タルブの森のシエスタさん   作:肉巻き団子

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シエスタさん、驚かせる

久方ぶりに訪れたラグドリアン湖はなぜか水位があがっていました。近隣の村は水没し、水面の下にはいくつもの家や寺院が沈んでいます

 

「どういうことなの、水の精霊様がこれほどお怒りになってるなんて」

 

水に指をかざしていたモンモランシ様が立ち上がり、困ったように首をかしげました。それからなにやら呟きながら考え事をしだしてしまいます

 

私はそのモンモランシ様の横を通り越して水面に指先を沈めます。すると間をおかずに、少し離れた水面が光り出しました

 

「え……そんな、嘘」

 

後ろでモンモランシ様が騒ぐ中、目の前ではキラキラと光る巨大なアメーバが水面から姿を現します

 

「お久しぶりです。私のことは覚えていますか?」

 

巨大な水の塊がぐねぐねと形を取り始める。やがて水の塊は私とそっくりの姿になると、満面の笑みを浮かべました

 

「覚えている。我がお前のことを忘れることなどないであろう。我が愛しき者の娘よ」

 

「では早速ですが水の精霊の涙とやらをわけてください」

 

「よかろう。シエスタよ」

 

「ええええええええええええええええええええええええええええええ!」

 

モンモランシ様うるさいです。少し静かにしてください

 

「ねえねえ!ちょっと待ってよ!おかしいでしょ!なんなのこのやり取り!」

 

そう言いながらモンモランシ様は私の肩を揺すってきます。目的の秘薬が簡単に手に入るのになにが不満なのでしょうか

 

「なんであっさり水の精霊様が姿を現したの!なんであっさり水の精霊様はあなたのいうことを聞いたの!」

 

そんなもの水の精霊が母さまに御執心だからに決まっているからではないですか。母さまを射るにはまず娘からというやつです。まあ、私個人も水の精霊には好感を持たれているとは思いますが

 

「ところでシエスタよ、今日はギンガは来ておらぬのか」

 

私の肩を掴んでいたモンモランシ様の全身がビクリと硬直しました。そういえば、以前の宝探しの旅でツェルプストー様とオルレアン様から母さまの名前と偉業を聞かされていましたね

 

「先日ギンガが遊びにきた時もそうだったが、お前たち『親子』が別々に行動しているとは珍しいことだ」

 

さて、私をまじまじと凝視しているモンモランシ様をどうしましょうか。水の精霊が嘘をつかないことはトリステイン貴族なら誰もが知っていることです

 

「話は変わるがシエスタよ。時間が許すならば我の頼みを聞いていけ。お前の力なら大した手間にはならぬ」

 

ふむ、高価な秘薬代と思えば妥当かもしれません。モンモランシ様のことは後々考えることにいたしましょう

 

「わかりました。頼みとはなんでしょう」

 

「うむ、最近我を襲撃してくる者がいる。お前にはその対処を頼む」

 

「生死は如何しますか」

 

「些細なことだ。襲撃がなくなれば我はそれでよい」

 

生死を問わないなら本当に大した手間にはなりそうにありません。水の精霊から詳しい話を聞くに、襲撃者は二人組みのメイジのようですし、待ち伏せて奇襲でもすればそう時間も取られることはないでしょう

 

それでは、襲撃者が現れる夜までゆっくりとモンモランシ様と有意義なお話でもして待つことにいたします

 

「さてモンモランシ様、少しお話があります」

 

「はい!なんでしょうかシエスタさん!」

 

ルイズのようになぜか『さん』付けでモンモランシ様は私のことを呼んだのでした

 

 




モンモンとの二人旅
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