第2話 前編
ワンダーフォーゲル部からなんとか部室を守った俺たち。
だが、道は決して平坦ではなかった。
あのあと生徒会長が部室にやってきて月末までに部員を10人集めなければ正式に廃部にすることが決定したと告げられる。
事情を知った俺と歩夢はかすみに協力することにした。
聞いたところによると以前は部員がかすみを含め5人いたらしい。だが皆目指す方向性が違くて自然と離れていったらしい…。
だが、もしかしたら廃部の危機を伝えればみんな戻ってきてくれるかもしれない。
そこでかつての同好会の部員の1年桜坂しずくに声をかけることにした。
しずくは元々演劇に興味があり、スクールアイドル同好会と兼部をしていたのだが、演劇部の活動に力を入れたいとスクールアイドル同好会に来なくなっていた。
旧友のかすみの頼みということと、廃部の危機を知ってしずくは戻ってくることを快諾してくれた。
その後、留学から帰ってきて廃部の危機を知ったかつての同好会の部員で3年のエマ・ヴェルデさんも同好会に戻ってきてくれた。
歩夢の勧めで同じ学年の宮下愛に声をかけることに。学年内で人気者で、他の部の助っ人をしている愛は最初は迷っていたものの歩夢たちの説得と、合わなかったらすぐにやめてもいい の一言で一応同好会に参加してくれた。元々ノリのいい彼女は今ではスクールアイドルに対して情熱を燃やしてくれているみたいだ。
愛の入部とほとんど同じくらいの時に、愛と仲のいい後輩、天王寺璃奈と会うことに。彼女はいつも「璃奈ちゃんボード」と呼ばれるスケッチブックで顔を隠しており、自分の表情をそのスケッチブックに描いている。どうやらこのスケッチブックがないとダメらしい。そんな彼女の個性を同好会のみんなは新しいと前向きに受け入れる。
かすみ、しずく、エマさん、愛、璃奈。
半分は集まった。
残り5人をどうするか、同好会の部室で話し合う。
元同好会のメンバーの勧めで、同じく元メンバーで3年の近江彼方さんに声をかけてみることになった。
俺「入学して2年目だけど、この学校本当敷地広いよな、彼方さん探すのも骨が折れそう。」
エマ「うーん、でも多分彼方ちゃんがいるところは大体検討がつくな~。多分保健室だと思う…」
エマさんのいう通りに保健室に向かう俺たち。
そこでは黄土色の長髪の子がベッドで横になっていた。というより寝ていた。
俺「もしかしてこの人が彼方さんですか?完全に寝てますけど。」
エマ「うん、彼方ちゃんはいつもこんな感じなんだ。具合が悪いわけじゃなくていつものお昼寝だと思う。」
エマ「彼方ちゃん、彼方ちゃん。久しぶりエマだよ?元気?」
彼方「ん?おぉ~エマちゃん久しぶり~」
起きた彼方さんに事情を説明する俺たち。
だが、彼方さんは勉強のことで手一杯であるのと今はスクールアイドルへの情熱が薄れているという。
廃部の危機を伝えてもなかなか同好会へ戻ってくれそうにはなかった。
彼方「彼方ちゃん、今勉強のことで手一杯なんだよね~それに何をするにしても無気力で、アイドル活動もデュエルも全然やる気起きなくて~。前はアイドルもデュエルも大好きでどっちも頑張れたんだけど困ったね~」
一同が浮かない顔をしているとかすみが重い口を開く。
かすみ「彼方先輩、デュエルも全然やる気が起きないって言いましたよね?だった先輩と
デュエルしてみてください!」
俺「え?俺?」
かすみ「はい!先輩のデュエルには人の心を動かす何かがあるんです!私はいや、ここにいるみんなそう思っています!だから彼方先輩の冷めてしまった情熱を呼び覚ましてください!」
彼方「へぇ~そうなんだ~そこまでいうならちょっとだけ興味あるかも~」
かすみ「ですよね?彼方先輩!だから先輩とデュエルしてください!そして思い出してください!デュエルもアイドルも全力で楽しんでいたあの頃を。先輩もいいですよね?きっとこれが彼方先輩を同好会に戻す一番いい方法です!」
俺「わ、わかった。やってみる。」
歩夢「大丈夫だよ、あなたならきっとできるから。」
かすみ「そうと決まれば早速デュエル場に行きましょう!」
そして、デュエル場に着いた俺たち。
同好会のメンバーが見守る中でデュエルが始まる。