【WR】がっこうぐらしRTA_全員生存ルート【完結】 作:アサルトゲーマー
足音が、無くなっていく。ひとだったものが、帰っていく。
しずくさんは無事?
震える手で放送室の扉を押し開ける。
顔をしっかり前に向ける。
しずくさん。
しずくさんは。
いた。
彼女は頭から足まで、全てが真っ赤に染まっている。
足元にはいくつもの骸。
そして彼女は、
「見事です。センセイ」
そう
■■■
今のところは順調なRTAはーじまーるよー。
今回は防衛戦に成功したところから。
いやーフラグ立てが成功しててよかったですねぇ(安堵)今までがいろいろガバかったのでイベント進行が心配でしたが、なんとかなって一安心といった所さんです。
「奴ら」は帰宅しましたが明日になるとまた戻ってくるのでさっさとバリケードを作り直します。
しかし残念ながら雪野ちゃんは知力がカスなのでバリケード修復には適していません。なので適当に資材を拾って他の仲間に渡しましょう。
おうめぐねえ!このくさそうな木材と釘を受け取ってくんな!
「雪野さん、あなたはどうして……」
ん?なんだこのセリフ。試走ではこんなのは無かったはずなのですが。まあいいや、次行きましょ次!
ちなみにこの時点では雪野ちゃんが血まみれのまま歩き回っていることに気が付いていません。あーもう滅茶苦茶だよ(好感度)
おはようございまーーーーす!
今日で事件から8日目です。
昨日のうちにバリケードをしっかり組み立てていると、朝ごはんが終わった後のタイミングで、あるイベントが発生します。それは……。
「みんなで「おてがみ」出そうよ!『私たちはここに居ます』って!」
そう、お手紙イベントです!
このお手紙、なんと脱出ENDのフラグを立てる最重要アイテムです。そして早く出せば早く出すほどイベントは前倒しになります。
つまりこのお手紙を出すタイミングがタァイムの鍵を握っているといっても過言でしょ!(KZHデッキ)
そこで試走を重ねてルートをいくつか調べました。その結果、りーさん、ゆきちゃんが仲間で、なおかつ誰も欠けることなく最初の襲撃を乗り切ることが最速でお手紙を出せるルートに進めることが判明したのです!つまり、このルートが一番早いと思います(カウンターストライク)
「誰にどうやって出すんだよ」
「う゛っ!」
くるみちゃんの鋭い指摘。しかし心配はフヨウラ!ここで
「風船?それが何だよ…あっ」
「なるほど!確か理科準備室にヘリウムがあったわね」
「え???」
「ゆき。お前ってやっぱ馬鹿だよな」
「にゃにおー!?」
そう!ヘリウムを風船に充填させ、それにお手紙を括り付けて飛ばします!ちなみにこのイベントまでに風船を手に入れていないと紆余曲折の後「奴ら」に学校の住所を書いた看板を括り付ける羽目になるのでオススメしません(惜敗)
さて早速お手紙作りです。と言っても知力は安定のカスなので大した文章が書ける訳ではありません。ここは思い切って絵でも描いておきましょう。
「雪野、おまえ……」
チョーカーさんが哀れなものを見る目で見てきます。うるせえ書いたものも見えねえのにマトモなものが書けるか!(見えてても書けるとは言っていない)
「まるで画伯ね」
「教育番組でこのぐらいヤバいの見たことあるな」
「……しずくちゃんすごいね!」
「雪野さん、あの、非常に言いにくいのだけれど」
うるさいですね…(半ギレ)みなまで言うんじゃあない!
お絵描きタイムは終わり!閉廷!君もうお手紙飛ばしていいよ!
ちなみに原作・アニメ勢の兄貴達は「アルノー鳩錦二世どこ?」と思うかもしれませんが、本チャートではただのロスになるので採用しておりません。どうしてもイベントを拝みたい場合はゲーム版がっこうぐらし!やってどうぞ。
ここからはしばらく暇な日々が続きます。圭ちゃんの熱いSOSコールが来るまで、後々のためにセーフエリアを広げておきましょう。
本チャートの最終日は本当にヤバヤバのヤバ吉(脇下一族五代目当主)なのでバリケードは多ければ多いほど良いです。事故多発ポイントなので安定を取って、ここいらで安全圏を広げまくりましょう。
まずは安定して食料と本を供給するため二階全ての開拓に乗り出します。この間の襲撃で「奴ら」の絶対数が多少減っているのでこのタイミングで開拓するのは割とオススメ。カイタクダー!
開拓中は何の面白みもないので倍速だ(無慈悲)
さて、このお時間にりーさんの性能について、お話しします。
りーさんは持久力、直感以外が高くまとまったオールラウンダーです。が、正気度の最大値が他のキャラより半分ほど少ないという致命的な弱点を抱えています。
しかも目に見える変化が少なく、気が付いたら包丁を振り回したり非実在妹について語る彼女に出くわすことになった兄貴達も多いでしょう。
そんな生ける爆弾である彼女を正常に保たせる方法は「日常を想起させる」これにつきます。
彼女にとっては誰かに甘えられたり頼られたりするのが日常だったので、思う存分頼ってあげましょうね。
普段はかなりの強キャラなので正気さえ保たせれば勝機はこちらにあります(HHEM)
二階までのバリケードをズビャり終えたらシャワーを浴びて飯だ飯!
おうりーさん小麦粉と鶏卵とキャベツを出してくんな!
「……お好み焼きね!早速準備するわ」
炭水化物を摂れる、野菜も食べれる、ビキビキビキニ123のお好み焼きは食堂で鶏卵が手に入る序盤ではとても心強い食事です。物語後半は鶏でも見つけてこない限り卵なんてどこ探してもないので腐らないうちに食べときましょ。
飯を食べたら睡眠だ睡眠だ睡眠だ!とっとと寝て明日に◆備えよう◆
「ね、しずくちゃん!みんなでキャンプしよ!」
へぇっ!?ここで好感度上昇イベントですかぁっ!?
やりますやります!(熱い掌返し)
「テント狭いな」
「さすがにこのサイズで5人はちょっと…」
「あ、じゃあゆきもーらい。これで一人分空いただろ?」
流石に5人は狭すぎるッピ!どうあがいてもこれ以上は入らないので見回りをしてくれるめぐねえに感謝しながら話でもしましょう。
「怪談とかいいわよね」
お、りーさんの先制攻撃!彼女のこわーい話がありますが私はタコに耳ができるレベルで聞いたので頑張って怖がるふりでもします。
「……しずく見てたら怖くなくなってきたわ。白々しすぎるぞ」
ゲームのキャラに言われるとかこれもうわかんねぇな?
「それより明るい話しようぜ!コイバナとか!」
そしてくるみちゃんの自分から地雷を踏んでいくスタイル!お前この間彼氏候補頃したばっかりだろオラァン!
■■■
しずくさんの絵を見たとき、私は恐怖した。
教育実習中に薬物乱用の危険を教える講習の時に見た絵。それはまさにその通りだったのだ。
線はぐちゃぐちゃ、色も原色ばかりで、まるで赤子が適当に握ったクレヨンで書きなぐったような。そんな作品だった。
やはり、しずくさんは、くるっている?
懸念が私の頭を埋め尽くす。彼女がああなってしまったのは環境のせいか、本人が望んだのかはわからない。
思い返せば彼女の奇行はいくつもある。異常なまでの献身もそのひとつだ。
もしあれが何かしらの精神の病を原因とするものであるならば。
こんなに悲しい事はない。
だから私は、
「ここね」
夜。私は二階にある図書室で心理学の本を手に取った。
今日は丈槍さんに頼んでしずくさんをキャンプに誘ってもらっている。
イベント事には必ず興味を示す彼女のことだ、きっと今頃みんなと何でもないような話をしているだろう。
私はしずくさんに救われた。
次は私がしずくさんを救うのだ。
それは当たり前のような考えで、しかし実現の難しいこと。
私たちを何度も救ってくれた彼女はやっぱりすごい。そう考えながら、私は図書室を後にした。