副業持ちの艦娘達   作:maple sugar

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ハーレム主人公が女子寮に侵入するイベント的な奴

「おい青葉。急用だ行くぞ!」

 

 俺は急いで青葉を呼びに来た。急がないと扶桑型の二人が危ない。

 

「どーしたんですか司令官? 私これから4つの中からケーキを選んで結局のところ運はその人次第であることを証明するための実験をするところだったのですが……」

 

 俺はケーキをフォークで突き刺し青葉の口に押し込むと青葉を担いで店を出た。もしかしたら鈴谷や熊野に怪しまれたかもしれないが仕方ない。ことは急を要するのだ。

 

「ふぉっふぉふぉふぉ、ンぐ……ゴクン。ふー、何するんですか司令官! ケーキというものは少しずつ味わうものなんですよ!」

 

 いや、突っ込むところはそこじゃないと思うのだけれども……。

 

 俺はここまでの経緯を説明した。

 

「なるほど……最上さんは扶桑さんたちを救いたかったわけですね」

 

「まあ、それで救われるのかはわからんがな。でも、時雨のあの力を不用意に使われるのはまずいだろ」

 

 俺たちは急いで艦娘寮に向かった。

 

「これ俺が入ってもいいのか?」

 

「バレなきゃいいんです。バレたら溶鉱炉に投げ込まれますが……」

 

 リスクが高すぎる……。まあ、仕方ないか。リスク背負ったんだから、間に合ってもらわないと困るぞ。

 

 幸いにも今は昼間時でみんな訓練に行っているため艦娘たちは出払っている。

 

「扶桑の部屋はどこだ?」

 

「ここの階段を上って3階にあります。見つからないように慎重にいきましょう」

 

 俺は静かにうなずくとこっそり廊下を歩く。すると、扉が開いた。

 

「あら、青葉じゃない。どうしたの?」

 

「あっ……大井さん」

 

 大井が現れた。残念君の冒険はここで終わってしまった。

 

「何やってるの? 今は訓練中のはずでしょ?」

 

「ああ、いえ今は少し野暮用で……」

 

 俺はとっさにドアのすぐ横の壁に張り付き大井の死角に入る。大井はドアから出ていないため気づいていないがドアから少しでも出られたらアウトだ。

 

「大井さんこそなぜここに?」

 

「私は……ねぇ、少し聞きたいのだけどいい? あいつは……今どうしてるの?」

 

「司令官の事ですか? あー生きてますよ、今のところは」

 

 大井が少しでもそこから出たら死ぬけどな。

 

「そうじゃなくて……その、私の事何か言ってた? その……あいつもうすぐここを出るっていうじゃない。でもその……私、あいつについて行っていいのかわからなくって。北上さんの行くところにならどこへでも行くつもりなのだけれど」

 

「……もしかして司令官と仲直りしたいんです?」

 

「ちがっ、そんなんじゃないわよ! でも作戦の時にあいつとこのままだとその……よくないじゃない? 卒業演習の最初のミーティングにも行けなかったし……」

 

「大丈夫ですよ、司令官はあなたの事ちゃんと待ってます。ええ、そうですね。さっきまで喫茶店にいましたからもしかしたらそこにいるかもしれませんよ?」

 

「え? 今すぐ会えっていうの? さすがにそれは……」

 

「ほらほら善は急げです。とっとと準備して司令官に会いに行ってください。私は部屋の外で待っていますから」

 

 青葉は大井を部屋に押し戻しそしてドアを閉めた。

 

「……ふぅ、ほら! 何をグズグズしてるんですか!? 早く行ってきてください!」

 

「お前・・・後で殺されるぞ?」

 

「しょうがないでしょ! 司令官がここにいるのがバレたら割とマジでシャレにならないんですから! それに、大井さんのことを待っているのは本当なんでしょう?」

 

 いつかはちゃんと大井と話す機会作らないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は3階まで駆け上がる。

 

 扶桑の部屋は開いており、こっそり部屋の中をのぞいてみる。

 

「いいかい山城? 君がなんで一人で今まで戦ってたのかは分かったけれど、君は不幸なんかじゃないよ? ああ、勘違いしないでほしいな。これはお世辞なんかじゃないよ、だって君は幸せでもないんだから。不幸な奴の隣にはいつだったて幸せな奴がいるんだ。自分の不幸のおかげでこの世のどこかの誰かが幸せになっていてもらわないと不幸になり損だと思わないかい?」

 

「いや、その幸せ私に返せって思うわ」

 

 ……なんだこの状況は? 俺はてっきり時雨が扶桑型の二人を襲撃しに行ったものだと思い込んでいた。

 

 というか、なんで時雨が山城に良くわからないことをレクチャーしてるんだ? 

 

「君の不幸のおかげで幸せになるやつがいないと君は不幸にもなれないんだ。君は扶桑に君が勝つところを見てほしいんでしょ? だったら自分の代わりに幸せに勝ってくれる奴を見つけなきゃ君は不幸に勝つことも出来ないよ?」

 

「でも私にそんな人なんて……」

 

「いるよ。君は君が思っているよりも君の身を案じている人はいるんだよ? それじゃあ、幸運艦からのアドバイスはここまであとは自分でどうにかするんだね」

 

 すると時雨は部屋を出た。そこで時雨は俺たちに気づく。

 

「ああ、提督。もしかして艦娘寮に侵入するとかいうハーレム恋愛漫画のお約束のイベント中かい?」

 

 ああ、それならよかったのに。それなら少しくらい俺にとって良いイベントだったのに、俺にはただ単に命の危機が迫っただけだった。

 

「なぁ時雨? 何があったんだ?」

 

「ああ、通りががっただけだよ。彼女たちは何だかほうっておけない何かを感じたんだよ」

 

「嘘つくなよ。村雨から聞いたぞ?」

 

「・・・村雨にあったのかい?」

 

「いや、お前が部屋に忘れてた電話からかけてきたんだけど・・・」

 

村雨に非はないだろう?

 

「はぁ、君に心配かけたくなかったんだ。いや、君の卒業演習で君に必ず勝たせてあげられるなんて言われたら断れないじゃないか」

 

お前・・・そこまで俺の指揮を信用してないのか。まだ実践とか何もしていないけれども。

 

「逆に聞くけどいまの君の戦力で強力な演習相手を打ち破るほどの指揮ができるかい?」

 

「・・・無理です」

 

いやいけないこともない気はするが・・・戦艦とかがいればなぁ。

 

「それで扶桑型の部屋にお邪魔したわけさ。それで聞いたんだ。どうして、一人で勝つことにこだわるんだってね」

 

「君はもしかして不幸な中に身を置き続けることを頑張ってるとか思っているのかい? ひとりでいることを誰にも理解されないことをかっこいいとか思っているのかい? たとえ今不幸だったとしてもその先にハッピーエンドが無いんだったら不幸でいる意味がないじゃないか。それなら不幸なんて無い方がいい、君は不幸を持て余しているよ」

 

「嫌な不幸なら逃げればいいのさ。報われない不幸を背負っているくらいなら全部捨てて逃げるべきだ。扶桑の不幸も君の不幸も僕が受け止めてあげる……。だから……幸せになろう? 僕なら君を幸せにしてあげられる」

 

おいおい、色々言い過ぎだろ。言及しないでいいところには突っ込まなくていいだろうに。

 

「それで? なんて答えたんだ?」

 

時雨曰く、山城は即答したらしい。

 

 

 

「……違う。幸せとかそんなんじゃない。私は姉様に教えたいの、こんな私でも勝てるって。私が勝てば姉様にもきっとできるって、不幸でも、欠陥があっても、才能がなくても、性格が悪くても、出来損ないな私でも勝てるのだから姉さまならきっとやれるって証明しないといけないの!! それに……あんたじゃ、姉さまを幸せにできない。姉さまを幸せにできるのは私だけだから」 

 

 

 

「もし、扶桑たちが行き場のない不幸をもて余しているんだったら僕が解放してあげたんだけど、あれなら少し刺激を与えて軌道をずらしてやればいい」

 

 山城はそのためにいつも一人で戦ってたのか? 自分の内気な姉に希望を持たせるために?

 

 なんだか初めて山城の心の内を聞いた気がする。

 

「彼女にはちゃんと戦う理由が存在した。最上は見誤ったみたいだね」

 

「でも、一緒に戦ってくれるやつがいなかったら駄目じゃないか?」

 

「最上のところにでも行くんじゃないのかな? 仲は良かったみたいだし、そもそもこれは最上が二人の身を案じての事だったわけだから、その気持ちは・・・きっと二人にも伝わってたんじゃないかな?」

 

時雨は、すがすがしい顔でそんなことを言った。だが俺には何となくわかってる。

 

「お前自分の求めてるものじゃなかったからめんどくさくなって最上に押し付けただけだろ?」

 

「・・・まあ、そんなことないさ」

 

まったく、どちらにしろ最上に何かしらの仕返しをされるのではないだろうか?

 

「その時は一緒だよ、提督」

 

どうして俺を巻き込むんですかねぇ。なんで初対面の最上にしょっぱなから怒られないといけないんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、俺は食堂で朝飯を食っていた。

 

結局、当初の目的であった戦力の増強は果たせていない。

 

そもそも本当に俺に提督としての適性などあったのだろうか? どうしてほかの人より苦労してる気がする。

 

もうこれここのお偉いさん殴ってやめようかなぁ。そもそも提督になったところで世界救う気なんてこれっぽっちもないしなぁ。

 

そこまで考えたところでふと周りを見るとみんなが俺のほうを見ている。えっ? もしかして口に出てた? ヤバくね?

 

そこで俺の後ろに誰かが立っているのに気づく。

 

その人は俺のことを鬼のような形相でにらんでいた。

 

「・・・ええと、何か用ですか山城さん?」

 

やっぱりこういうことって適性の高い提督の遭遇するイベントじゃないと思うんだよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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