振り下ろされた棍棒が叩いたのは地面でした
さっきまで棍棒と地面の直線上にいた私の姿は見失ったようです。さっきまで私を取り囲んでいた他のオーク鬼も見失ったらしく、「ぶひ」、「ひぐ」と理解できない言葉で会話をしています
もしかしたら私のことをメイジだと勘違いしているのかもしれませんね。八匹に囲まれていたのに、その包囲から一瞬で姿を消すなど魔法と思われても仕方ないのかもしれません
実際はオーク鬼が棍棒で巻き上げた土煙を利用して死角に潜んだだけです。嗅覚するどいオーク鬼ならばすぐに私の場所も探り当てられてしまうでしょう
まあその前に固く握り締めていた拳を突き出し、オーク鬼の背中から前腹に大穴を空けます。雄たけびも何かの感情を抱く間もなく倒れたそれを見ながら眉をひそめました
身の丈は五メイル近くはあるでしょうか。醜く太った豚のような身体を、人間から剥ぎ取った鎧を繋ぎ合わせたもので覆っています
トライアングルのメイジ二人を返り討ちにしたオーク鬼の集団と聞いていたのですがリーダーらしきオーク鬼は先の一撃で息絶えています
もしや場所を間違えたかと軽い焦りが芽生えましたが、目の前には言われていた通りの廃墟となった寺院があります。オーク鬼に襲われたせいで領主に討ち捨てられた村の名残……
このような場所はハルケギニアにははいてすてるほどありますし、日々その数を増やしています
学院長から頼まれた今回の仕事はそんな村の一つを占領しているオーク鬼の討伐の『手伝い』です
オーク鬼を討伐したとして褒め称えられるのは学院の上級生徒、或いは教師であり、私がやったとされるのはあくまでもその手伝いです
払うものさえ払ってくれるのなら不満はありませんが、証拠となるオーク鬼の首を一人で持ち運ぶのは骨がおれます
ここから遠く離れた馬車で待機している貴族様もそれくらいはしてくれないかと一人ごちて怯んでいるオーク鬼の群れに意識を戻します
やはり目の前で死体となったオーク鬼がリーダーだったようで群れの中には私を恐れてか後ずさりをしているオーク鬼もいます
もちろん逃がすつもりはありません。依頼はできるだけ多くのオーク鬼の首です。ならば私はその依頼通りのことをするだけ
それから私は集合時間までに、森に潜んでいたものも加え二十五匹のオーク鬼を全滅させたのでした
オーク鬼が強化されているのは理由があるのでそのうち書きます