・後半R-17.9位の蛇足があります。
「僕と結婚してください!」
……深夜のカルネ村。ンフィーレアは村の裏門を出た木陰でひとり鏡を前にプロポーズの練習をしていた。幼なじみにして愛を伝えた思い人、エンリ・エモット。あの後二人で話すことが多くなった、正式にリ・エスティーゼ王国に反旗を翻し、ゴウン様の国の統治下に入ってから村は平和そのものだ。
今エンリ・エモットは昔知る幼なじみではない、何時の間にか族長になり、何時の間にか5000の精鋭を率いる将軍閣下になっていた。そんなエンリは多忙な中でも自分と話そうとしてくれるし、疲れた時は甘えてくれる。自分が男として頼りない事は解っているが、エンリはそんな自分を愛してくれる。
「結婚……かぁ。」
〝自分よりも相応しい人間がいるのではないか〟頭の片隅に過ぎる弱音を、ンフィーレアは頭を振るって否定する。
「そうだ、僕にもエンリを幸せにする力が……。」
そこまで考え、具体的なプランが全く浮かばない自分に膝を折って項垂れる。一生を共にする伴侶として相応しい姿が余りにも遠く見える。
「ンフィー!こんなところに居た!」
ンフィーレアは鼓動が乱れ顔が赤くなる音が聞こえた。今日も朝会ったというのに、まるで幻を見ているかのようだ。月光に照らされる森の中、強固な護衛のゴブリンに囲まれる少女、エンリ・エモットだ。
「え、エンリ?」
「どうしたのこんな夜中に?」
「いや、まぁ……その……。うん、魔法の実験をしていたんだ。鏡を使って!」
「ふぅん、ンフィーも大変ね。」
「エンリの忙しさには負けるよ。今日も会議?」
「そ。誰か帝王学でもわたしに教えてくれないかしら。もう頭が痛いわ。」
「あはは、お疲れ様。良かったらお茶でも飲む?」
ンフィーレアは冷却の容器に入ったお茶を取り出し、エンリに渡した。
「はぁ冷たくて美味しい。……何だかンフィーの側に居れば安心する。」
エンリの言葉に顔を真っ赤に染め、〝そ、そっか!〟と明後日の方向を向いた。しばらく沈黙が流れる中、肩に少し重みを感じる。気がつけばゴブリンの護衛達は何処かへ行っていた。
「族長でも将軍でも無い〝エンリ・エモット〟を見てくれるのは、ネムとンフィーだけだからかな。」
鼓動が急速に速まり、エンリの温かみを感じる肩に全神経が集中する。
「ぼ、僕なんかで良けれふぁ……、何時でも、頼りに、され、なるよ。」
「ありがとう。……ねぇンフィー。」
「な、何かな?」
「頭を撫でて欲しいな。」
ンフィーレアは明後日の方向から改めてエンリを見る。優しい微笑みを称えた、幼い頃から恋い焦がれた少女の姿。ンフィーは震える手でエンリの頭を優しく撫でた。
「気持ちいい……。」
「そ、そっか。よかた。」
優しく頭を撫でている内、自然と決意を固める。
(いや、こういうのは指輪とかを準備してから?それとももっと次の機会を……、いや次って何時だ!頑張れ僕!そうだ、ゴブリンさん達が居ない今しか……。)
「え、エンリ!!」
撫でていた頭を抱える形となり、予想以上の近距離となってしまい、自分でも驚く。エンリも一瞬驚いた顔をしていたが、直ぐに笑顔となった。
「はい。」
「ぼ、ぼぼぼ、僕と、その……、僕の……結婚してください!」
あらん限りの男気を振り絞ったンフィーだったが、練習の成果は残念ながら発揮出来なかった。だが言葉は風に乗り、エンリの耳へと届く。エンリはそのままンフィーと唇を重ねた。
「……よろこんで。」
こうしてカルネ村の将軍閣下に夫が誕生した。結婚式はゴウン様からの祝辞や記念品もあり、豪華なものとなった。
そして時は流れ……。二人の新婚生活が始まり、今にいたり……。
「ンフィー、愛してる。」
「ぼ、僕もだよ。エンリ。」
二人の唇が重なり合う。あの初めてのキスから何度目か数えることもできない。ベッドに押し倒されたンフィーレアは、普段の三つ編みを解き、薄灯りに照らされるエンリの姿に、何処か妖艶な気配を感じとり、思わず呂律がたどたどしいものとなる。
「ンフィーって相変わらず良い匂い。」
すんすんと鼻を鳴らしながら首筋の匂いを嗅いでくるエンリを、ンフィーレアは獲物を狙う肉食獣かの様に錯覚してしまう。エンリのやや荒くなった吐息が首筋から耳元を襲う電流となって、ンフィーレアの身体が快楽でビクリと跳ねる。
「……愛してる。」
「ぁひう!」
(中略)
「ひぇ、ひェンリ……。」
「んふ、ンフィーったら気持ちよさそう。じゃあ、脱いじゃいましょう。」
興奮し顔を紅潮させている妖艶なエンリに恐怖すら覚えながらも、ンフィーレアはあっと言う間に纏っていた服を脱がされる。お互いが裸体となって抱き合い、再び唇を重ね……
(中略)
「ぇんひ、ほんろ、だめはめらめあめだえぇぇぇぇえ!!」
暴力的な刺激に全身全霊で身もだえるが、エンリの拷問じみた夫への愛する奉仕は止まらない。ンフィーレアの碧眼に涙が溜まり、顔を振るわせ飛散させる。狂ったように脳へ焼き付く快楽に、精神が危険信号まで発している。
(だいぶ略)
「ンフィー……愛してる。」
……頭から湯気を発し痙攣しているンフィーレアから返事はない。彼が解放を許されたのは8度の絶頂の後だった。