友と紡ぐ物語   作:紅蓮帝王獄炎烈火覇王エル・ドラード

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2話 1つの申し出

『俺は入江 桜(いりえ さくら)。よろしく。有村さん』

そう自分の名前を名乗る俺の前に、有村さんは先ほどのように微笑んだ。

 

『桜君というのか!良い名前だな。』

そんなことを言いながら彼女は俺の名前を褒めてくれた。

女のような名前で好きな名前ではなかったのだが、こう褒められると悪い気分ではない。

 

『ありがとうございます。それで、職員室でしたね。案内するのでついてきてください。』

幸いこの学校の職員室は一階にある。自分も先ほど行ったばかりだし、そんなに距離はない。

 

 

『おお!ありがとう!!このお礼はそのうちさせてもらおう。ところで、少し聞きたいことがあるのだが、良いかな?』

そんなことを言いながら、有村さんは問いかけてきた。

 

『桜君。唐突で申し訳ないのだが...』

 

その言葉は、この世界ではよくあることで

 

『学校をわりに、私と...』

 

その申し出は、普段から聞きなれているものだった。

 

『『決闘』をしないだろうか』

 

そんな、戦いの申し出だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『突然どうしたんですか?決闘だなんて...』

唐突で驚いた。まあ、受ける気はないが、理由くらいは聞いてみる。

 

『なに、大した理由はない。せっかくなので決闘を通して仲良くなれれば、といったところだ。』

確かに、昔の不良漫画のように戦って仲良くなる。といった話は聞く。

だが、俺は『決闘』というものが嫌いなのだ。だから、この申し出は断らせてもらおう。

 

『申し訳ないですが、お断りさせていただきます。』

 

『そうか。まあ急なことだったからな。突然こんなことを言ってすまない。』

そういった彼女は、少し悲しそうな顔をしていた。

 

 

 

『あっ、ここが職員室です。』

程なくして職員室の前までついた。

 

『ああ!礼を言おう桜君。ありがとう!』

そう言ってから彼女は職員室に入っていった。

案内をしているうちに結構時間がたってしまったようだ。まだ時間はあるが、教室へ向かおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室に入るとすでに何人かの生徒がすでに教室内で談笑していた。

自分の席に着いたところで、一人の男が話しかけてきた。

 

『よお!おはよう、桜!!』

そんな挨拶とともに、俺と8年の付き合いになる友人、『四宮 鍵(しのみや けん)』が席の前までやってきた。

 

『おはよう、鍵。なんか用か?』

 

『冷たいこと言うなよ。僕とお前はもう8年の付き合いになるんだぜ?ただの雑談だよ。話そうぜ?』

そう言って鍵はにこにこ笑っている。まだ時間もあるし、俺も暇を持て余すところだったから応じよう。

 

『わかったよ。わざわざそんな風にいうなら、何か面白い話題でもあるのか?』

 

『ああ!とっておきの話題だ!!実は昨日、女の子を拾ったんだ!!金髪の!』

.....少し、理解に時間がかかった。何を言ってるんだ?女の子を?拾った?

 

『何を言ってるんだ?変なものでも食ったか?』

 

『いや、そんなんじゃないさ。僕はただ、明確に、事実を伝えているだけだ!!!』

こういったふざけた話を、こいつは結構するんだ。だが、それにしては主張してくる。

 

『そうなのか。それは一大事だな。どういう経緯かわからないけど、がんばれ』

 

『驚くくらい雑だな!!まあいいや、頑張るよ。あ、そういえば昨日のあのテレビ番組見たかー?』

適当にあしらったらほかの話題になった。やっぱ冗談だったのか。

そこからは、他愛のない雑談をして朝を過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『朝のHR始めるぞー。』

そんな進藤先生の言葉で、朝のHR(ホームルーム)は始まった

 

 

『えー、突然ですが、今日はこのクラスに新しい仲間が加わります。』

その言葉にクラスのテンションは燃え上がった。

転校生、おそらく朝倉さんのことだろう。

 

 

『はい、静かにしてください。進みませんので』

その言葉で、少しではあるがクラスは静まった。まあ、すぐ騒がしくなると思うが。

 

『それでは入ってきてくださーい』

そんな先生の言葉を合図にドアが開かれ、彼女が姿を現した。

白い髪をなびかせ、堂々と歩くその姿はとても凛々しいものだった。

そして、彼女は大きく声を上げこう言った。

 

 

『初めまして!私は有村 紅という!!みんな、仲良くしてくれ!!!!!』

 

 

その挨拶はとても堂々としていて、それでいて元気さを感じるものだった。




名前:朝倉 紅(あさくら べに)
性別:女
年齢:13

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