副業持ちの艦娘達   作:maple sugar

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気が付いたらUAが1,0000超えてた・・・。

いつも誤字の修正を指定くださっている方やお気入り登録してくださった方ありがとうございます。




私、若葉。今あなたの・・・

 俺たちはあきつ丸の運転で走っていた。海が近くなっているのかカモメが飛びきれいな海が地平線の奥まで広がっている

 

「お前こんなでかい車に乗れるのな」

 

 あきつ丸の乗る車両はあきつ丸の一見華奢な体つきからは想像できないほどごつい車だった。

 

 これ絶対特別な免許いるだろ。

 

「もちろんであります。何なら車と付くものなら何でも乗れるでありますよ。三輪車とか」

 

「それ免許必要ないだろ!」

 

「冗談であります。しかし、SLとかなら乗れるでありますよ」

 

 それはもう、艦娘やめても食っていけるんじゃないか? 

 

「ところで、あんな廃墟に何の用でありますか?」

 

「え? 何も聞かされてないの?」

 

 あきつ丸は今回の件を何も知らないらしい。それなのに陸軍の車両をかっぱらったのか? 

 

「ああ、貴方白露型の時雨って知ってるかしら?」

 

「ええ、はい。3年ほど前に実際にお会いしたことがあるであります。ですが時雨殿はもう……」

 

「その時雨が生きていたら?」

 

「ええ!?」

 

 あきつ丸は驚いてハンドルを切ってしまう。

 

 車体は思いっきり反対車線に行ってしまったがどうにか元の車線に戻る。

 

「おい! 死ぬかと思ったぞ!」

 

「いやあ、申し訳ない。叢雲殿がとんでもないこと言うもんだから驚いてしまったであります。まあ、もし乗用車が来ててもこの車両ならびくともしないであります。余裕でありますよ」

 

 いや、反対車線の乗用車の事はどうなるんだ。当て逃げするつもりだったのかこいつ……

 

「この司令官がその時雨にあったっていうのよ。ついでに若葉もね」

 

 ついでで片づけられる若葉……かわいそうに

 

 こうなったのもすべては先日、青葉が突然俺の部屋を訪れそしてとんでもない事実を突きつけたからだった。

 

 

 

 

 

 

 

 昨夜、突然始まった世にも奇妙な物語に俺と青葉は少し背中に冷や汗をかき始めていた。

 

 書類に貼ってある写真を見る。確かに何度見ても写真の少女は時雨だった。

 

 そしてその横には……轟沈? 

 

 これってどういう意味だっけ? 

 

「言ってしまえば戦死です。もうこの世にいないって意味です」

 

 じゃあさっき会ったのは? 一体誰なんだ? さっきまでセクハラされて散々振り回されたあいつは? 

 

「知りません」

 

「でもお前が持ってるそれ多分時雨のだぞ?」

 

 青葉は窓を開け遠くに髪の毛を投げる。しかし、突然風が吹き自分の元に戻ってくる。

 

「どうするんですか司令官? 青葉呪われてしまいました。責任取ってください」

 

 いわれのないことで責任を取る気はないぞ。始めはあまり信じなかった青葉、だったら何か他の証拠を出せと言われたので、時雨と初めて出会った時に一緒にいた若葉の事を思い出した。

 

 夜中に電話を掛けるのもどうかと思ったが、

 

「若葉さんなら大丈夫ですよ。あの人貴方からの命令を24時間体制で待ってるんですから」

 

 と、言うことなので電話をかけてみる。

 

 しばらくすると部屋のどこかから呼び出し音が聞こえてくる。

 

「若葉だ」

 

「今お前何処にいるんだ」

 

「お前の後ろだが?」

 

 若葉は平然と俺の後ろで電話をもって待機していた。決して怖がらせるつもりはなくただそこにいて当然だとでも言いたげな顔でそこに座っていた。

 

 もしかして艦娘はこういうことを普通に出来るのか? 

 

「ついでに叢雲にもここに来る途中に電話で伝えておいた。「司令官の部屋に呼び出された、今夜はもう帰ってこないかもしれない」ってな」

 

 おい、それ勘違いされる奴なんじゃ……

 

 すると、大きな音と共に青葉が鍵をかけたはずのドアがひしゃげそのまま奥の方まで吹き飛ぶ。

 

 そこから入ってきた叢雲は、殺意の波動に満ちていた

 

「さて、貴方達には二つの選択肢があるわ。二度と寝ないか永眠するか選びなさい」

 

 

 

 

 

 

 俺と青葉は正座させられていた。俺は悪くないはずなのに……

 

「それで? ……どこまでいったのよ?」

 

「ん? 何の話?」

 

「とぼけんじゃないわよ! 夜分に司令官の部屋に艦娘が押しかけて何もないわけないじゃない!」

 

 あ、あー、そういうこと。……あれぇ? そういえば何もなかったぞ? 考えてみれば確かに何もないわけない。

 

 大体、こういう時は親睦を深める(意味深)チャンスなのにイベントすら発現しなかった。

 

「あー、そうだった。あの雰囲気を利用して、つり橋効果で司令官襲えば青葉ルート確定だったのに……。青葉一生の不覚」

 

 青葉も同じことを思っているようだ。いや、襲われたいとかじゃないからな。

 

「あー、大丈夫だ。何もなかったよ。うん、本当に不思議なことに何もなかったから安心してくれ」

 

「……本当に?」

 

 疑り深いなぁ。まあ、疑われても仕方ないが。

 

「安心してください。悔しいことに本当に何もありませんでした。全く、司令官があんなおもしろ……怖いこと言うからですよ」

 

 おい、何どさくさに紛れて自分は怖がってたように持っていこうとしてるんだ。もうどう頑張ったってそのルートには発展しないんだよ、あきらめろ。

 

「何よ怖い事って」

 

 俺は、さっきここであったことを叢雲に話す。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、時雨か、確かにいたぞ。司令官と初めて出会った日の事だ、忘れるはずがない」

 

 若葉ははっきりと断言した。青葉は少し考えると時雨に関する資料をすべて机の上に出す。

 

 青葉は目を輝かせる。それは、幾度となく見た面白そうなネタを見つけた時の顔だ。

 

「まさかこんな所でネタが見つかるとは……。さてさて、まさかの運営の資料の偽造か? それとも司令官に残った怨念が海の底から時雨さんを呼び寄せたのか? ワクワクしますね司令官」

 

 しないぞ。というか、いったいなんだ何だ最後のは? なんでよりによって俺なんだよ。俺が何かしたみたいじゃないか。

 

 今の所、青葉も俺も時雨は存在するということが前提で進んでいるがもし、いなかったらどうするつもりなのだろうか。

 

「まあ、もしウソだったら……なんかそれっぽい事流しときますよ」

 

 真実を流せ真実を。すると、叢雲がその資料を見て青葉を睨む。

 

「ねぇ、まず聞くけど、この資料極秘って書いてあるように見えるんだけど? ということは大本営のトップシークレットをなぜあなたが持っているのか聞きたいのだけれど?」

 

「いえ、それは……。まあ、そんなこと良いじゃないですか。そんなことより意見をくださいよ! このままじゃ夜怖くて寝れなくなっちゃいます!」

 

 青葉は一生懸命にごまかすが、ごまかせていない。というかそれ本部から持ってきたのかよスゲーな。

 

「結論から言うと、私の知る限りそんな艦娘はこの士官学校にいないわ。青葉も知っているでしょう?」

 

 しかし、あの時確か時雨は言っていた。「自分の鎮守府が解体になったからここに来た」と。

 

 それを叢雲に聞いてみたところ。

 

「はぁ? あんたそんなこと信じたの?」

 

 一蹴されてしまった。

 

「普通鎮守府が解体になったらそこにいた艦娘達は現存する他の鎮守府に再配属になるわ。間違ってもこの士官学校に戻ってきたりしないわよ」

 

 青葉は事前の情報を読み始める

 

「えー、白露型2番艦時雨。作戦行動中、敵潜水艦による奇襲を受け応戦し敵潜水艦の雷撃が左舷後部に命中。スリガオ海峡にて轟沈を確認と」

 

 青葉は、時雨の物と思われる、艤装の写った写真を見せる。それは、ほとんど半壊しておりもう原型がわからなくなる一歩手前の状態だった。

 

 機関部がむき出しになっておりその中身も一部熱で溶けていた。

 

「ふむ、しかしまさかネタが舞い降りてくるなんて……司令官は持ってますね」

 

「どうせまたガセとかじゃないだろうな?」

 

「何を言いますか! これは本当に信頼できる筋からもらった情報です。間違いありません」

 

 その筋すらお前の場合は怪しいんだよなぁ。そういえば時雨と初めて会った時若葉も一緒にいたことを思い出す。

 

「まずはっきり言っておきますが、同じ艦娘である私が断言します。まず艦娘のコアともいえるこの艤装がここまでやられているとまず航行は不可能です」

 

 はっきりと青葉は言いきった。

 

 艦娘には被害に応じて、小破、中破、大破、と分類され、大破になるともはや戦闘行為そのものが不可能となる。

 

「ここを見てください、燃料タンクが吹き飛んでいます。どんなド素人が見たってここが吹き飛んでたらもうはっきり言って終わりです」

 

 だから、万が一にも生きている可能性はないと、そういいたいのだろう。

 

 すると叢雲がどこかに電話を掛けだす。しばらく話していると、相手はあきつ丸のようだとわかった。

 

「ええ、ええ、いつも済まないわね」

 

 そういって電話を切ると立ち上がって帰る準備を始めた。

 

「あきつ丸が車を出してくれることになったわ。どうにも煮え切らないようだから、確認に行くわよ」

 

 突然そんなことを言い出す叢雲。

 

「明日は6時に此処を出るわよ。遅れたら置いていくわ」

 

 そういうと、叢雲は帰ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日の朝、しばらくするとあきつ丸の迎えが来た。

 

 あきつ丸は敬礼をすると俺たちを案内してくれた。

 

「お待たせしましたであります。車はそこに駐めていますので適当に乗ってください」

 

 外に置かれていたのは迷彩塗装の施されたトラック。まさかこれに乗って来たのか? 

 

「いや、これ……いいのか?」

 

「ああ、陸軍から秘密でかっぱらってきたであります。上層部から何か言われるかもしれないでありますがクソ喰らえ(ファック ユー)でありますよ」

 

 あきつ丸は鍵をくるくる回しながら笑っている。

 

「因みに今回の大移動は特別に許可されているけど、あくまで見学的な意味合いがあるから後でちゃんと口裏合わせなさいよね」

 

 そうして俺たちはその廃墟となった鎮守府に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ司令官? 貴方その時雨と話したんでしょ? 何か特定できるようなこと言ってなかったの?」

 

 ううむ、あの時の事はあまりよく思い出せない。なんせ2週間以上前の話なのだ。それにあの時にされたことのインパクトがでかすぎて会話なんてほとんど覚えていない。

 

 しかし、これだけは覚えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕は幸せだった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの時の時雨の言葉が正しければこれから行く旧鎮守府には時雨の幸せがあるに違いなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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