アメリカのヒューストン。また、龍驤が騒ぎ出すな・・・
今日は何をするんだい?
うん、君のためなら喜んでやるよ。それが僕の幸せなんだからね
提督♡
「これで少しは反省してくれるでしょうか?」
(私は提督に発情した挙句、提督を襲おうとしたHENTAIです)
廊下で正座をし、首からプラカードを下げた時雨の姿がそこにはあった。
俺に粗相をしでかした時雨は大淀により罰を受けていた。
「いやいや、さすがにこれはやりすぎじゃない?」
「何をおっしゃいますか、主従関係は大事です。この娘とこれから艦隊を指揮していくのに部下にこんなことをされているようでは提督としての威厳にかかわります」
「僕はこのままでもいいよ。むしろこのまま大衆の目にさらされ続けていれば僕は提督の物だというマーキング行為にもつながるから僕としてはWIN-WINなんだ」
俺にWINの要素がないんだけど……。というかなんでもう俺がこいつの司令官になる前提で話が進んでいるんだろう。
「いや俺こいつのお守りをするつもりは一切ないんだけど」
「「えっ!?」」
時雨だけではなく大淀もだった。
「いや、なんで大淀が驚いてんだ?」
「ウ……グスッ……ひどいよ提督。僕の純潔を奪っておいて満足したら捨ててしまうなんて……。俺のペットになれと言ったのはウソだったのかい?」
泣きながらとんでもないことを言い始めた時雨
純潔を奪われたのは俺で奪ったのはお前だ。そもそもお前に純潔なんかなかったじゃないか、あるとしたらそれはこの世で最もどす黒いものだろう
「て、提督……いくら何でもペットになれはドン引きですよ……。こんな娘ですが最後まで責任もってあげてください」
そしてお前はすぐに信じるな。何? こっちはこっちでピュアなの?
「コーヒーです」
時雨へのお仕置きが一通り済んで満足した大淀がコーヒーを淹れてくれた。
「それで……俺どうなったの? しらつ……大井に魚雷で殴られた記憶しか残ってないんだけど……」
なんか寝ても覚めても魚雷で殴られた気がする……いや、やめておこう思い出してはいけない。
「そのことなんですが……はっきり言ってよく生きてましたね。大井さんにやられて医務室へ運び込まれたと聞いたときはてっきり殉職されてしまったのかと……」
「殉職するならせめて敵に殺されたいんだけど……」
つーかなんだ殉職って、まだ提督にもなってないのに殉職してたまるかってんだ。
「全くもう……他の艦娘ならともかくあの北上さんにはじめっから声をかけるなんて無謀すぎますよ。それに扶桑さんにも声をかけたんですって?」
「知らなかったんだよ。扶桑さんや北上さんにあんな凶暴なお付きがいるなんて……」
そもそも何? 俺は適性値高いからいろんな艦娘と仲良くなれるんじゃなかったの? 死と仲良くなってないか? 実は死神との恋愛適性値だったんだろこれ?
「よいですか? いくら提督の適性値が高いとはいえ女の子の大切なものにみだりに触ったりしてはいけません。他の提督たちも彼女達には暗黙のルールのようなものがあります」
「暗黙のルール?」
「はい、どうしても彼女たちに接触しなければならない場合は信頼できる高練度の艦娘を必ず護衛に付けることなどです」
あいつらは放し飼いにされた飢えた猛獣か何かなのだろうか。
「ですが──」と大淀は続ける。
「流石提督といったところでしょうか。あれほどの自殺行為をしながらあなたの事を気絶させる程度で収めたということにはやはり彼女達も無意識に手心を加えたということでしょう」
「あの方たちは、強力な航空戦艦と重雷装巡洋艦ですが、その分手綱を握る提督もかなり厳しくて……。やはり彼女達もあなたでなくてはならないみたいですね」
「おいちょっと待て、何しれっと俺の負担増やそうとしてんだよ」
勘弁してくれ、姉の方はまだしも妹の方は絶対やだぞ。
「まあまあ、そう言わないで……」
「……」
「お願いします! あの人達航空戦艦と雷巡になってもこの士官学校から出て行こうとしないんです! 他の提督みたいに半殺しにならなかったのはあなただけなんですよ! どうか彼女たちを説得してください!」
このメガネ……ただ厄介を俺におしつけたいだけじゃん。すると、お仕置きから帰って来た時雨が会話に入ってきた。
「大丈夫、僕もついてるからね。文字通り大船に乗ったつもりでいてよ。艦娘だけにね」
「お前は間違いなく泥船だよ」
お前がいると絶対にろくなことにならないのはわかってる。
「まあ、いいさ。とりあえず散歩に行こうよ。目が覚めてる状態の提督とも一緒に外を歩きたいな」ガチャリ
そういうなり俺に手錠をかけてきた時雨。
「おい、これはどういうつもりだ?」
「何ってこれから散歩に行くんだよ。飼い犬にはリードをつけるのは当たり前じゃないか」
だが俺は焦らない。といってもこのパターンは実は初めてじゃないからだ。これまでに何度か仲良くなった女の子に「強い絆(物理)」で結ばれたことはある。大抵しばらく家に帰してもらえないパターンだ。
昔から俺は結構かわいい娘が寄ってきたりすることが多いのだが、その多くが何かしら面倒な部分を抱えていることが多かった。
「提督と艦娘は惹かれ合うものなのですよ」と大淀は言っていたが、まさかあの娘達も……いや、考えるのはやめておこう。
とはいえ、そのおかげもあってか手錠を取るのもお手の物である。
「ああ、それ鍵穴から瞬間接着剤入れてあるからとれないよ」
なん……だと……。やばいそれは初めてのパターンだ。
「俺を飼うつもりかこの野郎」
「何を言ってるんだい? 心外だよ提督。よく見てみなよ」
俺は自分の腕に付けられた手錠をよく観察する。そこで気付いた、確かにおかしい。だって、その手錠の鎖は手錠というには1.5Mほどあって長すぎるし、その先端は時雨の首に付けたチョーカーにつながっているからだった。
「ってこれ文字通りリードじゃん」
「だから言ったじゃないか。艦娘である僕が提督よりも上の立場になる事なんてありえないんだよ。さぁ、わかったら散歩に行こうか。僕たちの主従関係をみんなに見てもらうんだ」
「いやちょっと待て」
そういって歩き出そうとする時雨をリードを少し引っ張って止めた。しかしどうやら力が強すぎたのか、時雨は「ぐぇ」っと変な声を出しながら後ろに倒れこんだ。それを俺は慌ててキャッチする。
「ゴメン、大丈夫? そこまで強く引っ張ったつもりはなかったんだけど」
しかし、心配は無用だったようで、むしろ俺に後ろからキャッチされたことに喜びの感情があるようににも見えた
「うん、たしかに犬の散歩には主従関係を示すためにワザと犬のいく方向の逆にいくんだ。それがわかってるなんて流石だよ提督」
いや、そんなつもりで引っ張ったんじゃないんだが……。というかこいつはどうしてこんな関係を望むのだろうか?
「なぁ、俺ら初対面だよな?出来れば俺はお前の事を普通の部下と上司として扱いたいんだけど・・・」
そこで、時雨は少し驚いた表情をしたが俺の方に向き直った。
「・・・提督、僕を人間扱いしてくれるのは嬉しいけれどごめんね。そういう扱いにはまだ慣れてないんだ・・・本当にごめんね」
う~ん、これはひょっとしてかなりやばいかもしれない。白露さん・・・白露型の最初からハードル高すぎんよ
可愛いは時雨