転生魔王のチートキラー   作:誰かの影

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魔王都アルケイディア

暗黒大陸中央部、魔王都アルケイディア。かつて初代魔王が開拓し魔物魔族の楽園だった。しかし遥か昔にチートを携えた勇者により当代の魔王は敗れ、新たな魔王が誕生してもまた倒され、アルケイディアにいた魔物魔族はだんだんと各地に散って行き、かつての繁栄は魔王城の壁画の中でのみ確認できる有様だった。そして今。アルケイディアで二人の魔族が冒険者と交戦していた。

 

「はははは!お前らに勝ち目はない!さっさと杖のありかを言え!」

「私の命が尽きたとしても!初代様から受け継がれし杖は渡しません!」

 

ミスリル製の鎧を着て、黒髪に鳶色の目をした冒険者と長めの赤髪で金の眼、頭に丸まった羊の角を生やしたtheメイドな姿の女の子魔族が攻撃を紙一重で回避しながら懐からいくつもナイフを投げつける。ミスリルの鎧の男はそれをいとも容易く剣でさばいて行く。しかし、メイドは悔しがらずにニヤッと笑った。

 

「セバス様!」

「脇がお留守ですよMr.!執事流体術!獄門通し(ヘルズゲート・ブレイク)!」

「何ぃ!?うおぉぉ!?」

 

ミスリルの鎧の男が気をそらした一瞬をつき、白い髭を生やし、眼は緑、頭に鋭い角を両耳の後ろ側へっと伸ばした、こちらは執事服を身に纏い、身長は190㎝はあるであろう、the執事セバスチャンと言った格好の紳士魔族が何処かの熱血体術系忍者教師の如く廃墟の陰から壁をぶち破りながら飛び蹴りを鎧の男にぶちかまし遠くへ飛ばした。

 

「流石セバス様!」

「いや、鑑定スキルを使いましたが…あのMr.。」

 

キラリと執事ことセバスの片眼鏡が光る。

 

「チートスキル、超回復を持っています!恐らく、すぐに回復しこちらに来るでしょう。」

「っ!またチート持ちなんて!

 

女の子魔族がギリっと奥歯を噛むと同時に二人の耳元に小さな魔法陣が展開する。

 

『二人とも無事か!?』

 

魔法陣から老人と思われる声がする。

 

「神官長様!」

「いかがなされましたか?」

 

二人は神官長と呼ばれる老人の声がする魔法陣に耳を傾ける。

 

『儀式の準備が整った!至急玉座の間に来るのだ!』

 

 

 

「「儀式!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人は廃墟を飛びながら、かつては壮大で美しかったであろう魔王城に向かい入城する。崩れかけた階段をのぼり、そして傾き半分は取れてしまった大扉をくぐり、玉座の間へと入った。そこには巨大な魔法陣と真ん中に大きな壺が置いてあり、その後ろに金で出来た女神ペルセポネの像が鎮座していた。

 

 

「防衛ご苦労だった。セバス殿、アリーシャ殿。」

 

そしてその前にカトリックの枢機卿が着るような胸部に生命の樹と邪悪の樹が刺繍された黒い法衣を身に纏い、長い白髭を伸ばし、眼はルビーの様な赤、頭には恐らく長く生きてきた証であろう立派な山羊の角が生えた老人魔族が立っていた。

 

「労いの言葉。ありがたく受け取ります。カバラ様。」

「しかしあの者はチートスキル。超回復を持っています。恐らくすぐに戻って来ますでしょう。それよりも…この魔法陣、まさか魔王降臨の儀を?」

 

 

女の子魔族、アリーシャは素直に頭を下げる。一方でセバスはかなり深刻な表情をしたのち周りを見渡す。そしてアリーシャは疑心な表情をする。

 

「ですがカバラ様。前回も前々回もまともな奴ではなかったじゃないですか。」

 

アリーシャの言葉にカバラはふふんと自身たっぷりに胸を張る。

 

「今回は絶対上手く行く!魔法陣もいつもより複雑に描き、壺も上等の瀬戸物!さらに!我らが神官団の秘宝!黄金のペルセポネ像も設置した!さらに!」

 

カバラは法衣の懐から金色に輝くチケットを取り出し天に掲げる。

 

「SSSランク魔王確定チケットも用意した!」

「どこにそんなもんあったんですか!?胡散臭いですよ!このボケじじい!」

「あ、アリーシャさん!口が過ぎますよ!紛いにも4000年神官長を務めたカバラ様ですよ!」

「紛いとはなんじゃ!紛いとは!」

 

言いたい放題言われカバラは飛び跳ねながら怒る。その時、カバラの眼が何かを映した。スキル千里眼が発動した。

 

「いかん!奴がもう来たぞ!」

「えぇ!?」

 

カバラの言葉にセバスは懐中時計を見て再びカチッと閉めた。

 

「思ったより早い!」

 

カバラは真剣な表情で言葉を紡ぐ。

 

「アルケイディアに残った魔族は我ら三名。他の魔物魔族は散り散り。最早後には引けぬ。だが!儂は…儂はもう一度、もう一度アルケイディアの栄光を見たいのだ!セバス殿、アリーシャ殿。最後になるかもしれぬこのカバラの賭けに付き合ってくれ!頼む!」

 

 

カバラは膝をつき土下座の如く頭を下げる。

 

「まぁ…実際召喚出来るのはカバラ様だけですし…ええい!ままよ!私だって、まだ生きていたいし!」

「私はここの執事長として、どこまでもお付き合いしますぞ!」

 

 

「二人とも…礼を言うっ…!」

 

 

 

 

 

 

カバラは立ち上がり、魔導書を取り出し、壺の中へチケットを入れる。

 

 

 

「女神ペルセポネよ、全ての魔物魔族の母よ。我らの祈りを聞き給え。」

 

祈りを捧げると同時にアリーシャとセバスは魔法陣へと魔力を注ぐ。

 

「今一度、今一度!我らに奇跡を示し給えぇぇ!!」

 

魔法陣が煌煌と輝き始める。

 

「我が祝辞!受け取り給え!アブジュベル・アブレイユ・スベルラ・ゴブジュベス・ユリヌ・ドゥベルラァァ!!!」

 

凄まじい早口言葉で呪文を唱える。その瞬間魔法陣から電撃が走り、空は陰り、雷鳴が轟く。そして凄まじい魔力が迸る。

 

「っ!な、何ですか!?これ!今までとは桁が違い過ぎますぅぅ!?」

「か、カバラ様!暴走ではありませんか!?」

「そんなはずはない!必ず成功するはずだ!」

 

騒然とする玉座の間、しかし、騒動は突如ピタッと止まった。

 

「あら?」

「あれ?」

「おや?」

 

何事もなく止まった。しばらく呆然とする三人。そしてアリーシャが声を出した。

 

「ちょっと!何も出てこないなんてどう言うこと!?」

「し、知らぬわ!しかし先ほどの魔力見たであろう!?」

 

やいのやいの言い始める二人を尻目にセバスは頭に手をやる。

 

 

 

コト。

 

 

 

「ん?」

 

 

コトコト。

 

 

「!お二人方!静かに!」

 

セバスがアリーシャとカバラに静止をかける。

 

「ど、どうしたんですか?セバス様?」

「どうしたんじゃ?」

「壺が、壺が動いてますよ!?」

 

セバスが指差す方を見ると、壺がカタカタと激しく動いている。

 

 

 

「ここ何処だよ!?暗い!それに狭い!死ぬぅぅぅ!!」

 

「「「!?!?」」」

 

壺から声がしたかと思うとより一層動きが激しくなる。

 

 

 

 

ドカァァァァン!!!

 

 

大爆発。そして。

 

 

「うわぁぁぁぁぁ!!イテッ!」

 

「「「!?????!!!」」」

 

爆発と共に壺から何かが出てきた。やがて粉塵が収まり、三人は出てきた何かを目視し…言葉を失った。髪は月の様な銀、頭からは女神ペルセポネと似た巨大な山羊の角を生やし、身体はあらゆる無駄をなくした。美少年がいた。

 

「イテテッ……ここ…何処?」

 

美少年は辺りを見回した。そして、三人と眼が合った。三人はさらに驚愕した。美少年の眼は……。

 

 

虹色だった。

 

 

 

「えっと…はじめまして?」




呪文はデタラメです。
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