ジードライブ!~進むぜ!未来!!~   作:キータ

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27話 習うぜ、ダンス(4)

突如現れた光の結晶。それは乱射されたサンダーキラーの光線すら、全て弾き返してしまった。

 

「生徒会長がやったのか!?でも、あれは一体……?」

『陸、絢瀬絵里からリトルスターの反応があります』

「生徒会長にリトルスターが!?」

 

レムの言う通り、生徒会長の胸に小さな星のような輝きがある。だけど、僕が目覚めるまで力を使い続けていたのか、生徒会長の顔は酷く苦しそうだった。

そこへサンダーキラーが散々光線を防がれ業を煮やしたのか、今度は大爪で直接攻撃を仕掛けてきた。結晶の鎧がそれを受け止めるも、

 

「きゃあっ!?」

 

鎧を維持する生徒会長の方が先に限界を迎え、結晶の鎧は大爪の一撃で遂に砕け散ってしまった。割れた衝撃で生徒会長が吹き飛ばされてしまう。護るものが無くなった学校に、サンダーキラーがもう一度攻撃しようと大爪を振り上げた。

 

『やめろぉぉぉ!』

 

僕は大爪が振り下ろされるよりも早くサンダーキラーと学校の間に割り込むと、両手でその大爪を受け止めた。大爪が掌に深く食い込み、両手から血飛沫が噴き出る。

 

『ぐぁっ!?……でも、絶対に負けるもんかぁぁぁ!!』

 

僕は火事場のクソ力とでもいうべき底力で、サンダーキラーの大爪を、その体ごと押し返した。上体を大きく仰け反らしてバランスを崩したサンダーキラーに、僕は渾身の体当たりを食らわせ、後方にふっ飛ばしてやる。

 

『ハァ、ハァ……生徒会長は!?』

 

サンダーキラーをどうにか学校から遠ざけることに成功した僕は、生徒会長の安否を確認するために学校の方へ振り向いた。

屋上を見ると、生徒会長は副会長さんに肩を借りながら立ち上がっていた。良かった、どうやら無事みたいだ。

僕がホッと胸を撫で下ろしていると、「ウルトラマン!」と生徒会長が僕に呼びかけた。生徒会長と僕の目が合う。

 

「お願い!学校を、みんなを護って!」

 

その言葉から生徒会長の強い想いが、願いが伝わってくる。

 

「頼んだで、ヒーローさん!」

 

そしてその傍らで、生徒会長を支える副会長さんから念を押された。

僕は2人にサムズアップで応えると、想いが通じ合ったからか生徒会長からリトルスターが解き放たれ、新たなウルトラカプセルを起動させた。

カプセルに宿ったのはウルトラマンヒカリ―――前に手に入れたウルトラマンコスモスと同様に青い身体を持つウルトラマンだ。

 

『ヒカリカプセルが起動しました。陸、コスモスカプセルを。2つの力で、新たな姿にフュージョンライズできます』

 

レムから新たな力を得たことを知らされた。

 

「本当!? よし、それじゃあ早速……ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」

 

「融合!」デアッ!

「I GO!」ハァァッ!

「ヒア・ウィー・ゴー!!」

<フュージョンライズ!!>

「見せるぜ! 衝撃!! ジィィィィィィィィィィド!!」

<ウルトラマンヒカリ>
<ウルトラマンコスモス>

<ウルトラマンジード アクロスマッシャー>

 

ヒカリとコスモス 青き身体のウルトラマンの力が、ジードライザーによって1つになった。

<アクロスマッシャー>―――ウルトラマンヒカリの剣術とウルトラマンコスモスの体術を受け継ぎ、アクロバットのような軽快な身のこなしで敵を翻弄するジード第3の姿だ。

今まで荒々しい印象のあった赤い身体と違い、力を借りた2人のウルトラマンと同じ青い身体を持つこの姿になると、月の光のように穏やかでクールになれる………ような気がする。

……コホンッ!

と、とにかく、新たな力を得た僕を警戒してか、サンダーキラーはこちらの様子を見ている。このチャンスを逃す手はない!

僕は素早く距離を詰めると腹部に掌底を叩き込んだ。威力はそこまでではないが、敵の体勢を崩すにはこれで十分だ。

サンダーキラーが自慢の大爪で反撃してきたが、崩された体勢からの攻撃を捌くなど造作もない。2撃、3撃とサンダーキラーの攻撃を捌き、その力を利用したカウンターを決める。

何度も攻撃を空振りさせられ、無駄に体力を使わされたサンダーキラーに疲れが見え始めた。

 

『さぁ、ここから反撃だ!』

 

僕は右腕にエネルギーを集中させて、光の剣スマッシュビームブレードを形成して目にも止まらぬ速さで切りつけた。超高速の連続切りによって急所を的確に切り裂かれたサンダーキラーが苦しみ悶えている。

……まさか小学生の頃、穂乃果の思い付きに振り回された結果、お説教ついでに海未のお祖母ちゃんから道場で仕込まれた手刀の型が、こんな形で活きるとは思わなかったが、何事も経験ってやつだ!

さて、あとはトドメをさすだけだが、奴には厄介な光線の吸収能力がある。下手に必殺技を放ってもこっちがやられるだけだ。でも僕には、頼れる仲間がいる。

 

『陸、解析が終わりました。あの怪獣に最も有効な手立ては―――』

 

ベストタイミングでレムから通信が入り、サンダーキラーの光線吸収能力の攻略法が伝えられた。後は僕がそれをできるかだが―――

 

『やり方は、既にご存じのはず』

『ああ、だったらこの技だ!』

 

レムの言う通り、僕の脳裏にあるビジョンが浮かんでいた。そのビジョンに従い、両手で円を描くように周囲の大気を集めて圧縮させると、腕を十字に組んでエネルギーをスパークさせて衝撃波を撃ち出した。

 

『アトモスインパクトォォッ!』

 

これがアクロスマッシャーの必殺波動、アトモスインパクトだ。

だが、さっきまで苦しそうな様子だったサンダーキラーは、計画通りと言わんばかりに大袈裟に両手を広げてみせると、アトモスインパクトをその胸で受け止めた。

どうやらさっきまでのは演技だったようで、反撃の機会を窺っていたようだ。

僕を騙し、前回の戦いと同様に必殺技の吸収を試みるサンダーキラー。

だが―――

 

(かかった!)

 

この騙し合いは僕らの勝ちだ!

アトモスインパクトを吸収し、余裕ぶっていたサンダーキラーの表情が歪んだ。

それもそのはず。奴はアトモスインパクトを吸収できてなどいないのだから。

何故ならアトモスインパクトは光線ではない―――波動だ!

 

レッキングバーストなどの光線は、その超高熱量で敵を消滅させる。サンダーキラーはその光線の熱量を、胸にある器官で吸収し、増幅して撃ち返していることをレムが突き止めてくれた。

確かにこれは僕の光線技を無効化できる厄介な能力だけど、奴が吸収できるのは熱量だけだ。

それに対して波動は、衝撃波をぶつけることで、敵を体の内部から粉砕する。

要するに、サンダーキラーの光線吸収能力はアトモスインパクトには無意味だ!……ってことらしい(レム談)。

と、とにかく、それに気づいた時には既に遅い。

衝撃波を浴び続けて限界を超えたサンダーキラーは、断末魔を上げながらその姿を消したのだった。

 

~~~

 

私から光を受け取り新しい姿になったウルトラマンは、怪獣を倒すと避難していた街の人や生徒から感謝の言葉を受け、その場から飛び去っていった。

それを見届けた私はみんなに黙って屋上から去ろうとすると、

 

「待ってください、生徒会長!」

 

高坂さんに呼び止められた。

 

「なに?」

「あの……一緒にやりませんか?スクールアイドル!」

「えっ?」

 

突然のことに、私は高坂さんが何を言っているのかすぐに理解することができなかった。

だけど、自分がさっき感情のままにとんでもないことを言ってことに気がついた。

そうだ、みんなの前で自分もアイドルをやりたかったと言ったんだった!?

 

「まったく、やりたいなら素直にいいなさいよ」

「それ、にこ先輩が言う?」

 

やれやれといった様子のにこを、西木野さんが呆れながら指摘した。他のμ‘sのみんなもなんだか歓迎ムードになってきていて、どんどん勝手に話が進んで行くのを私は慌てて待ったをかけた。

 

「待って!……確かに、あなた達と一緒に過ごす時間は本当に楽しかった。一緒にアイドルをやれたらいいなって思ったのも本当よ」

「じゃあ!」

「でも、やりたいと思うのと、実際にやるのでは全く別でしょ?それに生徒会の仕事だってあるし……」

「生徒会が忙しいなら、また僕が手伝いますよ!」

 

生徒会を言い訳にして、この場を逃れようとする私に、いつの間にか屋上に来ていた陸がこれからも生徒会の手伝いをすると提案してきた。というか、何だか体中ボロボロだけど、避難していた時に怪我でもしたのだろうか?

 

「そういう問題じゃ……」

「でも、やりたいんですよね?」

「そうは言ったけど……」

「だったら悩む必要なんてないですよ。いいじゃないですか、生徒会長の責任も、自分のやりたい事も、全部やっちゃえば!」

 

陸がさも簡単な事のように言ってくる。その言葉に揺らぎつつも、私は希に助けを求めたが、

 

「やってみたらええんやない?」

「希!?」

 

なんと希まで彼女たちの側についてしまった。予想外な事態に驚く私に、希は優しく微笑みかける。

 

「やりたいからやる、さっきみたいに。本当にやりたいことって、そんな風に始まるんやない?それに、この学校が楽しい所だってたくさんの人に伝えたいなら、生徒会長のえりち自身が楽しまんとな」

 

そう言って私の背中を押してくれた。

どうやらもう、外堀はとっくに埋まっているようだ。……まぁ、最初に埋めたのは他ならぬ私自身だったのだけど。

私は「ふぅ……」と息を吐くと、観念することにした。

それに希の言う通りだ。

音ノ木坂は楽しい所だと自分で言っておきながら、その自分が楽しんでいないなんておかしい。だったら思う存分楽しんでやろう!生徒会長の仕事も、自分が本当にやりたい事も!

今まで自分が勝手に背負っていた真面目な生徒会長という重荷を下ろすと決めたからか、何だか身も心も軽くなった気がした。

そんな私の変化を察したのか、高坂さんは私に右手を差し伸べた。

 

「改めてスカウトさせて下さい!生徒会長―――いえ、綾瀬絵里さん。私たちと一緒に、スクールアイドルになって下さい!」

「喜んで!」

 

私はその手を握り返して応えると、みんなが歓声と共に拍手で迎えてくれた。

 

「よーし、これでμ‘sも8人!この調子でオープンキャンパスも―――」

「いーや、ウチを入れて9人や!」

「えぇっ!?副会長さんも!?」

 

盛り上がった陸がみんなを鼓舞しようとした時、突然、希までもが加入宣言をしたものだから驚きの声を上げた。当然私や他のみんなも驚いたが、希は手にしていた輪が描かれたタロットカードを私たちに見せた。

 

「占いで出てたんや。このグループは9人集まった時、未来が開けるって。だからずっとこの時を待ってた。それにみんなと……特に君と一緒におったら色々と面白そうやし」

 

希が最後に意味深な事を陸に言うものだから、陸が南さんや園田さんに「どういうこと(ですか)!?」と詰め寄られている。陸は「僕も知らないよ!?」と追及から逃れようとして、みんなを巻き込んだ追いかけっこが始まってしまった。

 

そんなドタバタ騒ぎの光景に私が思わず「ぷっ…」と吹き出すと、隣にいた高坂さんもつられて笑いだした。そしてひとしきり笑った後、私は高坂さんとまっすぐ向かい合って誓い合った。

 

「オープンキャンパス、絶対に成功させるわよ!」

「はい!」

 

 

こうして9人は集まった。そして時間はあっという間に過ぎ、遂にオープンキャンパス当日を迎えるのだった。

 




~キャラ設定~
東條 希
音ノ木坂高校3年生で、生徒会の副会長。アニメ版でのμ’s結成の立役者で、本作でも陰で色々やってくれていました。
得意の占いで陸に様々な助言を与えながら、彼の行く末を見守ってくれるお姉さん的な立場の人です。

~次回予告的な~
陸「遂に揃った9人のμ’s。そして始まるオープンキャンバス。ここからが、本当のみんなの始まりだ!」

次回、「集うぜ、女神」
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