ジードライブ!~進むぜ!未来!!~   作:キータ

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今回からにこ編に突入です。タイトルはご想像の通りオーブのオマージュですが、アニメ本編も某アニメオマージュでしたね。
それにしてもZが面白すぎて、参考にしようと観てると作業が止まってしまいます。


16話 大変!ニコが来た!(1)

「そういえば、かよちんが眼鏡やめてコンタクトに変えたのもこの後だよね」

「うん。まずは見た目から今までの自分を変えようと思って」

「……もう見た目だけじゃないわよ」

「? 真姫ちゃん何か言った?」

「べ、別に何も言ってないわよ!」

 

1人の少女が入部するための勇気を持つまでの騒動が、結果的に宇宙人の侵略計画を砕き、地球人と宇宙人が星を超えた友情を結ぶことになった。

何とも壮大なお話だが、それもまた私たちアイドル研究部らしいと真姫が考えていると、誰かが勢いよく立ち上がった。

 

「さて、いよいよ今度は私の番ね。仕方ないわね~!レム、しっかりと聞いておきなさいよ」

 

我らがアイドル研究部部長、矢澤にこである。

口では面倒くさそうに言ってはいるが、内心話したくてうずうずしているのが態度で丸わかりである。

 

「そういえば、にこの時も大変な目にあったな」

 

だが、にこがレムに自分が如何にすごいアイドルなのかを語っている内に、陸が話を進めてしまった。

 

「こら!勝手に始めるな!」

「そうそう、たしか最初は……」

「だ~か~ら、勝手に話を始めるなー!!」

 

 

 

~~~

 

 

 

ある日、早朝に怪獣ムルチが出現した。

μ‘sの朝練に行く支度をしていた僕は、急いで退治に向かった。

市街地から離れた場所に出現したこともあり、周囲に気兼ねなく投げ技で一気にムルチを追い詰める。

 

『トドメだ!レッキングバーストォォオオオ!!』

 

必殺の光線がムルチに直撃し、爆発が起こる。

 

『お疲れさまでした、陸』

「楽勝、楽勝!急いで帰れば朝練に間に合うな」

「陸、調子にのりすぎだよ」

 

ペガに忠告されたが、実際に楽勝だったのだからいいじゃないか。これでまたジードの人気も上がるわけだし。

僕は朝練に間に合わせるため、急いでそこから飛び立った。

だがこの時、倒されたムルチの体の破片を謎の魔法陣が回収していることに僕らの誰も気がつかなかった。

 

 

 

神田明神が見えた。待ち合わせ場所には既にことりが来ていて朝練の準備をしている。

待たせたら悪いし、今日は花陽たち1年生が行事で早く登校しないといけないので、練習に参加出するのは2年生の僕らだけで他人に見られる心配はないだろう。

そう判断した僕は変身を解いてそのまま神社の隅に着地した。

 

「おはよう!早かったな、ことり」

「おはようりっ君!それより気を付けないと、また私たちのように誰かに見られちゃうよ」

「この時間なら僕ら以外に誰もいないし平気だろ」

「そうかなぁ……ッ!?」

 

僕と準備運動をしながら話していたことりが急に後ろを振り向いた。

何かあったのか尋ねたが、ことり自身もよく分からなかったらしく首を傾げた。

そこに階段下からこちらに走ってくる足音が聞こえてきた。たぶん穂乃果だな。

 

「ごめん、待った?」

 

予想通り穂乃果が息を息を切らせて駆けてくると、遅れてきたことを謝った。

 

「いや僕らも今来たところ」

「海未ちゃんは弓道の朝練があるんだって…ッ!?」

 

ことりが急に話を打ち切って再度後ろを振り向くと、今度はジーッと周囲を伺っている。

 

「ことりちゃん?」

「さっき、後ろに誰かいなかった?」

「後ろ?」

 

言われてことりの後ろを注意深く見ると、確かに何かがお社の影に隠れるのが見えた。

間違いない、誰かいる。

 

僕と穂乃果は正体を確かめようと壁伝いにこっそりと近づき、そいつのいた場所に飛び出した

だがそこには人の影も形も見当たらない。

僕の気のせいだったのか?いや、穂乃果も気づいたんだし誰かがいたのは確実だ。まさか宇宙人かと警戒を強める。

その時、何かの物音が聞こえた。僕は音のした方へ向かうと、建物の角に差し掛かると突然何者かに足首を掴まれた。

 

「うわっ!?……なんの!!」

 

そのまま体が宙を舞ったが、咄嗟に両手を地面に着けてどうにか受け身を取った。

これでもウルトラマンをやっているのだ。そう簡単に無様を晒すわけには……

 

「きゃあ!?」

「ぐわぁ!?」

 

だが後ろを走ってきた穂乃果は突然倒れた僕に反応できず躓いてしまい、そのまま背中の上に倒れ込んできた。さすがに僕も不安定な体勢では穂乃果の体重を支え切れず、押しつぶされてしまった。

背中に当たる柔らかな感触は男子的に大変嬉しいのだけど…………い、いや、このままでは身動きが取れないよな。

 

パシャッ

 

カメラのシャッター音が聞こえた。何だか分からないけど、すごく嫌な予感がする。

 

「ほ、穂乃果、早くどいてくれ。このままじゃ重くて動けない」

「ひっどーい!これでもちゃんとダイエットしているん…だから……」

 

僕の文句に穂乃果が猛抗議するが、何かの気配に気づき横を向くと口を開けたまま固まってしまった。

僕も同じ方を見ると、そこにいたのはグラサンにマスク、手にはカメラの様に構えたスマホ、そして初夏に差し掛かろうというこの季節に不釣り合いな長いコートを着て身を隠す典型的な不審者だった。

僕も穂乃果もその姿に唖然としていると、不審者は僕らのおでこにデコピンを喰わらせた。

 

「痛ぇ!?」

 

あまりの痛みに額をおさえた。涙目になって隣を見ると、穂乃果が仰向けになってひっくり返っている。

 

「穂乃果ちゃん、大丈夫?」

 

すぐさまことりが穂乃果に駆け寄るが、ことりも不審者の存在に気づいて唖然としてしまう。

不審者は僕たちを見やると、

 

「あんたたち、とっとと解散しなさい!さもないと秘密をばらまくわよ!」

 

そう言い捨てて神社から走り去った。

 

「今の……誰?」

「さあ……?」

 

理解の追い付いていない僕らを残して……

 

 

 

 

 

「ウルトラマンのことがバレたかもしれない!?」

「しーっ!声が大きいって」

 

登校後、教室で僕と穂乃果がおでこに絆創膏を貼っている理由を海未に聞かれ、朝練での出来事を海未に話した。

突然大声を挙げた海未にクラスのみんなの視線が集まり、それを笑って誤魔化す。

幸い話の内容は聞こえていなかったようで「いつものことか。」とみんなも特に気には留めなかったようだ。

 

「それで本当なんですか?」

「バレたかどうかは分からないけど……」

「解散しなきゃ秘密をばらすって……」

 

そう。僕らへの脅しに使うような秘密なんていったらそれしかないよな。

もし世間にばらされたりでもしたら……

あれ?どうなるんだ?

新聞やテレビがたくさん押しかけてきて、もしかしたら学校の良い宣伝になるんじゃ?

 

「ウルトラマンの正体がりっ君だってバレたらどうなるの?」

「……間違いなく陸は学校に居られなくなりますね。そしてそのまま政府の研究機関に連れて行かれて研究材料に……」

「世間では公表されてないけど、宇宙人を捕まえる組織ってあるみたいだからね」

『はい。違法滞在した宇宙人を取り締まる組織が秘密裏に存在するのは事実です。』

 

穂乃果の質問に海未が想像力豊かに答え、星雲荘にいるペガとレムが通信で裏付けるように補足してきた。

え!?僕、連れて行かれてどうなるの?

嫌な想像で不安が募る僕に対し、

 

「大丈夫だよ。最悪でも一生モルモットで殺されたりしないと思うから」

「嫌だぁぁあああ!!!」

 

ことりがフォローのつもりなんだろうけど、さらりと笑顔で怖いことを言った。

不安が頂点に達した僕は思わず叫ぶと椅子から勢いよく立ち上がった。

クラスのみんながまた僕らの方を注目したが、それを笑って誤魔化すと「またあの4人か」とさっきまでやっていたことに戻った。

……僕らのクラス内での評価がどうなっているのか気になるところだが、それは置いておいて、冷静に考えると気になることがある。

 

「なぁ……どうしてあの人はμ‘sを解散しろなんて言ってきたんだろう?」

「たしかに……その不審者が敵でしたら『これ以上我々の邪魔をするな!さもないとお友達諸共、銀河の果てまでブッ飛ばすぞ!』とか言いますもんね」

 

今日はことりも海未も発想がバイオレンスだな。

特に海未、その言い回しはどうした?

ふと2人の机の上を見ると、伏井出先生の新作“星空のアンビエント”が置かれている。

なるほど、これの影響か……

でも確かにそうだ。あれが敵の宇宙人だったら、ウルトラマンだとばらさない条件がμ‘sの解散というのはやっぱりおかしい。

案外、あの不審者はかなり身近にいるのかもしれない。それはそれで大問題だけど……

 

「じゃあ、秘密を知った人は悪い人じゃないの?」

「それはどうか分かりませんが、少なくともμ‘sの活動を快く思ってはいないようですし、当分の間は警戒した方が良いでしょう。私たちも周囲に気を付けるように。」

「おおー!なんだか本物のアイドルみたい!」

 

穂乃果は呑気に喜んでいるが、海未が言うように警戒するに越したことはない。

僕はその日1日心が落ち着かないまま放課後を迎えた。

 

 

 

 

 

「それではメンバーを新たに加えた新生μ‘sの練習を始めます!」

「それ何度目だよ、穂乃果?」

「だってだって嬉しいんだもん!6人だよ6人!マネージャーも入れれば7人!」

 

1年生の3人が入部して以来、穂乃果は毎日この調子で開始前には必ず点呼を取ってはメンバーが6人になった喜びを噛みしめている。

それは海未やことりも同じようで、その中に入れないのはちょっと寂しい気もする。まぁ僕はμ‘sのメンバーではないのだから仕方ないのだけど……

1年生たちも一緒に喜んだり感心したり、呆れたりとそれぞれの反応を示すが、それ以上におでこに貼ってある絆創膏のことが気になるようだ。

 

「先輩たち、おでこのそれどうしたんですか?」

 

真姫が代表して聞いてきたので、僕らは今朝の出来事を話した。もちろん秘密云々に関しては伏せて。

3人にも当分は周囲に気を付けるように忠告したが、

 

「でも、それくらい有名になってきたってことだよね!」

 

凛はポジティブにそのことを受け止めたようだった。こういうところは穂乃果と似ていると思う。

 

確かに1年生の加入でランキングが上昇したおかげでμ‘sの知名度は上がってきている。

今朝の不審者が宇宙人ではないのだとしたら、μ'sを早いうちに潰してしまおうと考えるライバルの刺客なのかもしれない。ドンシャイン第10話に出てきた意地の悪い先輩アイドルの手先みたいに。いやそうに違いない!だったらマネージャーとしてみんなを守らなきゃ!

とドンシャインと劇中と同じシチュエーションになったことで僕の気分が昂っているところに、

 

「それより練習早くしましょう。どんどん時間無くなるわよ。それと朝倉先輩、心の声が駄々洩れです」

 

真姫がなかなか練習を始めようとしない僕ら――僕に対してはジト目で冷静なツッコみを入れた。

え!?僕、心の声を口に出してたの?

 

「まったく……そのやる気を練習に向けて下さい。あなたは私たちの練習を管理するのが仕事でしょ!」

「た、確かに……それにしても真姫やる気じゃないか」

「べ、別に!私は早く終わらせて帰りたいの!」

 

真姫は顔を赤くして否定するが、

 

「陸先輩!真姫ちゃんがお昼休みに秘密特訓しているのを凛、見ちゃいました!」

 

凛から思わぬ援護射撃が飛んできた。それにしても秘密特訓か。練習していることを他人に知られないようにするあたり真姫らしいな。

 

「あ、あれはただ……そう!ステップを変えようとしていたの!この前のじゃ、あまりにも酷過ぎるから」

 

真姫が照れ隠しに苦しい言い訳をするが、それを聞いて本気で凹んでいる人がここに1人。

 

「そうですか……あのステップ、私が考えたのですが………」

 

海未的にはあのダンスの振り付けはかなり良い出来だったらしく、それを酷評されてすっかりいじけてしまっている。

そんな海未の心を反映したのか、急に空を雨雲が覆い始めた。

 

「降ってきちゃったな……」

 

屋上への扉越しに外の様子を見ると、とても練習できる天気ではなかった。

最近はジード関連のニュースしか気にしていなかったから忘れていたけど、数日前に梅雨入りしたってそういえばニュースで言っていたな。

 

「仕方ないよ、降水確率60%だったし」

「昨日は降水確率60%でも降らなかったよ!」

 

今日の練習は無理だとみんなも判断する中、練習を諦めきれない穂乃果は天気予報が当たったことに文句を言っている。

そんな穂乃果の願いが通じたのか、雨の勢いが少し弱くなった。

 

「やった!これなら練習できるよ!」

「まだこれから降るかもしれませんし地面だって……」

「テンション上がるにゃああ!!!」

 

海未の忠告を無視して穂乃果と凛が屋上に駆け出していく。

まだ小雨が降る中、凛は地面が濡れて滑りやすいのにも関わらず、見事なアクロバットを決めた!―――と同時に今年最大の豪雨となった。

 

「おーい、そこのお馬鹿コンビ。風邪をひくからとっとと戻ってこーい」

「うー……テンション下がるにゃー……」

「うん……でも、りっ君に馬鹿呼ばわりされたくないな。成績は私と似たり寄ったりじゃん!」

 

僕が2人分のタオルを用意して待っていると穂乃果はお馬鹿コンビと呼ばれたことにふくれた顔で抗議してきた。

でも仕方ないだろ。海未の忠告無視した結果こうなったんだから。それに僕はまだ赤点を取ったことはないぞ。

 

すっかりずぶ濡れになって戻ってきた穂乃果と凛にタオルを渡そうとした瞬間、僕は気づいた。

2人とも練習着が雨に濡れたことで体に張り付き、ボディラインがいつもよりくっきりと……

だがその時、いつぞやの様に視界がまた暗転した。

これは…まさか……

 

「ことり……手を放してくれないか?2人にタオルが渡せないだろ?」

「えへへ、ダ~メ!」

「陸、最低です」

 

ことりが目隠しを外すのを拒むと、いつもの柔らかな口調とは裏腹に目隠しをする両手に力が入った。もしかしなくても怒ってる?

海未も僕の目論見を察したのか静かに怒りを露にする。

いや確かに褒められた行為ではないだろうけど、僕だって年頃の男子なんだから仕方ないだろ!

 

「本当にこんな先輩たちでこの先大丈夫なの?」

「あははは……」

 

その様子を見ていた真姫の呆れ声と花陽の苦笑いが聞こえてくる。

 

「「?」」

 

当の2人は何が起こっているのかまるで分かっていないようだったが……

 

結局雨が止む気配は無くこの日は練習中止となり、部室も無い僕らは近くのファーストフード店で今後の方針を話し合うことになった。

 

 




~補足~
陸の1年生たちの呼び方が苗字から名前に変わりましたが、親しくなった人は全員下の名前で呼んでいるので入部後に自然と変わったと考えてください。
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