副業持ちの艦娘達   作:maple sugar

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アサシンクリードの新作が発表されたというだけで昇竜拳が出せた




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君の好きにすればいいんじゃないかな?

「……なぁ、白露。ちょっと話があるんだが? そういえば時雨はお前がその研究所から助け出したのか?」

 

「ううん、私はただ時雨に会いに行っただけだよ。お姉ちゃんと一緒に君のもとに来いって言ったんだよね。君はまだここに来てすらいなかったけれど君がここに来ることはわかっていたからね」

 

「それで時雨は?」

 

「行かないって言ったんだ。自分がここにいるのは自分の意志で提督の幸せのために此処にいるのだから邪魔をするなってさ。でも私はあの提督がもういないことを知ってたからそれを伝えたの、そしたら時雨は解剖用のメスで自分の胸を抉ったんだ」

 

 それでも時雨は死ねなかった。艦娘としての力もなくして提督もなくした。何もかもを失っても、それでも死ねないと時雨は白露に訴えた。

 

 時雨には、白露なら自分を殺してくれると思ったのだろう。

 

「それで? お前はどうしたんだ?」

 

「殺すわけないじゃん、大事な妹だよ。まさか、自分の妹から実の姉に殺してくれって言われるだなんて思わなかったよ。私は大体何でも出来るけどまさかそんなこと言われるなんて……」

 

 白露は少し寂しそうな顔をする。

 

「時雨には私と一緒に君のもとに来ないかって言ってみたんだ。でも、時雨はそれもだめだって言ったんだ。もう艦娘の力は残ってない自分が新しい提督の所に行くことは出来ないって。でも、私は君の事を紹介したんだ。君なら時雨の事を受け入れてくれるって」

 

 全く、俺の事を勝手に話しやがって、まだ俺提督にもなってないんだぞ。

 

「というか俺は時雨を受け入れるなんて言ってないぞ」

 

「提督は絶対に時雨の事助けてくれるよ。まだあってなかったけれど提督の事はイッチバンよく知ってるからね」

 

 白露は俺の顔を見て微笑みながら言ってくる。……なんだよ、少しかわいいって思ったじゃんか。

 

「それでそれから時雨とは?」

 

「もう一回会いに行ったらもう時雨はいなかったよ」

 

 いなかった? それって自分で抜け出したってことか? 研究所の連中は時雨を簡単に逃がしたのか? 

 

「違うだろうね。だってあそこにはあの時点で研究者が30人、警備員が100人、時雨の世話をしてくれてた人が10人くらいいたんだけどね、みんないなかったんだ」

 

「みんないなかった? まさか……時雨が殺ったのか?」

 

 白露は首を横に振る。

 

「違うよ、本当にもぬけの殻だったんだ。まるで突然人がいなくなったって感じだよ」

 

 突然いなくった? あれ? それってもしかして……

 

「現実をなかったことにするスキル……」

 

 研究所の連中を存在しなかったことにした? 

 

「そうみたいだね。ちゃんと艦娘として復帰できるようにしてあげたのに……」

 

「いや、お前それ暴走しちゃってるじゃねーか!」

 

 なんてもの与えてんだお前は。

 

「大丈夫、殺したんじゃなくって存在しなかったことにしたんだから誰もその人たちの事覚えてないよ」

 

 そっちの方がよっぽど凶悪じゃねぇか。まあ、時雨にひどい事してたんだからそのくらい……いやダメだろ

 

 ……まあいい、そんなことよりも時雨の事だ。

 

「なぁ白露。時雨の事どうしたらいいんだ? あれじゃかわいそうだ、あんなこと幸せだと思ってるなんてさ」

 

 それを聞いた白露は何言ってんだこいつって顔をする。

 

「何言ってんの提督?」

 

 ついでにご丁寧に口に出しやがった。

 

「提督はもしかして時雨が不幸だと思っているのかい? あの子はいつだって幸せを感じていたんだよ。艦娘の力を失って絶望していた時に、たとえ騙されてでもあの提督が自分の事を提督のために役にたててくれたって感じた時、時雨は本気で幸せを感じていたんだからね」

 

「あの子はそれ以上の幸せを知ろうとしない。もしそれ以上の幸せ知ってしまえばその幸せまで守らないといけなくなる。もしそれが失われたら不幸になる。それが今のあの子なんだよ」

 

「幸せなんて人によって違うものだよ、色も違うし、形も違うし、大きさも違う。あの子の幸せは少し他の人と違うかもしれないけれど、あれだって立派な幸せの形なんだよ。それで聞くけれど君は時雨の幸せを受け入れるの? それとも「そんなの幸せじゃない!」って自分の考え(幸せ)を押し付けるの?」

 

 俺は……わからない。そんなことを言われも青二才の俺に正解を出せるわけがなかった。

 

「まさか提督は正解を出そうとしてるの? もう、提督はかわいいなぁ。いい? どんなすごい賢将だって正解を出せた人なんていないんだよ。正解かどうかはその後それを見た人たちが決める事なんだよ。その人たちはその時々の考えうる最適解を出したに過ぎないんだよ」

 

「だからそれがどんな正しい事じゃないっていわれたって少なくとも私達は貴方が正しかったって言うから」

 

 それはお前が艦娘だからじゃないか? 

 

「そうだよ。私達は生まれながらにして提督の部下になることが決められているし提督も私達を部下にすることが決まってたようなもの。だから、私は艦娘として時雨のことをどうしたって構わない。もし、まかり間違って死んでしまったとしても私はあなたの事を正しかったというよ」

 

「でも……もし、私が姉としての意見を言わせてもらえるのなら……どうか時雨の事を助けてあげてください。よろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何で止めるんだい? 提督」

 

「いや、これで止めない方がどうかしてるだろ?」

 

 俺はネジが時雨の腹に達する前に腕をつかむ形で止めていた。

 

「わからないなぁ、僕がいたって提督のためにならないんだよ。僕は提督のためになる力を……艦娘の力をすべて失ってしまった。君のそばにいたって意味はないんだよ」

 

「意味とかそんな小難しい事じゃないさ。じゃあ、こういえばいいか? お前には利用価値があるって」

 

 俺は時雨の腕からネジを取り上げると時雨の前に椅子をもってきて座る。

 

 しかし、実は嘘である。白露にお願いされたからというわけでもない俺はただ単純にこいつの手の上で踊らされていたのが少し悔しかっただけだ。別に時雨がどうなっても構わないという意味ではもちろんないが何というか……単純になんだか腹が立つ。

 

 それはきっと俺の心の中でこんなのおかしいと思っているからだろう。

 

 でっち上げでも何かしらの時雨がまだここにいないといけない理由を作らないといけない。このままでは勝ち逃げみたいじゃないか。

 

「ふーん、僕にまだ利用価値があるのかい? それで?」

 

「ん? 何?」

 

「僕にどんな利用価値があるっていうんだい?」

 

「それは……えーと」

 

 時雨には恐らく感情的になっても意味はない。あくまで理論的に時雨の幸せの定義に沿って時雨を会心させる必要がある。

 

「役に立つとかそんなのどうだっていいんだ! お前に生きててほしいんだよ!」

 

 みたいの事を言っても、

 

「艦娘に提督の役に立てないのに生きろなんて君は提督として最低だね。君には失望したよ。さようなら」

 

 とか言われそうなのだから困ったものだ。

 

 いや、会心というか納得させるといった方が正しいか。……正直めんどくさい。もっと柔軟に対応して生きることが出来ないのか? 

 

 しかし、どうしようか。秘書艦? 違うなぁ、それで納得するわけがないんだよなぁ。

 

「話をする前に確認だ。お前は俺の事を提督といっている時点で俺の艦娘、俺の部下ということだな?」

 

 時雨は頷く。当然の事であるということらしい。

 

「じゃあさ、お前が俺から何命令されても文句は言わないわけだな?」

 

「うん、ナニ命令されても文句はないよ」

 

 なんか、意思疎通に弊害があった気がするなぁ。まあいいや。

 

 言質は取ったため、とりあえず提案するしかない。

 

 俺はもしかしたらこれから叢雲たちに嫌われしまうかもしれないが、言わなければならない。

 

「お前さ、言ってたよな? 自分の代わりに誰かを幸福にする艦になったって。だからさ、その幸運艦になってみないか?」

 

 俺の言葉に時雨は少しキョトンとした顔になった。

 

「どういう意味だい?」

 

「お前のその立ち位置と存在は海軍からしてもメディアには隠したいものだろうし、何かあった時の切り札になるだろ? それにお前のその艦娘の力の代わりに手に入れたその力は俺の役に立つだろ?」

 

 時雨の失う力は君の失敗や落ち度をなかったことにできる。仲間の艦娘が何かしても何もなかったことにできる。つまり……

 

「つまり……僕に汚れ仕事を押し付けるつもりかい?」

 

 まあ……そういうことになるな。俺達の不幸を時雨に押し付けることで俺たちが幸せになる。

 

 今回やったような暗躍をこれからも続けろと言っているのだ。最悪、みんなから嫌われる役回りになるかもしれない。

 

 こんなこと叢雲に言ったら殺されてしまうだろう。

 

 しかし、時雨が納得する形で生きてもらうにはこれしかない気がする。

 

「そっか……僕にもまだ……利用価値があったんだ。提督のために……生きれるんだ」

 

 時雨の目尻から涙が込み上げてきた。そして涙はボロボロととめどなく流れ出す。

 

「……嬉しいよ。ありがとう……提督」

 

 

 

一体何が彼女をこうしてしまったのかはわからない。しかし、今回で分かったことはもし提督の役に立てなくなってしまったらこんなことになってしまうかもしれない艦娘もいるということだ。

 

いや、こいつが特別なんだと信じたい。・・・もしかして、白露型はみんなこう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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