シエスタを育てるのに夢中になってて忘れてたけど、こっちの世界に来る時にチョコ〇の飼い主にいろいろと特典貰ってたんだよねー
なんで今更そんなことを思ったかというと、目の前に転がっている魔物(?)たちのせいだね
シエスタを背負って森を散歩してるといきなり棍棒のようなもので殴られましたよ。慌てながらもシエスタを庇った自分を褒めてやりたいです
この世界の住人はいきなりが多くて困ったものです。最初に出会った子供たちは自分を見るなり蜘蛛の子を散らすように逃げるし、次に出会った大人たちは食べ物を要求した途端逃げるしね!
ひょっとしたら子供が気になったけど空腹が勝った自分のことを見透かされたのではなかろうか……子供のことを聞こうとして結局は食べ物くださいだったもんなー。野党の類と勘違いされてないといいけど……
まあ考えるのはこのくらいにして、軽い衝撃を受けた後にうっすらと目を開けて見ると、そこにいたのはニメートルはあろうかという醜い容姿の生き物。凶暴な強面の豚を太らせて二足歩行させたらこんな感じになるのかなぁ
とりあえず、頭上に振り下ろされていたというか添えられていた巨大な棍棒を払いのけ、隙を見て逃げるべく拳を握りしめて突き出したのですが……
消し飛びました
跡形もないですわー。背中でシエスタがきゃっきゃと声を上げているのがなんかあれです
もしやと思い、呆然と立ち尽くしていた魔物の一匹に近付いて今度は軽く拳をその太い脚に振り下ろしてみる
やはりというべきか、魔物の脚が吹き飛びました。周りにいる魔物たちが一層身を固くする中、次々と検証をするべくそのことごとくを拳のみで打ち倒していきます
その途中で先日お会いした猟師っぽい人が木に隠れてこちらを覗っていたので、『大丈夫だよー』と手を振ると真っ青な顔をして逃げるように去っていきました。そろそろシエスタ以外とちゃんとした会話がしたいものです
まあそんなこんなで目の前には死屍累々とした魔物の山ができています。多分だけどこれって村人たちに迷惑をかける魔物とかそういうのですよね?これだけ退治すればご飯貰いに行ってもいいですよね?プリンやらチョコやらパフェやらでお腹を膨らますのはそろそろ限界なのですよ
でもご飯を貰いに行く前に小屋に戻ってまずは自分のこの馬鹿げた能力の確認だね。容姿からして女になったのは判っていたけど、それだけじゃなさそうだもんなぁ
思い返してみると、一番やりこんでたゲームのデータを反映させるって言ってたもんなぁ
とすると、おそらくは自分の容姿は『ぽこん』こと銀河魔法使い。名前は『ギンガ』。総Lv23万超えの現Lv9999のキャラになってる可能性が高い。高いっていうかほぼ確実にそうなんだろうけどさ……
所持品も小屋のタンスを開ければプリンやエクレア出てきていた。ゲームの能力と所持品の反映。声が言っていた通りのことだ
とすると、最後の環境の反映。もし自分が思っている通りならばと考えて、ついつい悪戯な笑みが浮かぶ。この世界はさっき見たような魔物がいる世界なのだ。ならば他の魔物がいようとおかしくはない
そう自分に言い聞かせて足取り軽く小屋に向かう。まずは何をおいてもシエスタを強くする。さっきのような魔物に襲われても死なないように、どんな事態に陥ってもそこから生きて生還できるように
私の全てはシエスタのために使う。それがきっと、自分がこの世界ですべきことなのだ
疲れたのか穏やかな寝息をたてるシエスタを背に、まずはどの職業にしようかなと思考しながらゆっくりとした足取りで家路についたのでした
猟師視点では武器も持たずにオークを殴り殺していくギンガはさぞかしあれだったんでしょうねー……