僕は神代逢魔。居眠りトラックに轢かれその障害を終えた。しかし、女神ペルセポネ様に呼ばれ魔王オーマとして異世界テル・アブ・フレイラへと転生した。
自分は今、凄く綺麗な雲の中を落ちている。いや、登っている様な感覚にも似ている。少なくとも人間だった時には味わえない体験だ。しかしその気持ち良さは途端に消えた。
「え?」
途端に視界が真っ暗になったかと思ったら何処かの中にぎゅうぎゅう詰めになっていた。
「ここ何処だよ!?暗い!狭い!死ぬぅぅぅ!!!」
(まずい、かなりまずい!転移に失敗して木箱に詰まったか壁にめり込んだかかなり苦しい!こんな体験はいたずらで狭い箱に入って出られなくなった小学生時代以来だ!なんとかして出なきゃ!)
オーマは狭い何の中で動き回るがどうにも出られない。
「そ、そうだ!魔王になったんだから魔法で…って使い方聞いてないぃ!?」
まずい詰んだ。オーマはそう思い落胆しもう死のうかと思った。その時。頭の中に女神様の声が聞こえた。
『言い忘れちゃいました。魔法使い方はイメージですよ!イメージ!インスピレーションも大事にね?』
「わ、忘れちゃいましたって……い、イメージ。」
オーマは再び頭の中で考える。この硬く狭い場所から解放されるには…その時、頭の中に一つイメージと言うより記憶が蘇った。某ゲームの手と顔が浮いている魔王の爆発魔法。
「は、爆ぜよ!イオグランデェェェ!!!」
魔法名を叫ぶ。その瞬間、凄まじい魔力が収縮し炸裂。大爆発を起こした。だがさらに痛恨ミス。この狭い場所を吹っ飛ばす。つまり自分が巻き込まれる。
ドカァァァァン!!!
「うわぁぁぁぁぁ!イテッ!」
巻き込まれ吹き飛ばされ、何度か転がって壁に激突。正直並みの人間や魔族なら五体バラバラだったが肉体が肉体だけに打ち身だけで済んだ。
「イテテ…。」
やがて粉塵が収まり、オーマは起き上がり周りを見る。
「ここ…何処?」
見渡してみると辺りは、恐らく城であろう内壁。しかし何処もボロボロ。しかもさっきの爆発魔法の影響かでかい穴まで空いている。その時、オーマは視線の様なものを感じ、振り返る。
そこにいたのは三人の魔族。一人はメイドさんの格好をして、もう一人はいかにも出来る執事的な格好。三人目はお偉い神父的な格好をした老人だ。
「えっと…初めまして?」
とりあえずオーマは初対面は挨拶だろうと挨拶をするが当の三人は驚愕で固まっている。オーマは言葉が伝わらないのか?っと思い困っていると。
「ペ、ペルセポネ様じゃ。ペルセポネ様と同じ角を持っておられる…っ!!」
「う、嘘でしょ!?」
「ま、まさか…。か、鑑定。………ら、ランクS S S!?し、しかも神魔族!?」
途端に老人ことカバラはまるで神を見たような驚愕の表情をし、メイドことアリーシャは口元に手をやり、執事ことセバスは何やらこっちをじっと見たのち信じられないっといった感じの表情を浮かべた。しかし突如、爆発音と共に後方の扉が吹っ飛び、扉の一部がこちらに飛んでくる。
「あ、危ない!」
オーマが手を出す。しかしそれよりも早くセバスが動き、飛んできた残骸を蹴飛ばした。残骸は四散しなくなった。
「えぇ!?執事さん強い!?」
オーマが驚愕の顔するも、セバスは足の埃を払い、扉の方を睨む様に見る。それと同時にアリーシャも表情が険しいものに変わり同じ方を向く。カバラは本を捲り、呪文を唱える。
「大地の魔神よ、我らを守る盾を与え給え!」
本を持っていない手をさっと掲げる様にあげるとオーマ達をバリアの様なものが包み込む。そして扉があった方にオーマも視線を向けた。
「見つけたぞ、ドブネズミ共が!」
「またあなたですか、Mr.。」
「汚い土足で何してくれてんのよ!床が汚れるじゃない!」
「魔王城に土足で上がりこむとはなんと不届きな!」
そこにいたのは先程セバスに吹き飛ばされたミスリルの鎧の冒険者。四人が睨み合う中、冒険者の眼がオーマと合った。
『スキル、真名看破。発動。相手の名前、前世名、及びステータスを開示します。』
「!?」
オーマの頭の中に女神の所で聞いた電子音声が響いた。それと同時に情報が流れて来た。
『転生者、ユート・アウルディム。
前世名、相沢悠人。
クラス、冒険者。男性。
ステータス。
筋力EX
耐久EX+
敏捷A+
魔力c−
幸運B』
(な、なんだこのステータス!?明らかに脳筋ってかおかしいだろ!?これ!)
魔力と幸運以外はほぼ全てEX、もしくはA+。明らかにチートである。
(な、なんだあいつ…。)
一方で冒険者ことユートはオーマと眼が合った瞬間、眼が離せなくなっていた。これまで出会って来た魔族や魔物、どれにも該当しない。美しい魔族がいる。その虹色の瞳は真っ直ぐユートを見ている。
ゾクッ。
なんとも言えない、今まで自分が感じたことのない感覚に支配される。
(何処を見てるんだ?俺の…俺の何処を見ているんだ!?)
「隙ありです!」
セバスが再び飛び蹴りを見舞う。しかし寸での所で回避された。
「っと!同じ手を何度も喰らうかよ!」
「っ!しまった!」
「うぉらぁぁぁ!」
「グァァッ!」
ユートは回避すると同時にセバスの足を掴み、投げ飛ばした。そして柱に激突。幸いにもカバラの防御魔法のおかげで一命は取り留めたようだ。
「セバス様!?おのれぇぇ!!」
アリーシャはばっと頭のホワイトブリムを鷲掴みにして取る。
『スキル、魔力放出(怒り)を発動。全ステータス、アップ!」
「っ!全ステータスアップだと!?」
「踊りなさい。我が刃達!
怒気に満ちた表情のアリーシャがナイフを投げる。すると途中で分裂し、およそ二千本のナイフがユートに襲い掛かる。ユートは剣で防いで行くが余りにも数が多く、さらにアリーシャのこの技は落とされたナイフがアリーシャの魔力が続く限り襲ってくる。やがて防ぎきれずに腕や足、胴体に突き刺さって行く。
しかしユートにはチートスキル「超回復」がある。つまり。
「ふっ。はははは!!!この程度じゃ倒せねぇよ!」
何とナイフが突き刺さったままアリーシャに詰め寄りバットの如く剣をスイング。
「そ、そんなぁ!キャァァァ!」
防御魔法に大きなヒビが入りそのまま吹き飛ばされた。しかし突き刺さったのが気に入らなかったのか再びアリーシャに剣を突き刺そうと何回も障壁を叩く。そして割れた。
「死ねぇぇ!!」
「くっ。」
アリーシャがもうダメだと思った。その時だった。
「止めろ!!!」
オーマの声と共に凄まじい魔力波が広がり、ユートを大きく後退させた。
「な、なんだ!?」
ユートがオーマの方を見ると、オーマは指を弾いた。すると無数の魔法陣が展開され、レーザーが照射される。ユートは後退しレーザーを回避する。
「これ以上。魔族魔物を傷つけるのなら…僕が許さない!」
オーマはカバラの前に立ち、ユートを睨みつけた。
スキル:真名看破=fateのルーラーのクラススキル。元ネタよりも性能は上。平たく言えば攻略法。
イオグランデ=ドラクエの手と顔だけの魔王の爆発系最上位魔法。