タルブの森のシエスタさん   作:肉巻き団子

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シエスタさん、牢に入る

「ねえ、牢屋に入るのなんて初めてなんだけど」

 

硬質な石床に座り込み、モンモランシ様が涙に濡れた目でこちらを見上げながら言いました

 

「そうですか」

 

私はかれこれもう六度目です。モンモランシ様に適当に相槌を打ちながら、いずれくるであろう兵士を待ちます

 

「アンリエッタ様をお救いして城に送り届けたのに、牢に入れられるってどういうことなのよっ!」

 

それは有無を言わさず私たちを連行したヒポグリフ隊にでも聞いてください。おそらくですが、今の状況から察するに利用されるのは確実でしょう

 

宮廷にいたアンリエッタ様を易々とさらわれた挙句、それを救出したのはヒポグリフ隊ではなく一介の女学生と従者と思わしきメイド。宮廷を警護していたヒポグリフ隊の面子は丸つぶれです。これから先、今回の事件のことで絶えず嫌味や陰口を囁かれることでしょう

 

きっと間もなくヒポグリフ隊による取調べが始まります。彼らのトリステインへの忠誠心がワルド並にあればいいのですが、私たちを連行した際、彼らの身体から酒の匂いがしたことを思えばとても期待はできそうにありません

 

そうして、私たちが牢に入れられてから半日も経って始まった取調べでは……

 

「なぜアンリエッタ様をさらった」

 

やはりそうきましたか。私たちはアンリエッタ様を救ったのではなく、アンリエッタ様をかどわかした賊として扱われるようです。その賊を捕らえ、アンリエッタ様を救出したのがヒポグリフ隊ということになるのでしょうね

 

別室に連れて行かれたモンモランシ様は今頃どんな思いをしているでしょうか?モンモランシ様は私が知る貴族様とはどこか違った心の在り方をしていましたから、もしかすると魔法騎士隊を相手にしても一歩も引いていないのかもしれません

 

まあ名の知れた貴族様ですからモンモランシ様に命の危険はないでしょう。それとは違って、ただの平民の私は明日にでも縛り首が濃厚です。この取調べはただの茶番で、彼らの威厳を保つためというかただの自己満足に過ぎません。私が何を言ったところで釈放されたりはしないでしょう

 

「ふん……だんまりか。ならばその身体にでも効聞くとするか」

 

ふう、とため息をつくと目を細め、胸元に手を伸ばしてきた貴族様の眉間に短剣を突き入れました。ざくりと肉をえぐる音。取りしらべ室にいた残りの二人が『えっ……?』と目を瞬かせて崩れ落ちた男に視線を降ろして愕然としています。その隙に、同じく深々と短剣を突き入れて絶命させます

 

メイド服ほど暗器を忍ばせやすい服はないというのに、それを調べもしないとは職務怠慢ですね。それと私の肌に勝手に触れていいのは家族だけです。まして犯そうなどと死をもって償ってください

 

さて、もうここにいても良いことはないので帰るといたしま『トリステイン貴族とあろう者がっ!恥を知りなさい!』…………隣の部屋だったんですねモンモランシ様。それと言っていることは立派ですが、彼らに聞く耳はありませんよ。彼らはその恥を隠したいがために、今こうして恥の上塗りをしているのですから

 

ついでとばかりに扉を蹴り開けると、モンモランシ様を組み敷いていた二人の首を蹴り砕いていきます。とどめとばかりに顔面を踏み抜いたところで、壁を背にしてモンモランシ様が組み敷かれているのを厭らしい目で見ていた男が我に返り杖を握りました。しかし、モンモランシ様に股間を蹴り上げられ卒倒してしまいます。モンモランシ様はさらに男を踏みつけ、がしがしと蹴りを入れています

 

「ひどいことをなさいますね」

 

「躊躇なく人の急所を狙って殺しをするあなたに言われたくないわよ!」

 

乱れた服を直しながら震える声でモンモランシ様は言います。どうやら純潔は守れたようでなによりですね

 

「それで、こんなことになってどうするつもりなのよ……」

 

「そうですね、私に一つ考えがあります」

 

敵対した相手に私がすることなど一つです

 

「兵士を見かけたら一人残らず殺していくというのはどうでしょう。そうすればきっと私たちを黙って見過ごしてもらえると思います」

 

「もおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!誰でもいいから早くわたしをシエスタさんのいないところに連れて行ってよおおおおおおおお!」

 

モンモランシ様、恩に着せるつもりはありませんが、これでも数度あなた様の身を守っているのですよ。そんな私に対してその言いようはあんまりなのではないでしょうか?




ほぼこっから、『金髪の子かわいそう』展開が続きますw

その分、たまにいいこともあります(多分)!
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