スクスタの主人公が男で決闘者だったら   作:トモカズ

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第4話 前編

第4話 前編

 

あの時、歩夢はなんて言おうとしてたんだろう。

あの時それを聞く勇気は俺にはなかった。

 

もしかして彼氏ができたとか?いやいやそんな感じ全然ないし…。

 

でもなんだかすごい気になってきた…。

明日、思い切って聞いてみるか…。

 

翌日…

 

俺「歩夢、あのさ」

 

歩夢「うん?何?」

 

俺「その、昨日俺になんか言おうとしたじゃん…?あれ、なんて言おうとしたの?」

 

歩夢「それはね…えっと…」

 

俺「言いづらいなら言わなくていいんだ、ただちょっと気になっただけだからさ。」

 

歩夢「ううん、やっぱり言わなきゃダメだよね。ずっと言わないでおくのもあなたに申し訳ないし…」

 

歩夢「私ね」

 

俺「うん…」

 

歩夢「スクールアイドルをやってみようと思うの」

 

俺「え?あ、あぁいいんじゃないか、でもどうして急に?」

 

歩夢「うん、前にあなたにやってみたら?って言われたでしょ?その時、私なんかじゃ全然できないって思ったの。でもね、みんなを見てるとすごく楽しそうだなって思ってきて、私も一緒にやってみたいと思うようになってきたの」

 

俺「そっか…それは歩夢の本心?」

 

歩夢「え?うん、そうだけどどうして?」

 

俺「歩夢が言ったように前俺が誘ってみただろ?それで気を使ってスクールアイドルをやるって言ってるんじゃないかなと思って。歩夢が本当にやりたいって言うんだったら全力で応援したいし、もし気を使ってやりたいって言ってるんだったら俺は自分の考えを歩夢に押し付けたくないから、無理にやることに賛成はできない」

 

歩夢「そうだったんだ、でもスクールアイドルをやりたいっていうのは私の本心だよ、でももう一つ始めたいって思った理由があるの。」

 

俺「それは?」

 

歩夢「それはね一番近い所であなたに私を応援して欲しいの。ずっとずっと一緒にいたあなたにスクールアイドルとしての私を見ていて欲しいの。わがままかもしれないけど、それが私の本心だから…」

 

俺「そっか、ならよかった。それなら俺は一番近くで歩夢を応援するよ、誰よりも大きな声でさ!」

 

歩夢「ありがとう、あなたならそう言ってくれると思ってた」

 

俺「そしたら、早速みんなに伝えないとな」

 

歩夢「うん!」

 

こうして歩夢もスクールアイドルを始めることになり、いよいよ残りは2人なった。

 

しかしその残り2人がなかなか集まらなかった。

だが、決してみんなが諦めることはなかった。ビラを配ったり、みんなの知り合いを当たってみたりとできる限りのことはした。

それと同時にスクールアイドルの存続がいつ認められてもいいようにアイドルしての練習も少しづつ始め、デュエルのトレーニングにも俺はできる限り付き合った。

 

そして、いよいよ期日が迫ってきたある日、部室にある人物がやってきた。

 

???「失礼します」

 

かすみ「あ、あなたは…生徒会長」

 

生徒会長「部員集めは順調ですか?」

 

かすみ「え、えぇもちろんですよ、今や部員は8人。残り2人で約束通りの10人になります。」

 

生徒会長「そう…ですが、ここ最近部員の増員が見込めていないようですが、期日はもうまもなくなんですよ。」

 

かすみ「わ、わかってます!でも私たちだって諦めたわけじゃありません!必ず10人集めてみせます!それにきっと今ならせつな先輩だって…」

 

生徒会長「優木せつ菜ですか…ですが、その優木せつなのせいで同好会は分散したんじゃないでしょうか。」

 

かすみ「ち、違います!たしかにせつ菜先輩とかすみんたちが追い求めるアイドル像は違ったかもしれないけど、でもそれはわたし達のせいであってせつ菜先輩のせいじゃありません。もっとちゃんと私たちが話あっていれば…」

 

聞いたことがあった。優木せつ菜、俺と同じ学年で元々スクールアイドルをやっていため知名度は抜群。でも実際にアイドルとしての活動をしている姿を学校のほとんどの人がみたことがないという。優木せつ菜が追い求めるアイドル像と前の同好会のメンバーが追い求めるアイドル像の違いから徐々にみんな離れていたことを。

 

 

生徒会長「また再び同好会に部員が集まったとしても、同じように求めるものの違いで部員が離れていくのではないでしょうか。」

 

たしかに生徒会長の言う通りかもしれない。

だけど、μ’sとAqoursのライブを見たときたしかにグループの息は合っていて輝いていた。だけどそれは単に求めるアイドル像が同じだったからなのか。俺は違う気がする…。あのライブはたしかに一人一人が輝いていたんだ。多分求めているアイドル像だって全員が同じだったわけじゃないと思う。でも、同じスクールアイドルとして何か共感しあえる部分が重なってあんなすごいライブになったんだと思う。

だから…目指す方向性が違くても俺は構わないと思う。

 

俺「たしかに生徒会長の言う通りかもしれない。」

 

かすみ「え?」

 

俺「目指す方向性が違くて時にはバラバラになるかもしれない。だったら目指す方向性が違うことを認めてその上で活動をすればいいんじゃないかな?」

 

生徒会長「どういう意味ですか?」

 

俺「そのまま通りさ、目指す方向性が違くても俺はいいと思うんだ。μ’sやAqoursだってそりゃすっごい息はあってるけど、でも目指してるところは本当に全員一緒とは限らないだろ。みんなそれぞれの思いを、プライドを、信念を持ってやってるんじゃないかな?デュエルだってさ、みんな全く違うデッキをみんな使うだろ、圧倒的な攻撃力で相手を倒すデッキだったり、相手に何もさせないようなロックデッキだったり、それこそエクゾディアみたいに特殊な勝利を狙うデッキを使うやつだっている。だからみんなバラバラは当たり前なんじゃないか、むしろそれがいいんじゃないのか。バラバラだから時にぶつかり合うこともあるかもしれない、でもだからこそそれを認めた時にもっともっと前に進めるんじゃないのか?互いの違いを認め合い、そして自分の足りないところを補っていく。そうして前に進めばいいんじゃないのかなって俺は思うんだけど。」

 

生徒会長は少し無言になったあと、口を開く。

 

生徒会長「そんなの…そんなのはただの詭弁です。綺麗事です。それができなかったから同好会はバラバラになったんじゃないでしょうか。」

 

俺「たしかにそうかもしれない、でも今は前よりも仲間がいる。そして前の失敗を活かすチャンスがある。」

 

生徒会長「チャンスですか。そんなの…」

 

俺「なぁ、生徒会長」

 

生徒会長「何です?」

 

俺「君もデュエルをするんだろ?」

 

生徒会長「えぇ、まぁ」

 

俺「だったら俺とデュエルをしないか?」

 

生徒会長「あなたと?」

 

俺「あぁ、俺元々デュエルには結構自信があったんだけどさ、ここのみんなも結構強くて本当みんないろんなデッキを使っててさ。だからこそ毎日のデュエルが楽しいし、前よりもっと強くなれた気がするし、前に進めた気がするんだ。だから生徒会長に見せたいんだ、バラバラだって目指す方向性が違くても、それでも前に進む力を、可能性を。」

 

生徒会長「前に進む力…可能性…いいでしょう。あなたとのデュエル受けてたちます!」

 

俺「そうこうくちゃな。」

 

デュエル場に着いた俺たち。

今から同好会の存続をかけた最大のデュエルが始まる。

 

デュエル!!


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