スクスタの主人公が男で決闘者だったら   作:トモカズ

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第4話

 

 

 

〜ある日、ファストフード店にて〜

 

 

 

穂乃果「そうなんだ!同好会無くならくて済んだんだ!」

 

 

 

かすみ「はい!先輩が三船栞子をけちょんけちょんにやっつけましたので」

 

 

 

絵里「とりあえずこれで一安心ね」

 

 

俺「と言いたいところなんだけど、そうじゃないんだよな」

 

 

穂乃果「そうなの?」

 

 

歩夢「うん、三船さん、今回は手を引くけどまだ諦めたわけじゃないみたい」

 

 

海未「たしかにお話を聞く限り一度敗れただけで諦めるような方ではなさそうですね…」

 

 

俺「それに…」

 

 

穂乃果「それに?」

 

 

俺「たしかに今回のデュエルは俺が勝ってなんとかなった。けどそれで解決できたとは思えない。三船さんとはもっとちゃんと話し合う必要があると思うんだ。三船さんが学校を思う気持ちは本物だ。だからこそちゃんと話し合えばきっと分かり合えると思うんだ。」

 

 

 

にこ「あんたも本当、お人好しね〜。あんなに言われたのに悔しくないの?」

 

 

俺「彼女は悪気があってそう言ってたわけじゃないって思ってるから。それに彼女のスクールアイドルに対する誤解を解かない限り俺たちと三船さんは分かり合えない気がする」

 

 

にこ「あんた本気で分かり合えると思ってるの?スクールアイドルは意味がないって言ったよ?」

 

 

俺「思ってるよ。それに似たようなこと、μ'sだってあっただろ?」

 

 

 

にこ「それは…」

 

 

 

絵里「ふふ、彼の言う通りね。それに分かり合えないって決めつけたら一緒分かり合えない。そうでしょ?」

 

 

 

穂乃果「そうだよ!絵里ちゃんだって今はこうしてμ'sの一員になってくれたんだし、きっと栞子ちゃんとだって分かり合えるよ!」

 

 

 

俺「あぁ」

 

 

 

にこ「ま、まぁ好きにしなさいよ。それよりあんたたち準備はできてるの?」

 

 

 

かすみ「準備?なんのですか?」

 

 

にこ「ばっかぁもーん!準備と言ったらスクールアイドルフェスティバルに決まってるでしょ!」

 

 

 

かすみ「スクールアイドルフェスティバル…?それってもっとあとじゃ…」

 

 

 

にこ「はぁ…あんたが言ってるのはスクールアイドルデュエルフェスティバルでしょ。私が言ってるのはデュエルがない方。つまりアイドルとしてのパフォーマンスをする方よ」

 

 

かすみ「あぁ、そっちか!」

 

 

にこ「全く」

 

 

俺「そういえば例年だとそろそろ案内が来るんだっけ?」

 

 

にこ「そうよ、全く案内がきてから準備するなんて…あんたたちほんとににこにーたちと肩を並べるつもりあるの?」

 

 

 

かすみ「あります!ていうかいつかは追い抜きますから!」

 

 

にこ「ほうなかなか言うじゃない」

 

 

絵里「まあまあ2人とも。けどそろそろ開催の通知が来るはずだから虹ヶ咲のみんなも準備をするのに越したことはないわね」

 

 

 

 

歩夢「そうですね。ねぇ、早速明日みんなに言って準備しよっか?」

 

 

 

俺「あぁそうだな」

 

 

 

にこ「全く恥ずかしいパフォーマンスしたら承知しないわよ」

 

 

かすみ「にこ先輩だって!」

 

 

 

にこ「ぬわぁんですってー?」

 

 

 

 

 

〜翌日〜

 

 

 

彼方「そういえばもうそんな時期か〜」

 

 

エマ「ここ最近、いろいろあってすっかり忘れてたね〜」

 

 

せつ菜「私としたことが…こんなに楽しいイベントを忘れていたとは…一生の不覚です!」

 

 

 

しずく「今年はどんな内容になるでしょう」

 

 

 

璃奈「あ、掲示板に通知が。!?璃奈ちゃんボード ガクブル…」

 

 

 

愛「どうしたの?りなりー?」

 

 

璃奈「こ、これ…」

 

 

みんな「本年のスクールアイドルフェスティバルは運営上の都合で開催を見送ることに決定致しました」

 

 

 

愛「これって」

 

 

エマ「嘘…」

 

 

せつ菜「そんな…」

 

 

歩夢「開催が中止…?どうして…」

 

 

しずく「運営上の都合って…」

 

 

かすみ「こ、こんなの納得できません!」

 

 

 

俺「ん?穂乃果からだ。もしもし」

 

 

 

穂乃果「もしもし掲示板みたー!?」

 

 

俺「あぁ、今見ている。これって…」

 

 

 

 

俺たちに走った衝撃。

 

 

スクールアイドルフェスティバルが中止の通知。

 

 

俺たちとμ's、Aqoursはすぐに集まった。

 

 

当然3グループとも納得がいっていない様子だった。

 

 

困惑する俺たち。

 

 

なんとか開催中止を取り消せないかいろいろ考えた。

 

 

そこで俺たちは去年の運営をしていたアドレスにメールを送ってみることにした。

 

 

するとなんとメールに返信が返ってきた。

 

 

 

そこには開催中止の理由が記載されていた。

 

 

開催中止の理由は2つ

 

 

まず、場所の確保が困難であること。

 

 

去年まで使われていた会場は大規模な改修工事をしているため使用できない。

 

 

そしてそれに代わる会場を抑えることが困難であること。

 

 

 

もう一つの理由が運営をしてきた実行委員会の人たちがそれぞれの理由でやめていったこと。

 

このメールを返してくれた人が最後の1人になったらしい。

 

さすがにあの大規模のイベントを1人で運営するのは困難なため、今年の開催は見送ったとのこと。

 

 

しかもそのメールには今後の開催も未定であるらしく、開催をしない可能性が高いと記されていた。

 

 

 

 

〜部室〜

 

 

果林「開催中止の裏側にそんなことがあったなんて…」

 

 

エマ「仕方ないといえば仕方ないけど…」

 

 

かすみ「かすみんそんなの絶対嫌です!」

 

 

愛「愛さんだって!」

 

 

 

せつ菜「あの…1つ考えがあります」

 

 

 

かすみ「な、なんですか!?」

 

 

 

せつ菜「実行委員会を私たちで引き継ぐというのはどうでしょうか?」

 

 

 

みんな「…」

 

 

 

愛「それだー!」

 

 

かすみ「はい!それですよ!きっとμ'sとAqoursの皆さんも協力してくれますよ!」

 

 

せつ菜「はい!28人もいればきっとできると思うんです!」

 

 

果林「たしかにそれだけいればなんとかなりそうね」

 

 

かすみ「先輩!早速2グループに連絡を!」

 

 

俺「あ、あぁわかった」

 

 

 

 

その後、μ'sとAqoursに事情を話すと快諾してくれた。

 

 

こうしてニジガク、μ's、Aqoursの3グループで実行委員会を引き継ぐことになった。

 

 

あとはそれを前実行委員会の人が認めてくれるかどうか。

 

 

俺はメールを送ってくれた人に直接会えないか、連絡を取ってみた。

 

 

俺の身分を明かすと向こうは快諾してくれた。

 

 

そして前実行委員会の人と会う日になった。

 

 

集合場所はあちらが指定してきた。

 

 

 

〜カフェ〜

 

 

 

俺「ここだよな…。」

 

 

 

???「あれ?君が虹ヶ咲のスクールアイドル同好会の部長さん?」

 

 

 

俺「もしかしてあなたは?」

 

 

 

???「私が前実行委員会の最後の1人よ。それにしてもテレビで見た時と同じ顔ね」

 

 

俺「知ってるんですか?俺のこと?」

 

 

 

???「えぇ、もちろんよ、この前のデュエルカーニバルの決勝戦、凄かったわね」

 

 

 

俺「ありがとうございます。」

 

 

???「あぁ、自己紹介がまだだったわね、私は薫子、よろしく」

 

 

 

俺「薫子…。まさか?」

 

 

薫子「あれ?もしかして私のこと知ってた?」

 

 

俺「もしかしてあなたは三船栞子さんの…」

 

 

薫子「あぁ、バレちゃったか。そう君のご明察通り。そういえば栞子、君の学校の生徒会長なんだっけ?」

 

 

 

俺「えぇ」

 

 

 

薫子「そう、どう栞子はちゃんとやれてる?」

 

 

 

俺「評判は結構聞きます。生徒の適性をちゃんと見てくれるって。ただ…」

 

 

 

薫子「ただ…?」

 

 

俺「彼女はスクールアイドルをあまりにも目の敵にしてる。そんな気がします」

 

 

薫子「あぁ〜やっぱりそうか。なんかそんな気がしたんだよね〜。やっぱり私の責任かな」

 

 

俺「薫子さんのせいじゃないと思います。」

 

 

薫子「そう?でも私を見てあの子はスクールアイドルを毛嫌いするようになった。」

 

 

俺「薫子さん、俺ずっとあなたに聞きたかったことがあるんです。」

 

 

薫子「何かしら?」

 

 

俺「今でもスクールアイドルをやっていたこと、後悔していますか?」

 

 

薫子「してるって言ったら?」

 

 

俺「その時は栞子さんの考えは間違ってなかったと思います。けど薫子さんのことは薫子さんしかわからない。だけど後悔してる人が実行委員会をやるのかな?って思うんです。今でもスクールアイドルが好きだから、後悔してないから、だから実行委員を最後の1人になるまでやってたんじゃないかなって」

 

 

薫子「君って本当、鋭いのね。そう君の言う通り、私は後悔なんかしてない。スクールアイドルが今でも大好きよ。だから最後の1人になるまで実行委員を続けた」

 

 

俺「なら、そう栞子さんに伝えてもらえませんか!?彼女はあなたがスクールアイドルをやって後悔してると思ってる。約束された未来を捨て、自分の好きなことをした結果、後悔してると思い込んでる」

 

 

薫子「そうでしょうね」

 

 

俺「それがわかってるならどうして伝えないんです?」

 

 

薫子「今それをあの子に言ってもちゃんと聞いてくれるかしら?ずっとスクールアイドルを毛嫌いしてきた彼女の心を今更変えることはできるかしら?むしろそれを伝えることでもっとあの子を傷つけるんじゃないかって」

 

 

俺「それは…」

 

 

薫子「そういうこと。だからこれ以上は私たちの問題なの。」

 

 

俺「…」

 

 

薫子「それで実行委員をあなたたち3グループが引き継ぐ話だっけ?私は構わないわ。けど運営は楽しいことばかりじゃなく辛いこともあることを忘れないように。それとこのイベントは全国のスクールアイドルの夢の祭典でもあるわ。これならやらない方がよかったってならないようにしてね」

 

 

俺「わかっています。」

 

 

薫子「そう、それじゃ頑張ってね。引き継ぎ資料はあとでメールで送っておくわ」

 

 

俺「はい、ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

〜部室〜

 

 

 

俺「ただいま」

 

 

歩夢「あ、おかえりなさい」

 

 

愛「どうだった?」

 

 

俺「とりあえず引き継ぎことはOKになったよ」

 

 

 

愛「やったー!それじゃあ開催できるんだね!」

 

 

俺「まだ100%決まったわけじゃないけどな。課題は山積みだ。それをクリアできないと多分開催はできないと思う」

 

 

 

かすみ「でもかすみんたちが力を合わせれば楽勝ですよー!」

 

 

璃奈「璃奈ちゃんボード やったるで〜」

 

 

果林「そうね、やるからには絶対に成功させましょう」

 

 

 

せつ菜「そうと決まれば早速μ'sとAqoursの皆さんに連絡して企画を考えましょう!」

 

 

 

μ'sとAqours、それからニジガクで企画を考えることになるも、それぞれやりたいことがバラバラでなかなか案がまとまらずにいた。

 

 

それと並行して会場探しをするもこちらもそう簡単にうまくいかなかった。

 

 

前回の会場の規模と同等の会場はほとんどなく、あったとしても当然別のイベントの予約が入っていた。

 

 

またイベント会場を探しても小さな会場を見つけることができても到底スクールアイドルフェスティバルが開催できる規模の会場ではなかった。

 

 

 

3グループに徐々に焦りが見え始めてきた。

 

 

 

 

〜数日後〜

 

 

 

尊「よ!」

 

 

俺「尊か」

 

 

尊「同好会の調子はどう?」

 

 

俺「調子か…いいとは言えないかな。3グループが集まったから運営ももっと上手くいくと取ったけど予想以上に難航してて」

 

 

尊「そうか…。あ、そういえば三船さんのこと聞いた?」

 

 

俺「いや、どうかしたのか?」

 

 

尊「うん、彼女、生徒会長就任当初は評判よかったんだけどさ、今はなんかあんまり良くないんだよね」

 

 

 

俺「そうなのか?」

 

 

尊「うん。適性を見てくれるのはいいけどなんかそればかりで、全部向こうに決められるのが嫌っていう生徒とか自分のやりたかったことはこんなんじゃないって前は彼女を支持してた人もだんだんと離れていってるみたい」

 

 

俺「そうか…」

 

 

尊「…とにかく頑張ってよ、僕応援してるから。僕にできることがあったらなんでも言って?スパイでもなんでもやるよ」

 

 

俺「そうだな、その時は頼む」

 

 

 

 

 

〜部室〜

 

 

歩夢「どうかした?」

 

 

俺「え?」

 

 

歩夢「ずっと下向いてたから…」

 

 

俺「あぁ、大丈夫。そうだ、俺、会場の交渉言ってくるから、今日の練習は歩夢に任せた」

 

 

 

歩夢「え?ちょ、ちょっと」

 

 

 

 

 

〜練習後〜

 

 

かすみ「む〜なかなか先に進めません〜」

 

 

果林「ここまで難航するとは思わなかったわね」

 

 

愛「歩夢どうしたの?」

 

 

歩夢「え?ううんなんでもないよ」

 

 

彼方「そういえば今日も部長、会場の交渉に行ってるんだっけ?」

 

 

歩夢「はい…」

 

 

エマ「部室のことだからきっと会場を抑えてくれるとは思うけど、最近部活にきてはすぐいなくなっちゃうから不安だよね」

 

 

 

かすみ「やっぱりかすみんがついて行ったほうがよかったんじゃ」

 

 

しずく「かすみさんじゃ話ややこしくしそう」

 

 

 

かすみ「そ、そんなことないもん!」

 

 

 

せつ菜「あの会場の件ですが…この学校を使うのはどうでしょう?」

 

 

歩夢「学校を!?」

 

 

 

果林「確かにキャパシティは申し分ないけど…ねぇ」

 

 

 

彼方「うん、絶対ダメって言われるよね〜」

 

 

 

せつ菜「そうですよね、やっぱり三船さんがそんなの許可してくれませんよね…」

 

 

 

歩夢「で、でも言うだけ言ってみるのはどうかな?」

 

 

せつ菜「歩夢さん…」

 

 

歩夢「ほら前にあの子が言っていたでしょ、三船さんは悪い人じゃない、私たちの敵じゃないって。だからちゃんと準備して話し合えば三船さんもわかってくれるんじゃないかな?」

 

 

果林「それができればいいんだけど…」

 

 

かすみ「歩夢先輩、相手はあの三船栞子ですよ?先輩とのデュエルをしてもまだ同好会の廃部を狙ってるんですよ?」

 

 

歩夢「それはわかってる…。でもだからって分かり合えないって決めつけたらこの先ずっと分かり合えない。三船さんはそんな人じゃないって私は思うの…」

 

 

 

せつ菜「歩夢さん…」

 

 

愛「ま、歩夢がここまで言うんだから、やれるだけやってみよーよ!」

 

 

璃奈「璃奈ちゃんボード むん」

 

 

しずく「そうですね、もしそれで上手く行って学校が使えるようになれば、会場の問題はクリアできてあとは運営についてだけですもんね」

 

 

果林「ま、確かに残された道はこれしかなさそうね」

 

 

歩夢「みんな、ありがとう!」

 

 

せつ菜「そうしたら早速部長に連絡しましょう!」

 

 

 

〜数日後、部室にて〜

 

 

 

俺「学校を会場に?」

 

 

歩夢「うん、多分三船さんには反対されると思うけどここでスクールアイドルを理解してもらえば会場の問題もクリアできていいんじゃないかって思って」

 

 

俺「そうか。どの道、多分三船さんの問題は避けて通れないか。わかった、そしたら交渉の資料を作ろう」

 

 

歩夢「うん!」

 

 

 

 

それからμ'sとAqoursにアドバイスをもらいながら俺たちは学校を会場にする企画書とスクールアイドルフェスティバルの企画書を作っていった。

 

 

 

そして…

 

 

 

 

〜千十万〜

 

 

 

穂乃果「まさか千歌ちゃんの実家を貸してくれるなんて」

 

 

 

千歌「みんなが大変なんだもんこれくらい気にしないで」

 

 

曜「そうそう、それにスクールアイドルフェスティバルが成功すれば浦の星の入学希望者が増えて廃校を阻止できるかも!」

 

 

千歌「だから気にしないで使って」

 

 

 

俺たちは千歌の実家の旅館でスクールアイドルフェスティバルについて話し合った。

 

半分は合宿、半分はお泊まり会みたいだったけど。

 

 

千歌「案は出るけどなかなかまとまらないね」

 

 

穂乃果「うーん、この際もう全部やっちゃうとか!」

 

 

曜「それいいかも!」

 

 

 

ヨハネ「くくく、全国のリトルデーモンが集まりサバトが…」

 

 

花丸「善子ちゃんのことは放っておくずら」

 

 

ヨハネ「ヨハネだってば!」

 

 

ルビィ「でも楽しいこと考えるとなんだかこっちまで楽しくなってくるよね」

 

 

 

穂乃果「そうそう!楽しいが伝染してるみたいな!」

 

 

俺「楽しいが伝染か…」

 

 

 

絵里「そうだ、やっぱりスローガンがあったほうがまとまりやすいかもね」

 

 

鞠莉「イェース!どんな派手なスローガンにしようかしら」

 

 

果南「派手にするのはいいけど程々にね」

 

 

せつ菜「やはりみなさんがやりたいことをそれぞれやるのがいいのではないでしょうか?」

 

 

エマ「みんなそれぞれの楽しいことをする…うんすっごくいいね」

 

 

 

彼方「みんなの楽しいが集まる場所…」

 

 

穂乃果「ならこれしかないよ!集え!みんなの夢!」

 

 

千歌「うん!それすっごくいいと思う!」

 

 

せつ菜「はい!最高に相応しいスローガンだと思います!」

 

 

歩夢「うん、聞いてるだけでワクワクするね」

 

 

 

こうしてスローガンを決め、結局それぞれみんながやりたいことをすることに決めた俺たち。

 

 

それからそれに向けて課題をあぶり出し、調整していった。

 

 

 

そしてついに企画書が完成した。

 

 

 

 

 

それから数日が経ち…

 

 

 

 

〜校庭〜

 

 

 

生徒A「というわけで、三船さんには悪いけど私、元の部に戻るわ」

 

 

栞子「どうしてです?この部はあなたの適性に合っているというのに」

 

 

生徒A「うーん、なんていうかさ、やってて楽しくないんだよね、自分にあってないっていうか」

 

 

栞子「ですが、楽しさばかり追いかけては将来きっと後悔することになります」

 

 

生徒A「まぁ私からしたら今自分のやりたいことをしない方がきっと後から後悔すると思う。それにこれは私の人生だからさ、悪いけど三船さんこれ以上口を出さないでもらえる?」

 

 

栞子「それは…」

 

 

生徒A「そういうことだから、この部を紹介してくれたことには感謝してるから」

 

 

栞子「はい…」

 

 

 

 

栞子「今月に入って前の部に戻る生徒が4人目…どうして…どうしてみんな自分の好きなことばかり。それじゃ将来きっと後悔する…。」

 

 

 

その時、栞子の脳内にこの前のデュエルがよぎった。

 

 

 

 

俺『じゃあ一度でも薫子さんに自分に選んだ道を後悔したことがあるって聞いたことある?』

 

 

 

 

栞子「みんな本当に後悔してないの。いや、今は後悔しなくてもきっとあとで後悔する。だからそうならいためにも私は…」

 

 

 

 

そこに

 

 

栞子「あなたちは…」

 

 

俺「三船さん、話があるんだ」

 

 

 

 

〜生徒会長〜

 

 

 

栞子「それで話とは?」

 

 

俺「単刀直入に言うよ。スクールアイドルフェスティバルの会場にこの学校を使わせて欲しい」

 

 

 

栞子「何を言うと思ったら、中止になったイベントの会場を学校にしたいですか。そんなこと私が許可すると思いますか?」

 

 

俺「いや、ただお願いしただけじゃ許可してくれるなんて思ってない。それとスクールアイドルフェスティバルが中止になるって知ってたんだね」

 

 

栞子「それは小耳に挟んだだけで」

 

 

歩夢「三船さん、これ読んでみて」

 

 

栞子「これは…」

 

 

せつ菜「スクールアイドルフェスティバルについての企画書、それにこの学校を使うことについての詳細が載ったものです」

 

 

栞子「こんなにも…。なるほどわかりました。一応、目は通しておきます。ですが私は今でもスクールアイドルが無意味なものであると思っています」

 

 

俺「わかってる。けれど俺たちだって簡単に引き下がるつもりはないよ。これを作るまでに相当の日数と労力を重ねてきた。君の心を動かすのは簡単なことじゃないってわかっている。けど、俺たちだって本気だってことを君にわかって欲しい」

 

 

 

栞子「わかりました…」

 

 

 

せつ菜「それでは私たちはこちらで失礼します」

 

 

栞子「えぇ」

 

 

 

 

〜廊下〜

 

 

 

歩夢「大丈夫かな」

 

 

せつ菜「あれだけ考えたんです。きっと大丈夫です!それにあとは当たって砕けろですよ!」

 

 

歩夢「うん、そうだよね」

 

 

 

 

〜翌日〜

 

 

 

栞子「あなた方の企画書は読ませていただきました」

 

 

 

せつ菜「どうでしょう…」

 

 

 

栞子「確かにあなた方が本気であるということは伝わりました」

 

 

歩夢「じゃあ」

 

 

 

栞子「ですが、見通しが甘いのまた事実です」

 

 

歩夢「見通し?」

 

 

栞子「えぇ、これだけの規模のイベントをあなた方28人で設営から何までできるとは思いません」

 

 

せつ菜「それは…」

 

 

栞子「そこで1つ条件があります」

 

 

歩夢「条件?」

 

 

栞子「えぇ、来月までにボランティアを1000人集めること。1000人いればこのイベントを回すことができるでしょう。それができなければこの学校を会場として使用することは認められません」

 

 

 

せつ菜「じゃあつまり…ボランティアを1000人集めれば…」

 

 

 

歩夢「この学校を使っていいってこと!?」

 

 

栞子「えぇ。すでに理事会にも話は通してあります。」

 

 

せつ菜「やりましたね!部長!」

 

 

俺「あぁ」

 

 

栞子「ですが、1つ忠告をしておきます」

 

 

せつ菜「なんでしょう?」

 

 

栞子「そう簡単に何もかも上手くいくとは思わないことです」

 

 

俺「…」

 

 

せつ菜「わかっています。けれど私たちは諦めません!必ずボランティアを1000人集めてスクールアイドルフェスティバルを開催してみせます!」

 

 

栞子「そうですか」

 

 

せつ菜「行きましょう!部長、歩夢さん、早速皆さんに報告です!」

 

 

歩夢「うん!ありがとう、しおり…じゃなくて三船さん」

 

 

栞子「…」

 

 

 

 

それからボランティアの件を俺たちはすぐにμ'sとAqoursに話した。

 

 

2グループは早速、SNSや街頭で呼びかけを始めた。

 

 

協力してくれると返事をしてくれた人たちは次々に増えていった。

 

 

 

この調子なら開催だって夢じゃない。

 

この時はそう信じて疑わなかった。

 

 

 

 

〜廊下〜

 

 

栞子「ん…」

 

 

歩夢「あれって三船さん?すごい資料の数あんなの1人で持てないよ…」

 

 

 

案の定、栞子は資料を地面に落としてしまう。

 

 

 

栞子「あっ…」

 

 

歩夢「だ、大丈夫?」

 

 

栞子「あなたは上原さん」

 

 

歩夢「あんな量1人で持つなんてすごいね」

 

 

栞子「いえ…」

 

 

歩夢「よいしょっと」

 

 

栞子「何をしてるんです?」

 

 

歩夢「半分こ、こんなに重たいの1人で持ってたら危ないよ。私も運ぶよ」

 

 

栞子「け、結構です。自分で持てますので」

 

 

歩夢「いいから。生徒会室に運べばいい?」

 

 

栞子「えぇ」

 

 

 

〜生徒会室〜

 

 

 

歩夢「ふぅ〜重かった〜やっぱり三船さんだけに持たせなくてよかった」

 

 

栞子「ありがとう…ございます」

 

 

歩夢「ううん、気にしないで。困った時はお互い様だよ」

 

 

栞子「…」

 

 

歩夢「どうかした?」

 

 

栞子「上原さん、私はあなた方の同好会を廃部にしようとしたんですよ?」

 

 

歩夢「うん、わかってるよ」

 

 

栞子「なのに…そんな私の仕事を手伝うなんて…」

 

 

歩夢「あのね、しおりこちゃじゃなくて三船さん。私たちはあなたこと敵だなんて思ってないよ」

 

 

栞子「え?」

 

 

歩夢「三船さんがどうしてそこまでスクールアイドルを毛嫌いしているかはわかんないけど、きっと深い事情があるんだと思う。それは三船さんじゃないとわからないことだから。でもね、三船さんは悪い人じゃないってわかる。三船さんも三船さんなりに生徒と向き合って学校をよくしようとしている。それは私たちも同じだから。だから私たちはあなたを敵だなんて思ってないよ」

 

 

 

栞子「そうですか。ですが私はあなた方の部長にあそこまで言ったんですよ?」

 

 

歩夢「ふふふ」

 

 

栞子「私、何かおかしなこといいました?」

 

 

歩夢「ううん、本当はね、あの子が1番先に三船さんは敵じゃないって言ったんだよ」

 

 

栞子「彼が?」

 

 

歩夢「うん、それもほんとに最初から。きっとあの子はあなたをちゃんと見ていたんだよ。だから全然気にしなくていいよ」

 

 

栞子「そう…ですか…」

 

 

歩夢「ねぇ、しおりこちゃ…三船さん、生徒会の仕事はどう?」

 

 

栞子「…」

 

 

歩夢「あれ?もしかして聞いちゃまずいことだったかな?」

 

 

栞子「いえ…正直、芳しくはないです。最初は皆さん、私が勧めた道を選んでくれました。しかしここ最近、皆結局元の道に戻るようになりました。私の考えは…間違っていたのでしょうか?」

 

 

 

歩夢「そんなことないと思うよ。」

 

 

 

栞子「え?」

 

 

 

歩夢「あの子も言ってたでしょ。三船さんの考えは間違ってないって。けど多分伝え方とかその人の本心とかいろいろな問題があったんだと思う。だから三船さんの考えは間違ってないと思うよ。けど人はそんな簡単じゃないって言えばいいのかな…理屈だけじゃわからない部分っていっぱいあると思うんだよね」

 

 

栞子「そうですか…」

 

 

歩夢「私の三船さんの考えも選択肢の1つで、でもそれが全てじゃないって思うの」

 

 

 

栞子「…」

 

 

 

歩夢「ごめんね、なんか偉そうなこと言って」

 

 

栞子「いえ…。貴重な意見をありがとうございます。それと」

 

 

歩夢「それと?」

 

 

栞子「私のこと、呼びたければ好きな呼び方をしていただいて構いませんので」

 

 

歩夢「あはは、バレてたか。それじゃあこれからは栞子ちゃんって呼ばせてもらうね」

 

 

栞子「えぇ、構いません」

 

 

歩夢「ありがとう、それじゃ私、練習に行くね」

 

 

栞子「はい」

 

 

 

 

〜数日後〜

 

 

 

愛「ボランティアの人数どんどん増えてきたねー!」

 

 

 

かすみ「ま、まぁかすみんにかかればこれくらいどうってことないですよ」

 

 

しずく「もしかしたら今日中に1000人集まるかもしれませんね!」

 

 

璃奈「璃奈ちゃんボード ワクワク」

 

 

 

彼方「これには彼方ちゃんもおめめぱっちりだよ〜」

 

 

果林「また増えたわ」

 

 

エマ「すごい、あと50人!」

 

 

せつ菜「また増えました!どんどん増えていきますね!」

 

 

愛「あと30人!」

 

 

 

しずく「あと20人です!」

 

 

 

璃奈「あと10人!」

 

 

かすみ「あと5人!」

 

 

歩夢「5、4、3、2、1…」

 

 

 

せつ菜「1000人到達しましたー!!」

 

 

かすみ「やったー!これでスクールアイドルフェスティバルが開催できます!」

 

 

俺「おっ、μ'sとAqoursのみんなも見てたみたいだ。早速連絡がきたよ」

 

 

 

せつ菜「早速、三船さんに報告しましょう!」

 

 

 

 

 

〜生徒会室〜

 

 

 

栞子「そうですか。1000人、集まりましたか」

 

 

せつ菜「はい!これで」

 

 

栞子「ですがまだ決定ではありません。後日、スクールアイドルフェスティバルの説明会をこのボランティアの方々にしてください。そこで本人たちの最終的な意思の確認が取れた時に、初めてその方々がボランティアに参加してくれると考えてください。説明会の会場はこの学校の講堂を使っていただいて構いませんので」

 

 

 

せつ菜「わかりました!」

 

 

 

歩夢「ありがとう!栞子ちゃん!」

 

 

 

 

 

それから部室に戻り早速説明会の準備を進めた。

 

μ'sやAqoursに協力してもらうことで準備は早くできた。

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

 

〜説明会当日〜

 

 

 

 

愛「うそ…そんなこれって1000人どころか1〆0人もいない…」

 

 

エマ「開始時間を間違って案内しちゃったとか?」

 

 

しずく「いえ、案内の時間はあっています…」

 

 

 

かすみ「そんな…」

 

 

 

俺「なんで…」

 

 

 

狼狽する俺たち。

 

 

 

そこに栞子がやってくれる。

 

 

 

栞子「皆さん、わかったでしょう。これが現実なのです」

 

 

せつ菜「現実…」

 

 

栞子「最初は協力する気があっても労力がかかるとなると話は変わってきます。面白そうだから協力すると言ったもののやっぱりやめておこうと思う方々がほとんどなのです。」

 

 

せつ菜「三船さんの言う通りだった…そう簡単にいかないって…」

 

 

栞子「…」

 

 

果林「と、とにかく今は来てくれた人たちにちゃんと説明しましょう」

 

 

エマ「そうだね、これ以上ボランティアの人たちを減らすわけにはいかないもんね」

 

 

 

 

それから説明会を終えた俺たち。

 

 

 

当然、みんな落ち込んでいた。

 

 

 

 

〜部室〜

 

 

 

かすみ「あんなに人が来ないなんて」

 

 

 

璃奈「璃奈ちゃんボード しょぼーん」

 

 

 

俺「…」

 

 

 

せつ菜「私たちの説明が悪かったのでしょうか」

 

 

 

俺「俺、もう一度協力してくれるって言った人と話してくる」

 

 

果林「え?」

 

 

俺「多分、ちゃんとスクールアイドルフェスティバルの良さが伝わってなかったんだ。だからもっとちゃんと説明してくる。みんなは運営のことを任せた」

 

 

 

果林「ちょ、ちょっと…」

 

 

 

彼方「行っちゃったね〜」

 

 

 

 

 

 

〜数日後〜

 

 

俺「それでなんとか協力して欲しいんです」

 

 

 

他校生徒「うーんでもやっぱりやめておくわ、なんか大変そうだし…それじゃ」

 

 

 

俺「この人もダメか…。なら次だ」

 

 

 

俺は手当たり次第、再度協力をあおいだ。

 

 

しかしみんな協力はしてくれなかった。

 

 

 

俺がもっとちゃんとしてればきっとこうはならなかった。

 

 

見通しが甘かった。

 

 

きっとうまくいくって思い込んでいたんだ。

 

 

けどここでへこたれるわけにはいかない。

 

 

みんなの夢の実現のために。

 

 

 

俺はそのための部長なんだ。

 

 

みんなの力になれないなら俺は部長失格だ。

 

 

 

必ず1000人ボランティアを集めてみせる。


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