でも続けられる自信はない。
相談があると屋上に呼び出されて不動高校2年、金田一一は浮かれていた。
屋上へと目の前を歩く少女、佐伯琴音は金田一と同学年の美少女である。
身長が150届くかどうかの低身長ながら制服の上からでも判る大きな胸は幼馴染みの七瀬深雪に匹敵するのではないだろうか。
セミロングに伸ばされた髪は美人というより可愛らしい、男から庇護欲のそそられそうな顔立ち。
性格はおとなしめだが、暗いということはなく、交友関係は広くもないが狭くもない。
強いて言えば男子とは少し距離を置きがちな少女ではある。
家も父親が大手企業の重役らしくそれなりにお金持ちのお嬢様という話だ。
これまでクラスが離れていたこともあり、接点もなかったのだが、それが今日、水曜日の放課後になって突然話があると体をもじもじと恥じらう様子で話しかけて来て今に至るのだ。
(やべえ! とうとう俺にも春が来ちゃったか! でも俺には深雪が────)
だらしなく頬を弛ませる金田一。
それでも幼馴染みの少女に操を立てようとする辺りが彼の一途さを垣間見える。
屋上に着き、中心まで歩く琴音。
「ごめんね、金田一君。突然ついてきて何て言って……」
「いや、それはいいけどさ。話って何?」
態度で平静を装いながらも頭の中で告白されたらどうしよっかなーなどと呑気に考えている。
しかし、そこで琴音の様子がおかしいことに気づいた。
彼女は恐怖を圧し殺すように震える自分の体を抱きしめ、顔を俯かせている。
そうしていなければこの場で崩れ落ちてしまいそうな程に精神的に弱っているように見えた。
「こんなこと、突然言っても信じてもらえないと思う。でも、もう貴方にしか、頼れる人が居ないの……!」
その目からは涙を落ち、くしゃくしゃになった顔で彼女は懇願した。
「お願い、金田一君……わた、し……私を、助けて……!!」
止まらなくなった涙を何度も拭いながら、佐伯琴音はそう、助けを金田一一に求めた。
これが彼にとってこれまででもっとも不可解な事件へと関わる幕開けだった。
○月×日 月曜日。
この日記のページを見た貴女はとても混乱していると思う。
でも、どうか落ち着いてほしい、火曜日の私。
今、貴方に起こっていることをこの日記で伝えることはできない。
けど、これから貴女にとても大変なことが起きることは覚悟しておいてほしい。
もしその時に自分1人ではどうにもならない事態が起こったら、金田一一君を頼って。
最初は信じてもらえないかもしれないけど、彼はとても頼りになる人だから。
だから、彼を信じて、全てを話して。きっとこれからの貴女に心強い味方になってくれる筈よ。