初めてジードの変身を見たときはダジャレかよwと思いましたが、今では大好きな変身シーンです。
「レム、これは覚えてない?これもその時一緒に貰ったんだ」
陸がレムに銃弾のような形をした物を2つ見せた。
1つには赤と銀の光の戦士――ウルトラマンの姿が、
そしてもう1つには、黒い戦士――ウルトラマンベリアルの姿が描かれていた。
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球体に促されエレベーターに乗ると、地面を通り抜けるかのように潜行し始めた。
どう考えても地球の技術力を遥かに超えている。
球体が言うには神社の地下500mに基地があるらしい。
到着するとそこは広い部屋だった。
先ほどまで僕らを案内していた球体が奥にある机に降りると、電源が切れたのか動かなくなった。
その代わりに天井から吊るされていた球体が黄色く光りだす。
「ここは中央指令室です。この基地の権限はマスター、貴方に譲渡されました」
(マスター?基地?いったい何のことだ?)
状況が全くのみこめない。
「僕のこと誰かと勘違いしていない?」
「誤認ではありません。先ほど血液採取を行い、DNA検査を終了させています」
「あ、さっきの!?」
(刺されたような痛みは本当に刺されてたのか!?しかも勝手にDNA検査って人権侵害だろ……)
どこからツッコんでいいか考えていると
「お渡しするものがあります。フュージョンライズ用のマシン、ライザーとウルトラカプセルです」
机の上に不可思議な機械が出現する
「僕にくれるの……?何で?」
「貴方の運命だからです。ライザーを使用することで貴方は本来の姿に戻り、
力を行使することができるようになります」
「……本来の姿?」
僕はライザーと呼ばれた機械を手に取って訊ねた。
知りたくない現実かもしれない。でも知りたかった。
僕が本当は何者なのか。
「貴方はこの星の住人ではありません」
ペガに散々言われてきたことだが、さすがにショックだった。
だが同時に興奮している自分も確かにそこにいた。
「陸……」
ペガが心配してくれている。だが、この際それはどうだっていい!
僕が地球人でないのならば、その力とはなんだ?
「例えば、本来の自分に戻ったとしてピアノを持ち上げるとこはできる?」
「可能です」
即答だった。だが、やりたいことを考えるとその程度できなくては困る。
「じゃあ、ダンプカーは?」
「可能です」
これも即答だ。ならば1番重要なことを聞くとしよう。
「じゃあ……怪獣は?」
「えっ!?」
ペガが驚きの声を上げるが、球体は当然と言わんばかりに
「可能です」
と機械的に抑揚のない声で答えた。そしてその答えだけで僕は満足だった。
「よし!こいつの使い方を教えてくれ!!」
「何をする気なの!?」
「決まってるだろ、今度怪獣が出たら倒してやる!」
「無茶だ!」
「可能です。なぜならマスターはウルトラマンの遺伝子を受け継いでいますから」
「!?僕が、ウルトラマンの遺伝子を……」
球体が使い方を教えてくる。
曰く、ライザーとはスキャナーとナックルから成るツールであり、触れているだけで通信もできる優れもの。
そしてナックルにウルトラカプセルを2つ装填して、スキャナーでカプセルを読み込む。
これだけで僕は本来の姿に変身――フュージョンライズできるらしい。
さぁ準備万端だ。いつでも出てこい!と意気込んでいると、先ほど姿を消した怪獣が街を蹂躙している映像が空中に投影されたスクリーンに映し出された。球体型偵察機ユートム、さっき僕を連れてきたやつの仲間が撮っているらしい。
「出てきたな、早く出して!すぐに行きたいんだ!」
「はい。出口を現場の座標に設定し、エレベーターでお送りします」
(おお、なんとハイテク!?やっぱり秘密基地はこうでないと!)
「分かった、行くぞ、レム!」
テンションが上がり過ぎて、思わずドンシャインになりきって言ってしまった。
言った後で我に返り、少し恥ずかしさが出てくる。
「レムとは私のことですか?なるほど、REport Management の略称ですね」
「あ、え~と……そう、その通り!」
何かいい感じに勘違いしてくれたのでごまかしておく。
本当はドンシャインのヒロインの名前なのだが……
「マスター、お乗りください」
「分かった。あと、僕のことは陸って呼んでくれ」
「分かりました、陸」
何故かレムの声でマスターと呼ばれることに違和感を感じ、名前で呼んでもらうことにした。
うん、やっぱりこの方が落ち着く。なんでだろう?
「陸、本当に行くの?」
ペガは心配しているみたいだが、ヒーローはピンチに駆けつけなくてはならない。
僕はエレベーターに乗り込み、右手の親指を立ててペガに返事をした。
「心配すんな、サクッと倒して帰ってくるから!」
エレベーターが地上に到着すると、レムから通信が入る。
「怪獣――スカルゴモラと呼称しますが、進路を変えました。進行方向の避難は完了していない模様です」
「まずい、早く止めないと!」
「フュージョンライズ後の名称を決めてください」
(名称ってことは変身した後の名前ってことか?
ウルトラマンドンシャインってのは……いやパクリはいけない。
ああもう、こんなところでジーッとしてても、ドーにもならないのに……ハッ!)
「そうだ、ジードだ。ウルトラマンジード!そしてこいつはジードライザーだ!」
名前は決まった。後は戦うだけだ。
僕はジードライザーを胸の前に掲げて叫んだ。
「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」
2本のウルトラカプセルを起動し、ジードライザーでウルトラマンの力を
そしてジードライザーを胸の前に掲げてその力を解放した。
「ジィィィィィィィィィィド!!」
力が身体中に流れ込み、僕の身体が変貌していく。
地響きをたてて地面に着地した。
「フュージョンライズ成功しました」
「あ、あれは!?」
レムとペガの声が聴こえる。どうやらこの状態でも通信ができるようだ。
それに周囲の建物が自分より低いってどうなっているんだ!?
『本当にウルトラマンになれたのか?』
「陸、聴こえる?」
『ペガか?僕は今どうなっているんだ?』
「君の姿、まるで……」
(姿?確かに見た目は気になる。ダサいのとか嫌だし。
いや、無駄話している場合じゃないな。まずは奴を止めなくちゃ)
僕はスカルゴモラにジャンプで近づき、角に掴みかかった。
だが振りほどかれ、そのまま腹部に頭突きを喰らい吹き飛ばされてビルに激突した。
コンクリート製のビルが簡単に崩れる。まるで砂で作ったみたいに柔らかかった。
『いくぞぉ!』
すぐに立ち上がり、今度はスカルゴモラの腰目がけてタックルをかます。そのまま持ち上げようとしたが、予想以上に重く持ち上げることができない。ならば押し返そうとするが弾かれてしまい、尻尾の一撃を喰らって倒されてしまう。
追撃の踏み付けがくるが転がって回避し、ファイティングポーズをとる。
(力で敵わないならスピードだ!)
今度はスカルゴモラの腹部に前蹴りを当て、そのまま側転、バク転と相手を翻弄。そこから背中に飛びかかるが簡単に振り落とされてしまう。体勢を整えたところにまた頭突きが迫ってきた。
(そう何度もくらってたまるか)
僕は頭を押さえ直撃を防いだ、はずだった。
『ぐぁぁぁぁ!?』
角が突然赤く発光すると、凄まじい衝撃に吹き飛ばされた。
さっきまでの攻撃と比べものにならないダメージで起き上がることができない。
(どうなっているんだよ!怪獣を持ち上げるどころか、手も足も出ないじゃないか!?)
こんなはずでは……と嘆いていると、胸のタイマーが赤く点滅し始め、とてつもない疲労感が襲ってきた。
「間も無く活動限界です。」
『活動限界!?』
「この地球上でウルトラマンジードでいられる時間は、約3分間。
次に変身できるのは、およそ20時間後です」
『そんなの初耳だぞ!?』
「聞かれませんでしたから」
スカルゴモラが進行を再開した。
20時間も経ったら間違いなく街はおしまいだ。
『何か奴を倒す方法はないのか!?』
レムに怒気交じりで聞いた。聞いたのだから答えてくれ、この問題の解決法を
「光子エネルギーを行使しますか?」
『何でもいい!やり方は!?』
「既にご存じのはずです」
『いや、知らないから聞いて……』
直後、頭にビジョンが浮かぶ。これだ!
僕はスカルゴモラの頭上を飛び越え、進行方向を塞ぐように立つ。
スカルゴモラが角を赤く光らせて、こちらに突っ込んでくる。
(望むところだ!)
僕はビジョンの通り地面に向けた両手を交差させた。すると赤と黒の光子エネルギーが稲妻のように発生する。交差させた両手をそのまま頭上に突き上げていくとエネルギーもどんどん大きくなり、両手を左右に広げて全身に行き渡らせた。あまりのエネルギーに雄叫びを上げながら相手を見据え
『デェア!!』
チャージした光子エネルギーを両手に集中させ、十字に組んで発射した。
赤黒い光線がスカルゴモラに直撃し、少しの間浴びせ続けると遂に爆散した。
『ハァハァ……勝ったのか?』
「はい。先ほどの光線はレッキングバーストです」
『やった、やったんだ!』
達成感と疲労感に包まれながら僕は変身を解いた。
視点がいつも通りに戻るとやはり安心する。
戦いには勝った。だがペガには言い知れぬ不安が残った。
(陸の姿、特にあの闇に光る目、まるで……)
いつの間にか夜が明け、朝日が昇っていた。
秘密基地に戻ろうとすると、街頭ディスプレイの前に人だかりができている。さっきの戦闘がニュース速報で流れている。きっと怪獣と戦う僕の姿が写っているはずだ。格好良ければいいん、だ、けど……
「あれが僕……?」
そこに写っていたのは赤と銀に”黒”が混ざった巨人
そしてあの青い目には見覚えがあった。あの特徴的な”尖った目”に……
ペガとレムの通信が聞こえてくる。
「レム、陸の中にある強大な力って何なの?」
「血液からBの因子が確認されました。陸はこの基地の本来のマスターと99.9%の確率で親子関係にあります」
(親子関係!?)
「陸の親が誰なのか知ってるの!?」
「はい。彼の父親の名はベリアル、ウルトラマンベリアルです」
さっきまでのヒーロー気分が消え失せていた……
この時の僕はちっとも分かってなかったんだ
颯爽と現れて、格好良く敵を倒す難しさも
ヒーローになる事の本当の意味も
~キャラ設定~
朝倉 陸
音ノ木坂学院に通う高校2年生。赤ん坊の時に神社に捨てられていたのを保護され、高坂家に引き取られる。穂乃果の両親が自分の本当の両親でないことは早いうちに悟ったが、本当の両親のように慕っている。また生粋のドンシャインオタクでもあり、将来の夢はヒーローと本気で目指したこともある。
原典とそんなに違わない気もしますが、19歳が16~17歳になっているという微妙な違いを大切にしたいなと思っています(表現できるとは言ってない)
~次回予告的な~
陸「怪獣を倒したのに怖がられる僕。
もういいよ、ヒーローなんて辞めてやる!」
次回、「みんなのために」