こいつ、動きが違う!」

 

狂ったように突き出される2本の刃を、かろうじて剣で受け流しながらクロスは苦戦していた。

クロスが相手にしているのは、全身を黒く染め両腕から伸びる2本の剣を振るう動く鎧。

傀儡兵と違うと思ったのは、その鎧の動きが人間に近い動きをしていたからだ。

通常、傀儡兵は人型ではあっても何本もの剣や砲塔を備え、見た目も動きも人間離れしているのが多い。

だが、この黒い鎧は細長いフォルムをしていて、一見すると人間が中に入っているかのような動きをする。

何よりクロスが違和感を覚えたのは。

 

『この鎧も、まさか人造魔導師ですか?』

「いや、違う。こいつは傀儡兵と似たような存在だ。人の生気を感じない、けど、この動きは」

 

迫る刃を剣でそらし、続け様に放たれた蹴りを同じく蹴りで受け止める。

 

「見た目の割に攻撃が重い」

 

人間のように細い腕と脚をもちながら、それでもこの鎧の攻撃は、魔力で強化したクロスの防御を崩すほど重い。

防御だけでなく、反撃もしているが全て防がれている。

2本の剣を自由に操り防御と攻撃を同時に行っていて、隙がない。

しかも、こちらの攻撃を予測した動きすら見せ始めている。

それでも、カウンターで殴り飛ばしたが、クロスは妙な手ごたえを感じた。

 

『人の動きをしますが、中身はやはり空。機械仕掛けというわけでもありません』

「そうだな、だから厄介だ。クロノの方には質より量で行っているみたいだし」

 

クロノもクロノで、物量で押してくる傀儡兵を破壊するのに手一杯で、こちらに余力は向けれそうにない。

何より、なのはとユーノを守りながらの戦いなので尚更援護は無理だ。

アースラとの通信も先程鎧が現れた時に、遮断されてしまった。

 

「アレ、を使うわけにはいかないよな?」

『当然です! ただでさえ相手はプレシア・テスタロッサなんですよ?』

 

ただの魔導師相手なら問題はない。

が、今回フェイト達の後ろにいるのがプレシア・テスタロッサと言う事がクロスとノアには問題だった。

 

「なら、戦い方を変えるまでだ」

 

それまで順手で持っていたエクスカリバーを、逆手に構え直す。

握った左手には魔力を変換させた電撃を纏わせて、必殺の一撃へと備える。

 

『フェイト……フェイト!』

『アルフ? 大丈夫?』

『なんとかね。でもまだ体の痺れが取れなくて動けないんだ。状況はどうなってるんだい?』

 

目を覚ましたアルフだったが、クロスの電撃が思いのほか効いているようで、横たわる体を動かす事が出来できない。

自分が気絶してからの事は分からなかったが、かろうじて戦闘が起こっている事だけはわかっていた。

 

『管理局に拘束されそうだったけど、母さんが助けを寄こしてくれたみたい』

『プレシアが!?』

 

プレシアが自分の娘フェイトに対してどんな扱いをしてきたか、アルフはよく知っている。

娘を娘と思わず、まるで道具のように扱ってきた。

だから、自分達が危機に陥っても助けは寄こさないだろうと思っていた。

 

『まぁ、私らが管理局に捕まれば、自分が危ういから当然だね』

『母さんはそんな事で助けを寄こしてくれたわけじゃないと思うよ』

『フェイト……それよりも、早くここから逃げるよ。もう少しで転送の準備も出来るから』

『うん、でも彼はそうはさせてくれないみたい』

 

クロスは鎧を相手に防戦一方の戦いをしていた。

右の剣で攻撃を受け流し、そらしつつ左手の一撃を叩き込む隙を窺いながらもフェイトとアルフにも注意を向けていた。

正確にはユニゾン中のノアが、2人に注意を向けていると言う事だが。

 

「……」

 

何度目かの拮抗の後、黒の鎧は両手手首から伸びる剣を高々と掲げた。

どんな斬撃も防御されるなら、その防御ごと切り裂けばいいとばかりに魔力を籠めている。

 

「それを、待っていた!」

 

対するクロスは腰を深く捻り、逆手で剣を持った右手を後ろに構え一気に鎧に向けて駆け出した。

今までクロスが防御に専念していたのは、相手に自分の最高速度を悟らせない為だ。

鎧の攻撃速度ならかわす事も簡単だった。

だが、かわせばかわすほど自分の反応速度を悟られる事になる。

事実、鎧はクロスの防御パターンを学習しているようで、クロスが防御しにくい攻撃を何度もくりだしてきた。

だからこそ、ここで鎧はクロスが防御できない速度と威力で最高の攻撃を仕掛けてきた。

 

(俺の今までの防御速度と攻撃速度以上の速さで攻撃すれば、あいつを倒せる!)

『今だ、ノア!』

『了解です!』

 

白い半透明な魔力の固まりを足と背中に集中させ、一気に爆発するように放出する。

魔導師の中にはバリアジャケットやデバイスの一部に、魔力を噴出させるノズルがあり、そこから自分の魔力を放出する事で、加速し攻撃や移動に利用する者もいる。

だが、クロスのバリアジャケットにはそんな加速させる為の機構は備わっていない。

【備えられない】 とも言うべきか。

そんなクロスとノアが代わりに編み出したのがこのやり方。

ノアが、魔力を風に変える魔力変換素質 【烈風】 を使い、クロスの足元や背中に風の塊を作り出しタイミングを見計らって一定方向に爆発させる。

その反動で、クロスの身体が前へと押し出され、自分の限界速度に更なる加速を得た。

 

「もらった!」

 

―ガキンッ!

 

「っ!?」

 

確実に捉えたと思われたクロスの一撃が、黒い鎧に止められた。

鎧は攻撃体勢で振り上げた剣をそのまま振り降ろし、受け止めたのだ。

クロスがどのような攻撃に来るのか、そこまでは予測しきっていなかった鎧だったが防御ばかりで、攻撃をしてこなかった理由は予測していた。

隙を見せれば必ず飛び込んでくる敢て隙を見せ、クロスに大振りの必殺を出させ、冷静に防御する。

仮にクロスが速度を乗せただけの一振りでなく、魔力を剣に纏ったりして攻撃力をあげていれば鎧は剣の一撃を警戒し、回避を選んだだろう。

そして、クロスの攻撃は見事に止まり、ここからが鎧のターン……

 

『兜が、割れた!?』

 

鎧の兜が左右に割れ、そこから現れた一つの砲口が、クロスに向けられている。

クロスは、渾身の一撃を止められたまま、硬直している。

回避なり防御するまでにはクロスの頭を貫通させる魔力弾が発射されるだろう。

なのに、クロスの顔には驚愕も悲痛も何もない。

まるでこうなるのが当たり前かのような表情を浮かべ、勝敗が決する一撃を放った。

 

「雷天剣!」

 

鎧には何が起きたのか分からなかった。。

クロスの攻撃を予測できる程の判断力があるにも関わらず、なぜ自分がバラバラにされているのかは理解できなかった。

斬撃が止めれた瞬間、クロスは先ほど雷の魔力を溜めた左手を右手に持った剣の柄に当てた。

すると一瞬のうちに刀身に電撃が奔り、刀身が白く輝き、鎧を剣ごと縦に真っ二つに斬り裂いた。

そして、クロスは間髪入れずに剣を横に一閃した。

鎧は十文字に斬られ、更にクロスの剣に纏った電撃が斬撃と共に鎧をバラバラに砕き、勝敗は完全に決した。

 

 

なのはは、クロノを援護しようとしたが丁重に断られ、ユーノと2人で結界内からクロスの戦いを見ていた。

そして、目にしたのは、あまりにも次元の違う戦いだった。

 

「……あれが、本物の魔導師同士の戦い、だよ」

 

ユーノの言葉が、なのはの胸に突き刺さっていた。

目にも止まらぬ速さで繰り出される攻防が、なのはには衝撃的だった。

なのはは、これまで何度も魔法を使いジュエルシードで変異した動物や植物、それにフェイトと戦ってきた。

それでも今、目の前で繰り広げられた戦いに比べたら、素人の自分でも分かるような高レベルの戦い。

ユーノもクロスの戦いを見るのが初めてではないが、それでもなのは程ではないが驚愕していた。

 

「あっちも終わったみたいだな」

 

横を見るといつの間にかクロノが戦闘を終えていた。

周りにはさっきまで暴れていた傀儡兵の残骸が散らばっている。

戦闘が終わった事に気付かないほど、なのははクロスの戦いに魅入られていたのだ。

 

「えっ? クロノ……さん。もう終わったんですか?」

「さんはいい。この程度で参るようじゃ管理局の執務官はやっていけないさ」

 

だがこの時、クロノもなのはもユーノも気付いていなかった。

送りこまれた敵は、、まだ全滅したわけではない事に。

 

「さて、これでやっと話が出来るかな」

 

クロスは深く息を吐き、フェイトとアルフへと降り立った。

 

「フェイト……」

「………」

 

2人共バインドを解こうとしたがなかなかうまく解けず、尚且つなのはと同じくクロスの戦いに魅入られていて、逃げだす機会を失っていた。

警戒心丸出しにして、アルフは強い敵意をもった視線をクロスに向けるが、クロスはそんな視線を気にも留めず、2人に向かい、その硬い表情を少し和らげ手を差し出した。

 

「2人のこうやって拘束したけど抵抗さえしなければ、俺は危害を加える気はない。話だけでもしてくれないかな?」

 

2人のバインドを解き、さっきまでと別人のようで、穏やかな口調で話しかけて来るクロスに戸惑ったが、フェイトは半ば無意識に恐る恐る差しだされた手を掴もうとしていた。

 

その時だった。

 

「うぐっ!」

「きゃぁ~!」

「っ!? まさか!?」

 

なのはの悲鳴がクロスやフェイトの耳に入った。

急いでなのはの方を向いたクロスとフェイト、そこには先程までクロスが戦っていたのと同じ鎧が立っていた。

鎧はなのはとユーノに向けて、両手の剣を振り降ろそうとしていて、少し離れた場所にはクロノが倒れている。

突然、クロノの目前に鎧が転移してきて、一瞬のうちにクロノを沈黙させた。

なのは達を守っていた結界は、その余波で破壊されていた。

このままではなのはとユーノの命はなくなる。

迷ったり、悩む時間はなかった。

 

「ノア! ラファール!」

『分かってます!』

<リベレーション>

 

ガチャリ、とクロスの中で何かの錠が外れた音がした。

そして、クロスの身体から赤いオーラが浮かび上がり、眼の色がオレンジから赤褐色へと変化する。

 

「なのはっ! 逃げて!」

「ダメっ!」

 

ユーノとレイジングハートがそれぞれシールドを張るが、鎧の剣が簡単に破いてしまった。

そしてそのまま返す刀で、なのはの身体は切り裂かれる……はずだった。

 

「……えっ?」

 

ユーノとレイジングハートを抱きしめ、目を瞑ったなのはだったが、いつまでたっても剣は自分を切り裂いては来なかった。

恐る恐る目を開けると、そこには赤いオーラを立ち込めたクロスが立っていた。

その瞳は先ほどまでと違い、赤く輝いているように見えたが、すぐにオレンジ色に戻った。

 

「大丈夫か?」

「えっ、あっ、はい……大丈夫、です」

 

他の鎧の強襲を警戒するが、続けて襲来してくる気配はない。

なのはに背を向けたままクロスが、安心したように軽く息を吐いた。

クロスの前方にはバラバラにされた鎧のカケラが散らばっている。

さっきもクロスが一体バラバラにしたが、それよりも更に細かく砕かれている。

倒れたクロノに回復魔法をかけると、すぐにクロノの意識が戻った。

 

「すまない、クロス。助かった」

「俺こそ悪い。フェイトとあの使い魔、逃したようだ」

 

辺りにフェイトとアルフの姿はなく、バラバラにしたはずの鎧や傀儡兵のカケラも残らず綺麗に消えていた。

 

 

続く

 




クロスとノアの存在は原作でのプロジェクトFやその他の様々な事に影響を与えています。
どのような影響かは、徐々に分かってくると思います。
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