タルブの森のシエスタさん   作:肉巻き団子

57 / 85
シエスタさん、弟子の幸せを願う

いい度胸ですジョゼフ様。母さまに求婚しておきながらカトレアを娶ろうとするとはかなりお灸が必要のようです。もちろん母さまとの結婚なんて許しませんが、母さまに恋焦がれているのに他に女を作ろうとするその考えが我慢できません。今すぐにでもジョゼフ様を殴りにいきたいです

 

「父さま、急に結婚しろだって。わたしそんなの嫌だわ。ギンガさんのお嫁さんになるんだもの」

 

カトレアに襲いかかりそうになってとっさに自分の身体を抱きしめました。右手で左腕を、左手で右腕を、指が深く食い込むほど強く握り締めます

 

今すぐにどうにかしてやりたい。肉片すら残さず消し炭にしてやりたい。ルイズの姉だろうと、私の弟子だろうと関係ない。簡単です。私の拳をカトレアの体に打ち込むだけでいい。あるいは蹴り込んでもいい。どちらにせよ、たった一撃でいいのです

 

でも、私はカトレアを絶対に傷付けられない。母さまが救った命を、娘の私が奪うわけにはいかない。カトレアがどんなに度しがたい発言や行動をしても母さまが救った命である以上、カトレアを害することはできない

 

「シエスタも嫌でしょ?わたしがギンガさん以外の人と結婚するの」

 

やわらかい目つきで、ふんわりとした天使のような微笑でカトレアがつぶやく。どうかどこの馬の骨ともわからない輩にでも嫁いで…………そうです、ジョゼフ様とカトレアが結婚すれば丸く収まるのではないでしょうか。なのになにを逃げてきているのでしょうこの魔物使いは。少しは人の迷惑も考えてほしいものです。それに母さまと結婚するですか。カトレアは女性で母さまも女性だなんて言いませんよ。ただですね……

 

「母さまとの結婚相手として私を納得させる条件はご存知ですよね」

 

「ええ、もちろんよ」

 

カトレアは頷く

 

「シエスタを納得させる方法は一つだけ。シエスタを打倒する、それだけよ。それだけなんだけど、ねえシエスタ、母さまのスクウェアスペルを全身で受けて無傷だった子をどう思う?」

 

「さしてめずらしくもないでしょう」

 

私の家族なら全員それくらいのことはやってのけます。カトレアは唇を尖らせて、うーうー唸っています。こんな子どもっぽいところはルイズに似ているなと、そんなどうでもいい感想を抱いてしまいます

 

さて、カトレアには全く悪いと思いませんのでヴァリエール領までお連れすることにします。さっさとガリア王妃になってもらい、ずっとガリアにいてもらいましょう

 

ジョゼフ様もカトレアも母さまに言い寄れなくなってすっきりします。母さまは浮気や不倫は絶対に許さない人ですからね

 

それにしても、なぜジョゼフ様はカトレアを娶ろうとするのでしょうか。それともヴァリエール家がカトレアをガリアに送り込もうとしているのでしょうか。まあどちらにせよジョゼフ様とカトレアがくっつくのなら二人も邪魔な者がいなくなってくれて清々します

 

「ほら、カトレア。ルイズとモンモランシ様を起こして、あなたの幸せのために早く行動を開始しますよ」

 

「シエスタ!」

 

抱きつかないでください。殴りたい衝動を我慢するのが正直きついです

 

「シエスタ!わたし立派な親になるからね!」

 

はい、親は親でもカトレアがなるのはジョゼフ様の一人娘イザベラ様の親ですけどね。多くの未婚女性が夢見るガリア王妃です。きっとあなたも幸せになれますよ

 

『どうしようもないクズ』なお弟子さん

 

 




病気治ってるので無駄に元気なカトレア
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。