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「あ、由良じゃん何やってんの?」
すると俺と青葉と由良の元へ北上がやってくる。
「あ、北上さん聞いてください私この提督さんの所にお世話になろうと思って……」
由良と北上は随分と仲が良いみたいだ。由良は俺の事を紹介したいようだが……
「ふーん、そうなんだ。よろしくね」
「え? よろしく?」
「あたしもこの提督の所に行こうと思ってたんだ」
「まさかあの北上さんもこの提督のもとに行こうとしてたなんて……」
「うん、まー色々あってね」
「ところでさ、提督はなんでこんなところにいるの? まさか、見学ってわけじゃないよね?」
「はい! 実はこの青葉がこの司令官の所にあの北上さんが着任予定とのうわさを聞きつけてやってきたわけですよ」
「ゲッ! 青葉じゃんこんなの連れてこないでよ」
青葉……お前は一体何をしたんだ? ここまで嫌われるなんてただ事じゃないぞ。
「まあまあ、北上さん。実は司令官が大井さんの事について知りたいっていうんですよ」
は? こいつ何勝手なこと言ってんだ?
「まさか、提督が大井っちのことを考えてくれてるなんて思わなかったよ。もしかして由良に続いて大井っちの事も口説こうと……」
「そんなワケないだろ。出会い頭に俺の頭殴ったやつだぞ」
出来ればもう会いたくないやつだ。
「大井はここには?」
「いないよ」
よかった、また俺と一緒の所を見られたら、また医務室で目を覚ます羽目になる。そう何度も白露にお世話になりたいわけではないのだ。いやあいつは行けば行くほど喜びそうだが……。
「ですが仲間との協調性は大事ですよ。北上さんが来るのであれば大井さんも付いてくると思います。ですが、お互いにいがみ合ったままで口も利けないままでは艦隊指揮にも影響が出ます。だからどうか、大井さんともせめて口を利けるくらいの仲になってくださいよ」
「本音は?」
「大井さんが男に落とされてメスの顔になるとこカメラで激写したいです」
青葉は屈託のない純粋な笑顔でそう言ってのけた。ふむ、素直でよろしい。
「北上さん。やっておしまいなさい」
「りょうか~い」
「え!? ちょっと!!」
北上は関節をキメると素早く青葉を取り押さえた。
「イダダダダダ!!」
「ほら、これに懲りたら変なこと言わないことだな」
「わかりました! わかりました! 分かりましたから放してください!」
「あー、北上? 反省しているようだしそろそろ放しても……」
「は? 青葉が反省なんてするワケないじゃん」
「え?」
「ダメだよ提督。こういう時はきちんとわからせないとだめなんだよ。特に青葉だからさ。大井っちの事、二度とそんな風に言えないようにしなきゃね」
体のあらゆるところから大小さまざまな魚雷を取り出した。
一見何も持っていない無防備な状態に見えたのだが、長袖の裾や襟それにスカートの中から魚雷が出てくる出てくる。
北上さんもしかしてメッチャ怒ってる?
「え? ちょっと待って? 北上さん、その魚雷で何をするつもり?」
そしてその魚雷を青葉の穴という穴に詰め込んでいった。しかも、真顔で
「北上さん?」
「えい」
「あああああ!!!」
「北上さん!?」
「えいえい」
「嗚゛呼゛嗚゛呼゛嗚゛呼゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「北上さん!!??」
「えいえいえいえいえいえいえいえいえい」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」
「」ピクピクピクピク
青葉はもう動かない。
黒ひげ危機一髪やろうぜ、お前タルな。の状態である。
「あの……北上さんいやあのさ」
「ん? 何?」
「いや、何でもないです」
うん、これはあれだね。大井ほどではないけどこいつも相当だったんだな。しかも、静かに怒る感じかぁ……。
うん、北上を怒らせるのはやめよう。
「でもさ~、ほんとにいいの?」
「ん? 何が?」
「提督はやろうと思えば私達の意見なんか無視して私だけってことも実は出来るんだよ~? でも提督は大井っちの事もなんだかんだ言いながら連れて行ってくれるみたいだからさ~」
へぇ、こっちの一存でそんなこともできるのか。やっぱり提督の方が立場的には上なんだな。
まぁ、俺は別に大井には厳しい上下関係を求めているわけではないし、ましてや好意を寄せてほしいわけではない。俺が鎮守府内でも後ろに気を付けないといけないような状況を作らないでいてくれればそれでいい。
「いや気にするなよ。俺だって怒ってないわけじゃないけれどずっといがみ合ってたいわけじゃないからな。それに、そんなことのせいで自分の姉妹と離れたくないだろ?」
「……うん」
まあ、やっぱりこれだよな。国からの命令で無理矢理戦わせられる立場になったこいつらに更に提督という立場から姉妹を引き裂かれたくはないだろう。うちの鎮守府にそういうのは無用なのだ。
でもこいつらはここに来る前から宇宙機密機関で日夜宇宙人たちと戦ってきたんだろうから、まあ少しは慣れてるのか?
「まぁ、私達、別に血がつながってるわけじゃないんだよね~。でもやっぱり私達ずっと前から親友だったからさ、離れ離れになりたくはなかったんだ。……その……ありがとね、気を使ってくれて」
「いいってことよ」
「ってゆうかホントの姉妹じゃなかったの? 姉妹艦なのに?」
「そりゃそうだよ。まあ、そうゆう人もいたみたいだけどさ」
俺と北上と由良は控室にやってきた。ここにはお茶菓子もあり座るや否やさっそく北上がおせんべいを一枚食べていた。
由良は俺たちにお茶を淹れてくれていた。
「青葉さんと衣笠さんは本物の姉妹みたいでしたよ。それに、もし全員が本物の血のつながった姉妹だったら駆逐艦の子達なんか大家族じゃないですか」
確かにその通りだ、たった一組の家族で10人近く子供作ってるなんて……無理だな。当の本人はまだ気絶したまま放置されている。
「ですが不思議なのはどっちにしろ姉妹艦達は近くにいるってことなんですよね。昔からの親友だったりご近所だったりで絶対にどこかで知り合ってるんですよ」
それはなんていうかやはり艦娘の運命なのかもしれないな。艦娘になるものは初めからそういう風に計算されて産まれてきたということなのだろうか。
あれ? じゃあ提督である俺は? 確かにそういうやつは何人かいた気がするが……。
「大井とはどこで知り合ったんだ?」
「大井っちとはね、いつから一緒にいたのかはよくわかんないんだ。卒アルとか見たらわかるんだろうけどさ。でも、やっぱり私達って普通の人たちからすれば浮いちゃうんだ。だからさそういう人が二人もいれば自然と一緒にされちゃうんだよ。あたしは何言われてようが特に気にしなかったんだけどさ。大井っちは結構そういうの気にしちゃうタイプなんだよ、だから何かと私に突っかかってきてたんだ」
北上は頬杖を突きながらお茶をすする。なんだか年相応には見えないような年季の入ったしぐさだった
「ねぇ、今失礼なこと考えなかった?」
おっと、心まで読めるとは……
「それでもね、不思議といやじゃなかったんだよ。初めて同じ境遇の子に出会ったからかな? わかんないけどさ」
そして、またお茶を飲む北上。そしてまたお茶菓子に手を伸ばした
それで、一緒になったのかこの二人は……
「でもね、もっと不思議なのは提督だよ」
頬杖をついていた北上は椅子に座りなおして俺の顔を見てきた。
「何だよ急に」
「だってさ、こんな話は他の人にはしないんだよ。でもね、あったばかりだったのにまるでずっと前からっ知ってた人みたいに簡単に心を許しちゃうんだ」
「あっ、それ分かります。初めて出会った人なのに私もこの人と一緒にいたいって感じました」
由良は青葉の看病をしながら答える。由良はやさしいなぁ、もしここで青葉が由良の事をほとんど知らないことはないくらい調べつくしてる事を知ったらどうなるのだろうという考えが浮かんだがすぐにやめた。
「それでね、私考えたんだ。提督ってさ私達の事を自然と受け入れてくれる人なんじゃないかなって、私達艦娘は人とは違うように生まれてきてしまってるのかもしれないけれどでも人と離れたいわけじゃないんだ」
「そのための提督だと?」
「うん、私達の事を自然と受け入れられる提督とは、離れたくない、繋がっていたいっていうのが、艦娘なのかなって思うんだよね。特に適性の高いきみとはね。だから大丈夫、大井っちともきっとうまくやっていけるよ」
そういうと、お茶を注ぎながら今度はチョコレートに手を伸ばしていた。
そういえばもう一つ気になることがあった。
「でも何があって大井と一緒に機密組織に入ったの?」
「提督~そういう話しないでよ。一応みんなには黙ってるんだからさ」
「機密組織!?」
俺の機密組織という言葉に反応して瞬時に復活した青葉が突っかかってくる。こいつ……気絶したんじゃなかったのか?
「今、機密組織に北上さんが所属してたって話しましたよね!?」
パパラッチ脳の青葉としてはそういうのにとても敏感なのだろう
そう考えれば北上が青葉をあそこまで嫌っていた理由がわかる。
「何処ですか!? 八咫烏? SCP財団? それとも……」
こうなったら満足する答えが出るまで青葉は止まらないだろう。北上は大きくため息をついて胸ポケットからサングラスを取り出す。
「はい、提督の分」
「ありがと……その、ごめんね」
「も~今度から気を付けてね」
そして、別のポケットから別の装置を取り出して作動させる。
ピカッ!!
「そうそう青葉さ、私達にスイーツ奢ってくれるって約束したよね?」
この後、青葉のおごりでスイーツ食べに行った