タルブの森のシエスタさん   作:肉巻き団子

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シエスタさん、狩りをする

中庭の物陰から一部始終を見ていました

 

オスマン学院長の秘書をしているミス・ロングビルが長い呪文の詠唱を始め杖を振るのを。するとすぐに土が盛り上がり巨大なゴーレムが姿を現しました

 

『土くれ』の二つ名で呼ばれ、トリステイン中の貴族を恐怖に陥れている神出鬼没の大盗賊フーケ。おそらくはトライアングル以上の土系統のメイジで、身の丈三十メイルはある巨大なゴーレムを使う

 

見上げ確認する。私の持つフーケの情報とミス・ロングビルの作ったゴーレムがぴたりと一致する

 

もしフーケでなかったとしてもこれだけのゴーレムを学院の敷地内で作るのは問題でしょう。鎮圧すれば学院長から幾ばくかの褒賞があるはずです。まあ、フーケで間違いないとは思いますが

 

長く青い髪を夜風になびかせ悠然とゴーレムの肩で佇むその様に、知らず口元が緩んでしまいます

 

夜中だというのに中庭から聞こえる少女の声に様子を見にきてみれば、思いがけない幸運が待っていました。そこにはトリステイン中で手配されている高額の賞金首がいたのですから笑みも漏れるというものです

 

すぐさま物音を立てないように屋根伝いにゴーレムに近付いていく。少しも慌てずに落ち着き払ったいつもの調子で獲物を狙う

 

話し合うつもりなど全くありません。フーケにとって貴族様が貯めた財宝がそうであるように、私にとって賞金首はただの獲物でしかない

 

それも、オーク鬼やトロル鬼とは違い高値が付いた極上の獲物です。決して逃がしはしない

 

屋根から飛び上がりゴーレムの腕に乗り移ると、ようやくフーケは私の存在に気付いたようで、その身体がこちらに向きます。一瞬だけフーケの顔に驚愕の色が浮かびすぐさま呪文を唱えようとしましたが、一瞬さえあれば私には十分です

 

身軽にフーケの杖を蹴り飛ばすと、すぐに杖を失った腕をねじ上げます。骨の折れる音が闇夜に響き、次いでフーケの身体をゴーレムに押し付ける。そこへ私の拳が振り向いたフーケの顔面に振り下ろされてからしばらくすると、フーケの身体から力が抜けると同時に巨大なゴーレムは徐々にその巨体をただの土へと姿を変えていきました

 

ゴーレムが崩れる前にフーケの体を肩に担ぎ屋根へと飛び移る。フーケの口からは呼吸と思わしき微かな息遣い。上手く手加減できてなによりです

 

死体よりも生け捕りにした方がたしか賞金は高かったですからね。まあ、フーケにとってはすぐに死ぬか散々恨みを買った貴族様に後々殺されるかの違いでしょう

 

或いは良い体つきをしているので一生貴族様の慰みものというのもあるかも知れませんね。トライアングルのメイジなので優秀なメイジを生む母体としてもそこそこの価値はあるでしょう

 

さて、それでは学院長に報告に行くとしましょう。加えてフーケを秘書にしていたことの口止め料も要求しますか。トリステイン王国にばれれば学院長の首が問答無用で飛ぶ事ですからね。出来るかぎり値段をつり上げることにいたします

 

そうしてフーケを担ぎながら移動する途中、青髪の少女ならまだしも、いつも私の傍にいる少女と目があったような気がしました

 

それも一瞬だけではなく、少女は首ごとこちらを見ています。まるで視界を奪う深い闇と辺りに広がるゴーレムの粉塵にも関わらず、正確にこちらの姿を捉えているかのように

 

こんなことをしているのが少女に見られるのがなぜかひどく嫌で、私は出来る限り足を速めて学院長室へと向かったのでした

 

 

 

 




『し』と打つだけで『シエスタさん』まで変換できるようになりましたw

前に使ってたNPCは事故の際に天に召されてしまったので……
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