副業持ちの艦娘達   作:maple sugar

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変態は2隻あった!!

「クソッ、全然とれねえぞ。この手錠」

 

「フフフ、それが僕と提督とのつながりの強さ、そして絆の強さだよ」

 

「あの……大丈夫ですか?」

 

 大淀が心配する中、時雨につながれた手錠を外すのには困難を極めていた。なんといったって鍵穴がないのである。

 

 この状況、傍から見れば俺が時雨をペット扱いしている変態の様に見える。しかしながら、実際の所拘束されているのは俺の方である。

 

 こうなったら、この手錠ごと壊すしかない。

 

「大淀、これを壊せるものはあるか?」

 

「確か道具置き場がありました。そこにいけばあります。ですが……」

 

「ですが?」

 

「ここに届けなければなりません。ですからその状態でここに隠れられますか?」

 

「あー」

 

 確かにここは医務室だから人が来るかもしれない。この状態を見られるのは非常にまずい。こんな状態がバレたら俺が二つの意味で抹殺される。

 

 だが外に出ればだれかと会うかもしれない。全く、これが外れたらもうお嫁にいけないようなお仕置きしてやる。……いや、それはそれでこいつは喜んで受け入れそうだから怖い

 

「出来るだけ急いでくれよ……」

 

「はい、では提督も気を付けてください」

 

 大淀は医務室のドアに手をかけた。

 

「大丈夫かい暁?」ガラガラ

 

「うぅ……このくらいじゃレディは泣かないんだから……」

 

「あれ? 大淀さん? 大淀さんも怪我したのかい?」

 

「いえ、ええと……あ、そう記録! 記録を取りに来たんですよ。医務室での怪我人の記録です。はい」

 

「ふーん、ところで今ここに他の誰かがいなかったかい?」

 

「え!? いいえ、誰もいませんでしたよ!」

 

「それじゃあ、此処で医務室の人が来るまで待たせてもらうよ」

 

「え!? それは……」

 

「なにか困るのかい?」

 

「い、いえ。そういうわけでは……あ、そうだ!」

 

 

 

 

 

 

「はい、これで大丈夫ですよ」

 

「大淀さん、ありがとう。私はお礼もちゃんと言えるレディなんだからね」

 

「いえいえ、これからは気をつけてくださいね」

 

「はーい」

 

 

 

 

 

「……ふぅ、いいですよ帰りました」

 

「ありがとう、大淀さん」

 

 危なかった。俺は誰かが来ると分かった瞬間時雨を抱き上げカーテンの閉まったベッドに逃げ込んだ。

 

 危うくあの無邪気で穢れを知らなそうな駆逐艦たちに教育に悪い不純なものを見せてしまうところだった。

 

「……提督」

 

 おっと、勢いで時雨ごとベッドに入り込んだせいで俺は時雨を押し倒す形になってしまっていた。

 

 時雨は俺の事を見つめながら顔を赤らめている。

 

「もう、しょうがないなぁ……」

 

 そういうと時雨はそっと目を閉じ唇を少しとがらせた。

 

 そんな時雨に頭突きをかました俺は、そっとカーテンの外にいる大淀にアイコンタクトをして医務室を出てもらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いたた……ひどいじゃないか提督」

 

「おまえな……そもそもこうなったのはお前のせいだからな」

 

 俺たちは大淀が戻って来るまでの間またカーテンの中に隠れていた。そこにいれば誰かが来てもカーテンが閉まっていれば誰かが使ってるように見え・・・アレ?

 

俺はそのとき失態を犯したのだと気づいた。

 

 医務室のベッドのまわりにあるカーテンが閉まっていたということはそのベッドは誰かが使っていたという事であったという事、そして────

 

「ほぉ、従属プレイか悪くない。まだ怪我が治っていないが、そう言うことなら仕方ない私も交ぜてもらおう。何、心配するなリードは持参済みだ」

 

 俺の回りに集まる艦娘は変態揃いだということを忘れていたのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は若葉だ。初春型の3番艦だな。怪我をしたからドックが空くまで医務室で寝ていたんだ」

 

「うん、で? お前は今まさに何をやろうとしてるんだ?」

 

 若葉は俺の前で仰向けになり腹を見せていた。

 

「何をおかしな事をいっているんだ? 見ればわかるじゃないか」

 

「わかんねーよ。お前がバカだってこと以外はな」

 

「全く、自分の無知を恥じずに相手を批判するとは提督の風上にも置けんぞ」

 

 おかしいなぁ。何で俺が悟されてるのかなぁ? 

 

「いいか? これは服従の姿勢だ。相手にあらゆる急所を見せることで自分が相手に服従することを行動で分かりやすく示すことができる。服従の姿勢の歴史は古く、古代ローマ時代からその起源はあったとされている。歴史の授業で習わなかったのか? 義務教育だぞ」

 

「てめぇはどこの学校で教わったんだ言ってみろ! 俺がその教師全員ビンタしてやる!」

 

 中学までの間の義務教育でそんな高度なプレイを教える学校などあっていいはずがない

 

「何? 私の恩師を愚弄する気か? だったら私にビンタしろ!」

 

 何でそうなるかな? 

 

「この娘……かなりの手練れだ」

 

 そんな中時雨は謎の「こいつ……出来る!」感を出していた

 

「そういえば、お前は誰だ? 見たところ私と同じ駆逐艦娘のようだが……」

 

 若葉は時雨の方を見て尋ねる。

 

「ああ、初めましてだったね。僕は時雨、白露型の二番艦だよ。よろしくね」

 

「……まあいい。では早速……」

 

 そういいながら紐の付いた首輪をつけ始める若葉。怪我で寝ていたようであちこちに痣や傷があるため時雨とは違う犯罪臭を醸し出している。まあ、やってることは同じだが……

 

「お前なんでそんなに傷だらけなんだよ?」

 

「何、戦艦を身を挺して守るのが駆逐艦の役目だ。しかも相手が長門型とあっては尚更私が守らなくてはみなに危険が及ぶからな」

 

 つまりこいつは長門型の砲撃をすべて受けていたということか。回避もせずに? 

 

「ところで、これは何だ? 手錠か? なぜこのようなものを?」

 

 う~ん、やはりそこが気になるか。

 

「だってこれで提督とは離れずに済むじゃないか」

 

 すると若葉はまるでやれやれと子供を見るかのように笑った。

 

「な……何がおかしいのさ」

 

「主人を拘束する従属が一体どこにいるんだ?」

 

「だってそうしないと提督が……」

 

「離れるから寂しいか? まだまだ、だな焦らしや放置もまた一つの甘美な感覚だと分からないのか?」

 

「!!」

 

 その時、時雨はまるで電に撃たれたような顔になり、膝から崩れ落ちる。

 

「負けた? この僕が……?」

 

 ちょうどその時、大淀が工具を持ってやってきた。

 

「提督、お待たせしました……どうしたのですか?」

 

 大淀は首輪をつけて膝をつきうなだれる時雨とこちらもまた首輪をつけて勝ち誇ったような顔をする若葉を見た。

 

 そして、鎖を切ってもらった俺はようやく得た自由の尊さを再確認した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 若葉はドックが空いたということで医務室から大淀とともに出て行ってしまった。

 

「……やっぱり怒ってるのかい?」

 

「当り前だろ」

 

 突然、手錠をされてあんなプレイに巻き込まれたら誰だって怒る。

 

「ごめんね、次は手錠無しでやるからさ」

 

 この変態……何も反省していなかった。

 

 というか、こいつは前のめりに来すぎなのである。

 

 時雨には鹿島教官を見習ってほしい、鹿島教官は見られたと気付けば手で隠すし注意もする。隠されているからこそそこに価値が出てくるしそれを見たいという欲が出てくるのだ。

 

 初対面であんなことをするなんてそもそも言語道断なのである。届きそうで届かないがやはり人間に一番キクのだろう

 

 もしさっきの駆逐艦のような子達が来たのなら、その辺をきっちり教えてあげたい。

 

 そこで俺は気が付く。そういえば今は駆逐艦たちは訓練中ではないのだろうか? 

 

 なぜ、こいつがここに? 

 

「なぁ、ちょっといいか? なんでお前がここにいるんだ? 今、駆逐艦は訓練の時間じゃないの?」

 

「ああ、違うよ提督。僕はもともと別の鎮守府にいたんだけど解体しちゃって……」

 

 ああ、そうか。それでここに……

 

「なんか……悪いこと聞いたな」

 

「いいさ。それに前の提督の命令だったからね。それでも幸せだったよ」

 

 そうか……いい鎮守府だったのかな? 俺はそんな鎮守府を作る自信はないが……

 

「提督の命令を聞いているときはね、幸せな気持ちになれるんだ。だからね、提督も僕になんだって命令していいんだからね」

 

 そんなことを言う時雨は本当に屈託のない一点の濁りもない目で笑っていた。俺にはその時初めてこの時雨という艦娘を少し怖いと感じてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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