おっす聖真だ。グリフィンに入社して二ヵ月経ったぜ…指揮官になる為の訓練や講習を受けつつ朝の鍛錬を始める。剣の腕を鈍らせる訳には行かないからな。丁度いい感じの丸太を見つけては斬る。
「…ふぅ」
居合の構えを取り鍔を弾き振り抜く…
「斬った」
確かな手ごたえを感じ鞘に納める。それと同時に丸太は真っ二つではなく四等分に崩れる。中々良い感じだったな。朝食の時間だし食堂に向かうか。
「朝の鍛錬お疲れ様です。ご主人様。タオルでございます」
「おうありがとうさん…ちょっと待って?いたの?」
「はい、最初から」
「…凄いな気配を感じなかったぞ」
「これもメイドの嗜みでございます」
「いやいや違うでしょ!?ていうか俺まだ指揮官じゃないから見習いだからね!?」
G36というメイド…彼女と会ってからこんな関係である。訓練から数日後に部屋に入り込んでくるとか色々凄かったよ。流石にまずいと思って追い出そうしたけど滅茶苦茶美味い緑茶入れられたら追い出せねえや。相方のユーリにはウォッカ渡していたし賄賂かな?
それから、朝を起こしてくれるわ飯を用意するわで…お世話されてる。ついでに妹も手伝っている。なんでだろうな?その辺はヘリアン女史に聞くとするか
早速、食堂に向かういい匂いがする。けどな…
「米がねえな…」
そうっ‼米が無い‼圧倒的な欧州人の比率故に米が流通していないのだ‼幸いにも緑茶があるのだが…悲しい…それもそうかここ日本から結構遠いし
「あぁーパンが美味い‼」
「お前まさか煽っていないよなー?米が食ってない俺に対する煽りじゃえねぇよなー?」
「ちょ、待って…そんなに米が食わないとキレるの?」
「…すまん。別にパンが嫌いな訳ではないが…文化の違いというか」
「まぁしょうがねえよ。俺はウォッカがあれば十分だが」キュポン
「って朝から飲んでじゃねえ!?」
己の肝臓を殺す気か!?こいつは!?
「あー今日は暇か…どうすっかなー」
今日は定休日。ユーリは補給班の手伝いに行ってる…ユーリからウォッカを取り上げて部屋に戻しておいた。それから外のベンチで何か考えていると
「ご主人様」
「あらG36か」
「ヘリアン様がお呼びです」
「そりゃどうもじゃあ行くか」
ついでに聞きたい事もあるし
「それでは私はこれにて失礼致します」
G36はメイドらしく礼をして部屋を後にした。ヘリアン女史はそれを見届けてから話始めた。
「鬼怒聖真。君は仕事を依頼したい」
「それは俺の初仕事と?」
「そういう事だ。君はV1地区の指揮官として任命する…と言いたい所だが」
「何か問題でも?」
「実は前任が居るんだが…問題があってだな」
「何、ブラック指揮官?」
何でもそのV1基地は人形たちの扱いが酷いらしい。内偵に向かわせた社員との連絡が途絶えていた。そこで俺を向かわせる事になったらしい。
「貴官は短期間であるが十分な指揮能力を持ち…あのG36に信頼されている事から推薦された」
「少しお待ちを…彼女はやはり何かあったんですか?」
「…あぁ」
話を聞いた限り…彼女は別の基地で問題を起こしたらしい。というのも指揮官側に問題があったらしい。妹にG36Cに対してセクハラ紛いな事をしていたらしくそれだけではなく他の人形にもしていたらしい。それなりのイケメンだが性格は最悪だったらしい…おまけに肉体関係を持とうと迫ったらしい。我慢の限界に達したG36はエラーコードを省みず平手打ちをかました。
平手打ちされた指揮官は事実を隠蔽しG36を更迭し解体しようとした。しかし、事前に本社に事実を知られていたのでお縄になったそうだ。しかし、問題はそこではない。G36はそれ以降、どの指揮官にも信用しなくなったという。彼女自体は練度が高く解体するには惜しい存在だったが、そんな時に俺が来て、何回か訓練をした結果、俺は彼女から信頼を得られたようだ。特に変わった事はしていなんだがな
「…話は戻すが貴官にはとある部隊を支援に寄こす」
「その部隊とは?」
「現場に到着してから連絡する」
「…了解」
これ以上は聞くなという事だな。まあいい、さてさて仕事の準備でもしますか。刀は勿論、銃もだ。お世辞に得意とは言えないが必要だな。P320を整備して決行日まで待機する。
side G36
私や大切な妹を邪な眼で見る人間は多く見てきた。どれも醜く悍ましさを感じた…いくら人形でもそんな人間の命令なんて聞きたくなかった。普通なら解体されてもおかしくない。けど練度が高い事が幸いして妹と共に本部で待機となった。そんなある日、一人の日本人男性に出会いました。最初は彼の演習として指揮を受けましたが、中々警戒心が高い方でした。曲がり角や死角をカバーするなど慎重で、奇襲を多用するなど大胆な指揮でした。ヒットアンドウェイ…それがそのお方の戦い方…以前の指揮官に比べ実に好感を持てました。
日常生活でも私達のふれあいに特に邪な思考は見受けられませんでしたね。G36Cも彼に信頼を寄せています。彼は私達の二人をある意味人形と見ていません。このお方なら…「ご主人様」と言える…この人ならきっと…
ただ、最近AR小隊の一員と仲が良いと噂を小耳に挟んでいるので少々気掛かりですね…さてご主人様はそろそろ緑茶を所望する時間ですね。後でお持ちいたしましょう。
これが私が望んでいた未来かもしれませんね…