ジードライブ!~進むぜ!未来!!~   作:キータ

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最近、特撮系TRPGのGMに駆り出され、すっかり更新が遅くなってしまいました。


11話 UTZ~ウルトラ・ティーチャー・ゼロ~(1)

「今思えば、あのファーストライブの会場にみんなが居たんだなんて、何か運命を感じるよね」

「ええ……確かにあの日はショックでしたが、今にして思うと、みんなと巡り合うために必要だったんですよね」

「うん、あの時やって良かったって今は思うよ。」

 

穂乃果、海未、ことり。3人にとってファーストライブは今でも忘れられない思い出だ。

だが嫌な思い出なんかではない。あの日に感じた無力さも、達成感も、全てが今の自分たちを突き動かす原動力となっているからだ。

 

「そういえば、その応援してくれた子にはあの後会えたの?」

「ああ。リトルスターが消えて不思議な力も無くなったんだって。でもウルトラマンの力になれたからいいんだって喜んでたよ。それに、夢は自分の力で叶えるんだって」

 

真姫に尋ねられ、陸は手にしたセブンカプセルを手に答えた。

 

(少年から大切な夢を託してもらったんだ、僕も頑張らないとな!)

 

陸がカプセルを見つめながら物思いに耽っていると、

 

『さて、そろそろ俺の番だな!』

「先生……じゃなくてゼロ!?いきなり何?」

 

音ノ木坂高校アイドル研究部顧問、伊賀栗 令人――の身体を借りたウルトラマンゼロが突然口を開いた。

 

『全部のデータを入れるんなら、俺のデータも入れておかないとな!』

「そういえば、先生とゼロの出会いを聞いたことがなかったですね」

「えりち、気になる~ん?」

「な、何よ、その顔」

 

希が分け知り顔で絵里をからかう。絵里はそれを誤魔化そうとするが顔が紅くなっている。

 

『ん?俺と令人が出会った時か?あれはな……』

 

 

 

~~~

 

 

 

クライシス・インパクトの後、俺は故郷のM78星雲に戻って傷を癒していた。

俺は普段、故郷とは別の宇宙"アナザースペース"で仲間のウルティメイトフォースゼロと共に戦っていたんだが、ベリアルとの戦いで負った傷を癒すために久しぶりの里帰りになったんだ。

本当はアナザースペースにもベリアル軍の残党が残っていたが、俺が次元を越えるために必要なウルティメイトイージスはベリアルとの戦いで大きく傷つき、帰還が先延ばしになったという事情もある。

 

だがそんなある日、光の国に数体のダークロプスが送り込まれてきた。

俺や親父達はそいつらの迎撃に向かったんだが、それこそが敵の陽動作戦だった。

その間にまんまと宇宙科学技術局に潜入した敵は保管されていたウルトラカプセルを強奪した。

ウルトラカプセルはそれ1つで戦況を覆しうる強大な力だ。

それが何者か知らねぇが、悪の手に渡ったら何に利用されるか分かったもんじゃねぇ。

その後の調査で、敵はこの宇宙に逃げ込んだことが判明した。

 

突然のダークロプス出現とウルトラカプセルの強奪。

しかも犯人の逃亡先はベリアルが消息を絶った宇宙。

俺は言い知れぬ不安を覚えた。

この事件の裏にはクライシス・インパクトの爆発に消えたはずのアイツがいる。

確証はないが、アイツとの因縁がはっきりと俺に告げていた――行かねばならない!と

 

俺は破損したウルティメイトイージスを身に纏い、どうにか次元を越えて再びこの宇宙にやって来た。

だが、やはり損傷した状態での次元移動には無理があった。

結果、次元跳躍は到着時間に十数年の遅れが生じてしまった。

そしてイージスは完全に破損し、ブレスに戻って使えなくなっちまった。

いつか直してやるつもりだが、それは今も後回しだ。

 

「久しぶりだな、キングの爺さん……」

 

眼前には先の戦いで決戦との地となった地球がある。

地球を見ていると、クライシス・インパクトの瞬間が嫌でも蘇ってくる。

 

(あの時、俺にもっと力があればキングの爺さんもこんな事には……いや、今は感傷に浸っている場合じゃねぇな!)

 

俺は気合を入れ直した。

キングの爺さんが護り抜いた宇宙を悪党の好きにさせるわけにはいかねぇからな。

 

早速調査を開始しようとしたところに、地球から助けを求める声が聞こえてきた。

その声の元に向かうと、俺が目にしたのは逃げ纏う街の人々。そして見知らぬウルトラマンとダークロプスが戦っている光景だった。

 

(この地球にウルトラマンが!? だが戦い方がなってねぇな、新米か?このままじゃやられちまうじゃねえか……仕方ねぇ、力を貸してやるか!)

 

俺はピンチの新米に切りかかろうとするダークロプスを蹴り飛ばすと、大地に降り立った。

 

『あなたは?』

 

背後から声が聞こえた。

俺の名前か?……仕方ねぇ、名乗る程の者ではないが、名乗ってやるか!!

 

『俺はゼロ、ウルトラマンゼロだ!』

 

まぁここから後は陸の回想通りだ。

俺は颯爽とダークロプスを倒し陸を救った。

そして陸がその場から逃げた後、俺は見たんだ。

戦いの衝撃で崩壊したビルの瓦礫から子供を救おうとした……んだが、不幸にも偶然足元にあったバナナの皮で足を滑らし車道に飛び出し、さらに不運なことにたまたま突っ込んできたトラックに引かれてしまった男の姿を!

 

 

 

~~~

 

 

「……もしかして、それが令人先生?」

『ああ!』

「もうちょっとドラマチックな展開を期待していたんやけど……」

「ちょっとゼロさん!?勝手に人の情けない話を暴露しないでください!」

 

自分のドジを教え子にバラされて恥ずかしくなったのか、令人の意識が突然前に出てきた。

 

『いいじゃねぇか、もう過ぎたことだろ?』

「良くないです!」

 

傍から見ると、令人が眼鏡を掛けたり外したりしながら一人芝居をしているようにしか見えないが、実際には令人とゼロが意識を切り替えながら言い争いをしているのだ。

ちなみに意識の切り替えで眼鏡を付け外しするのは、どちらが話しているのか見た目で分かるようにして欲しいというアイドル研究部からの要望があったからだ。

 

「それで、先生がトラックに轢かれた後はどうなったんですか?」

 

言い争いを続ける2人に花陽が質問した。

 

『ああ、それでな……』

 

 

~~~

 

 

令人がドジ……じゃなくて、不慮の事故でトラックに引かれ瀕死の重傷を負った。

だが、身を挺して子供を助けようとした勇気に懐かしいダチの事を思い出して、コイツは死なせちゃならねぇ!って思ったんだ。

だから俺は病院に担ぎ込まれた令人の精神に語り掛けた。

 

『おい……おい!』

(はい!? あなたは……?)

『俺はウルトラマンゼロ。光の国の戦士だ。何があったか覚えているか?』

(何があったか?……そうだ、僕はトラックに轢かれて……)

『ああ、お前は重傷を負った。このままいけば、じきに死ぬ』

(ええ!?そんな……)

『だが安心しろ。俺が助けてやる。俺達ウルトラマンは身体を一体化することで、その傷を癒すことが出来る。そして今の俺も地球上では長く活動が出来ない。だから地球に滞在するために、お前と一体化するのは都合がいいんだ。まぁ要するに、Win―Winの関係だな!』

(はぁ……?良く分からないのですが、助けてくれるんですね?真由と瑠美奈さんに、また会うことができるんですね!?)

『ああ!これからよろしくな!』

 

こうして俺と令人は一つになった。

だけど令人の奴、傷が治った途端に目を覚ますと、時計を見るや「遅刻だーっ!」って言って、驚く医者の爺さんや看護師の姉ちゃんを放って病院を飛び出して行っちまってよ。

 

そして向かった先がここ、音ノ木坂高校だった。

それから職員室で教頭とかいう偉そうな奴に何か言われた後、令人は自分の席に座った。

 

『どうした?』

「教頭先生に怒られたんです。『到着が遅れるならキチンと連絡しろ!怪獣が出た後だから心配しただろ!』って……」

『あ、そう』

「はい……え!?何か声が聞こえる!?」

『そうだよ』

「えっ!?何これ、気持ち悪!?」

 

令人は気味悪がって耳を塞いでみるが、俺は直接お前の脳に語り掛けているから意味ないぞー。

 

『おいおい……俺はウルトラマンゼロ。俺とお前は今、一心同体になっているんだよ。病院でも言ったろ?』

「あー……あれ、夢じゃなかったんですね!」

『夢じゃねぇよ!その証拠に胸の内ポケットにある物見てみろ』

「え?……何だこれ?」

 

令人がジャケットの内ポケットからメガネ型の変身アイテム――ウルトラゼロアイを取り出した。

いつもだったらウルティメイトブレスに収納されているんだが、破損している今、親父に倣ってみたわけだ。

 

「伊賀栗先生、何1人でぼそぼそ喋っているんですか?もう授業始まっちゃいますよ」

「あっ、本当だ、急がないと!」

『授業?お前、学校の先生だったのか?』

「そうですよ……って、いけない。もう行かないと!」

 

令人は駆け足で教室に向かうと、始業ベルが鳴るギリギリに着いた。

生徒の1人が授業に遅れかけた令人をからかうが、そういう事には慣れているようで、軽く受け流すと早速授業を始めた。

 

(しかし学校とは懐かしいな。俺もガキの頃に80先生から色々習ったっけ……まぁ、大抵はサボろうとして大目玉を喰らったんだが。……ん?)

 

俺は窓際の男子生徒が授業を聞かずに居眠りしてやがるのに気づいた。

 

(令人は気づいていないようだし……しゃあねー、俺がお仕置きしてやるか!)

 

俺は令人の体を借りると、手にしていたチョークを投げつけた。

 

「痛ぇ!?」

 

チョークは放物線を描き男子学生にヒットすると、ブーメランの様に手元に帰ってくる。

男子生徒は何が起こったのか分からず困惑していた。

 

『おい!俺の授業を聞かねぇで昼寝するなんざ、2万年早いぜ!!』

「おおおおーーー!!」「先生すげぇ!」

 

俺が決め台詞、もとい注意をすると一部始終を見ていた他の生徒たちから拍手喝采を浴びた。

生徒の心を鷲づかみ……俺って実は教師の素質があるのかもな!

 

(ちょ、ちょっと何しているんですかゼロさん!?)

『何って、授業を真面目に聞かない生徒に教育的指導をだな』

(だからってチョークを投げたら駄目ですって!それと勝手に体を使わないで下さいよ!!)

『わかったよ、ほら』

「!? 戻った!……えー……授業を続けます」

 

令人は気まずそうにしていたが、その日から令人の授業で居眠りしようとする奴は誰もいなかった。

 

その授業の後も、廊下で走る男子生徒達を見かけては(その生徒を高速で追い抜き)説教し、階段を踏み外して落下しそうになった女子生徒を(結果的にお姫様抱っこで)助け、休み時間には生徒とスポーツで親睦を深め(何故か最終的に1対全員だったが)、いつの間にか下校の時刻となっていた。いやー、大変な一日だった。

 

「……大変だったのは僕ですよ。ゼロさんが何かする度に僕が誤魔化したんですから」

 

令人が何かぼやいている。でも生徒から人気が出たんだからいいじゃねぇか。

そして俺たちは下校する生徒と共に学校を出た。

 

『これからどこに行くんだ?家に帰るのか?』

「違いますよ、秋葉原駅です。学校の傍にある繁華街ですから、帰宅前に立ち寄る生徒が多いんですよ。だから生徒が何らかのトラブルに巻き込まれない様に、定期的に駅周辺の見回りに行くんです」

『へぇ、先生って大変なんだな』

「見回りが終わったら一度学校に帰りますよ。報告書を書かないといけないので」

『……本当に先生って大変なんだな』

「言っときますけど、ゼロさんが日中いろいろやってたおかげで、明日用のプリント作成も終わってないんですからね」

『スマン。今度から緊急時以外は身体を借りないようにする』

「お願いしますよ……あれ?」

『どうした?』

「いや、あそこにいるのウチの生徒みたいで……高坂さん?」

 

令人の視線の先には確かに音ノ木坂の制服を着た少女が3人いた。しかもガラの悪い男達に絡まれていやがる。何やらトラブルに巻き込まれているようだ。

それにしても情けねぇ。周りで何人も通り過ぎているってのに、誰も見て見ぬふりで助けようとしやがらねぇ。

だがそんな状況で、令人は躊躇わず生徒と男達の間に割って入った。

 

「何だお前は?」

「私はこの子たちの学校の教師です。ウチの生徒が何かご迷惑をお掛けしましたか?」

「『何かご迷惑を?』じゃねぇよ!こいつら、アニキの足を踏んでおいて謝りもしやがらねぇんだよ!見ろ、アニキの靴に傷が付いちまったじゃねぇか!弁償しやがれ!」

 

令人が振り向いて後ろにいる生徒3人に事情を聞いた。

怖かったのだろう。すっかり怯えていやがる。

 

「あの人たちが言っていることは本当かい、高坂さん?」

「違うんです先生。確かに急にいなくなったりっ君、いえ朝倉君を追いかけようとしてぶつかったのは本当です。でも足は踏んでません」

「そうなんです。でもあの人達いきなり『弁償しろ!』って言ってきて……」

「そんなの無理だって言ったら、私達を無理矢理連れて行こうとして……」

「なるほど、分かったよ」

 

令人は3人にそう言うと男たちに向き直って、

 

「生徒たちの失礼はお詫びいたします。ですが、これ以上騒ぎにするのであれば警察を呼びましょう」

 

毅然とした態度でこう言った。

いや態度には出さないようにしているが、内心ではずっとビクついている。

生徒を護るために勇気を振り絞っているだけだ。

 

(……やっぱり、こいつを選んで正解だったみたいだな)

 

おっと、手下の1人が胸ぐらを掴んできやがった。つまり緊急時ってことでいいよな!

 

『令人、身体を借りるぞ!』

 

俺はそう言うと、令人の静止を無視して胸ぐらを掴んでいる手下の腕を振り払った。

急に雰囲気が変わったことで動揺する男たちに俺は言い放った。

 

『おい、そこのお前。ウチの生徒はやってねぇって言ってるぞ。言いがかりつけんな!』

「テメェ……やったな!」

 

男たちがキレて殴りかかってくる。それを華麗に躱し、受け止め、アクロバティックな動きで翻弄する。

数分後、男たちは全員地べたに這いつくばっていた。

そしてアニキと呼ばれていたリーダーっぽい奴に近づくと、思い切り足を踏んづけてやった。

 

「ぐはぁ!?」

『いいか、足を踏まれるっていうのはこういうのを言うんだよ。分かったか!』

「わ、分かった、分かりました!」

「へっ!俺に喧嘩売ろうなんざ、2万年早いぜ!!」

 

俺が裏ピースと共に決め台詞を言うと、周りから拍手が起こった。

何かデジャヴだな……と、それより生徒の安全確認だな。

 

『大丈夫だったか、お前ら?』

「はい!令人先生ってすごく強かったんですね!」

「ホント、びっくりしました」

「危ないところをありがとうございました」

 

3人に礼を言われていると、「お巡りさん、こっちです」と声が聞こえくる。どうやらさっきの騒ぎで誰かが警察を呼んだらしいな。

 

『お前らは早くここを離れろ。面倒なことになる前にな』

「えっ?でも……」

『いいから、とっとと行きな!』

「「「ありがとございました!」」」

 

3人は改めて礼を言うと、駆け足でこの場を去った。

さて、あとは警察をどう誤魔化すだけだが……ホイッ!

 

「うわ、ゼロさん!?何で急に戻るんですか!?」

『後は頼んだぞ、令人先生。……俺、昔から警察が苦手でな』

「ちょっ!?そんなぁ~……」

 

その後やって来た警察官に事情を聞かれたが、令人が動揺しまくっていたせいで余計な疑いをかけられた。

だが周りで見ていた人たちが俺達の正当防衛を主張してくれたおかげで何とか切り抜けることができ、男たちも逮捕されていった。




~キャラ設定~
ウルトラマンゼロ
ご存じセブンの息子にして光の国の若き最強戦士。
銀河伝説から登場して早10年。その間にたくさんの後輩を助けてきましたが、力をお借りしてみると何とも動かしやすいキャラだこと!これは引っ張りだこになるのも納得です。
設定もテレビ本編から大きく変わりませんが、ブレスなしの現状でも使える能力はどんどん使っていきたいと思ってます。
ジード本編でも前作主人公的な立ち位置でしたが、本作でも追い越すべき目標として陸を引っ張ってくれることでしょう。
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