魔法科高校の劣等生 零の物語   作:Touli

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今話が入学編の最終話になります。
長かった。(まだまだ、これから)




入学編 XVII

5月になった。

今日は、紗耶香の退院の日。

達也と深雪と一緒に4人で一緒にお祝いに病院を訪れた。

そこには・・・

「あれは、桐原先輩ではありませんか?」

紗耶香は既に、入院着から、普段着に着替え、エントランスホールで家族や看護師に囲まれている。

その輪の中で、紗耶香の隣で談笑のに加わっている桐原の顔は、照れ臭げであり、また少しばかり浮かれ気味のようにも見えた。

「随分親しげですね」

一連の騒動の発端となった「剣道部乱入事件」の顛末は、深雪も当然知っている。

その当事者である2人があそこまで親しげにしているのは、確かにちょっと変な感じがした。

「桐原先輩、毎日来てたんだって」

何の前触りもなく掛けられた声に振り向いていると、エリカがつまらなそうな顔で立っていた。

「ちぇ、やっぱり、驚かすのは無理かぁ」

「いや、驚いたぞ。桐原先輩がそんなにマメな性格だったとは」

「そっちじゃない!」

無論、達也も分かった上で話しているのだが。

「フンだ。そんな風に性格悪いコトばかりやっているから、さーやにもフられちゃうのよ」

「エリカ、そう言ってやるな。性格が悪いコトばかりやっているんじゃなくて、本当に性格が悪いんだから」

フォローを入れると見せかけてのカウンターパンチ。

「・・・」

お、おいスルーかい

「エリカちゃん、『さーや』ってもしかして、紗耶香ちゃんのこと?」

余談ではあるが、あやなも先輩の女子は真由美ちゃん、摩利ちゃんと呼ぶのがデフォである。

「んk?そうだよ」

「随分親しくなったのね」

「任せて」

おどけるようにして言うエリカ。

「それよりいいのか、今日は退院をお祝いに来たんだろう?」

「ああ、そうだな。壬生先輩」

「司波くん!来てくれたの?」

少し、ビックリした顔で、ちょっと意外だと、表情で語りながら、驚きもまた喜びの中に溶かし込んで紗耶香は満面の笑みで達也を迎えた。

「退院おめでとうございます」

深雪が両手に抱えていた花を渡す。

女子高生同士のお喋りか一歩引いたところで、相槌役に徹していた達也と陸久に壮年の男性が声をかけてきた。

「君たちが司波君と零令君かね。私は壬生勇三、紗耶香の父親だ」

「初めまして、司波達也です」

「初めまして、零令陸久です」

 

「2人には感謝している」

「自分はなにもしていません。壬生先輩を説得したのは妹と千葉です」

「入院中に先輩の力になったのは千葉と桐原先輩です。結局自分は先輩に何もできていません」

「いや、今回のことは娘から一通り聞いたよ。司波君の話を聞いて『久しぶりに迷うことを思い出した』と言っていた。それと、千葉さんが『自分を娘と引き合わせたのは零令くんだ』と言っていたんだ」

「エリカのやつ・・・」

「君達は風間に聞いた通りの男なのだな」

「・・・風間少佐をご存知なのですか?」

「私は既に退役した身だが、兵舎で起居を共にした戦友だよ。歳も同じでね。未だに親しくさせてもらっている」

「っ!」

勇三の記憶が視えた。とても、濃密なそれでいて過酷な日々が。

「どうかしたかね?」

「い、いえ」

「・・・そうか、君は零の魔法師だったね」

「は、はい。申し訳ありません。」

「フッ、謝ることはない。今日は君達に感謝を伝えに来たのだから。本当にありがとう」

そう言って、返事を待たずに勇三は妻のところへ戻っていった。

「あっ、司波君、零令君。お父さんと何を話していたの?」

「俺たちが昔お世話になった人が、お父上の親しいご友人だった、という話をしていたんですよ」

「へえ、そうなの」

「ええ、世間さ狭いですね」

「達也くんとさーやってやっぱり深い縁があるのね。」

そこへすかさず絡んでくるエリカ。

「ねえ、 さーや。どうして達也くんから桐原先輩に乗り換えちゃったの?達也くんのこと、好きだったんでしょ?」

「チョ、チョッとエリちゃん?」

2人は余程気が合うんだろうな。

「エリカ、貴方今日は調子に乗りすぎよ」

「エリカちゃん、絶好調だね」

深雪とあやなの言葉なんて気にも留めない。

「ルックスだけなら、達也くんの方が上だと思うんだけどな」

「つくづく失礼な女だな、お前」

「ドンマイ。桐原先輩、男は顔じゃないよ」

「・・・マジに泣かしたろか、コイツ」

「まあまあ。それで、さーや、やっぱり決め手は、まめまめしさ?不器用な男の優しさって、グッとくるよね?」

紗耶香の顔は耳まで赤くなっていた。

「うん・・・・・・司波君に恋をしていたんだと思う・・・・・」

「おおぅっ?」

紗耶香の告白に、一番目を白黒させていたのは何故か、エリカだった。

「あたしが憧れた揺らぐことのない強さを持っていたから。でも憧れると同時に怖かったんだと思う。あたしがどんなに一生懸命に走っても

司波君にはきっと、追いつけない。司波君みたいになるには、あたしはずっと走り続けなくちゃいけなくて、多分、どんなに走っても、あんな風に強くはなれない・・・。いっぱい力になってもらった司波君には失礼な言い方だと思うけど、そう思ったわ」

「分かる気がするよ。達也くんには確かに、そんな風に思わせるところあるね」

「桐原君は・・・・・・まともに会話したのは、お見舞いに来てくれた時が初めてだったけど、多分この人なら、喧嘩しながらも同じ速さで歩いてくれると思った。・・・・・・だからかな」

「・・・ごちそうさま」

おちゃらけた言い方ではあるが、同感である。

「ねえ、桐原先輩は?いつからさーやのこと好きだった」

「・・・・・うるせー女だな。別に良いだろ、そんなこと。お前にゃ関係ねえ」

「そうだぞ、エリカ。いつからなんて、関係ない。大切なのは、桐原先輩が本気で壬生先輩に惚れているということだ」

「なっ!おまっ?」

「へぇ・・・・・・」

「詳しいことはプライバシーにも関わってくるから言えないが・・・・・・。ブランシュのリーダーを前にした桐原先輩の勇姿には、男として叶わないと思ったな」

「そっか・・・・・・。ねえ、達也くん」

「なんだ?」

「後でコッソリ教えてね」

「千葉、テメエ!司波も、喋りやがったら承知しねえぞ!」

「喋りませんよ」

「えーっ、いいじゃない。」

「この(あま)ぁ」

「そうだ、陸久くん人の記憶をみれたよね?それを見せてもらうことってできない?」

「できるかできないかで言えばできるよ」

「じゃー、お願い!明日のお昼奢るから!」

「・・・手を打とう」

「てめー、零令」

その場に笑いが生まれた。

「それでは、そろそろ失礼致します」

深雪の挨拶でその場後にした。

「俺たちは学校に戻るが2人はどうする?」

「ああ、あとから行くよ。まだ、用事が残っているんだ。」

「?わかった。」

「それでは、また後で。陸久さん、あやな」

達也と深雪は学校へ戻った。

俺は端末を取り出し電話かける。

「もしもし、陸久さん。」

「亜夜子か、司一含めブランシュの情報助かったよ。ありがとうな」

「いえ、お役に立てたのなら光栄です。」

「文弥にもよろしく言っといてくれ」

「分かりました」

「2人とも頼りにしてるよ」

「ありがとうございます。失礼します。クレセント」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




『クレセント』というのは三日月のことです。
正確に言うと新月から半月までのことを指します。
陸久とあやなが四葉預かりになった時に、黒羽姉弟たちと一緒に活動してた時の名前です。亜夜子の『ヨル』文弥の『ヨル』みたいな。
この名前にしたのも、ストーリーを考えてのことなので楽しみにしていてください。自由に妄想してくださいw
本当は、月にしたかったんですが、満月、フルムーンってダサいですよねww

次回から、九校戦編に入ります。
お盆休みなので時間があるんですよ。

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