Fate/GTS~ぐだぐだ・たまに・シリアス~   作:カガヤ

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お待たせしました!
この小説、タイトル変えたいけど他に良いのが浮かばない……それが更新遅れた理由の1つだったり(笑)


第6話「妹が出来ました!」

俺の異世界修行からの帰還祝いと言う名の修行成果お披露目会、と言う名の集団リンチ(笑)から1週間ほど経った。

その間もマリーはうちに滞在していたが、ずっと部屋に引き籠っていた。

父さん達にはしばらくそっとしておいた方がいいと言われた方が、やはりほっとくわけにはいかなかった。

でも、俺や姉さんが訪ねても部屋から出てこなく、ほっといてくれと言われるばかりだった。

それでも数日経つと、やっと部屋から出てきたが、ほとんど寝ていないようで目にはうっすら隈が出来ていた。

母さんが得意の料理を使った魔術でマリーを半ば無理やり眠らせる事で、どうにか体調は元に戻った。

精神的にはまだダメージが残っているようだけど。

 

カルデアは一時的に草薙家が管理する事になり、マリスビリー所長は幽閉状態だ。

と言っても、今回の処置は法政科としてではなく草薙家とアニムスフィア家の契約に基づく処置なので、近いうちにアニムスフィア家には返還されるしマリスビリー所長も時計塔からは厳しい刑罰を受けるわけじゃない。

草薙家は、飼っていた動物が亡くなってから使い魔にする事や、単純な動作を行う戦闘用の機械人形や礼装に疑似人格を持たせる事は認めているが、どんな目的であれ人工的に生命を作るホムンクルスについての製造を許していない。

勿論、これは草薙家本家や分家と言った身内だけの事で、他の魔術師達がホムンクルスを生み出す事には無干渉だ。

だからこそマリスビリー所長がマシュ・キリエライト達を生み出していた事には、特に制裁を加えていない。

そもそも、マシュたちはデザインベビーであり、正確にはホムンクルスではない。

だが、マシュ・キリエライト達を使って行っていた人体非道な実験の数々が草薙家の逆鱗に触れた。

 

人理保障機関カルデアを設立する為には多額の資金が必要だった。

設立の出資金は国連以下各国からの援助と大多数がアニムスフィア家からの出資となっている。

けど、それは表向きの話。

実際には草薙家が大多数を出資し、残りの数割をアニムスフィア家と各国が負担した。

それだけではなく、技術提供やカルデア設立の為にアトラス院との仲介役までこなした。

そこまでやったのに、今回のマリスビリーの行為は草薙家に泥を塗るに等しい行為であった。

 

とまぁ、草薙家とカルデアの関係について兄さんから講義を受けたわけだが、俺としてはそんな事よりもマリーの方が心配だった。

そんな時、俺とマリーは父さんに呼ばれた。

 

「私は明日カルデアに向かい、マシュ・キリエライトへの面会を行う。健人、オルガマリー、ついてくるかい?」

「分かりました。行きます」

 

マシュ・キリエライトがどんな子か会ってみたかった俺は即答したが、マリーは返答をせず考え込んでいる。

 

「……少し、考えさせてください」

 

そう言ってマリーは部屋と戻って行った。

父さんは少しだけ眉をひそめて俺へと向き直った。

 

「さて、健人。お前には少しマシュの事を話しておこうか。オルガマリーは既に知っている事だからな」

 

父さんはマシュの事を話してくれた。

マシュはカルデア、マリスビリー所長が人間と英霊を融合させる実験の為に、魔術と遺伝子工学など現代医学を組み合わせた生み出したデザインベビー、ホムンクルスと似たような存在。

と、ここまでは既に兄さんから聞いていた。

けど、ここから先はマリーは知っていて、俺が知らなかった事実。

 

「マシュに残された時間は、あと8年ほどしかない」

「えっ?」

 

父さんから言われた意味がすぐには理解できなかった。

ホムンクルスやデザインベビーだから短命と言うわけではない。

そんなのいくらでも調整できる。

だけど、マシュは生まれながらに英霊融合実験の為に非人道的な実験や投薬を繰り返していった結果、肉体的寿命が極端に短くなったというわけだ。

最初から短く作られた可能性もあるが、とは父さんの推測だ。

 

「どうにかならないの?」

「無論、その手の者を数名派遣したが、芳しくはない。今回の英霊融合実験の負担を軽減し、寿命を数年伸ばすのがやっとだそうだ」

 

医療系魔術や医療が得意な草薙家所縁の者でも、完全には救えなかった。

それはつまり、誰にもマシュの寿命は治せないという事。

 

「この事がオルガマリーを更に追い詰めているのだろう。自分の父の所業への罪悪感、マシュが子である自分にも恨みを抱いていると思い込んでいるのだ」

「それは…」

 

考えすぎ。と言いたかったけど、俺はマシュに会った事がなく、性格的にどんな子かも兄さん達から聞いていない。

なので、安易に大丈夫とマリーには言えない。

 

「私から言えるのは、そもそもマシュは人を憎んだり嫌うという負の感情をよく分かってない。あの子はまさに無垢な子供だという事だけだ。あとは当人同士の問題だろう」

 

暗に俺にマリーのフォローしろと言っているけど、言われずともそのつもりだ。

それにしてもマシュか、名前の通りマシュマロみたいに可愛い子なんだろうな……マシュマロみたいってなんだよ。

 

 

「マリー? 入るぞー」

 

マリーの部屋に入ると、彼女はベッドに寝転がり頭から毛布をかぶっている。

 

「マリー、服が皺だらけになるぞ」

「それ、慰めにきた人がいうセリフじゃないわよね」

 

マリーは毛布に包まったまま睨んできた。

和ませようとしたのだが、逆効果だったようだ。

 

「……ねぇ、マシュ・キリエライトは私を憎んでいると思う?」

「さぁな。俺はマシュに会った事はないしな」

「父さんがやった事は魔術師としては当然の事。けど、」

「はぁ、まぁいいわ。健人にそんな気遣い出来るなんて思っていないし。それに、私は大丈夫よ。こんな事で落ち込んでなんかいられないわ。お父様がああなら、私がしっかりしないと」

「さっきまで大泣きしてたのに切替早いな」

「ま、まだ大泣きまではしてないわよ!」

 

まだ、ね。

 

「でも、あなたの顔見たら、ここで塞ぎ込んでも仕方ない。そう思ったのよ。ホント、能天気な顔よね健人は」

 

これは、馬鹿にされているのだろうか。ま、いいか。ともかくマリーは大丈夫そうだ。

完全には吹っ切れていないけど、マシュには会わなきゃならないとは理解しているみたいだし。

 

「何その俺は全てわかってるぜ、的な顔は。言っておくけど、健人は私の事を分かっているつもりでしょうけど、それ以上に私の方が健人の事良―くわかっているのよ。どうせマシュ・キリエライトって名前通りに可愛い子かどうか気になって会うのが楽しみなんでしょ?」

「えっ? 何、マリーっていつから魔術師の道諦めてエスパーになったんだ?」

 

どっかの学園都市にでも留学するつもりなのだろうか。

 

「誰がエスパーよ! それに普通の魔術の腕なら健人より上なんだからね!」

 

マリーの魔術師の才能は高い。俺も魔術は使えるけど、普通というかこの世界の魔術の腕で言えばマリーの方が上だ。

でも、単純な戦闘ならマリーにも他の魔術師にも負けないけどな。

まだ修行段階だけど、草薙の秘術も沢山あるし。

 

ともあれ、俺とマリーはカルデアのある北極へと向かう事になった。

実はマシュに会うのは第一の楽しみなのは間違いけど、カルデアではなく北極に行く事も楽しみだったりする。

修行の名目で父さんや兄さんに連れ立って世界中を回った事はあるけど、北極はまだ行った事ない。

出来れば北極クマと戦ってみたいなぁ。

ドラクエⅥの世界で色々な職業を経験して魔術や剣術だけじゃなく、格闘術もかなりのものになったから北極クマに試してみたい。

北極へ向かうヘリの中でそんな事を考えていると、マリーから睨まれた。

 

「ねぇ、健人? まさかと思うけどこれから行くの北極と思ってないわよね? 私達が向かっているのは南極よ? それに本来ならカルデアの場所は隠匿されていて最重要機密事項だって事も忘れないでよね?」

「……orz」

「そこまで北極じゃないのがショックだったの!?」

 

やっぱりマリーはエスパーだと思う。

 

 

南極の山脈に貼られた結界の中に建てられた巨大地下工房、人理継続保障機関フィニス・カルデア。

マリーは何度か来た頃があるけど、俺は初めてやってきた。

科学的にも魔術的にも厳重に張られたセキュリティを通過して、カルデア内へと入った俺達を出迎えたのは2人の男性。

1人は白衣を着て軽薄そうな、一見頼りにならなさそうだけど追い込まれるとなんとか頑張って土壇場でドジをやらかす、悪意のない元凶、そんな感じがする。

 

「ようこそカルデアへ、草薙天藍様、オルガマリー嬢。そして、そちらは?」

「我が息子、健人だ。後学の為とオルガマリー共々マシュの話相手になればと、連れてきた」

「なるほどなるほど。それは彼女も喜ぶでしょう。初めまして、草薙健人君。私はここの所長代理をやらせていただいているレフ・ライノールだ」

 

そういって俺に手を差し伸べてきた緑のスーツにシルクハットを被り、人がよさそうな愛想の良い笑みを浮かべてる男、レフ・ライノール。

近未来観測レンズ「シバ」の開発者で、人理の為に尽くす目的で活動している魔術師。

のはずだが、どうも中身はどす黒いゴミクズのような、絶対に信頼も信用もしてはいけない感じがする。

あと、絶対コイツはカツラを被っている。

 

「よろしく」

 

まぁ、そんな事を思っているとは微塵も出さずにこちらも笑顔で握手に応じた。

勿論、手には気付かれないように精神汚染対策の為に魔術防壁を張っている。

それは向こうも同じようだけど、こんなの当たり前だしね。

 

「やぁ、草薙健人君。僕の名前はロマニ・アーキマン、ロマンと呼んでくれ。ここでは医療部門のリーダーで、彼女の専属医でもある。よろしくね」

 

白衣を着たロマンは、一見軽薄そうで頼りにならなさそうだけど、追い込まれるとなんとか頑張って土壇場でドジをやらかす悪意のない元凶、そんな感じがする。

 

「さてと、私はレフと話があるので、先にマシュの所へ行っていなさい。ロマン、2人の案内は頼んだよ」

「分かりました。それじゃ、2人とも行こうか」

 

こうして、俺とマリーはロマンに連れられてカルデア内を進んでいった。

 

 

「さ、この先にマシュがいるよ」

 

ロマンに案内されて入った部屋は、部屋と呼べるものではなかった。

広い空間の中に、外からも中からも丸見えなガラスで仕切られてベットとテーブルと小さい棚がある小部屋があるだけ。

その中でマシュと思われる少女がいて、こちらを見ていた。

部屋にはいくつも監視カメラがあり、上にはまるで小部屋を監視しているかのようなモニタールームがある。

ここはまるで。

 

「まるで監獄ね」

 

マリーも同じような事を思っていたようだ。

 

「これはマシュの為でもあるんだ。彼女は英霊を宿してはいるが、その能力も真名も明らかになっていない。その英霊がいつまた暴走するか分からない。そして、暴走すれば彼女の寿命にまで影響を及ぼすかもしれない。そうならないためにもモニタリングする必要があるんだ」

「そんな事、あなたに言われなくても分かっているわドクター・ロマニ。マシュ・キリエライトに関するデータは全て閲覧済です」

「……はい」

 

マリーに冷たく突き放されても、ロマンは苦笑いを浮かべるだけだ。

対応慣れしていると言うか、大人だな。

 

「ほら、行くぞマリー。マシュが不思議がってるぞ」

「……ふぅ~、えぇ、行きましょう」

 

深呼吸をして、マリーはマシュがいる部屋のドアを開けた。

 

「あの、どなた、ですか?」

「初めまして、マシュ・キリエライト。私はオルガマリー・アニムスフィア、「ガマちゃんと呼んで♪」 そう、私の事はガマちゃんと呼んで♪……って誰がガマちゃんよ!」

 

――ドンッ!

 

ツッコミ代わりにガンド撃たれた。

余裕でかわせたけど、壁に穴あいた。

あれ? 凛といい、ガンドって物理攻撃だったかな?

 

「マ、マリスビリー君。落ち着いて落ち着いて」

「ふぅー、ふぅー……はっ!? コ、コホン」

 

マシュがキョトンとして、俺とマリーの顔を交互に見て、ポンと手を打った。

表現が古いなぁ。

 

「ドクター、分かりました。このお2人は漫才コンビの方なのですね」

「違うわよ! なんで私と健人が漫才コンビに見えるのよ!」

 

今のやり取り見てたら漫才コンビに見えるよなぁ。

 

「ちょっと、健人! あなたのせいで色々台無しじゃない!」

「あーそうだな。マシュ・キリエライト、俺の名前は草薙健人、健人でいいよ。こっちのやかましい美少女がオルガマリー・アニムスフィア。ついでにマリスビリー所長は彼女の父だよ。よろしくな」

「び、美少女って……さらりと言わなくても、いいじゃない」

 

漫才コンビのフォローとして美少女と言ったのだけど、通じたようで良かった。

 

「健人さんとオルガマリーさん、お2人は先輩ですか?」

「「えっ?」」

 

いきなり先輩と言われて、俺達は顔を見合わせた。

先輩、かぁ。そういう呼ばれ方はした事ないな。

まともな学校には行ってないし、時計塔だって先輩後輩って呼ぶ風習はないしな。

でも、なぜにマシュは俺とマリーを先輩と呼んだのかな?

ロマンが何か言いたそうだけど、元凶はお前か?

 

「あーマシュ。俺もマリーも先輩って言うのとは違うぞ。あっ、マリーはマシュにとってはお姉さん、と言えるのかもな」

「ちょっと、また余計な事言わないの」

「なるほど。私はマリスビリー所長によって生み出されました。ですからオルガマリーさんは、私のお姉さんに当たるのですね。でしたら、お姉さん、とお呼びすればよろしいでしょうか?」

「うっ」

 

マシュに悪気も何も全くない。

本心からマリーを姉と呼ぼうとしている。

そんな無垢な瞳で見つめられ、マリーも否定も拒絶も出来なかったようだ。

と言うか、ちょっとその気になってない?

顔緩んでるぞ?

 

「あははっ、なら健人君はお義兄さんって呼ぶべきかな?」

「なっ!?」

 

ん? なんで俺がお兄さんになるんだ?

マリーも少し顔を赤くして驚いてるし。

でも、お兄さんか……兄さんや姉さんはいるけど、そういえば親戚に年下いないな。

妹と言えば、ターニアは可愛かったなぁ。

ちょっとポッツが羨ましかったし。

 

「健人さんは、お兄さん?」

「うぐっ!?」

 

うぉっ、結構破壊力あるな。

マリーがニマニマするのも分かる。

 

「マシュ、出来れば兄さんって呼んでくれないか?」

「はい、分かりました、兄さん」

「よしっ! OK! マリーは姉さん、俺は兄さんって呼んでくれ、マシュ!」

「はい。よろしくお願いしますね、兄さん、姉さん」

「「~~~~っ!?」」

 

あーなんか癒されるなぁ。

 

「2人とも、顔がとけてるよ。まぁ、マシュとこんなに早く打ち解けたのは良い事、だね」

 

こうして、俺とマリーに妹が出来た。

ただ、この後俺とロマンはマリーからガンドどころか様々な攻撃魔術の嵐をくらった。

勿論、俺は全部かわして被害は全部ロマンだけだったけど。

 

 

続く

 




とりあえずマシュの立ち位置が決定。
マシュは藤丸のヒロインですからね。
クリプターの扱いが非常に迷っている今日この頃、いっそ2部完結してから書けばよかったかな……ま、いっか(ォイ
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