『おはよう』
俺は母さんにそう告げた。
『あら、おはよう。朝ごはん作ってあるから食べちゃって。私はもう出るから』
母さんは俺にそう言った。最近は忙しいのか、俺が起きたころにはもう家を出る手前だ。
『今日も帰りが遅くなるのよ。お金置いておくから、これで適当に食べておいて。』
そう言って1000札を俺に渡すと、母さんは慌ただしく玄関へ向かった。
『行ってらっしゃい。お仕事頑張ってね。』
そう俺が言うと、母さんは笑顔で『ありがとう』と言って家を出た。
俺もご飯を食べて学校へ行こう。そう思って食卓に戻る。
テーブルの上にはわかめと豆腐の入った味噌汁と白いご飯が置かれていた。
『いただきます。』
俺は誰もいない家の中で、一人朝食を食べた。
『ごちそう様。そろそろ学校行かなきゃだな。』
時計は7時半を示していた。学校についてからやることもあるから、少し早めに出よう。
俺は足早に学校へ向かっていった。
今日は日直を任されている。早めに行って朝の仕事を片付けなきゃいけない。
『決闘だ!!決闘しやがれ!!!』
近くの公園でそんな声が聞こえた。
この世界には武器を持つ人、魔法を使う人が幾千といる。そんな奴らが互いに戦うことを『決闘』なんて呼んでいる。
これは不思議なことじゃない。いろいろなところでよく見る光景、それだけ当たり前の光景なんだ。
その決闘に興味を持ち、人が何人も公園のほうに足を運んでいく。
俺はその決闘は見に行かず、学校へと向かった。
俺は決闘が嫌いなんだ。
学校に着き、職員室へ向かう。朝の仕事は、日直当番が書くその日のクラスの様子をまとめる日誌を受け取りに行くだけだ。
『すみません。入江です。日誌を受け取りに来ました。』
俺が職員室でそう言うと、すぐに眼鏡をかけた担任の先生が渡しに来てくれた。
『今日は入江君でしたか。はい、これ日誌です。ちゃんと書いてくださいね。』
そう言って進藤先生は日誌を渡してくれた。
『ありがとうございます、進藤先生。失礼します。』
そう言って俺は職員室を出る。
自分のクラスに向かおうと2階への階段に足をかけたとき、後ろから声をかけられた。
『少しいいかな。そこの君。』
その呼びかけに、少しなれなれしく感じながら応じる。
『はい。何でしょうか?』
振り向くと同時に、少しおどろいた。
そこに立っている人は、俺から見てとても綺麗に映ったからだ。
『ああ、急にごめんね?道を尋ねたくて...』
そう言ってその人は頭を掻いていた。困り気味に笑う顔を見て改めて感じた。
とても可愛らしい、と。
『い、いえ、大丈夫です。それで、どこを探しているのでしょうか。』
緊張からか少し上ずった声で返答してしまい、少しだけ恥ずかしく感じながらも詳細を聞く。
『職員室を探していてね。何分始めて来たから場所がよくわからなくてね...』
そう言った。その人は相変わらず困り気味に笑っていた。
始めて、ということは転校生か何かだろうか。
『そういうことでしたら、案内しますよ。困ってるみたいですし。』
そういうと目の前の彼女は花が咲くかの如く、満面の笑みを浮かべた。
『ありがとう!!たまたまとはいえ、君に出会えてよかった。』
そう言ってもらえると嬉しい反面、少し照れ臭くも感じた。
その言葉に『気にしないでください。』と返す。
『いやぁ、幸先のいい出会いができたよ。私は紅。有村(ありむら) 紅(べに)という。君はなんて言うんだい?』
紅...髪の色とは真逆の色だな、なんてことを思いながら返答する。
『俺は入江 桜(いりえ さくら)。よろしく。有村さん』
この出会いが、俺のこれからを良くも悪くも刺激的にするとは思いもしていなかった...
名前:入江 桜(いりえ さくら)
性別:男
年齢:13
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とりあえず、一話目です。本編でまだ書いていないのですが主人公は中学生です。次回の更新はいつになるか未定ですが、できるだけ早い更新をさせていただきたいと考えていますので、気長にお待ちいただけると幸いです。