タルブの森のシエスタさん   作:肉巻き団子

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シエスタさん、お泊りする

部屋には体中に包帯が巻かれた少年がベッドに寝かされています

 

少女が学院の授業でいない間、この少年の面倒を見るのが私の役目です。とは言っても、下の世話をし体を拭き包帯を取り替えてしまえば他にやることはありません

 

少年の怪我の治療は教師の治癒の魔法によってすでに行われていて、あとは少年が目覚めるのを待つだけです。厨房に足を運ぶ度に怪我の容態を聞かれるので早く目覚めて欲しいのですが、三日経った今日も目覚める気配はありません

 

決闘で負けた金髪のナルシスト貴族様は五体満足で授業を受けているというのに、勝者の少年はこの有様

 

決闘の理由もしょうもないもので少年はとばっちりを受けたと言う他ありません。たしかとある女生徒が落としたハンカチを少年が拾いその女生徒に渡したというだけです。女生徒は笑顔で少年に礼を言い、少年はその笑顔に照れくさそうにしていたというだけ

 

だけど、たまたまそれを目撃してしまった女生徒の恋人が勘違いして少年に突っかかっていきました。それから貴族様と少年の言い争いが過熱して決闘に発展してしまったと……

 

それにしても最後に少年が見せたあの身のこなしは何だったのでしょうか。あの速さを最初から見せていれば苦もせずに決闘には勝てたでしょうに

 

そんなことを考えていると扉が乱暴にノックされました。返事をする間もなく急に扉は開かれ、少女が飛び込むように部屋に入ってきます。ベッドと扉のちょうど中間あたりに立っていた私は真正面からぶつかられ、抱きとめるような体勢になってしまっていました

 

ぎゅうっと自分の胸が少女の頭に押しつぶされる感覚。嫌な感じはしませんが、どこか落ち着かない気分にさせられてしまいます

 

そんな感覚に戸惑っていると少女の身体が離れ、私を見上げた後、その視線はベッドの上で寝息をたてている少年に移りました

 

「使い魔のくせにご主人様のベッドをいつまで占領する気かしら」

 

そうやって少女はクスリと笑う。長い桃色がかったブロンドの髪が揺れ、深い鳶色の瞳がどこかイタズラっぽく輝く

 

恨めしげにベッドの少年を睨む。怪我は治っているのだからいっそのこと蹴り起こしてやろうかとも思う

 

裕福な貴族の家で育った少女に少年の世話などできるはずがない…………というのが少女の言い訳でした

 

つまりは、私がこの部屋で寝泊りするようになって今日で三日目という、ただそれだけのことでした……

 

 

 

 




突然ですがなぞなぞです

月に帰ったかぐや姫からお爺さんとお婆さんに手紙がとどきました
『つけたきもけいたいわけよ』
さてなんと書いてあったのでしょうか?
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