転生魔王のチートキラー   作:誰かの影

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ようやく仕事が起動に乗りました。前書いた魔王ときどき曇りが改めて読んだら駄作だと思い、新たに書き直しました。亀更新ですが。


プロローグ

「あれ?ここ…何処?」

 

目を覚ますとそこは一面花畑。空は晴れているが、何故か星が見える。そして、少年こと神代逢魔は思い出した。

 

「そ、そうだ!確かトラックに轢かれて…。」

 

「そう。貴方は死にました。神代逢魔。」

「!」

 

突如声がして振り返る。そこには。

 

「ようこそ、我が楽園へ。」

 

そこには自分より身長が高く、地面に届くくらい長い月の様な銀の髪を靡かせ、胸のはだけた水色のドレスを身に纏い、程よい胸、スタイルはほぼ完璧、しかし頭には華奢な身体に不似合いな巨大な山羊の角を生やした異形の女性が立っていた。

 

「あ、貴方は?」

 

「私はペルセポネ。魔族の母とも言われている女神です。」

 

魔族の母ペルセポネはニコリと微笑む。異形ではあるが顔は優しく美しい。

 

「女神様に…楽園…やっぱり僕死んだんですね?」

「はい。居眠り運転のトラックに…お気の毒に…まだお若いのに。」

 

女神は心底哀れむように逢魔を見る。逢魔もうなだれた。そして。

 

「新作のラノベ…読みたかったなぁ…。」

「そ、そこですか!?親不孝ですね!…まぁ、いいですけど。」

 

 

 

 

女神は真剣な面持ちで逢魔を見る。

 

「逢魔。実はお願いがあり貴方の魂をここに導きました。」

「お願い?」

 

女神はすっと手を仰ぐ様に動かすと立体映像の如く、地球みたいな星が浮かび上がった。

 

「地球?いや、大陸の形が違う。」

「地球ではなく、惑星、テル・アブ・フレイラです。」

 

女神はさらに映像を拡大して一つの情景を映し出した。そこには何かに怯える魔族、魔物がいた。そしてそこに人間であろう人物がやって来て、有無も言わず駆逐していく。中には抵抗する魔物もいるがまるで歯が立たない。そんな光景をいくつも見せられた。

 

「な、なんだアイツら。」

 

逢魔の言葉に女神は見る見る怒りに満ち、まるで邪神みたいな顔に変わった。

 

「人間のくそ生意気な淫乱女神、アフロディーテが転生させた勇者です。あぁ!忌々しい!」

 

女神から溢れるどす黒いオーラに周りの花が萎れて行く。

 

「ちょ!女神様!花!花枯れてきてます!と、とりあえず落ちついて!」

 

逢魔はあれこれ思い当たる褒め言葉とアフロディーテを下げる様な言葉でペルセポネを宥めた。

 

 

 

 

 

 

 

「それで貴方に来てもらった事ですけど…同じように転生し、あのくそ女神、じゃなくて、あのビッチ…でもなくて、あのくそ生意気な女神の勇者から私の可愛い魔物魔族を守ってくれませんか?」

 

「ま、またどす黒いオーラが…。」

 

何やら黒いオーラが見えた。しかしすぐに引っ込んだので女神に問いかける。

 

「勇者から魔物魔族を守るってことは…魔王!?」

「そうなりますね?私が手を下そうにも下手に神が直接手はだせないので。もちろん、そのままの平凡な肉体では行かせません。」

 

「平凡って…あぁ、でも確かにさっき見た勇者とかにすれば平凡かぁ。」

 

映像で見た勇者達は揃いに揃ってイケメンや美人ばかりだった。再び女神はすっと手を仰ぐ様に動かす、今度現れたのは…。

 

 

「これは…。」

 

現れたのは宙に浮く、同い年くらいの少年だった。髪は女神様と同じく月の様な銀の髪で体はあらゆる無駄が削がれ、誰もが見ても美少年だ。しかしその頭には女神様同様、巨大な山羊の角が生えている。

 

されど、まるで寝ているかの様に穏やかな表情をしている。

 

 

「ぽぉー。」

「もしもし。」

「はっ!ご、ごめんなさい。見惚れちゃって。」

 

素直に見惚れていた。それを聞いた女神は嬉しそうに微笑み。

 

「うふふ。そうでしょ!何回も何回もキャラメイクし直したのよ!もう何徹したかしら?アフロディーテのくそ生意気な勇者なんかに負けないくらいイケメンor美少年にしたかったの!特にこの鼻筋!耳の形!頬骨!苦労したわ…あんまりやり過ぎると人形みたいな顔になるし…ふふふふふふふ!キャラメイクならアフロディーテに負けないわ!」

 

よほど嬉しかったのか女神はまるでオタク女子みたいな口調になり、立体映像に肉体の特徴、拘りを事細かく記し、滅茶苦茶熱弁する。もはや女神の威厳はない。

 

「と、とりあえずすっごいこだわったのは分かりました。あとペルセポネ様…口調が…。」

 

「はっ!…こほん。失礼しました。ついつい熱が入ってしまいました。話を戻しますね?」

 

 

 

 

 

 

 

再び魔族魔物の話を聞く。ペルセポネはランダムで魔物魔族を作り出し、それら一つ一つ愛着があった。しかし元々仲があまり良くないアフロディーテは醜悪な魔物魔族を嫌い、暴走しやすい人間を作り出し増やして魔物と戦わせる様にした。オタクで腐女子感があるが魔物魔族を等しく愛する異形でも慈愛に溢れる女神ペルセポネ。面食いで我儘で美しいもののみを愛する女神アフロディーテ。

 

「そんなアフロディーテがあろう事かイケメンばかりを地球からこのテル・アブ・フレイラに数多く転生させたのです。」

 

「嫌な女神ですね。いましたよ。僕の高校にも…。」

 

自分が読んでいるラノベを突然取り上げて、「こんなん読んでるの〜。キモ〜い。」とか言って来た女生徒が目に浮かぶ。名前すら知らないけど。

 

「嫌だ〜。ないわ〜。女神様までそんな奴がいるなんて〜。」

「すみません。女神へのイメージを壊してしまって。」

「いやいや、ペルセポネ様は立派な女神ですよ!」

 

 

異形ではあるが眼の前にいる女神様の方が何倍も地母神に見えた。そしてうなづく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕やりますよ!魔王になります!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉にペルセポネは嬉しそうに笑い、抱きしめた。

 

「ありがとう!他の人間に頼んだ事もあったのに魔王なんて嫌って言う人間ばかりだったの。本当にありがとう!」

 

「ちょ!ペルセポネ様!////む、胸ぇ…////」

 

身長差故に抱きしめられたら顔が丁度胸に来た。

 

 

正直ラッキーである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、貴方の肉体を破棄し、此方の肉体に魂を移します。破棄と言っても痛みはありません。楽にしなさい。」

 

ペルセポネは手をかざすと立体映像のタッチパネルみたいなものを展開しボタンを操作していく。

 

「あ……。」

 

逢魔の身体が淡く光り出し、そして指の先、足の先から肉体は解ける様に、解ける様に消えていく。その光の粒子はもう一つの肉体に入っていく。

 

『破棄及び、魂の転移、完了。』

 

「よし!」

 

パソコンの電子音声みたいな声が響き、ペルセポネは立体映像キーボードを消し、肉体をゆっくりと花畑に下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「逢魔…逢魔…起きなさい。」

「んっ……あ……。」

 

ペルセポネの声に肉体の変わった逢魔の意識は覚醒する。そして上半身だけ起きる。

 

 

「ペルセポネ様?」

「どうやら上手くいきましたね?初めての魂の転移でしたから少し心配でしたが。」

 

ペルセポネの言葉を聞き苦笑いを逢魔は浮かべる。そして手足を動かしてみる。

 

「なんか…ものすごい軽い…。」

「地球の人間の肉体は結構脆いですからね。」

 

逢魔は起き上がり周りを見る。視界が非常にクリアだ。そして空を見る。星の一粒一粒、星団まではっきりと、くっきりと見える。視力も上がって様だ。

 

(身体はどうなのかな?)

 

逢魔は新しい自分の身体を見る。そして…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ…うわぁぁぁぁぁぁ!」

 

「ど、どうしましたか!?逢魔!?」

 

「ぼ、僕真っ裸じゃないですか!?」

 

両手で大事な場所を隠し地面にヘタリ込む。ペルセポネはあちゃーっと言った感じに額に手をやる。

 

「しまった。キャラメイクに夢中で服装忘れてました!」

「おい!」

「とりあえず…これとこれと。これをこれして。」

 

ペルセポネは再び立体映像キーボードを出しボタンを操作する。すると何処からか糸やハサミが飛んで来て、糸が身体に絡みついていく。

 

「って作りながら着せる!?」

「ごめんなさい!少し我慢して!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

てんやわんやで作業が進む。糸が徐々に布に変わり針で縫われ、ハサミで断ち切り。革が形をなし、トンカチで叩き、靴底を縫い合わせ。鎖などでアクセサリーが出来上がる。

 

 

 

 

 

 

 

そして完成した。

ざっくり言えば良くあるダークファンタジーの貴族や王子様が着る様な胸にヒラヒラが付いている黒の赤と生地に金のラインが入った貴族服。そしてアクセサリーに銀のチェーンが光る。

 

「すっごい…恥ずかしかった。」

「だからごめんなさいってば!でもよく似合っいるわ!……さて。」

 

 

 

 

ペルセポネが少し下がると逢魔の身体が徐々に薄れて行く。

 

「え?ペルセポネ様!?」

 

「名残惜しいけど…そろそろ行ってもらうわ。あと、貴方の名前はそのままに、オーマにしましょうか。」

 

ペルセポネは名残惜しそうにオーマに手を振る。短い時間であれ、楽しかった。

 

「ペルセポネ様!僕頑張るから!だから…だから見ていて下さい!」

 

「えぇ。ちゃんと見ています。頑張って、オーマ。」

 

 

 

 

そしてオーマはテル・アブ・フレイラに飛んだ。落ちている様な、登っている様な、不思議な感覚。

 

 

 

 

 

 

 

 

魔物の救世の王はやって来る。オーマの物語は動き出した。

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