魔法少女リリカルなのは異伝~X Destiny~   作:カガヤ

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おまたせしました!
やっと無印ボスとの初戦闘です


第9話 「プレシア・テスタロッサ」

アースラ

 

「被害状況の確認とモニターと通信の回復を最優先に、急いで!」

 

突然の次元跳躍砲撃により、アースラは酷い損害を受けていた。

ブリッジのモニターは全て停止し、機関部の出力も低下して停止寸前だ。

 

「それにしても、探知から直撃までの時間が短すぎるわ。しかも、これだけの損害を与えるほどの魔法、プレシアだとしてもこの威力は……」

 

アースラも立派な管理局の艦船、対魔防御力は高く並の魔法では損傷は与えられない。

にも関わらず、先ほどの攻撃で外部装甲こそ損傷は経鼻だが、内部にはダメージが及んでいる。

プレシアの魔導師としての能力については、調べがついていた。

魔力量も並の魔導師とはくらべものにならない程多く、魔導師ランクも高い。

それでもアースラにこれほどの損壊を与えるとは考えにくい。

 

「考えてても仕方ないわね。クロノ、転送ゲートが回復次第すぐに向かってちょうだい」

「分かりました、リンディ艦長」

「みんな、無事でいてね」

 

 

海鳴市 近郊海域

 

「プレシア・テスタロッサ……」

「あの人がフェイトちゃんのお母さん?」

「……母さん」

 

ジュエルシードの封印をやっと終えたクロス達の前に現れた、プレシア・テスタロッサ。

なのはとフェイトを庇うように、ユニゾンしたクロスがプレシアの前に立つ。

 

「はじめまして、やっと会えたな」

「えぇ、やっと会えたわね。私もあなたに会いたかったのよ、エヴォリューダー!」

 

プレシアが叫ぶと同時に、杖から紫の電撃が放たれる。

 

「雷天剣・集雷!」

 

この電撃のは自分のシールドでは防げない。

即座にそう判断したクロスは、以前なのはの砲撃を切り裂き、拡散させた技で凌ごうとした……が。

 

「ぐ……がっ!?」

『きゃぁ~!?』

 

拡散させるどころか、受け流す事も出来ず、プレシアの放った電撃はクロスの全身を駆け巡り、ユニゾンしているノア共々ダメージを受けた。

 

「クロス君、ノアちゃん!」

 

それでも、自分へと慌てて駆け寄ろうとしたなのはに動くなと、手で制しフラフラと立ち上がりプレシアを睨む。

 

「……ト、トリガーもなしにここまで高威力な魔法を撃てるなんて」

『予想外にも程がありますね。なめていたつもりはないんですけど』

 

今プレシアはデバイスの杖をクロス達に向けただけ、それだけでクロスの防御を突き破る魔法を放った。

プレシアの魔導師としての強さは資料から推測していたが、まさか魔法名を叫ぶトリガーもなしにここまでやれるとは思っていなかった。

フェイトもなのはと一緒にクロスへと駆け寄ろうとして、プレシアに一睨みされた。

 

「フェイト、一体そこで何をしているの? せっかくジュエルシードを手に入れるチャンスだったのに、突っ立っているだけ。だから、私がこうして来る羽目になってしまったじゃない」

 

言葉自体は柔らかいが、所々にトゲがあり、魔力の籠ったその声は聞く者に威圧を与えているようだ。

 

「よく言うぜ。さっきの電撃といい、俺を狙ってるわけじゃなく……フェイトを狙っていたじゃねぇか! どういうつもりだ!」

「なぜ赤の他人がそこまで怒るの? 使えない道具は調整が必要、でしょう?」

「っ!?」

「なん、だと?」

 

あまりの言葉にフェイトの表情がこわばった。

隣で聞いていたなのはもショックで固まっている。

クロスは、怒りに満ちた眼でプレシアを睨む。

 

「ふふっ、その子をどう使おうと私の勝手でしょう? なぜならその子は……ガハッ!?」

 

プレシアは最後まで言葉を言う事が出来なかった。

いつの間にかクロスがプレシアの眼前まで移動し、その拳を頬に叩きこんでいたからだ。

 

「それから先をフェイトに言ってみろ……殺スゾ?」

 

なのはには何が起きたのか分からなかった。

ただ、初めて会った時に鎧の攻撃から自分を守ってくれた時のように、一瞬でクロスの姿が見えなくなり、気がつけばプレシアの顔面を殴り飛ばしていた。

そして、一瞬だがクロスの瞳が血のように赤く見えた。

 

「ふっ、ふっふっ……そうよ、その力よ。その力があれば……もらうわよその力!」

「この力、奪えるものなら奪ってみろよ!」

 

言うが早いかクロスは剣をプレシアに突き出す、だがプレシアも自身の杖状のデバイスを振い、弾く。

それでもクロスは眉一つ動かず、剣を振り抜いた反動でそのまま蹴りを繰り出した。

プレシアは涼しげな顔をして、片手でそれを受け止める。

 

「足癖の悪い子ね」

「足だけじゃないんだけどな」

 

反対の足でプレシアの腰を蹴り、その場から離れる……と見せかけすぐに反転し、再度プレシアへ剣を振り降ろす。

プレシアもそれを読んでいたのか、体を捻るだけで斬撃を難なくかわし、逆に杖で打ち払おうとした。

が、クロスは剣を左手に持ち替えており、右手で杖を掴んだ。

 

「「はぁ!」」

 

考える事は同じだったのか、クロスもプレシアも掛け声と共に、杖に電撃を流し込んだ。

プレシアもクロスと同じ魔力変換素質を持っている。

クロスの赤い電撃とプレシアの紫の電撃は、杖の真ん中で拮抗した。

 

「……クロス君」

 

2人の戦いを少し離れていた場所で見ていたなのはは、次元の違う戦いに驚愕の表情を浮かべるしかなかった。

クロスがプレシアに飛び掛かった瞬間、なのはとユーノ、フェイトとアルフはそれぞれ球状のバリアに包まれた。

 

「くそっ、やっぱりあたしらを捕縛したね!」

「違うよ、アルフ。クロスは私達を守ろうとしたんだよ。だって、あの子にも同じバリアが張られているもの」

 

クロスが張ったのか、ノアが張ったのかは分からないが、このバリアはアルフが破ろうとしても簡単には破れなかった。

アルフは捕縛する為に閉じ込めたと怒ったが、フェイトはこのバリアは捕縛ではなく、あくまでフェイト達を護る為に張られたと直感した。

なぜ自分の母親が来たのに、守られるのかは分からなかったが、すぐに戦闘の余波から守る為だと分かった。

クロスとプレシアの戦いはフェイトから見ても凄まじく、魔力のぶつかり合いの余波でバリアが震えるほどだ。

 

「ねぇ、フェイト。プレシアの戦い方、変じゃないかい?」

「うん……私もそう思う。何がどう変なのかは分からないけど」

 

確かにプレシアは高い魔力を持ち、魔導師としての知識や技術も豊富だ。

だが、接近戦を得意とするクロスとあそこまで戦えているのには違和感があった。

年季や経験の差と言われればそうかもしれないが、それでもクロスに接近戦で互角以上のプレシアはどこか別人に見えた。

違和感を覚えているのはクロスやノアも同じだ。

剣を振いプレシアを攻撃していたが、段々とプレシアの攻撃をクロスが防御したり弾くようになり、段々と攻守が逆転していった。

 

『なんでこうまで強い? 接近戦なら分があると思っていたのに!』

 

先程の攻撃で、遠距離では圧倒的に不利と踏んで接近戦を挑んだが、それでもプレシアを攻めきれない。

 

『マスター! プレシアに外部から魔力供給があるようです!』

『違和感の正体はそれか。でも、なぜだ?』

 

外部からの魔力供給で自身の戦闘力を上げる。

それ自体は珍しい事ではない。が、それは弱い魔力を補う為の技術でプレシアのような高位魔導師には不要な技術のはず。

 

『それでも、ここで、止めなきゃ、フェイトちゃんが』

『あぁ……絶対に止める!』

 

クロスの全身から魔力が右手に持った剣に集まって行く。

魔力はそのまま炎となり、剣に宿る。

 

「炎天剣・炎焼!」

 

炎の刀身がプレシアに向けて一直線に伸びた。

しかし、伸びてきただけプレシアの肌を焦がす事もなく、炎の刃は見えない壁にかき消された。

 

『ホント、詠唱どころかトリガーもなしでこうも封じられるとはな』

『でも、誘いには乗らない……ですよね?』

『当たり前だ。今アレを使えば……俺はプレシアを殺すかもしれない』

 

クロスとノアにはある切り札がある。それを使えば状況を一気に好転させる事が出来るかもしれない。

が、切り札は最後まで取っておくもの。しかも、敵はその切り札を使う事を望んでいる節がある。

更に問題点を言えば、その切り札は周りには誰もいないときに使うのがいい。

もしくは、リンディかゼスト隊が側にいて初めて満足に使える切り札。

何度かなのはやフェイトを助ける為に瞬間的に使用はしたが、あれが現状での限界。あれ以上は無理。

ならば、今できる力でやるしかない。だが、今できる力全て使ってもプレシアには届かない。

 

「はぁ……いつになったら本気になるのかしら? 本気じゃないのに、本気でぶつかってくるのね。なぜかしら?」

「そんなの決まってる! なぜフェイトにあんな仕打ちをした!」

「何の事かしら? 心当たりがありすぎて分からないわね」

「ふざ、けるな! フェイトの体に沢山鞭で打たれた傷があった! 貴様以外にいないだろう!」

「そうよ、私がやったわ。だから何? さっきも言ったでしょ? あの子はただの人形、 【道具】 だって」

「っ! 貴様は……どこまでぇ!!」

 

怒りの叫びと共にクロスの瞳が赤くなり、魔力の光の輝き方が変わってきた。

 

『マスターダメです!』

「っ、ちぃ!」

 

ノアの声になんとか怒りを抑えると瞳や魔力が元に戻って行った。

悔しそうに睨むクロスにプレシアは失望したかのように大きな溜息をつき、杖を掲げると更に雷が鳴り響き、杖へと降り注いだ。

 

「もういいわ。続きは捕えてからするから」

「させるか!」

 

プレシアが杖に貯めた雷を放つ前にと、懐に飛び込んだクロス。

だが、それと同時にプレシアはクロスへ魔法を放とうと杖を向けた。

剣と杖が交差し、2人の視線が交わり双方の攻撃が放たれようとした瞬間!

 

「……っ? ゲホゲホッ!」

 

プレシアが急にせき込み始めた。

途端に杖に集まっていた雷は空中に霧散するように消えた。

クロスにとっては絶好の機会なのだが、プレシアがせき込むと共に血を吐き出し、自分の顔にまでかかった事で剣を止めていた。

少し離れたバリア内にいるなのは達からはプレシアが何をしているかよく見えていないようだが、様子がおかしいのは分かった。

 

「母さん!?」

 

フェイトは突如せき込み、空に浮いたまま身を伏せたプレシアの元へ向かおうとしたが、バリアに阻まれた。

即座にバルディッシュを斧形態ではなく、魔力刃の鎌、サイズフォームへと変え、バリアを破ろうとした。

アルフもプレシアの尋常ではない様子に、バリアを無理やり破ろうと拳を握る。

その時、音もなく2人を包んでいたバリアが何者かに斬られた。

 

「(今までの攻撃のダメージではないな。あれは……何かの反動? もしくは、病気か?)おい? どうした?」

 

クロスはプレシアの異常な吐血を心配し手を伸ばそうとしたが、突如、刃が現れた。

 

「マスター、これ以上は危険です。後は私が」

 

突然現れ、刃を振ったのは、全身を黒いレーザースーツで身を包み、両手には刃の生えた手甲をした少女。

なのはやフェイトよりも少し背が高いくらいだが、顔がバイザーで隠されているので年齢は読めない。

しかし、それでもクロスは彼女に見覚えがあった。初めてフェイトと会った時に襲いかかってきた鎧と似ている。

見た目も使っている武器の形状もそっくりだ。

あの鎧の中身が目の前の彼女だと言われれば一番納得できた。

プレシアをマスターと呼ぶ少女は、プレシアに何か薬のような物を飲ませると、クロスへと向き刃を構えた。

その少女によって、バリアを斬られ自由になったフェイトとアルフがプレシアに駆け寄る。

 

「(くっ、ここまできて……やっぱりまだ装置の調整が必要のようね) そうね、任せたわ、シャロ……ふんっ」

 

だが、それに目もくれずプレシアはクロスへと刃を構える少女、シャロに後を任せて杖を掲げた。

 

「母さん……えっ?」

「なっ、これは強制転……」

「フェイトちゃん!」

 

そう言うとプレシアは、フェイトとアルフをどこかへと飛ばした後、ジュエルシードごと消えてしまった。

追おうとしたクロスだったが、刃を現れた女性が立ち塞がる。

 

「っ!? お前は……」

「初めまして、エヴォリューダー。私のコードネームはシャロ。そしてこの……」

 

シャロの周りに以前戦った黒い鎧が10体程現れた。

 

「この鎧の名は 【アスク】 私の能力をそのままコピーした機械兵のようなもの、と思って下さい」

「御親切にどうも。で、目的はなんだ?」

「邪魔ものの排除と、あなたの……捕獲です」

 

クロスはプレシアの事を一旦頭から忘れ、なのはとユーノのバリアを解除し、2人の隣に並んだ。

 

「2人共、悪い。この状況俺1人じゃきつい。手伝ってくれないか?」

「うん、任せて!」

「2人をサポートするよ!」

 

目まぐるしい状況の変化に少し混乱していたなのはとユーノは、初めてクロスから頼られた事でまずはこの状況をどうにかする事にした。

 

「ノア、まだ通信は?」

『繋がりません!』

 

援護の見込みはない。状況は3対11、しかも相手は傀儡兵よりもはるかに強く、圧倒的に不利。

 

(あのアスクはこの前より性能もあがってるだろうし、シャロの実力も不明。アレを使っても短期間で全滅出来るとは限らない……リスクが高すぎる。この状況では跳躍しようにもアースラと連絡がつかない以上は……)

 

「なのは、ユーノ! お前らは絶対に守る! だから、離れるなよ!」

「「うん!」」

 

まずは4体のアスクが一斉に刃を振ってきた。

クロスは左手に剣を構え、魔力を溜めこんだ。

 

「風天剣・刃風!」

 

大振りで振った斬撃は風の刃となり、2体のアスクの腕を斬り落としたが、残りの2体は上下に飛び避けた。

 

「チェーンバインド、えぇい!」

 

ユーノのチェーンバインドが斬られた2体を縛りあげ、クロスがその鎖を持ち、避けた2体へと投げて、ぶつける。

 

「ディバインシューター・フルパワー!」

 

そこへなのはの追撃、フルパワーのシューターが4発ずつ上下のアスクに当たり爆発、両腕の斬られたアスクを行動不能にした。

残りの2体にもダメ―ジは与えられたようだが、動き自体は鈍っていない。

 

「流石にあれだけじゃ沈まないか……でも、2体は倒せた。なのはもユーノも訓練の成果出てるようで安心した」

「クロス君とノアちゃんのおかげだよ!」

「僕だって、助けてもらってばかりじゃないよ」

 

対するシャロも表情を硬くし、随行するアスクを一旦手近に戻した。

 

「正直、エヴォリューダーのみ警戒すればいいと思っていましたが、認識を改める必要がありますね……あまりアスクを無駄に使いたくなかったのですが、仕方ありませんね」

 

そう言ってシャロが腕を上げると、いくつもの魔法陣が現れ新たなアスクが次々と現れた。

 

「さぁ、私と40体のアスク相手に何分持ちますか?」

 

 

つづく

 




このプレシアはある理由で原作よりも強い設定です。
基本的になのはキャラは今後も味方も敵も原作よりも強くしていきます。
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