ジードライブ!~進むぜ!未来!!~   作:キータ

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お久しぶりです。ようやく続きを投稿できました。まさか書きかけ部分のデータを飛ばしてしまい、1から書き直す羽目になろうとは…やはりバックアップは定期的に取らないとダメですね


26話 習うぜ、ダンス(3)

建物を踏み潰しながらサンダーキラーが学校に迫ってきている。

誰もいなくなった通りで、僕は敵を見据えるとジードライザーを構えた。

 

「さあ、リベンジマッチだ!ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!決めるぜ、覚悟!ジィィィィド!!」

 

<ウルトラマンジード プリミティブ>

 

眩い光に包まれ、僕はジード<プリミティブ>へと変身、学校を背にサンダーキラーの前に立ち塞がった。

レムの分析によると、サンダーキラーは真っ直ぐ学校を目指して進んでいるらしい。

避難場所に指定されている学校には、大勢の人が集まっているうえにパニック状態だ。

絶対にここから先には行かせない!

 

僕は戦闘エリアを学校から少しでも遠ざけるために、サンダーキラーに突進し強引に押し戻した。

サンダーキラーは数歩後ろに下がって踏みとどまると、左の大爪で僕を攻撃してきた。

でもそう何度も同じ攻撃を食らってられない。僕はそれを右手で受け止めると、左手で張り手を数発、さらに得意のニードロップキックで反撃に出る。

前回は散々にやられたが、今度はこっちが優勢だ。このまま一気に……と思ったが、サンダーキラーが口から光線を放った。

でもバレバレだ。それに十分に躱せる距離だし……ッ!?

 

(マズい!?)

 

僕は光線を躱さず、咄嗟に体で受け止めた。

もし僕が避けていたら、さっきの光線は背後にある学校に直撃していたからだ。

光線をくらった痛みで膝をつきそうになったが、どうにか堪えてファイティングポーズをとる。

だがサンダーキラーは、僕が攻撃を躱さないと見るや、先ほどの光線を連射してきた。

僕はバリアを張ってそれを防いだが、徐々にひび割れていく。あまり長くは保ちそうにない。

 

(どうにかしないと、このままじゃ学校が……)

 

反撃の糸口を掴めず焦る僕は、サンダーキラーの尻尾が足元に迫ってきていることに気づかなかった。

尻尾に足を払われ転倒させられた僕はすぐに態勢を立て直そうとするも、今度は首に尻尾を巻き付けられてしまう。

 

『しまった!?』

 

気づいた時には既に遅かった。サンダーキラーの尻尾から高圧電流が流される。以前に戦ったエレキングを超える出力の放電が僕の体から自由を奪っていく。

 

『ううう……くそっ!』

 

どうにか尻尾を振りほどいて脱出しようしたが、サンダーキラーは放電したまま尻尾で強く締め付けると、僕の体を振り回して地面に叩きつけた。

その衝撃が周囲を揺るがす。今の揺れで被害が出たのか、学校からも悲鳴が聞こえてきた。

僕を嘲笑うかのようにサンダーキラーが鳴き声を上げる。

だが叩きつけられた衝撃と体の麻痺で指先1つ動かせなくなった僕にはもう、立ち上がる力が残されていなかった。

意識が朦朧とする中、僕が見たのは学校に光線を発射しようとするサンダーキラーの姿。

 

『やめろ……』

 

数秒後に現実となる最悪の光景を想像しながら、僕の意識は闇へと落ちていった。

 

(何も護れなかった……)

 

気がつくと、僕はただ1人、暗闇の中にいた。

何も護れなかった絶望に心が苛まれていると、闇の奥から声が聴こえてきた。

 

『…ッチニ…イ。コ…チ…コイ。こっちに来い、ジード』

 

声がする方を見ると、闇の奥でジードの目とよく似た形をしたオレンジ色の光が2つ、鈍く輝いている。

 

(誰だろう?でも、何だか僕は知っている気がする……)

 

僕はその声の方へ一歩ずつ足を進める。進むたびに闇が濃さを増していくが、あの光があれば迷うことなんて―――

 

「…く!陸!しっかりして!!」

「ぺガ?うわっ!?」

 

その時、ぺガの声が聴こえた気がした。

すると周囲が眩い光に包まれていき、僕は思わず目を閉じた。

次に目を開けると、僕の意識は現実へと戻っていた。

 

(あれ?僕はさっきまで一体……?)

 

どうやら意識を失い、夢を見ていたみたいだ。

僕はよろめきながら立ち上がった。まだ体の痺れは少し残っているけど、どうにか動けるくらいには回復できている。

 

「陸!良かった、気がついた。早く学校の方を見て!」

「学校……?そうだ、学校は!?」

 

ぺガの言葉にさっきまでの絶望的な状況を思い出し、恐る恐る学校を見た。

そこにあったのは破壊された学校……ではなかった。でも、驚くべき光景がそこにはあった。

なんとサンダーキラーの攻撃を、クリスタルのような形をした無数の光の結晶が防いでいたのだ。

突然のことにサンダーキラーが動揺していると、光の結晶は連なりあって学校全体を包み込んた。

それはまるで―――

 

「学校を護る鎧みたいだ……」

 

サンダーキラーが鎧に攻撃を試みるが全て弾き返されてしまう。

未だに状況が理解できない僕にレムから通信が入った。

 

『陸、屋上を見てください』

 

レムの言葉に従い屋上を見るとそこにはμ‘sのみんながいた。そしてもう1人―――

 

「あれは……生徒会長!?」

 

 

~~~

 

 

時間は少し前に遡る。

生徒会室から逃げ出した私―――絢瀬絵里は人気のない4Fの廊下にいた。

怪獣警報のサイレンが鳴っているけど、そんなのはどうでも良かった。とにかく1人になりたかったのだ。

そういう意味では、学校のみんなが避難して誰もいなくなったのは好都合だった。

怪獣が出たのに、わざわざ上の階に来る人なんていないだろうから。

私は壁にもたれ掛かると、そのまま膝を抱えて座り込んだ。

 

「一体何なのよ、この力は……」

 

生徒会室での出来事を後悔しながら、私は独り言ちた。

遂にやってしまった……。いつか誰かを傷つけるんじゃないかと恐れていたことが現実に……。

 

この力が目覚めたのは数日前―――登校中に怪獣が街で暴れた日のことだった。

あの日以来、自分に危険が迫ると触れる前に弾き飛ばす何かが発生するらしい。

それは自分に飛んできたボールとかでも起こるから、学校の中で隠すのには正に一苦労だった。

今日の練習中は念のため、星空さんの背中を押すのを代わってもらったくらいだ。

それなのにすべてが無駄になってしまった……

 

でも、これは私への罰なのかもしれない

意地を張り続けて、本当のことが言えず、心に壁を作ってしまった私への

そうだとしたら、もし本当の事を言えたらこの力は無くなるのかな?

 

「本当は私もあの子たちのように……なんて、口が裂けても言えないわね……」

 

自分の不器用さに、我ながら呆れてしまう。

こんな風になっても、意地を張り続けようとするなんてね……

 

私が自嘲していると、外から聞こえるざわつきが大きくなった。

気になって窓から外を見ると、怪獣が学校に向かって歩いてきているのが見える。

 

(いけない、早く逃げないと!)

 

私は念のため自分が居る階の教室を見て回ったが、逃げ遅れた生徒はいない。

この上は屋上だけど、彼女たちはもう帰っているだろうし大丈夫だろう。

そう思い私が階段を降りようとすると、

 

「誰か! 誰かいませんか!?」

 

誰かの声が聴こえた気がした。

まさかと思いつつ嫌な予感がして聞き耳を立ててみると、

 

「誰かいませんか!?」

「この声……まさか!?」

 

今度ははっきりと声が聴こえた。屋上からだ。そして私はこの声に聞き覚えがあった。

私は急いで階段を駆け上がると、閉じられた屋上の扉の反対側から、誰かがドンドンと扉を叩きながら助けを呼んでいる。

 

「誰かいませんか!?」

 

この声、やはり高坂さんの声だ!?

 

「落ちつきなさい! 何があったの!?」

「その声……生徒会長さん!?助けて下さい!扉が開かなくなっちゃったんです!」

「何ですって!?」

 

それを聞いた私は急いで扉を開けようとしたが、ビクともしない。

最近立て付けが悪くなっていたから、安全のために開けっ放しにしておいたのだけど、どうやら怪獣が歩く振動で偶然閉まってしまい、開かなくなってしまったようだ。

扉の向こうから「まだ開かないの!?」と泣き叫ぶ声が聞こえてくる。μ‘sのみんなは全員まだ屋上に居るようだ。

でも何故?練習はとっくに終わったのに?……大方、練習後に残って遊んでいたらこんなことになったのだろう。本当に仕方のない人たちだ。でも、だからといって放っておくわけにはいかない。

 

(とにかく、早くこの扉を開けないと!)

 

でも周囲には手頃な道具なんて無いし、それを探しに行く時間の余裕もない。

もう怪獣はすぐそこまで来ているのだから。

 

「みんな、すぐにそこから離れて!」

 

私は彼女たちに扉から離れるように伝えると、扉に体を勢いよくぶつけた。

ガンッと鈍い音が廊下に響き渡る。

でも扉は頑丈で、私1人の力ではビクともしなかった。

 

「お願い、開いて!」

 

でも諦めない!目の前の生徒を救えなくて何が生徒会長だ!

私は何度も、何度も何度も、体を扉にぶつけた。

 

「ハァ…、ハァ……」

 

しかし扉が開く気配は一向になかった。私の体力も、もう限界に近い。

だったら最後にありったけの力を込めた。

 

「開けって言ってんのよぉぉぉ!!!」

 

その時、体の内側からあの不思議な力が湧いてきた。

この力が何なのか、私には全く分からない。だけど今はそんなこと、どうだっていい!この扉の向こうにいる、みんなを救えるなら!

 

(お願い、私に力を頂戴!)

 

不思議な力に包まれた私の一撃は、遂に扉を吹き飛ばした。

突然扉が吹き飛んだことに彼女たちは驚きの声を上げたが、一緒に屋上に飛び込んできた私を見て、高坂さんが歓声と共に駆け寄って来た。

 

「すごい!すごい!流石、生徒会長さん!」

「……何で……」

「え?」

「何で練習終わったのに残っていたのよ!」

 

高坂さんが場違いにも浮かれていたので、私は思わず声を荒げた。

それが堪えたのか高坂さんはしゅんと項垂れた。

 

「私たち、早く上手になりたかったんです……。早く上手になって、生徒会長みたいに素敵なダンスができるようになりたかったんです!だから残って練習していたんですけど……怪獣が出て逃げられなくなって……ごめんなさい」

 

高坂さんが真剣に言うものだから、私はそれ以上何も言うことができなかった。

すると突然、後ろから声を掛けられた。

 

「やっぱりここにおったんやな、えりち」

「希!?」

 

驚いて振り向くと、いつの間にか屋上に希が来ていた。

何故ここに?と聞く前に、希は私に問いかける。

 

「なぁえりち?何で理事長が、えりちが学校を救うために“生徒会で”何かしたいって提案したのに認めてくれなかったんのと思う?」

「何よ、こんな時に……」

「こんな時やからよ……。ねぇ、何でやと思う?」

「そんなの、分からないわよ……」

「嘘。本当は分かっているんやろ。えりちが“生徒会として”や、“生徒会長として”何かさせて欲しいって頼むだけで、“自分が”何かをやりたいって頼んだことはないって……」

「……」

「だから理事長はいいって言えなかったんとちがう?えりちに、本当にやりたい事をやって欲しかったから」

「……」

「えりちはな、もっと自分に素直にならなあかんよ。この子たちに厳しく当たっていたのも、本当は羨ましかったからやろ?好きな事に、やりたい事にひた向きに突き進むこの子らが」

「そんな事、言われなくても分かっているわよ!」

 

私が突然大声を出したことに周りのみんなが驚いた。ただ一人、希を除いて

 

「……そんな事、分かっているわよ……」

 

そうだ、本当は分かっていた。分かっていて、私は自分に嘘をついた。

この学校を、音ノ木坂を守りたいって想いは本当だ。

だって、この音ノ木坂は大好きなお祖母ちゃんの母校なんだから。

だから生徒会長になれた時、本当に誇らしかった。この学校をよりよくしたいと思った。

でも……いつしかそれは、義務感となって私に重くのしかかった。

だから私は、“生徒会長として相応しい自分”を演じるようになった。

 

本当は学校のPRも、学校の歴史なんてお堅いものじゃなくて、もっと生徒がやりたい事をやっている活き活きとした姿を紹介したかった。この学校は、音ノ木坂は楽しい学校なんだぞ!と大きな声で伝えたかった。

でも、それは相応しくないと自分で否定した―――“生徒会長なんだから、もっと真面目な内容でやらないと“って。

理事長にはそれが分かっていたのだ。だから私の提案を却下し続けたんだろう。

 

この子たちの事もそう。

最初はただのお遊びのアイドルごっこだと思って馬鹿にしていた。お遊びだから、きっとすぐに音をあげるに違いないと思っていた。

でも違った。

この子たちは本当に好きな事だから、やりたい事だから、決して逃げ出すことはない。

たとえどんな壁があっても、それを乗り越えようとする。

生徒会長の義務感に雁字搦めにされていた私には、そんなあの子たちの姿は羨ましくあった。

だから余計に厳しく当たった。この子たちはお遊びで無責任だから楽しそうなんだ!と自分に言い聞かせるために。自分が真面目な生徒会長でいられるために。

でも、本当は―――

 

「私だって、本当はみんなのようにやりたい事だけをやっていたいわよ!責任とか、そんな事を全部放り出して……でも、そんなわけにはいかないじゃない!私は生徒会長なんだから!……だから思っても、言えるわけないじゃない……私もみんなと一緒にアイドルをやりたいなんて……」

 

自分が長い間―――もしかしたら生徒会長になってからずっと溜め込んでいたものを全て吐き出した。

感情のままに話したからか息が荒い。気がつくと、目から涙が零れ落ちていた。人前で泣くなんて何年ぶりだろう……

 

「やっと本音がでたね。まったく頑固者なんだから……」

 

その時、高坂さんの悲鳴が聞こえた。

 

「ああっ!?りっ……ジードが!?」

 

見ると、ウルトラマンが怪獣に敗れ地面に倒れていた。みんなが倒れたウルトラマンに声援を送っている。にこに至っては「なにやってんのよ、早く立ちなさいよ!」とまるで知り合いに喝を入れるみたいな口ぶりだ。でも、その声援も虚しくウルトラマンは立ち上がる気配はない。

怪獣が高らかに声を上げると、ゆっくりと学校に近づいてきた。

 

(このままじゃ学校が壊されちゃう。全部が無駄になるの?この子たちの頑張りも……)

 

私が絶望しかけたその時、希が手を取った。

また人を傷つけるを恐れた私は咄嗟に手を引こうとするも、希はそれを優しく包み込んだ。

 

「えりち、何も怖がることはあらへんよ」

「え?」

「えりちに宿ったこの力はな、大切なものを護るためにあるんよ。カードがそう教えてくれた」

「大切なものを護るために……」

「こんな時くらい、自分のやりたいようにやったらいいやん」

 

希の言葉で、私の頭の中にある言葉がよぎった。

それは彼が私に啖呵を切った時に言った言葉。そして彼女がファーストライブで私に宣言した言葉。

意味はちっとも分からないけど、不思議と自分を奮い立たせてくれるあの言葉。

 

「『ジーッとしてても、ドーにもならない』か……」

 

私は立ち上がると、今まさに学校を破壊しようと光線を発射しようとする怪獣を真っ直ぐ見据えた。

 

「もしこの力が大切なものを護るための力なら、私は護りたい。義務感でも責任感でもなく、それが私のやりたい事だから!あんたなんかに、私たちの大切な場所を壊させはしない!」

 

私が叫ぶと、それに呼応するようにあの不思議な力が全身から溢れ出した。

そして現れた結晶は光の鎧となって、怪獣の攻撃から学校を護ってくれたのだった。




~キャラ設定~
絢瀬絵里
音ノ木坂高校3年生で、生徒会長。そしてμ’sの常識人枠兼ツッコミ担当兼ハラショー姉さん
日本とロシアのクウォーターでスタイルが良く、本来の性格は明るく温和で社交的。
だからアニメ初期に見られたお堅い生徒会長時は、廃校寸前ということもあって責任感に押しつぶされそうになり、相当無理してたんじゃないかなぁと妄想を膨らませて書きました。
独自の関係性として、令人は1年生の頃の担任で慕っており(もちろん生徒として)、今でも生徒会で困り事があったら相談にのってもらっている。
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