ジードライブ!~進むぜ!未来!!~   作:キータ

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お久しぶりです。
昨年末にあったギャラファイナイトに行ってきた際に、レグロスの先行1話を見たのですが……凄かったです!(語彙力消失)
デッカーの映画もあるし、今年も色々と楽しんでいきたいですね!


34話 ゼロを超えて(2)

翌朝、僕はいつものように自宅の布団で目を覚ました。

あの後どうやって帰ったのか、はっきりとは覚えていない。

覚えているのは帰ってきた僕を見た途端、瑠美奈さんが安心して泣き出してしまったこと。自分も不安だったはずなのに、憔悴した僕を心配してくれたことだけだ。

そしてどうやら僕はそのまま倒れるように眠ってしまったようだ。

 

しばらくぼーっとしていると、隣のリビングから漂ってきた美味しそうな朝食の匂いに胃袋が刺激され、ぐぅーっとお腹が鳴った。

そういえば昨日の夕方から何も口にしていなかったな……

身体を起こしてリビングに行ってみると、そこには朝食の支度をしている瑠美奈さんとお利口に座って待つ真由の姿があった。

変わらぬ日常の光景に安堵した僕は、「おはよう」と挨拶を交わして家族3人で食卓を囲った。

 

まるで昨日の事が嘘であるかのように、穏やかな時間が流れている―――はずなのに、何か物足りない。

……そうだ。いつもならここでゼロさんが僕に話しかけてきたり、僕の身体を勝手に使って真由の頭を撫でる、猫なで声で話しかける、全力で抱っこするとか本当の親以上の親馬鹿を発揮していたのに、今日はそれがないのだ。

皮肉なことに、戦いから逃げ戻ったはずの日常が、かえってゼロさんを失ったことを僕に突き付けてくるのだった。

 

「令人君、どこか調子悪いの?それとも何か悩み事?」

 

起きてからずっと黙ったままの僕に、瑠美奈さんが心配して声を掛けてきた。

さすがは瑠美奈さん。昔から僕のことはお見通しらしい。

そんな妻を持って僕は幸せ者なのだろうと心の中で惚気つつ、僕は意を決して瑠美奈さんに自分の想いを打ち明けた。

 

「この街を出て、安全な君の実家で暮らしませんか?」

「え?どうしたの急に?確かに怪獣は怖いけど、生徒を見捨てて逃げられないって令人君いつも言っていたじゃない?そんな冗談―――」

 

瑠美奈さんはそこまで言いかけたけど、僕が本気で言っていることが分かったのか、その先の言葉を口にしなかった。

そして少し悩んだ後、いつものように全てを包み込むように笑うと、

 

「……うん、分かった。令人君がそう言うってことは、きっといっぱい悩んだんだよね」

 

と頷いて了承してくれた。

真由は僕の言ったことの意味が分からないのか、不思議そうにこっちを見ている。そんな真由に瑠美奈さんは伝えた。

 

「これからおじいちゃんとおばあちゃんの家にしばらく遊びに行こうか!」

 

大好きなおじいちゃん、おばあちゃんに会えるのが嬉しいのか真由は「うん!」と元気よく返事をして支度を始めるのだった。

僕も大急ぎで支度を済ませ、大切な家族と必要最低限な物だけ車に乗せる。

出発の時、真由が家に置いていくぬいぐるみたちに「すぐに帰ってくるからお利口にしていてね」と話しかけているのを見て、その日が永遠に訪れないことに罪悪感を覚えた。

だけど家族を安全な場所に逃がすことが、僕にできる精一杯なんだと自分に言い聞かせ、真由の手を引いて住み慣れた自宅を後にし、車を走らせた。

 

ギャラクトロンが再び現れる時間まで残り数時間しかない。

本当はすぐにでも街を出なくてはならないのだけど、最後にどうしても想い出の場所を見ておきたいという瑠美奈さんの頼みを断り切れず、僕らは音ノ木坂高校に来ていた。

 

昨晩は帰宅困難な生徒と教職員が学校に泊まっていたみたいだが、交通機関も復旧し、今はもう誰も残っていなかった。

物音一つしない無人の学校に寂しさを感じた僕とは対称的に、初めて入った学校に真由は目を輝かせている。そんな真由の両手を引いて、瑠美奈さんと僕は2人の想い出の場所を見て回った。

 

教職員室―――僕が新米教師として赴任した時、ここで瑠美奈さんと出会った。

 

2階の廊下―――僕が盛大にプリントをぶちまけて、瑠美奈さんが拾うのを手伝ってくれた時に手が触れて、それから異性として意識するようになった。

 

校庭の桜の木―――この木を眺めながら瑠美奈さんと生徒の夢が叶うように祈願していた。そして僕が瑠美奈さんに告白した場所だ。

 

学校中を一通り見て回った後、最後に校舎裏の飼育小屋に立ち寄った。

瑠美奈さんが教師だった頃に世話をしてくれたのを覚えているのか、2頭のアルパカが嬉しそうに瑠美奈さんの顔を舐めてくる。

真由はその2頭のアルパカの頭の上をまるで遊具のように飛び跳ねて遊ぶモコに興味津々で、瑠美奈さんと2人で餌をあげて楽しんでいた。

だけど、ギャラクトロンが再起動する20時間まであと僅かしかない。これ以上ここに居ては、家族が危険な目にあってしまう。

でも、逃げる前に確かめておきたいことがあった僕は、2人から隠れるようにこっそりと校舎の中に入ると、スマホのレムアプリを使ってレムに連絡を取った。

 

「レム、聞こえているかい?」

『令人?はい、聞こえています』

「朝倉君はそこにいるかい?」

「いいえ、先ほど出て行きました」

「出て行った……ということは戦いに行ったんだね?何か勝算があるんだよね!?」

 

それは逃げ出したことへの罪悪感か、はたまた自分を安心させたかったのか、僕はレムに言って欲しかった。朝倉君は―――ヒーローは必ず勝つのだと。

でもレムは冷静に、そして残酷に現実を僕に突き付けた。

 

『いいえ。事前に戦闘シミュレートを試みましたが、7戦して0勝7敗でした。現状のままでは確実に敗北するでしょう』

「ッ!? 負けると分かっているのに何で!?」

『ジーッとしててもドーにもならねぇ!』

「……えっ?」

 

普段のレムからは想像もつかない口調で放たれた言葉に、僕は呆気に取られた。

 

『陸の口癖です。『考えて駄目なら行動あるのみ。その先に可能性はある』のだそうです』

「そんな無茶な……」

『それに陸は、何かを待っているようでした』

「何かって……何を?」

『令人、それは貴方ならご存じのはずです』

 

ご存じのはず?一体何のこと……いや、誤魔化すのはやめよう。本当は分かっている、彼は待っているんだ。ゼロさんのことを、そして僕のことを。

 

「でも僕は……。それに何より、ゼロさんはもう……」

「本当にそう思っているん、先生?」

 

突然の誰かに呼び掛けられ、僕は慌てて後ろを振り向いた。すると、廊下の曲がり角から東條さんがひょっこりと姿を現した。

 

「東條さん!?どうしてここに!?」

「どうしてって、あたしはこの学校の生徒なんやから当然やん?」

「それもそうか……いや、そうじゃなくて、どうして今ここに君がいるのかってことだよ!?」

「カードが教えてくれたんよ、先生は絶対に学校に来るって」

 

東條さんが得意のタロットカードを見せながら何でもない事のように言った。

 

「カードか……。東條さんの占いは本当に当たるみたいだね。ゼロさんのことも当たっちゃったし……」

 

僕は自分のポケットから、あの死神のカードを取り出した。

これを渡された時、彼女の悪ふざけだなんて決めつけなければゼロさんは助かったのだろうか?

まぁ、そんなことを考えても今さらだが……

 

「ごめんね、せっかく教えてくれたのに……結局、運命には勝てなかったよ」

 

僕は東條さんにカードを返そうと差し出した。

でも東條さんはカードを受け取らなかった。それどころか、しっかりと僕にカードを握らせるように、彼女の手が僕の手を包み込んだ。

 

「先生、このカードが伝えたかったことは絶望の未来なんかやないんよ」

「えっ!?」

「確かにこのカードの名前は死神。その意味は破滅や死……正位置やったらね」

「正位置?」

「そう。タロットカードにはな、正しい向きの正位置と上下逆さまの逆位置があって、正位置はそのカードが持つ本来の意味を、逆位置は文字通り逆の意味を示しているんよ」

 

へぇー、知らなかったな。カードの向きによって意味が逆になるな…んて……――ッ!?

その瞬間、東條さんからタロットカードを受け取った時のことがフラッシュバックした。

 

(何かの絵が描かれているみたいだけど、よく分からねぇ絵だな……)

「本当だ……って、このカード上下逆さまですよ。正しくはこうですね」

 

そうだ!このカードが渡された時、カードの向きは上下逆さまだった!

それじゃあ、このカードの本当の意味は―――!?

 

「死神の逆位置が示すのは“復活”、そして“新しい始まり”」

「―――ッ!!」

「先生、諦めないで。朝倉君がウルトラマンになったように、先生とゼロが出会ったことはきっと運命なんよ!」

 

僕とゼロさんの出会いが運命……?

もしそうなのだとしたら、一体僕は何のためにゼロさんに出会ったというのだろう?

だけど、その答えを考える時間はもう無かった。

 

街中に怪獣出現を知らせる警報が鳴り響く。

その音に慌てて東條さんと一緒に校舎から外へ飛び出すと、空には魔法陣のような円形のゲートが浮かんでいた。その中から現れたのは、伏井出ケイが予告した通り、再起動を果たしたギャラクトロン。

ギャラクトロンは学校から少し離れた場所に降り立つと、破壊活動を始めた。

圧倒的な火力で街を蹂躙していくギャラクトロン。だが、胸部の赤い発光体からビームを放った瞬間、激しい火花が飛び散ったかと思うと、ギャラクトロンの動きが一瞬だけ止まった。

何だ!?と思ってギャラクトロンの胸部を確認すると、昨日の戦闘でジードにつけられた大きな亀裂が残っていた。どうやら20時間では再起動するまでが精一杯で、修復は不完全だったようだ。

 

『シュワッ!!』

 

その時、僕らの頭上をウルトラマンジードが飛んで行った。ギャラクトロンの前に降り立ったジードは街を護るべく敢然と立ち向かっていく。

東條さんはジードのことを心配そうに、しかし頼もしそうに見つめていた。

本当だったら僕も、自分の生徒のことを心配するべきなのだろう。でもこれだけの騒ぎになっているのに、瑠美奈さんと真由がアルパカ小屋の方から逃げて来ないのだ!

不安に駆られた僕はアルパカ小屋へ走った。東條さんも僕の後ろからついてくる。

 

アルパカ小屋が見えた。小屋の前に瑠美奈さんと真由の姿がある。良かった、無事だった……でも何だか様子がおかしい。

瑠美奈さんが真由の手を引いて逃げようとしているのに、何故か真由はそれに抵抗してアルパカ小屋の前から動こうとしないのだ。

 

「真由、どうしたの!?早く逃げないと、怪獣が来て危ないんだよ!?」

「だってアルパカさん達がこのままじゃ逃げられないもん!それに大丈夫だよ。だってウルトラマンが怪獣を倒してくれるもん!ウルトラマン、がんばれー!!みんなをまもって!!」

 

真由がまっすぐな瞳でウルトラマンジードに声援を送った。

その純真な言葉に、僕の胸の奥で何かが疼いた。

 

こんなに幼い娘でも、ヒーローの勝利を信じている。

それなのに僕は…………本当にこれで良いのだろうか?

 

「令人君、何ぼーっとしているの!?早く逃げないと危ないんだよ!」

 

瑠美奈さんが立ち尽くす僕に、真由を一緒に説得するようにせがんでいる。

そうだ、ギャラクトロンの進む先は間違いなく学校だ。ジードがこれ以上進ませまいと奮戦しているけど、やはり敵わない。このままここにいたらきっと無事では済まない。そうなる前に、早く家族を連れて逃げないと。この街を出て、ずっと遠くへ……………

 

自分の生徒が、僕のことを待っているというのに?

僕と瑠美奈さんの想い出の場所が壊されそうになっているのに?

そしてなにより、大切な家族や生徒の日常が目の前で壊されているというのに!?

そんなの……良いわけがないだろう!!

 

手の震えが止まらない。全身から汗が止まらない。

死ぬのは怖い!どうしようもなく怖い!―――でも、でも!!

 

「……行かなきゃ!!」

「令人君、急にどうしたの!?」

「パパ?」

 

突然の僕の叫び声に、瑠美奈さんと真由が目を丸くした。

 

「瑠美奈さん、真由、悪いけど2人は先に逃げて。僕は行かないといけない所があるんだ。この出会いの意味に、答えを出すために!」

「こんな時に何を言って―――」

 

嫌な予感がしたのか、瑠美奈さんが必死に僕を止めようとする。そんな瑠美奈さんと真由を、僕は力の限り抱きしめた。

 

「平凡で頼りない僕を選んでくれてありがとう。こんな僕だけど……やっぱり護りたいんだ、自分の大切なものを!だから祈っていて、ヒーローの復活を!」

 

震える僕の手に、瑠美奈さんと真由の手がゆっくりと重なる。

その手の温もりを感じた瞬間、僕の手はもう震えてなどいなかった。

 

~~~

 

走る 走る 戦場を目指して全力で走る。

もうジードとギャラクトロンまで目と鼻の先だ。

でも、ここまで来て重大なことに僕は気づいた。

 

「そうだ、ゼロアイ!?」

 

慌てて上着の内ポケットを探るが、いつもそこにあるはずのゼロアイが無い。

何故なら昨日、僕が勢いのままにゼロアイを部室に置いてきてしまったからだ。

 

「どうしよう!?ここまで来ちゃったけど学校に引き返して―――いや、そんなことをしている時間なんてないし……」

 

昨日の自分の軽率な行動に激しく後悔していると、ジードがギャラクトロンによって地面に叩きつけられ、その衝撃で地面が大きく揺れた。

その揺れに耐えられずバランスを崩した僕は、尻餅をついて情けなく転んでしまった。

 

「いたたた……」

「大丈夫ですか、先生?」

 

強かに打ちつけたお尻を擦る僕に、誰かの手が差し伸べられた。

 

「あ、ありがとうございま―――って、絢瀬さん!?何で君がここに!?」

 

その手を取って立ち上がると、そこにいたのはなんと絢瀬さん。

思わぬ相手の登場に僕は素っ頓狂な声を上げると、まるでダンスを踊るかのような奇怪な動きをしてしまった。

絢瀬さんがこんな危険な場所にいることに驚いたからだけではない。昨日、自分が酷いことを言って傷つけてしまったこともあり、彼女とどんな顔をして会えば良いのか分からなかったからだ。

でも、そんな僕の様子が面白かったのか、絢瀬さんは我慢できず「ぷっ……」と吹き出すと、腹を抱えて笑い始めた。

あまりに絢瀬さんが笑うものだから、かえって僕は冷静さを取り戻すことができた。

 

「わ、笑うことないじゃないですか……」

「ご、ごめんなさい……希が教えてくれたんです。『先生は必ず戻ってくるから、これを届けてあげて』って」

 

絢瀬さんは笑いすぎて出た涙を擦りながら言った。そんな彼女の手には、部室にあるはずのゼロアイが握られていた。

 

「持ってきてくれたんだ、ありがとう!」

 

そう言ってゼロアイを返してもらおうと手を伸ばした。しかし絢瀬さんはゼロアイを握りしめたまま、僕に問いかけた。

 

「先生……私が生徒会長になってすぐの頃、私に言ってくれた事を覚えていますか?」

 

それは昨日、部室を立ち去ろうとした僕に絢瀬さんが聞いてきたことと同じ質問だった。

 

「あの、絢瀬さん?今は思い出話をしている時じゃ……」

「いいから!覚えているんですか!?……いないんですか?」

 

こんな時にどうしてそんな事を聞くのか分からないが、絢瀬さんの顔は真剣なものだった。

きっと絢瀬さんにとってはとても大事な話なのだろう。でも彼女が生徒会長になったのは1年も前の事だし、特別なことを言った覚えはない。

それでもどうにか思い出そうと頭を捻っていると、絢瀬さんの表情が次第に暗くなる。

彼女にとっては大切な出来事だったとしても、僕にとっては些末な出来事であったのだとショックを受けたのだろう。

 

(どうにかして思い出してあげたいけど、そんな前のことなんて覚えているわけ……あれ?ちょっと待てよ!)

 

落ち込む絢瀬さんの姿が、ある日の彼女の姿と重なった。

それがきっかけとなって、1つ、また1つと、まるでパズルのピースが当てはまって絵が完成するように鮮明になっていく。

 

(そうだ!あれはたしか……)

 

~~~

 

あれは絢瀬さんが生徒会長になってすぐの頃だ。

絢瀬さんは表向きは気丈に振舞っていたけれど、本当は自分に何ができるのか分からず、生徒会長が自分に務まるのか、常に不安に思っていた。

そしてある日、僕はたまたま生徒会室で1人悩む彼女を見かけた。

1年生の時に担任だったからか、彼女は僕にだけは素直に悩みを打ち明けてくれた。

そんな彼女に僕は言ったんだ。

 

「絢瀬さん、責任感が強いのは君の良い所だと思う。でも、自分の気持ちも大事にしてね」

「自分の気持ちを?」

「ああ。絢瀬さんは生徒会長になって何がしたいの?」

「何がしたい、ですか……?」

「そう、何でもいいんだ。楽しい学校したいでも、偉そうにしてみたいでもなんでも」

「それなら私は……この学校で、この学校のみんなが自分のやりたい事を叶えて欲しい。私はそれを護りたいです」

「素敵じゃないか!これから大変なことがあるだろうけど、そんな時こそ自分に()()()()()()じゃなくて、自分が()()()()()()を大切にしてあげてね」

 

~~~

 

 

「どうやら思い出してくれたんですね。あの日、私に言ってくれた事を」

 

そう言うと絢瀬さんは僕にゼロアイを手渡して、かつて自分が言われた言葉を今度は僕に問いかけた。

 

「先生。先生は今、ウルトラマンになって何がしたいんですか?」

「僕は……」

 

僕がウルトラマンになってやりたいこと―――そんなこと、決まっている。いや、決めたんだ!それをやる覚悟を!!

 

「護りたい!僕の大切なものを!……僕には2万年早すぎますか?だけどやってみたいんです!だからもう逃げません!!ゼロさん、僕は―――っ!?」

 

そこまで言いかけて、僕の口が止まった。

何故なら僕の頭の中に、傷つき弱りながらも、強く頼もしいあの声が響いたからだ。

 

『そんな大声を出さなくても聞こえてるっての……』

「ゼロさん!?」

『たっぷりと休ませてもらったからな……見せてやるよ!俺の超新星(スーパーノヴァ)……ウォォオオオオオオオ!!』

 

ゼロさんの雄叫びと共に、石化したゼロアイが回転しながら宙を舞う。そしてゼロアイを覆っていた石が徐々にヒビ割れたかと思うと、その奥から光が溢れだした。

そして、光が覆っていた石を全て吹き飛ばしてしまうと、本来の姿と輝きを取り戻したゼロアイがそこにあった―――いや、元に戻ったのではない。僅かではあるが、ゼロアイの形状が変化していた。

そう。僕の覚悟をゼロさんが認めた証か、ウルトラゼロアイはウルトラゼロアイNEOへと生まれ変わったのだ!

新生したゼロアイNEOが、自然と僕の手へと収まる。そこからは確かに、ゼロさんの熱い命の鼓動が感じられた。

 

「ゼロさん、本当に大丈夫なんですか?」

『俺のことを心配するなんざ、2万年早ぇんだよ!信じろ、俺の相棒ならな』

 

“相棒” その言葉に、僕の胸はいっぱいになった。

ゼロさんが僕のことを認めてくれたことが、たまらなく嬉しかった。

護られるのではなく、共に並んで戦えることが誇りに思えた。

泣きだしてしまいそうになるのを必死にこらえて、僕は立ち上がる。

 

『いくぞ、令人!』

「はい!!」

 

眼鏡を外し、自らの意志でゼロアイNEOを両目にあてる。そして叫んだ!

 

「デュアッ!!」

 

ゼロアイNEOから光の力が解放され、僕はゼロさんに変身する。

変身に伴い身体の主導権は当然ゼロさんがメインになる。だけど、この前変身した時はゼロさんの意識の隅っこで戦いを傍観している状態だったのに、今はゼロさんの身体の感覚までハッキリと僕に伝わってくる。

ゼロさんとの繋がりをより強く感じることができる。そうだ、僕も一緒に戦うんだ!

 

巨大化が完了すると同時に、挨拶代わりの飛び蹴りをギャラクトロンにお見舞いする。

突然の攻撃にギャラクトロンは成す術なく転倒し、ピンチに陥っていたジードを救った。

蹴り飛ばされたギャラクトロンが、救われたジードが、絢瀬さんが、そして街の人々の視線がゼロさんに集まる。

みんなの注目を浴びながら、ゼロさんは堂々たる名乗りを上げた。

 

『俺はゼロ、ウルトラマンゼロだ!』

 

今ここに、光の国の若き最強戦士は復活を果たした。

 

『遅いよ、2人共!』

 

復活したゼロさんにジードが駆け寄ってくる。口ではそんなことを言っているけど、ゼロさんの復活に喜びを隠しきれていない。

 

『昔から言うだろう、主役は遅れてくるってな!』

 

ゼロさんは冗談交じりにピースサインで返事をすると、2人のウルトラマンはギャラクトロンと対峙した。

 

『……言っておくけど、主役は僕だから!』

『へっ、だったら遅れるなよ!いくぞ!!』

『あぁ!』

 

~~~

 

「……!!」

 

ウルトラマンゼロの復活。自らのシナリオから大きく外れた光景を、伏井出ケイは戦況をよく見渡せるビルの屋上から忌々しそうに見つめていた。

だが想定外の事態に怒り狂うなんてことはなく、これもまた一興と余裕を崩さなかった。

 

「いいですね、こんな面白いゲームは未だかつてない……」

 

伏井出ケイは邪悪な笑みを浮かべた。その手には新たな怪獣カプセルがある。

 

「ゼロ、貴方が戦うのは貴方自身です。存分に楽しみなさい!」

 

伏井出ケイが怪獣カプセルを起動させると、突如として空が割れた。

そして、割れた空の向こうにある赤い空間から1体の巨人が飛び出し、2人のウルトラマンとギャラクトロンの戦いに割って入る。

その巨人の只ならぬ雰囲気に、ゼロが戦慄した。

 

「行け、エースキラー!いや―――ゼロキラー!!」

 

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